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西岡の雑誌図書館コミュの「ゴア元副大統領と『原発利権』」(週刊朝日・2008年8月15日号22〜26ページ)その1

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 めぼしい成果がなかったと酷評された7月の洞爺湖サミットが「原発推進」をこれまでになく明確に打ち出し、前進させたことはあまり知られていない。
 地球温暖化問題を話し合った主要8カ国の首脳たちは、温暖化の”犯人”である二酸化炭素(CO2)を出さない原子力発電を評価し、途上国などの「原発」導入の基盤整備を支援する「国際イニシャチブ」を始めることで合意した。世界は「原発推進」に大きく舵を切ったのだ。
 悲惨な事故の経験を踏まえ、欧米諸国ではつい数年前まで「脱原発」を進めてきた。
 米国では、スリーマイル島原子力発電所の放射能漏れ事故が起きた1979年以降、約30年も新規の原発建設は止まっていた。しかし、「エコエネルギー」として原発の再評価が進み、昨年から新たな建設計画が進められ、現在30基以上の原発建設計画が持ち上がっている。
 
(中略)

 猛烈な勢いで進む原発建設ラッシュに、色めき立つのは原発メーカーだ。
「メーカーは目の色を変えて、受注合戦を繰り広げています。これまで市場が冷え切っていた原子力業界にとって、地球温暖化問題は神風のとうなものです」(日本の原子力業界関係者)
 そして、この流れをつくった”功労者”こそ、元米副大統領のアル・ゴア氏(60)だというのである。
 地球温暖化の問題や温暖化ガス削減の必要性は以前から指摘されていたが、
「ゴア氏の『不都合な真実』が反原発のムードを変えました」
 と語るのは、地球温暖化に懐疑的な立場をとる伊藤公起・横浜国立大学大学院教授だ。
 「不都合な真実」は、温暖化による環境変化に警鐘を鳴らすゴア氏の活動を記録したドキュメンタリー映画だ。このままCO2増加を放置すると、温暖化で海面が上昇し、多くの人が家を失うなどといった衝撃的な内容が反響を呼び、世界中で大ヒットした。同名の著書もベストセラーになった。
 伊藤教授は言う。
「温暖化を防ぐために数十年という時間をかけるのであれば、(石油など)化石燃料の代替エネルギーとして風力発電や太陽光発電で十分対応できる。でも、ゴア氏は映画や著書で必要以上に危機感を煽(あお)り、急速に化石燃料から別のエネルギーに切り替える必要性を訴えた。そうなると、原子力に頼らざるを得なくなる」
 CO2を出さないからといって、原発はけっして「地球に優しい」エネルギーとはいえないだろう。大量の放射性核廃棄物による環境汚染の危険があり、処分場不足の問題も引き起こしている。事故を起こせば、被害は計り知れない。チェルノブイリ事故では多数の死者が出ただけでなく、放射能汚染によって、甲状腺がんなどの被害が広範囲に広がった。日本でも、美浜原発事故などで死傷者が出ているし、地震への耐震性も疑問視されている。
『環境問題はあんぜウソがまかり通るのか』などの著書がある武田邦彦・中部大学教授も、こう指摘する。
「原発は、CO2が出ない”クリーンエネルギー”として再評価された。結果的に、ゴア氏が唱える地球温暖化論が、原子力産業の背中を押したということは、状況から見て、否定できないでしょう」
 ところが、「不都合な真実」の中では、米国の発電量の約2割を占める原発については、不自然に思えるほど触れられていない。
 では、ゴア氏は、原発に対してどんな考えを持っているのか。
 00年11月、当時民主党の大統領候補だったゴア氏は、反核団体に寄せた書簡で、
「原子力エネルギーは環境に悪影響を与えない」との主張を否定し、明確に反原発の立場だった。
 その後も「原子力は地球温暖化の解決策にはならない」などと発言することはあったが、徐々に態度を軟化させる。07年3月の米連邦議会では、「原発には反対しない」と約束。今年7月の講演でも、「原発は現行水準を維持」と容認の姿勢を明確にした。
 環境派のゴア氏が原発容認ということを不思議に思うかもしれない。だが、実はゴア氏には、こんな過去があったのだ。
 ゴア氏が76年に米国下院選挙へ名乗りを上げ、テネシー州中部の民主党予備選挙に勝利したころのこと。
<8月の予備選挙のあと、宣誓就任も翌1月まで待たなくてはならなかったにもかかわらず、私は下院議会での自分の進路を描き始めた。私が最初にやったことは、オークリッジ国立研究所へ出かけて、数日間エネルギーと環境に関する最新の研究に浸りきることだった>(『不都合な真実』から)
 オークリッジ国立研究所とは、第2次世界大戦中の1943年、日本に投下された原子爆弾を製造する「マンハッタン計画」のために設立された原子力研究の重要拠点だ。
 70年代後半に同研究所を訪ねた経験がある、前出の武田教授はこう話す。
「オークリッジは、核兵器の研究だけではなく、原発向けの濃縮ウランの生産や研究が可能な施設で、いわば原発のメッカです」
 原爆の研究もしたこの研究所に、ゴア氏はその後も出入りを続けた。
 AP通信によれば、ゴア氏の地球温暖化に関する分析や気候変動のシミュレーションを提供した研究機関のひとつが、このオークリッジ国立研究所だったというのである。
「オークリッジに出入りが許されていた政治家が、反原発とは考えられません。つまり、ゴア氏は、早くから親原発派だったといえるでしょう」(武田教授)
 それだけではない。もともと、ゴア一族は原子力産業とゆかりが深い。
 ゴア氏の父親である故アル・ゴア・シニア氏は、上下院議員を32間務め、上下院原子力合同委員会のメンバーでもあった。
 政界引退後、ビジネス界に転じ、「オクシデンタル石油」で上級副社長を務めた。オクシデンタル石油は、米国の大手石油発掘会社で、冷戦下の米ソ両国で暗躍した大物フィクサーである故アーマンド・ハマー氏が率いた企業だ。ハマー氏は自伝で、ゴア父子を友人と呼び、ゴア・シニア氏にケネディ大統領(当時)を紹介されたと厚い親交を書き残している。
 このオクシデンタル石油のグループ会社「オクシデンタル・ミネラルズ」がニューメキシコ州でウラン鉱山を所有していた。

(中略)

 そもそもCO2温暖化主犯説は、88年に米上院公聴会で大気学者のジェームズ・ハンセン博士が、
「地球温暖化は化石燃料の大量消費が原因だ」
 と発言したことで注目を集めるようになった。
 この証言を裏付けたのが、国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」が90年に発表した第1次評価報告書だ。地球温暖化問題を扱うあらゆる本に、このことは明記されている。
 IPCCは、いまや地球温暖化問題の最高権威といえ、07年にはゴア氏とノーベル平和賞を共同受賞している。
 実は、そのIPCC議長のラジェンドラ・バチャウリ氏(67)も、原発推進派なのだ。昨年4月には日本原子力産業協会の年次大会にわざわざ来日し、講演も予定していたほど(実際には飛行機の都合で間に合わず、ビデオ講演になった)。
「バチャウリさんは大の原発好きで知られています」(同協会関係者)
 同年5月にまとめられた第4次評価報告書では、初めて、温暖化対策の解決策として原発が盛り込まれた。
 さらに、こんな話もある。ゴア氏は、政界を離れた後の04年、ロンドンに環境ファンド「ジェネレーション・インベストメント・マネジメント」(GIM)を設立し、会長に就任した。ファンドの目的は温暖化問題に積極的に取り組む企業への投資だ。今年3月時点で調達資金は50億ドルに達している。
 米証券取引委員会(SEC)に提出された株式保有報告書(08年3月31日時点)をみると、GIMの主な投資先に、世界的な企業体「ゼネラル・エレクトリック」(GE、本社・米コネティカット州)があった。GIMは時価総額で4711万4千ドル分のGE株を保有している。これは日本円で約50億円に相当する。
 GEは、金融やエネルギーなど、さまざまな事業を展開する複合企業体だが、世界有数の原発メーカーとしても知られる。日本では福島第一原発や柏崎刈羽原発などを受注し、07年7月には、日立と原子力部門を統合した。地球温暖化に伴う原発建設ラッシュで潤う企業の一つである。
 GEのジェフリー・R・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO=52)はニューヨークで行われた記者会見で、こう話している。
「(温室効果ガスの排出削減を行うには)原子力の推進がなくては不可能である」
 昨年11月30日付「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューでは、原発事業への大きな期待を表明し、次のように話している。
「原子力発電は好調な分野で、今後もかなりの成長が見込めます。”ビッグ”な事業家”非常にビッグ”な事業になるでしょう。GEは4億=5億ドルを原子力発電の新技術に投資しています。原発部門の売上高は今、年間約10億ドルですが、今後5年から10年で5倍に膨らむでしょう」
 そのGEとイメルト氏を、ゴア氏は持ち上げている。
<幸いなことに、私たちを正しい方向に導き始めている米国企業の経営幹部が増えつつある。たとえば、GE社(略)のCEOであるジェフリー・イメルトは、(略)このように説明した。「私たちは、”環境に優しいことはお金にもなる”と考えている。環境面の改善が、経済面の利潤にもつながる時代なのだ」)(『不都合な真実』)から)
 ゴア氏の投資先であるGEは、環境がお金になる”理想”の企業なのである。

(中略)

 本誌は、米テネシー州ナッシュビルにあるゴア氏の事務所に取材を申し入れた。だが、期限を再三延長したにもかかわらず、結局、回答はなかった。
 ゴア氏が自らの”不都合な真実”について、雄弁に語る日は来るのか。

(参考サイト)
https://oilpeak.exblog.jp/9286655/?fbclid=IwAR14siQuQMbnFHNa8oi318_5OK2shT-V9ojOdR7uAgpJ0sp4Y9brVQM5n84


(金子哲士・柳澤大樹「ゴア元副大統領と『原発利権』/地球温暖化問題、CO2削減は原発推進の口実なのか・・・」(週刊朝日・2008年8月15日号22〜26ページ)より)
https://www.amazon.co.jp/%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%9C%9D%E6%97%A52008%E5%B9%B48%E6%9C%8815%E6%97%A5%E5%8F%B7-%E8%A1%A8%E7%B4%99%EF%BC%9A%E9%BB%92%E7%80%AC%E7%9C%9F%E5%A5%88%E7%BE%8E-%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E4%B8%80%E8%87%A3/dp/B012CDDSVA/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%9C%9D%E6%97%A5+%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%98+%EF%BC%98+%EF%BC%91%EF%BC%95&qid=1616464037&sr=8-1
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