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秘密のバイト大作戦。コミュの【ミステリアスハンドルネームズ 第三話】

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第二話
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第三話 音楽隊は知らぬところで


「シニニムニカ?」

「トマンチェラ。」
僕を強く見ながら会議室の方を指差している。
何語だ。左側にはやはり行ってはまずいのか。でも何語なんだ。
「あー、アイキャント・・・」
「ワイドンチュラナウェ。」

「ハウロングヂッヂュワッチドモホリアン?」
???
「アイゴ!ワッソ!!」
よくわからない言葉を喋った女性は、なにやらあわてて右側の廊下に走っていった。


「近藤さーん」
呆然としていると会議室から酒井さんが手招きした。ひらひらときれいな手が踊る。
「ここよー、ここの隣。休憩室は。」
「あ・・・、はい、そうでしたねえ!」
えへへと笑い、僕は休憩室のコーヒーの自販機のボタンを押した。
自販機は、よくあるやつだ。有名企業の、安い味のするやつ。抽出完了のランプが点くまでもったいぶるカップ式のやつ。

酒井さん、は、会議室にいるのか。

「酒井さんも一休みしませんか」コーヒーを持っていく僕。
「あ、でもちゃんと見てなきゃ、だし。」でもちょっと嬉しそうな酒井さん。コーヒーを渡すときに手が触れ合う。
「あ、ごめんなさい。」はにかむ酒井さん。「監視は・・・ビデオ録画してるんだしいっか」いたずらっぽく笑う酒井さん。
「ね・・・」そしてコーヒーカップを机に置き、二人きりの会議室で僕らは距離を縮め・・・


・・・抽出完了のランプが点いた。休憩室は実に普通だ。
白い長テーブル、緑の波模様入りの台拭き、灰皿、ワイドショーを映すテレビ、スポーツ紙を読む白衣の男。
「お疲れさまです」僕は彼に一声かけて一角に腰をかけた。
「・・・ッス。あ、そこは座んない方がいいッスよ。矢が飛んできますもん。」
「あ、矢?はあ・・・。」
どこにだってつまらない冗談を言うやつはいるのだ。僕は席を立ってできるだけ男と離れた席に腰を下ろした。
ワイドショーでは喋る猫、というのをやっている。猫の鳴き声に合わせてテロップが『ご飯』と飛び出す。空耳じゃねえか。

ああそうだ、ブレーメンのもう一匹はネコだ。ねずみを獲れなくなったネコだ。
あれは結局、なんだ、役立たずと言われた老人がスカッとする話だよな。
役に立ってたってのが前提だけどな。
どうすんの、もし僕が音楽隊の面々と出会って
「いやあ、僕なんて特に何の役にも、ねえ。家?でもまあ家は、ぎりぎり。」とか言ったら。
みんな家に来て騒ぎ出すのか攻撃されるのか?みんなして呆れて首を振られたら・・・それはやだな。
ロバもイヌもニワトリもネコも、そろいもそろって呆れ顔でため息つきながら「あ〜あ」って。あー、それはやだわ。

窓の外は小春日和の、やわらかな青空。
そこへにょっきり音楽隊の一番上、鶏だよな、が現れるのを想像してみた。うん、いいよ。
ロバの上にイヌが乗ってその上にネコ、ニワトリでブレーメン通りを歩いてくるんだ。バランスをとりながら、あるいは平然と。いいな、うん。

コーヒーはちょっと冷めて、安い味を強調し始めた。白衣の男は相変わらずスポーツ紙を読んでいる。


―監視はカメラで私がするから。

そう言ったな。そうだよな、工場内はビデオで撮ってるって言ってたもんな。で、僕の行動も見られてるんだよな。
ってことは、あの同じ動きをする男のことも小窓に張り付いた女のことも見てるんじゃないのか?
ちょっと待てよ、何かおかしくないか?

何だ、何がおかしいんだ。

なんで酒井さんはあんな普通の対応なんだ。


男の時は、僕が真似をしたとでも思ったのかもしれない。でも女はどうだ、あれはおかしいだろう。


錯覚なのか?女は小窓に張り付かなかった?僕が真似をした?いや、ない。ないないない。
監視カメラのモニタだって全てのものを常に見てるなんてことないだろう。それだけだ。冷静に考えろ。

そうだ、男の視界の中に僕の部屋の映る画面でもあったのかもしれない。暇つぶしに僕をからかったんだ。

女は・・・
陽動作戦?僕は一人の人だけを見てるわけじゃない。僕が誰かに気をとられた隙に誰かがドモホルンリンクルを盗んでる。
いやいや、ビデオ録画されてるんだ、目を付けられるだろう。

やはり、からかわれたのか。通過儀礼みたいなものかもしれない。酒井さんも、もう慣れっこなのかもしれない。


そうだよ、これは現実なんだ。こんなことで易々と相手のペースに巻き込まれてたらいつか何個も壷を買うことになってしまう。
壷なんて買ってる場合じゃないんだ、家賃だって払えないのに。
深く考えずに適当にやればいいんだよ。手を上げたらブザーを押す。動きがあったらブザーを押す。多少見逃したっていいさ。見逃してだめなら、たれるのを見てる人がブザーを持ってるべきなんだ。
盗みだって、そうだ、他の人を見てたから気付かなかった、でいいじゃないか。そもそも完璧はありえないんだ。
音楽隊も現れない。青空にはぼんやり白い雲が浮かんでいる。

すっかり冷えたコーヒーを流し込んで、僕は休憩室を出た。

コメント(19)

cyonahi作
第三話です。

いやーうまいですね〜
これまでのことをまとめつつ、次に繫げる感じが。

おかげでまた次への展開が楽しみになってしまいました。
もうずっと読者でいつづけたいです。
一体何が起こってるんだろう?
全くわからないままつづく、ですか。

何語をしゃべってたのかわからない人、ドモホリアンとか言ってますよ。

ドモホル人?ドモホル人間?

その前にHow long watchって言ってますよ。つまり、「もうどれくらいドモホリアンがヂッヂッしてるのを見てるのか?」と聞いてるのか?
ヂッヂッって、たれる時の擬音?

わからないよー!
今、酒井さんの姿をひたすら妄想しております。
ブレーメンの音楽隊へ思考を飛ばしながら現実逃避中の近藤くんの描写がいい感じです。

何だかしっとりしたまま恐怖が首筋まで這い上がってきそうな雰囲気ですね。


ウチの猫も『ごは〜ん!』と鳴きますよ。ええ!鳴きますとも!(笑

>aniさん
why don't you runaway ?
How long did you watched ドモホリアン?なんじゃないかな。
適当ですがあせあせ(飛び散る汗)
aniさん、OZ!さん、お二人よく考えていらっしゃる。

さすがですなぁ〜

さて、ホントはナンて言ってるんでしょね?

これからどんな事が待っているかは…

首を長ぁ〜くして待っててね!
OZ!さん、そうだ、そうに違いない!
ってこたあ、たいした意味はないのか?単なる同僚?
ううう、近藤君に、甘いものを差し入れしてあげたいです。
多分、かなり疲れているんだと思います。

ちなみに、うちの猫もごはーんごはーんと時間になると呼びにきますよ。えぇ。

ところで、さすがですね、ミステリアスズ、あ、ちびっと縮めました。
もう、こうなんちゅうか、ずっと読者でいさせてください(片手を差し出し、頭を下げるの図)

いやあ、みなさまありがとうございます。

しゃべる猫がたくさんいたことに驚いております(笑

近藤くんの疲れっぷりと現実逃避っぷりを読み取っていただいて感謝しております。

冒頭の女性はなんと言っているのか?いったい何が起こっているのか?何が起こるのか?

はたまた何も起こらないのか???

この先の話、ちゃくちゃくと進んでいるの読んでますけど面白いですよ!ご期待を☆☆☆
 もうね、ドモホルンリンクル、買ってこよう。
 こんなに手間がかかってることを考えたら、安いし。
 でもあれって何だっけ? 何で出来てるんだっけ。
 つけたらドモホリアンになれるのでしょうか。
 みんなにつけてまわろうか。

 いやそうすると、ミステリアスの思う壺だ。やべ。
監視する側、される側??
なんかグルグルさせられる展開ですね。

気になる監視スパイラル。

やはりドモホリアンという言葉が印象に残ります。

ぬぅ。

忘れたい。
ドモホリアン…

しまった、思わず口に出してしまった…。

えーい、もう言ってしまえっ


面白かったです!
くくく…
皆さん我がチームのミステリアスな展開を堪能されているようですね。

謎はまだまだ続きますよ。

第四話移行も楽しみにしていてくださいね!!
やだよ、あたしゃ『以降』を『移行』なんて変換ミスして…
情けない…
アイゴ!姐さん変換ミスですか!

しかしフフフ・・・ 皆様ありがとうございます。

まんまとドモホリアンのとりこですね?
お求めは最瞬間製薬ですよ。お間違えなく。フフフ・・・

日常の謎がすべて解かれるかといったら・・・ フフフ・・・


第四話、見逃せませんよ☆お楽しみに(´∀`)ノ
くぅぅうう。。
早く読みたぃ、第4話。
ドモホリアン。
私、リンクル欲しくなってきた。
明らかになる事実と主人公の感情の移ろいがよくわかりました。
ゆっくりとじっくりとストーリーが進んでますね!
残された秘密がどうなるのか、楽しみです!
いやぁ、面白いっっ

ドモホリアンかぁ。
なんか透明の水色っぽいですね。
んでぬめ〜っと出てきそうです。

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