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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第13*回(2026年9月開催) 文芸部A 王都作 テーマ選択「「今日」「営業時間内」」(「遅刻」)

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【プロンプトこれだけ。】
で、予約した店に俺はいる。

(受付の描写、そこでの店員とのやり取り。前金制)
ここには遅刻の枠そのものがない
パソコンの液晶画面の予定枠から急かされることはもちろんない

(腰を下ろしたエリアの描写・雰囲気・様子)

(本人の背景について少し掘り下げる)

(閉店時刻まで利用した後、退店)

(建物外、出たところの季節描写)


Gemini版:※15-18時を20-23時へ、オレンジ色→紫をラベンダー色→紺へ、西日→街灯、黄金色→黄色へ、急ぎ足で→ゆるやかにへ変更
で、予約した店に俺はいる。


【本文ここから。】
「いらっしゃいませ。本日20時より3時間コースでご予約の神島様ですね。お会計は前払いとなっております」
「あ、はい」
受付の小綺麗なカウンターで財布を取り出し、指定された金額を支払う。機械的な電子音が響き、会計完了のレシートと一緒に小さな木製の番号札を手渡された。
「こちらがお客様の席の札になります。終了時刻の一八時までは、お好きにお過ごしください」
「ありがとうございます」
「それでは、ごゆっくり」
ここには遅刻の枠そのものがない。パソコンの液晶画面にずらりと並んだカレンダーの予定枠から急かされることはもちろんない。返信を催促する通知音も、納期に追われるタスクの通知ポップアップも、この空間には一切届かない。

案内された奥のエリアに足を踏み入れると、柔らかい暖色系の間接照明が、静寂を優しく包み込んでいた。深緑色の重厚なソファー、木目の美しいローテーブル。ほのかに漂う珈琲と古い紙の香りが、こわばっていた肩の力を自然とほぐしていく。周囲の客も皆、思い思いに本を読んだり、ただ茫然と壁を眺めたりして、流れる時間を贅沢に消費している。俺はソファーの奥深くへ深く腰を下ろした。

思えば、ここ数年の俺は常に「時間」に追われていた。システムエンジニアとして働く毎日は、分単位のスケジュール調整と果てのないトラブル対応の繰り返しだ。他人の時間を奪い、自分の時間を削り、何のために働いているのかさえ分からなくなっていた。限界を感じて今朝思い立って検索し、偶然見つけたのがこの「何もしないこと」を売りにした完全予約制の喫茶サロンだった。

スマートフォンの電源を切り、ポケットの奥底へと押し込む。何もしない、という行為の難しさと心地よさに浸りながら、ただぼんやりと天井の木目を数え、静かな音楽に耳を傾けた。

「お客様、まもなくお時間となります」
静かな声に目を覚ますと、いつの間にか閉店時刻の23時直前になっていた。深くまどろんでいたらしい。番号札を返却し、店を後にする。

重いドアを押して建物の外へ出ると、ひんやりとした夕暮れの風が頬を撫でた。いつのまにか街はすっかり秋の空気に包まれており、澄んだ空にはすっかりラベンダー色から紺へと移ろうきれいなグラデーションが広がっていた。街路樹のイチョウが街灯に照らされ、黄色に輝いている。ゆるやかに通り過ぎていく人波の中で、俺は一度だけ深呼吸をし、秋の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。​

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