鈴鳴愛達ヴァルキリー達の活躍から50年の歳月が過ぎた。
精霊達は結局戻ってこなかったので、能力者は発現しないままだったが、魔族との抗争も終結しているので、何の不自由もなく日々が続いていた。
処は日本、東京。
ここに新たな時代の風が吹き荒れていた。
世間を賑わせているアイドルユニット「MEMORIES」。月乃宮プロダクション所属の今大人気のアイドルユニット。
彼女らの起源はおよそ150年も遡る。
150年前。当時日本の芸能界の一世を風靡したアイドルユニット「MEMORIES」の生まれ変わりとして注目を集めている。その大人気ぶりはかなりのもので、当時の「MEMORIES」と同じくらいとされている。
・・・・あくまでも’人気だけは’・・・・。
150年前、彼女らの起源となった3人「アリア(観月輝弥)・ナーシェ」「レイチェル・フリステス」「アリシア・レイフィールド」の名前を継ぐ事で、初代の神話性を受け継いでいる。
「7代目アリシア・レイフィールド」「10代目レイチェル・フリステス」「12代目アリア・ナーシェ」で構成された現在のMEMORIESは人気は衰える事無く、世間の注目を浴び続けている。彼女達に憧れ、次代のMEMORIES候補となろうと月乃宮プロダクションのデビュー前の少女達・・・・研究生と呼ばれる少女達がいるが、その名前を受け継ぐことが出来ず辞めていく少女やMEMORIESではないタレントとしてデビューする少女はいたが、次代のMEMORIES候補となれる少女は・・・・今のところの研究生の中にはいないようである。
アリシアはともかく、レイチェルは世界最高峰のフリステス音楽学園の理事長の娘だったというし、アリア・・・・観月輝弥に至っては歌唱、楽器、ダンス、調律、など、フリステスに存在する学科のその全てでエトワールを冠するという偉才の持ち主。そうそう受け継げるものではなかった・・・・。
そんな神話性で活動しているMEMORIES。その3人に憧れ、月乃宮プロダクション入りに憧れる少女・・・・。
・・・・宮凪愛架。
かの150年前の魔族との大戦の終結の立役者草薙博人の血筋の分家であり、また月乃宮家の従姉妹にあたる。苗字の宮は月乃宮からとり、凪は草薙の薙を改めた名である。
賢者と草薙の剣のカ・・・・その両方の資質をもちながらそのカを振るおうとはせず、憧れたのは・・・・芸能界だった。
とりあえず愛架はプロダクション保有者・・・・月乃宮のお嬢様・・・・いとこに相談・・・・。
????「そう。貴女は草薙と旧高宮の双方のカを求めず、芸能界へ・・・・」
愛架「うん!!目指すはMEMORIES入りだよ!!」
????「貴女、簡単に言いますが、MEMORIES入りは並ならぬ資質がないとかないませんわよ?・・・・とはいえ、貴女はアリア様の末裔でもありましたわね。いいでしょう。しかしわたくしがするのは口添えだけで、研究生になるにはきちんと選考オーディションを受けていただきます。そこはよろしくて?」
愛架「うん!!ありがとうシャルちゃん!!」
シャルと呼ばれた少女「わかりました。ところでオーディションを受けるのは貴女1人でよろしくて?」
愛架「ううん。のどちゃんとここちゃんも一緒だよ」
シャル「・・・・一応聞いておきますが・・・・当人達の了承は取って・・・・ないですわね。貴女の事ですから」
愛架「うんこれから」
シャル「・・・・全く貴女という人は・・・・」
といいつつため息。どうやらいつもの事らしかった・・・・。
シャルと呼ばれた少女は身に着けていた白いゴシックフリフリワンピースのポケットからカードケースを取り出し・・・・1枚のカードを愛架に手渡したそれは・・・・どうやら名詞のようである。
シャル「わたくしから口添えはします。ですが、オーディションの申し込みそのものは貴女が自分でなさい。それと、貴女の友人2人にもきちんと相談してから。いいですわね?」
愛架「あ、うん。分かった。えっと・・・・」
と愛架は名詞を覗き込む。そこには’プロデューサー’’作詞作曲家’’月乃宮プロダクション所属’と書かれ、名前を電話番号がかかれてあった。
愛架「月乃宮プロダクション所属?この人もタレントなの?」
シャル「ええ。タレントであり、ソングライター、そしてラジオ番組などにも出演しているマルチタレントです。名前はそこにある通り、’風祭史記’さんです。彼はお父様やお母様の信頼もあつく、新人オーディションの審査員も務めていらっしゃいます。わたくしから話は通しておくので、応募は自分でなさい。わかりましたね?」
愛架「ありがとうございますシャルリーゼロッテさま〜〜〜〜!!」
シャル「全く調子いいんですからこの子は・・・・」
とやれやれとため息をつくこの少女、シャルリーゼロッテ・月乃宮、愛称シャルは愛架と同じ中2の少女だ。
愛架「じゃあここちゃんとのどちゃんにも話とくね〜!!それじゃあ!!」
と大手を振って月乃宮の屋敷を出て行った。
シャル「ええ。ごきげんよう。・・・・ってまったく・・・・話ておくのはいいですが、まだお2人共やるとは言ってませんのにあの子は・・・・考えるより行動なんですから・・・・」
とまたため息をつきながら愛架を見送った・・・・。
その頃--------------------
とある洞窟で封印状態にあった魔族が封印の綻びと共に這い出てきた。
復活した魔族は4人。そして・・・・目を見張るほどの美しい女性が1人・・・・。
「あ〜・・・・肩こった。おいタナトス。あれから何年後だ?」
と屈強な筋肉質な2メートルくらいあろうかという大漢がとなりにいる男に声をかけた。
タナトス「今封印解けたばかりで分かる訳が無いだろう」
「ねぇ、とりあえず外に出てみない?そうしたら何かで今の時代の情報がわかるかも」
「そうねエキドナ。新聞かなにかに日付くらいは載っているでしょう。タルダロス。あなたは別に復活しないほうがよかったのに」
タルダロス「ああ?なんだよネメシス。何でオレだけ爪弾きだよ」
ネメシス「あなただけではありません。タナトスもです。貴方達2人はいつもいつもトラブルばかり・・・・」
タルダロス「封印解けたばっかでいきなり喧嘩売ってんのか?ああ?その喧嘩買ってやろうか?」
タナトス「やめないか。女神の御前だぞ」
とタナトスはピンク髪の美しい女性の前にかしづいて頭をさげた。エキドナ、タルダロス、ネメシスも後に続く。
タナトス「復活したての状態はどうですかアリア様?どこか痛い所とかはありませんか?」
アリア「平気です。この時代の世界をみてみましょう。あれからどのような世界になっているかを」
魔族4人「は!!」
タルダロス「・・・・してとりあえずどうしますかい?」
ネメシス「そうですね。とりあえず目的をもって行動したほうがよろしいでしょう」
アリア「そうですね・・・・もう神星器の家系はないでしょうから・・・・おにいちゃ・・・・草薙の家系と御三家、クラリー・・・・月乃宮の家も訪ねてみましょう」
魔族4人「はっ!!」
こうして新たな時代が幕を開ける・・・・・・・・。