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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第百一回 大邦将猛 作 先生、私のワイエス 後半 モデルの視点(テーマ:芸術・老婆・グラス)

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大邦先生はほんの子供だった私にはじめからいままでずっと人として向き合ってくれた。
初めての授業をいまだに思い出す。ワイエスの絵を見せて絵の真実とか不思議な言葉を語っていた。学校の授業ではじめて考えたことも聞いたこともないモノの見方を教わった。

英才教育なのか詰め込み教育なのかわからないが進学前に自習式のプリント教材で高校の数学や物理まですでにマスターするほどに私という人間は訓練されていた。遊びのようにやっていたらこの難関校に余裕で受かるほど勉強が得意になっていた。山ほど問題を解いてたので授業が簡単で退屈するほどだった。英語にも同様の教材があって、小学生のうちに英検の準1級を取得できた。進学校ではあるがこの手の訓練になれているから、成績維持はなんら苦労していない。
私の名前「佐宗理央」は高校一年の今、高校三年生や浪人生も受ける日本最高学府のT大模試で上位成績者の名前に入っている。

これを知性というのだろうか?私は考えなくても決まった答えを素早く導くための訓練をしてきた。それは言い換えれば考えない訓練である。考えずに決まっている答えを出す速さを競う。その訓練がうまくいけば世間の評価で名門校やら良い企業に行ける。
その訓練を頂点までやり切った私は世間で生きていくのに苦労することはないだろう。

大邦先生の授業でやったことが一番知恵を絞らされた気がした。
そして絵の中に優しさなどの真実と呼べるものを見つけたときに鑑賞して画家の思いを理解することの楽しさを知れた。スピードを求められることはない、モノに向き合う素直さの大切さを知った。そして大邦先生の語る言葉に酔いしれた。

常に敬語で手を抜かない言葉遣いと真摯な教える態度は私を捉えた。おそらくほかの生徒にも新鮮だったのでないだろうか
女子高進学者は圧倒的に音楽の習い事を仕込まれている子が多い。私もピアノにかなり親しんだ。絵はむしろ苦手だったけど、はじめて自分から習い事をしてみたいと思った。
そしてこの学校の生徒の半数は美術を芸術の選択にする。それが先生への生徒たちの評価だ。
先生は「絵は自由に描くものだ。」「子供だって描ける。」「みなさんの頭か心の中にあるそれを形にする それが絵を描くことだ」
という言葉を言い続けている。

女子は教師や近寄ってくる男たちの腹の底の醜い気持ちも一瞬で見抜いてしまう。
文化祭で小学校のときの男子の友人や塾で知り合った男の子も意外とたくさん
接点があるものだ。
俺が俺がとアピールしてくる男たちの様子を喜ぶ子も多いが
私にはそういう感覚がない。

自分が主役になってるような話し方をするイケメン体育教師は皆がバカにしてる。
犬のパグかブルドックを思わせるような顔、痩せてはいないずんぐりした体形。
大邦先生を冷徹に見つめれば決して容姿に恵まれた人ではない。
ともすれば生徒の嘲笑にさらされやすいタイプの人だと思う。

だけど私の周りに先生をさげすむようなあだ名で呼ぶ人はいなかったし、もしそんな人がいれば私があるいは誰かがその人を攻撃したかもしれない。

美術部に入り、先生の描き方をみて先生がどんな人なのかすこしだけわかった気がする。
モチーフと自分以外のなにも見えないようなのめりこみ方でモチーフを捉える。
絵は心の中にあるというが実は目の前にあるものを描きながら「先生は自分自身を描いてるのでないか」と思ったことがある。風景を描けばとても繊細に細かいのに描写は力強い。見れば先生の絵だとすぐわかる。

大邦先生は同じものはめったに描かない。それはプロの絵かきには珍しいことだと知った。売る人は誰の絵であるかが見た時すぐにわからないと売れないのだそうだ。
何をどう描いてもタッチも毎度変わっていても先生の絵は先生の絵だとわかる。
たぶんそれは先生の絵が一流なのだという証のように思われた。

毎週金曜の放課後に帰りが早いのに気づいていたが、私は恋人と過ごす時間なのだと
勝手に思っていた。独身だと聞いていたが恋人がいないとは思えなかった。
美しい人かもしれないし、そうでなかったとしても大邦先生ならワイエスにとってのヘルガのようにその人を愛すのだろう。そしておそらくその人の絵を描くのだろうと思っていた。もう何年も描いてるのかもしれない。その絵はどんな輝きと真実を讃えているのだろうと思わずにいられない。

進学校の女子は発育が早い、理由はわからないが小学校の時の女子友が
「頭いい子ほどエロいよね」と笑って言っていたのを思い出す。
知性的な子ほど好奇心が旺盛で異性への興味も強いことがある気がする
それは発育に影響するのかもしれない。
乳房などが中学年時のころからかなり大きい子がいる。私も例にもれず
そうだったし、異性への興味は強かったと思う。女子校への進学をためらったほどだ。
が大邦先生を知って不思議と異性への興味が減った。
年が倍も違う先生を異性としてみることはなかった。
ただ尊敬をしていたが、彼のような人に愛されて何年も見つめられて描いてもらえたらいかほどにうれしいだろうかと私は夢想した。

自分の体の長く伸びた脚や細い体に満足な気分を感じた。
膨らんできた乳房と突き出た乳首が美しいとすら思う。
これから変化していく体の成長を長く見つめられてみたいという
不思議な欲望もいだく。そして見つめてくれるなら優しい男性がいい。
自分の体なのにいじるのが悪いような気がして
全裸になって姿見に向って恐る恐る乳房を絞り出し体をひねるようにしてみたり
乳首をつまんでみたりして思わぬ快感を得て罪のような意識を感じたりすることがある。

大邦先生が恋人を描くことを想像し、私もまた誰かに自分の裸身をさらしあるいは描かれることもありうると想像した。男の顔は想像できない。見られている自分をただ愛していた。私は私のワイエスが現れることを望んでいた。

私のワイエスは愛を知る人でなければならない。絵など描けなくてもいいが私の若き日もこれから歳を重ねていくときも超えて見つめ続けてほしかった。その網膜に私の裸身のすべてを称賛して焼き付けてほしかった。そしてできれば老婆になっても愛されていたい。

おそらく私は画家にはなれない。描画技術を理解し、実践したが、技術でどうにもならない絵画の難しさも知った。私の中に描きたい絵がない。大邦先生のような絵は描けない。
私は絵描きという人種を理解したくて絵を描いているといっていい。
誰かが見れば私の絵をうまいと評価するだろう。しかしうまい絵になんの意味もないことを理解した。心で求めて描いたものが閉じ込められているときに人は絵画の感動を共感するのだ。私はなにも求めていない。だからいまだに絵描きという人種を理解できた気がしない。
時が来れば私は得意な勉学で世間の評価の高い大学に行き、評価の高い会社で評価されて誰かのための仕事をするのだろう。
先生は入学当初の幼い私に見つめる愛というものが絵に描けるものだということを教えてくれた。そのとき私は少女でなく女になった。そして私は普通の男性を愛せなくなった。いずれ私は芸術家をおそらく画家を愛するのだと思う。

金曜に先生がクロッキー会に行っていることを知ったのは最近だった。
いつも10号(45×53cmの絵のサイズ)くらいの大きめのキャンバスバックをわきに抱えてた。意外にも学校のすぐ裏のボクシングジムの地下にそのような場所があった。

受付にここはどんなところか聞いた。絵を学ぶ人が裸婦を描いていく場所だと言っていた。今入って言った男性(先生)の生徒だと言ったら、あの人は教師なのかと驚かれた。先生は毎週くるそうだ。
ここのクロッキー会に来るのは画力が高い人が多いらしい。毎週違うモデルがくるのだそうだ。
紹介制だと書かれているが
私がここで描きたいと言えば女子学生だから構わないとすぐに許可がでた。
今は画材がないから来週と伝え会員登録をした。

石膏や風景、静物を描いていたがリアルに人物を描くのは初めてだ。
そして不思議と先生の人を描くところも作品も見たことがない。
私は次の週の金曜を心待ちにしていた。

翌週私は先生の隣にイーゼルを置いた。
モデルは40代だろうか?
成熟した体と愛らしい顔が魅力的で
コントラポスト(ひねり)の効いた魅力的なポーズを
作り出した。
10数人はいただろうか絵描きたちは一斉に「お願いします。」といって
その静寂の時間が訪れた。

絵の初心者はそのほとんどの描画時間を紙やキャンバスを見て過ごす
ここにいる絵描きはみなそのほとんどの時間をモデルを見ていた。
先生の鉛筆は即座に迷いなく紙面を走り、その線描の勢いが気持ちよかった
そしてその形はとても正確で、モデルの顔まで書き込んでいた。

私も真似してみた。モデルが魅力的で鉛筆を走らせるのは爽快な気分だ。
先生はとっくに水彩の色を作っている。カドミウムレモンとクリムゾンレーキで黄色と赤の中間の色を幅広く作り、少しウルトラマリンの青を入れていた。
レモンとマリンから作られる混色の緑は輝きを抑えた優しさで、モデルの背の影を作った。
先生は光を愛していらっしゃる。白い女性の肌に踊る光がこうも美しいのだと知った。

絵を描こうとすると私には20分や10分はとても短かすぎた。先生の横にいなければとても混色の色を作るまではいかなかったろう。しかし先生は存分に時間をいきいきと楽しまれているように見えた。モデルの乳房や尻を筆でなぜるときにまるで実際の肌に触れるように丁寧に筆をおいていた。スローモーションのビデオを見るように塗り残された水彩紙の白と淡い色のはだと奥まったところや乳房の下の陰が目に飛び込んできた。

先生のこれまでの孤独な絵は計算されつくしていたと思う。
しかし先生のクロッキーは短時間故見たままに描かれていた。
ある意味子供が遊ぶように描かれていた。
いままでとあまりにも違う光あふれる絵がとても魅力的だった。

休憩をいれて二時間半の会はあっという間に過ぎ去った。
モデルは衝立の向こうで素早く服を着て挨拶をして帰って行った
絵描きたちは丁寧に画材をしまっていた。
みなそれなりの画材をそろえ、この時間に何かをなそうとしているように見えた
無口な人たちに見える。油彩絵の具が薄くついて固まった汚れた椅子をもとの位置に戻し事務所にありがとうございましたと声をかけて彼らはめいめいに四ツ谷駅を目指していた。

二時間半は疲れた。あっという間だが8枚の絵を立て続けに描くとそれなりにエネルギーを使う。おそらくほかの絵かきも先生もそうだったとおもう。
でも私は先生と話したかった。やっと先生という絵描きを理解したような気がした。
カフェで話したいとかなり無理やりに引き留めた。

私は先生の絵が好きだと伝えたかった。
先生が裸婦を描くのを見て、私が大邦先生にとってのヘルガになれないか
それを強く思った。奥さんがいないことは知っている。恋人がいなければ
それを望んでるということが許されるかと思った。
会話の脈絡を無視するように私は聞きたかった言葉をぶつけた。
「先生はお付き合いされてる女性とかいらっしゃらないのですか?」

すこしの沈黙の後、先生は私の望んでない言葉を返した。
付き合ってる人がいないどころか自分が魅力がないからそれを想像もできないというような言葉だった。
お付き合いされてる人がいても私があなたのモデルになったら
描いてもらえないかと頼みたかったのだ。
それは先生がたとえ既婚者でも願ったことだろう。

私は最初から聞くべきだった質問というよりは願いを伝えた。
「先生。私を描いてみませんか?望むポーズがあれば何時間でもそのポーズをとります。」

私を描いてくれませんかと聞くべきだったかもしれない。先生に長時間望むポーズを描かせる人がいないとわかったから、私でよければというような気持ちになった。
「着衣でモデルという意味だよね?」
カフェの二階は私たち二人のほかに誰もいない。どうしても伝えたい言葉を伝えられた。
「いえ、私は裸婦モデルをしてみたいのです。」
先生は驚いていた。
「佐宗さん。教師と生徒なんだぞ。私たちは。君は未成年だ。さっきの絵を見てどう思ったかわからないが、女性の体をみて私は男性としての欲望のようなものを感じているかもしれない。。。という少し後ろめたい気持ちも完全には否定できない。
君の言うとおりだ。生き生きしてただろうと思う。心が躍るような気がする。」

「先生に描いてほしいんです。あの絵が10分や20分でなくもっと時間をかけて描けたらどんな絵だったろうと思います。初めて書いた私のレポートにあったヘルガとワイエスのように誰に見せるでもない絵ならいいのでないですか?一枚だけでも構いませんし、先生が望めば何枚でも描いてもらいたいんです。私はこのことを誰にも秘密にできます。先生のクロッキーは優しくて綺麗でした。あんな風に描かれてみたいんです。」

できれば何年も描いてほしい。・・・という言葉をつづけることはできなかった。
本当に恋人がいないなら、何年も描いてもらえれば教師と生徒という禁忌がとけたときに
私が恋人になれるのかもしれない。私の体はまだ子供のようだがそれも見つめたうえで成熟した体も見てほしいと思えてきた。私のワイエスは顔がなかったが、いま先生になった。

先生が迷っているのは手に取るように分かったが、意を決したようにこう言ってくれた。
「ありがとう。着衣なら、むしろ私からモデルをお願いしたいくらいだ。授業の取り組みもまじめで、絵画に興味持ってくれている美術部の生徒で正直に言えば、私は佐宗さんにずっと好感をもっていた。君の容姿は愛らしいと思う。教師としてプロであろうしてたことで君が尊敬できる人間でありたかった。これからもそうでありたい。しかし画家として佐宗さんのような少女を描いてみたいという気持ちは否定できない。君の絵を描かせてもらえれば私はもっと前進できる。」

本心だろうか、肌を描かないで先生の本当の描きたい絵になるのだろうか?
私が子供すぎて絵にならないと思うのだろうか?私はまだ少女だろうか?
先生は自分の絵に関心を寄せたから私がモデルになりたいと言ったと解釈したようだ。
私が彼のヌードクロッキーを見て彼が私の中で異性になったとは思っていない。
先生の欲望が私に向かうなら受け入れてみたいとすら思う。欲望があるから絵画に生命が宿る。
先生を束縛したいわけでもない。この一流の絵描きがいろんな女性を描きたいなら
思うままに描いてほしかったし、彼を愛する女性がいて彼とその人が求めあうなら求めあえばいい。

先生の自宅は板橋区の一軒家なのだそうだ。地代の安い都内で自宅に制作用のアトリエが欲しくてすこし無理をして買い、まだ長くローンが残っているのだそうだ。
一階はアトリエにと壁や扉を取り去ってただ真ん中の柱が構造上残っており
二階には生活空間があると。アトリエの隅にはキッチンもあり、画材が広がる空間に
来るはずのないモデルを置けるスタジオのようなつくりをして普段は静物や売り物の風景画を何枚か同時に制作しているのだそうだ。

ともあれ私は翌日先生の自宅に押し掛ける約束をとりつけた。
眠れぬ夜を目をつむり過ごした。
明けると早くから起きて薄い化粧をして板橋を目指した。
おしゃれにそこまで関心なかったが持っている服で一番清潔感のあるワンピースの服を選び、すこしのチークと薄い口紅・グロスを入れ、輝きすぎている唇を見ては布に擦り付けて落して派手になりすぎない範囲で自分を引き出していた。

先生の自宅はお世辞にも広いと言えないが綺麗に整っていた。
制作中の絵をすべて上にもっていったというが描き溜めたクロッキーを収めるスケッチブックが人の身長ほども積みあがっていた。
お願いをして見せてもらった。
本当にいろんな女性を見つめてきたのだと思った。

「先生、やはり裸の私を描いてください。」
ワンピースのジッパーを下ろして、ブラをつけていない私の乳房はむき出しになった。
ショーツと靴下を脱いだ全裸の私を目を丸くして先生は見つめていた。
私は元からそのつもりだった。

「佐宗さん。なにをしてるんだ。」
「先生こそいまさら何を言ってるんですか?
 着衣の女が描きたいのではないのでしょう?」
先生は目を落として、困惑してるようだった。
「私が子供すぎますか?見る価値もない?
 先生がモデルを欲望の目で見てるかもしれないと言ったとき
 私はそれでこそ絵が生きてくると思いました。
 好きなポーズを命じてください。」
「私は女性を知らないんだ。君の言う通り欲望を持っているが
 どこかで恐れている。触れてみたいと思いつつ触れたことのない
 女性の肌を遠くから憧れて見つめていた。
 …私はみすぼらしい芸術家とは全くかけ離れた遠い存在だ。」
「欲望でいいじゃないですが!服を着てすましてモデルにも画家にも感情があるのないのかわからない、そんな絵いりません。私はグラス・ドールじゃあないんです。」

先生の絵はどこまでも優しかった。それは触れてみたいという気持ちがにじんでいたのではないか?きっと先生が女性に触れるなら優しく触れるのだろう。
この画家とモデルの間の隔たる距離を縮めるために私は先生の手を体に触れさせたいと思った。先生が目を上げたときに私は鏡に向かってするように乳房を手で押し出して体にひねりを加えてみた。
「先生、触れてみてくれませんか?先を軽くつまんでくださるだけで構いません。
 そんなつまらない恐れがなくなってくださればと思います。」
私も男性を恐れていた。でも先生の言葉を聞いて自分も彼も異性を恐れる気持ちがなくなればと思った。
先生は憑かれたように目がうつろで、そして手を伸ばしてきて私の
堅くしこりとがっている乳首をつまんだ
「あっ。」
私は快感で身をよじった。自分でつまむのとは全く違う電撃のような感覚が襲ってきて体が止まっていられなかった。そして先生が飛びのくように身を引いた。
「気にしないでください。やはりもっとしっかりさわってください。」
 そのほうがお互いに恐れなくていい。先生は掌を丸くして私の乳房を覆うように触れて
目を閉じた。乳房はすぐに温かみを感じていた。たったの2−3秒のことかもしれないがとても長い時間に感じた。先生の目を閉じた表情が頬も口元もゆるまないのに和やかにみえてきた。

「先生、私を描いてください。油彩で時間をかけてだとうれしいです。」
「佐宗さん、ありがとう。描かせてください。綺麗です。」

先生は赤い布をアトリエの壁に貼り、
マットレスのようなものに白いシーツを引いて私に横たわるようなポーズを
指図した。

ポーズを15分ずつとり、シーツのところどころに足や腰の位置でマークに
ビニールテープを張った。今見えているところを壁にやはりビニールテープでマークし
同じところを同じ首の傾げ方で見てほしいと言った。
15分描いて、5分休みを繰り返し。昼に休憩して二人でキッチンでサラダとオムレツとサンドイッチをほおばった。
先生はだんだん笑うようになった。これまで笑顔をみたことがなかったようにおもった。
先生が愛おしく思えた。そして私を描く時は力強い目で私を見つめていた。
ありがとうをなんども繰り返す先生に私がお願いしたことですと返した。

私の絵は発表しないと先生は言った。私は好きにしてくれてかまわないでも一枚目のこの絵は私が所有したいと言った。すべて私の所有でいいと言った。私は二人で所有できたらいいと思ったが言葉にするのがはばかられた。
ほかの女性が描けるなら描いてほしいともいった。

ほかの人を今君を描いてるような気持ちでは描けないと思う。
それはどんな気持ちなの?
うまく言えない。
先生これから二人でいるときだけ理央と呼んでくださいませんか?
ありがとう。うれしい理央さん。君はきれいだ。
さんはいりません。
理央。君はきれいだ。
もう一度私の体に触れてみませんか?
いやもう十分だ。はじめて女性を恐れずに愛しいと思えた。もう一度言う「ありがとう」
もしも私を描き続けてくれるならうれしいです。
ああ、許されるならお願いします。
私の体に脂肪がまとわりついても描いてほしいのです。
理央、君の体の変化を見つめさせてくれるというのですね。許されるならお願いします。
さらにそれが失われ皴がよっても描き続けてくださったらうれしいのです
ああ、一生と言ってくれてるんですね。許されるならお願いします。

潮騒のように私の望む思いと先生の応えが繰り返された。
いつか私を抱いてほしいという言葉だけが言えなかった。

私の優しいワイエスはT大進学後も私を描き続けてくれて
やっと私を抱いた。
自分は不能だと言っていた。彼は触れ方がやさしい。
私は望んでいたものを手に入れたがさらに望むものが出てきた。
いずれ彼の子を授かりたいと伝えた。
結婚を望んでくれたが親に伝えるのが悩ましいのと彼を縛りたくない。
結婚はいらない。彼が私に愛を注いてくれてさえすれば彼は自由でいい。
私より美しい女がいれば描けばいいし、望まれて貴方が望むならその人も抱けばいい
私は就職したらすぐに彼を養えるだろう。教師などやめて画業に専念すればいい。
働くことは誰かのためだが、見えない社会の誰かのために稼ぎたいとは思わない。
だから籍をいれずとも彼を見守りたいと思っていた。

もし最後に望むことがあるとすれば私が皴だらけの体になっても
貴方だけのヘルガを神々しく描いて
あのフェザータッチで私の体に触れてくれればと願う。

ありがとう私の恋人よ。とこしえにあなたを愛しています。

(Fin)

コメント(17)

文章はぜったいわいせつじゃないと信じるので再アップします(ちょい誤字脱字も直した)

コメントくださったJONYさんありがとうございました。
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=6226350&id=100711878
こちらから続いてます
先生の葛藤と、少し小悪魔的な少女の純愛がいいですね。
全然わいせつじゃないと思いますよ。
ちなみに以下は最高裁のわいせつの判断基準です。
「文書のわいせつ性の判断にあたつては、当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法、右描写叙述の文書全体に占める比重、文書に表現された思想等と右描写叙述との関連性、文書の構成や展開、さらには芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、これらの観点から該文書を全体としてみたときに、主として、読者の好色的興味にうつたえるものと認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、それが『徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの』(前掲最高裁昭和32年3月13日大法廷判決参照)といえるか否かを決すべきである。」わいせつ文書販売被告事件 最高裁判所 昭和54年(あ)第998号 昭和55年11月28日 第二小法廷判決

「芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度」(笑い)

アートや哲学はエロを減殺する効果があるのですね。

いいことを見つけました。

照らし合わせてみると、このすてきな作品はわいせつじゃないですよね。
>>[3]

わー勇気持てました

さすがほんとのロイヤー
てかこれは純愛書いてるつもりなんです

女子高生が突然全裸になってるのにちょっとさわっただけで
描くことに専念してるというー


感想もありがとうございます
ちなみに最高裁のわいせつ文書規制を趣旨を私流に噛み砕いて言うと、すごくエッチな文章を読まされてコーフンしてしまい、そのコーフンした自分の獣性に、自分ってこんなにケモノだったんと自己嫌悪して、とってもブルーでブラックな気持ちにさせるような文書がけしからんということらしいです。

仕事のため、証拠の検討だとして、最高裁のおじいちゃん判事が一生懸命エロ本を読み、思わずコーフンしてしまい、このヤロー、この私をこんなにもコーフンさせて、自分の未熟さを自覚させるとはケシカランということですかね(笑い)。

ちなみにわいせつ取締の現場の捜査官は、山のように無修正モノを仕事で観ているとコーフンしなくなり、嫌気がさすそうです。つまり食傷気味というか胃もたれですね。

お仕事とは言え、わいせつ物を取り締まる現場の警察官や検事、裁判官の方々の身をていしての職務の遂行には頭が下がる思いです。
蛇足ですが、わいせつ文書については被害者の無い犯罪とも言われます。
そこで規制の趣旨を性道徳とかの社会規範にもってゆくと、戦前の軍国主義の風紀取締という名目による思想や自由の弾圧に直結するという反省から、戦後は、何かしら個人の権利侵害に結びつけて、個人を守るというロジックにする政策的思惑があると思っています。
そこで自分の獣性を鏡のように見せつけ、欲望を焚き付ける文書は、読んだ本人が困るからダメというロジックになるわけです。
でも、これには、読まない自由がある(何故嫌なものを自分から読むのか)とか、それを嫌とは思わず喜ぶ人が読んでいるんだからいいじゃないかという説得力ある反論があります。
そして全体として規制緩和傾向です。
現在では小説がわいせつということで、小説家が起訴されることはほぼありません。

ただし、子供の教育上の問題や(子供には見せないこと)、子供を題材にしたポルノは別問題です。
子供の福祉に反するものについては、より厳罰化しています。
ミクシイは、2009年より年齢制限を15歳に引き下げ。2009年春に招待制から登録制へとなり、18歳未満の未成年者が自由に閲覧できるため、ヌード等の画像については、上記の子供の教育上の問題から規制が厳しいものと思われます。性については開放的な外国でも、児童や未成年者の保護については逆に非常に法制的に日本よりも厳しいことから、そのような措置がとられていると考えます。



結論

大人が楽しむのは規制緩和→個人の自由

しかし、子供(18歳未満)が簡単にアクセスできるところにそれを置くことはNG

となります。
すみません、なんだか法律家か学校の先生みたいですね(笑)。

高等遊民のニートまがいのオタクの自分が、ガラにもなくイキって似つかわしくもないことを書いてしまいました。
>>[1]
前にしたコメントも作品と一緒にmixiに削除されたようですので、
コメントの骨子を再記しておきますね。
1 前半と後半で視点を変えた効果がでている。
2 アンドリュー・ワイエスという寂寥感あふれる写実画を描く画家と主人公の孤独さが上手くオーバーラップしている。
3 経験者の言葉の説得力(頭か心の中にあるそれを形にする それが絵を描くことだ など)
仕事おわらんー

あとでみなさんに返信を

ロイヤーさん
勉強になります

ジョニーさん
ありがとうごさいます
感想励みになります
ロイヤーさんありがとうございます
わいせつは受け取り側の問題ですね・・・と僕は思います^^

きよのに高校生がくるはずないのに・・・・
見えてしまうけど・・・高校生がわいせつをもとめたらほかをよほどみるでしょうに・・・・
ああ・・・やっぱり納得いかない・・・あるいはJONYさん(orみけねこさん?)
表現の自由をまもるためにこのコミュをアダルトコミュ指定したらこの問題はなくなるのか・・・?

僕が裸の絵をあげなきゃいいのか^^ 
子供に見えるからと言われ納得したけど そうはいってもここまで反応しなくてもな
というのと ひっかかったとき 文章なのか絵なのかなにも教えてくれませんでした・・・

裁判の基準はよくわかりました 人間が判断しててそらそうなんですが
その時代の社会通念で・・・というのがちょっと気になったかな・・・

阿部定が今裁かれたら、情状酌量で死刑にならないと思う。
下手すると執行猶予でヒロインになれるかも

僕のも100年前ならどエロだろうな・・・とか
法は文になると意味が定義されるはずなのに(成文法であっても)
運用は生き物だと思います。

そんなこと考えました

ジョニーさん 書いていただいてたことそのまんまに近い言葉とてもうれしいです
モノを書くという意味では自分の経験してない楽器演奏などで書こうかとも思いましたが
細かいリアリティが欲しかったのでやっぱ絵にしました・・・

無駄金100万はつっこんだせいか、いちいちリアルに思い出せます^^書きやすかった
(逆にうざいかと思ったけど・・・)

ありがとうございました 励みになりました
ちなみにワイエスは風景でとくに黒い色の深みがすごい
明るい感じの絵はあまり描きませんが明るさの幅が広くて、ほんのちょっと草や木の細かい光が飛んでいて
寂寥感があるのかなと思ってます
ちょうどジョニーさんが載せてくれてる絵とかです
黒い部分は絵の印象をサブリミナルに作ると思う
色を抜いても黒いところはすぐに人の脳を刺激するから
意識的に絵を作ってる人だったと思います。
テンペラ画と彼の明暗の範囲がよく合う

ヘルガのヌードはすこし明るい気がして、
あまり見せないときめるとこんな絵も描くんだと思いました。
ここに載せて削除されたくないので引用はやめときますが^^
前後編脱稿おつですー!
これまでの流れと違う角度から。

本番に至っていないにも関わらずスリリングな展開に息を呑みました。
「このあと、どうもつれてどんでん返しかハッピーエンドでも何かいわく付きになるんじゃないか?」なんて密かに愉しんでニヤけたり…🤭危険・警告

ワイエスとヘルガのことは詳しく知らなかったので、勉強させていただきました。それにしても常人には解りがたい深みを湛えた間柄だったようで……
後々の二人の関係についても、あまり無理はなくキレイな形で纏められていて見事です。
少なくとも、わいせつには属さない作品と言える仕上がりと見受けました。

………キリトリセン美容院………

先生所有の戸建ての最寄り駅、どこなんだろう目?気になりました。
>>[15]

感想有難うございます
一応長い中本番したって書いてはあるんですが
この間J氏に「エロいのばっか書いてるよ」と言われ
エロくないけど、官能を揺さぶられるようなもの狙いました・・・
(エロか結局^^)

いろんな絵で話出したかったのだけど
知らない画家がたくさん出てきても読みづらいよなと
ワイエスネタに閉じ込めました・・・ 

常人にわかりがたい深み=今風に言えば密会愛で当たり前^^??

わいせつじゃない=ありがとうございます¥ うれしいです。

先生の戸建・・・どこかな 板橋本町@都営線 あたりにまだなんとか二階建ての一軒家をしがない美術教師の買える家があってもよさそうな^^・・・

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