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テニプリファンタジー小説コミュの(第39章)(後篇)(テニプリファンタジー)「雷の精霊へ」

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そして、その晩、丁度雷雲が発生しており、行くにはベストな天気だった。
侑士はペガサスを呼び出し、菊丸をその背中に乗せる。
「ほんとに大丈夫?」
「心配せんでええて。お前も雷を持っとる。だから、ある場所は特定できるはずや」
「それじゃ、忍足。後は頼むぞ」
「ああ。そっちも気をつけてな」

こうして一行は雷の神殿を探しに、空へ舞い上がった。
雷の運び屋でもあったペガサスは、キョロキョロしながら探し、雲の匂いを嗅いで、神殿の場所を探した。

そして、見つけたのか、一気に加速する。

一つの大きな雲の前でとまると、
「ヒヒ〜ン!!」
と大きくいなないた。

すると、雲が扉のようになり、
「ギー」と音と立てて内側に開いた。
「ここか。皆、気合いを入れて行くぞ!」
「おう!」
皆は扉に吸い込まれるように入ると、そこは奇妙な場所で、何からかにまで電気で動いている、まさに雷の神殿だった。
「ここか。さて、まずは、クリスタルを探さねえとな」
「クリスタル?」
「菊丸の問いに、鳳が答えた。
「精霊になるには、そのクリスタルに触れて、契約しないといけないんですよ。まずはそれを見つけましょう」
「うん!」

こうして、全員は、クリスタルを探し始めた。
ここの仕掛けはほぼ電気で動いているため、電気の切り替えや、電源の上げ下げが大変だったが、それも慣れてしまえば、どうという

事はない。

だが、これで終わりではなかった。

迷路のような場所を歩いていると、突然目の前から、電気を帯びた蜘蛛がこちらに近づいてきた。

明らかに、こちらを敵と認識している。
「やれやれ。やっぱいやがったか」
「んじゃ、遠慮なく」
と、リョーマは遠慮なしにその蜘蛛を黒コゲにした。
「ほ、ホントに容赦ないですね」
と、鳳が呆れ口調で言うと、今度はいきなり、菊丸がクレーンの様な物に捕まった。
「うわ〜!!!」
「菊丸さん!」
「うわ〜!!な、何これ・・・!!」
クレーンかから電気を流され、菊丸は驚いて、最大パワーでスパークを起こし、逆にクレーンを壊してしまった。

彼が落ちて来るのを、弦一郎が受け止めた。
「大丈夫か?」
「ハア、ハア、ハア、ハア・・・・」
相当怖かったのか、まだスパークを出しながら、震えている。
「大丈夫だ。お前は電気タイプだ。よくやったぞ。菊丸」
「お、俺・・・自分で、出来たの?」
「ああそうだ。だからそんなに怖がらなくても良い」
弦一郎の言葉で、菊丸は安心し、立ち上がろうとするが、なかなか思うようにいかず、結局クオーに乗せてもらう事になってしまった。
「ごめんね。なんだか俺、脚引っ張ってばかりで・・・」
「それは人工精霊のせいですよ。菊丸さんなら、必ず、雷の精霊になれますって」
「鳳・・・ありがとう・・・あれ? 何か聞こえる・・・」
「何?」
「何も聞こえないっスよ」
「いや、聞こえるんだ・・・・こっちだ」
クオーがそちらに向かうと、皆も後に続く。

だが、その先には、雷の壁があった。
「え〜と発生源は、あれだ」
「破滅へのロンド!」
「侵略する事火のごとく!」
「一球入魂!」
「ハア!」
「いっけー!」
皆の打球が、電源を壊すと、先に進める様になった。
「よし、次だ」
「うん!」

皆がどんどんどんどん先に進むと、菊丸の体が光りだす。
「あ、ああ・・・・よ、呼んでる・・・うわ! また心臓が・・・ああ」
「ドックン、ドックン」
心臓が何かに反応したかのように暴れ、菊丸を苦しめる。
「おい! 見せてみろ!」
ブン太が胸に手を当てると、ヒーリングを流した。
すると、じょじょに落ち着き、発作が治まった。
「ハア、ハア、ハア」
「大丈夫か?」
「う、うん。でも、何か聞こえる。行かなきゃ」
「お、おい!」
菊丸はクオーから降りると、突然何かを感じたかのように走り出した。

しかも、雷の力が宿った足だ。

こうなっては誰も追いつけない。
「ちょ、ちょっと、一人で行くと危ないよ〜」
と、皆が後を追うが、壁がスライドして、別の道へと誘導された。

なんとそこには、ヴェロキラプトルがかなりの群れで集まっている。

そして、彼らがこちらに気づくと、ものすごい勢いで、襲いかかって来た。
「こんな仕掛けがあったとはな。行くぞ!」
跡部は地面を凍らせ、ラプトルを滑らせようと考えたが、鋭い爪を持つ彼らは、それを器用使ってとまり、こちらを正確に追ってくる。
「クオー!」
「クオー!!」
強烈な火炎放射にはたまらず、ラプトル達も逃げだす。

だが、それで終わりではなかった。
真田がレバーを見つけ、上げて見ると、道がせりあがり、次のダンジョンに進めた。
「へえ〜。なんかゲームみたいで面白そうじゃん」
「なんとかして、早く菊丸さんに追いつかないと」
「あの野郎の事だ。またムリでもして、発作を起こされたら、かなわねえからな」
「リース。菊丸さんの位置を、教えてください」
鳳とリースが一つになると、菊丸の場所を示す線が現れた。
「こっちです!」
「よし!」
皆が菊丸の元へ向かっているころ、菊丸は、導かれるように、黄色く光るスパークを発生させている、クリスタルの前にいた。
「これが・・・これで、皆を」
「ちょ〜とまった!」
と、上から女性の声が聞こえ、菊丸は一歩引いた。

すると、頭上から、エルフが現れ、菊丸の前に着地した。

それは、自分と同じ目を持つ、白い女性のエルフで、黒いドレスを着ていた。
「俺と同じ・・・」
「え?」
菊丸がカラコンを外すと、眼を見せた。
「あら。あなたも仲間なのね・・・」
「人工的に、こうされたんだ。でも、俺は、本当の精霊になりたい」
「あらどうして? あなた既に力を持ってるじゃない」
「ち、違うんだ。これは、改造されちゃってこうなっちゃったんだ。それで、アクロバティックもできなくなっちゃって。だから、その力を取り

戻す為にも、精霊の力が必要なんだよ」
「フ〜ン。あんたテニスやってたんだ」
「うん」
「だったら、私とバトルしない?」
「え? でも」
「いいからいいから。あんたの力ってのを見せてごらんなさい。それによっては、雷の力をあげてもよくてよ」
「わかりました。あ、そう言えば、君は誰?」
「あらいけない。自己紹介がまだだったわね。私はライティアよ。あなたは?」
「菊丸英二だよ」
「菊丸君か。かわいいわね」
「え?そ、そんな事、ないよ」
「ウフフ。照れない照れない。さ、始めましょ。そっちからどうぞ」
「それじゃあ。えい!」
「ハア!」
ライティアは超高速打球を打ち返してきた。
「は、早い!」
「アハハ。当然よ。私は雷の精霊になる資格があるかどうか、試すのがし・ご・と。だからあなたが勝てばいいのよ」
「勝てば・・・できるのかな?俺に・・・」
彼はそんな不安を抱えながら、ゲームをするしかなかった。

一方跡部達の方は、巨大なトカゲと戦っていた。

線は怪物の後ろを刺してる。

つまり、こいつを倒さなければ、先へは進めない。
「ギャオオオオオ!!!!」
凄まじい咆哮と共に、跡部の行く手を阻み、邪魔をしようとする。
「急がないと、菊丸さんが」
「だが、こいつをどかさねえ限り、前へは行けそうにないぜ」
「丸井さん。あのヒーリングって、どのくらい持つんですか?」
「何事もなきゃいいが、人工的に改造されまくってて、検討がつかねえ」
「こうなったら。皆離れて!」
慈郎は杖を持ち、電気を杖に集中させる。

だが、怪物の方は、そうはさせじと、火炎放射を飛ばし、それをリョーマが受け止めた。
「越前!」
「大丈夫っすよ。必殺もらい火。相手から受けた炎を、倍返しできる技ッス」
「すげえC〜」
「そんな事より、技を出すのに集中してくださいよ。芥川さん」
「OK!いっくよ〜!サンダーグレイトー!!」
「ハア!!」
慈郎とリョーマの攻撃で、ついに怪物は倒れた。
「やったC〜・・・zzzz」
「おわ! ちょっと。空中でいきなり寝ないで下さいよ! てか、なんか重くなってないッスか?」
「たく、技出しておいて、いきなり寝るか?普通」
「まあ、天の力は、結構エネルギーの消費が激しいですからね。ハハ」
と、鳳が苦笑すると、今度はその怪物の子供らしき物が出てきた。
「てか、まだいるみたいですよ。ちっこいけど」
だが、今度のは、さっきよりもっと厄介だだった。

なんと今度のは、もらい火特性があり、かなりの高速で動きまわり、相手が多いというハンデがあった。
「マジ? てか、これじゃあ炎が使えないじゃん」
越前が困っていると、跡部が前に進み出て、一気に最大パワーのアブソリュートをぶつけた。

これには、さすがの怪物の子供も手足が出る間がなく、一気にやられてしまった。
「はや〜跡部さん流石ッスね」
「要するに、敵に隙を与えなきゃいいだけの話だ。アブリュートをタンホイザー使ったからな。
「なるほど。技を高速で出す為に、テニスを利用したんスね」
「物は使いようという事か」
「ま、そういう事だ。行くぞ!」
皆が跡部に続くと、ようやく扉の前に着いた。
「この中です。あれ? 鍵が・・・」
「あ、鳳さん。あそこ」
リョーマの言葉に、皆がそちらを見ると、その扉の上には、窓があった。
「あそこから入れるんじゃないっスか?」
「よし、俺が行って見る。入れそうなら、合図をするから、それに従ってついて来い」
跡部はそう言うと、ふわりと浮かび、窓の処まで、一気に飛びあがった。

中を覗いてみると、

ライティアと菊丸が戦っているのだが、菊丸のほうは、ついて行くだけでもやっとと言った感じだった。
「あいつ!おい上がって来い! 菊丸の奴、試合してやがるぜ!」
「ええ!!」
皆が急いで来てみると、そこから試合の様子が見えた。

試合は、ほとんど互角と言っていいのだが、菊丸の方は、既に発作を起こし、それに耐えながら戦っていた。
「ハア、ハア、ハア、ハア・・・う、うぐ・・・だ、だめだ・・・倒れちゃ・・・クリスタルはすぐそこなんだ。なんとかしなきゃ・・・う!」
「発作が起きているようね。もう諦めたら、そんな体で戦ったって、私も面白くないわ」
「い、いやだ!う・・・・皆・・・俺の為に・・・ここまで来てくれたんだ・・・それなのに・・・・俺は・・・俺が・・・精霊にならなくちゃ・・・駄目な

んだ・・・だ、だから・・・絶対に、俺は、君に・・・勝ちたい!」
その菊丸の強い意志が発作を止め、更に力を与えた。

体は光り輝き、力がみなぎってくる。
今までにないくらい。
「この子、さっきまでと違う。この子の意思が、人工精霊に勝ったて事?ならいいわ。思いっきり遊んであげる」
「菊丸ビーム!」
「さっきまでと動きが違う。何かが、彼に力を送ってる? まさか・・・この子本当に」
「菊丸ーバズーカ!」
「菊丸さん。さっきより動きが良くなってる」
「それだけじゃねえ。今までできなかったアクロバティックを使いこなしてる」
「何故、このような力が奴に」
「恐らく、彼は、皆が自分にしてくれた恩返しがしたいと思ったのでしょう」
「じゃあ、それが引き金に?」
「ええ。ですが、この状態は、逆に危険かもしれません」
「え?」
「どういう事だ?」
弦一郎の言葉に、ブン太が説明する。
「恐らく、今は無我の境地を発動させているのと同じ状態なんだ。だから、それが切れると、今度は発作で、本当に死んじまう」
「そ、そんな」

そして、勝敗は決した。

ライティアは負けを認めると、クリスタルまでの道をかけた。

だが、とうの菊丸は、突然倒れた。
「菊丸さん!」
皆が菊丸の元に駆け寄り、ブン太が胸に触れると、
「トク・・・トク・・・」
と、小さな音しか聞こえない。
「やべえ。このままじゃ、こいつ本当に死ぬぞ!待ってろ。今助けてやっからな」
ブン太は急いで回復させ、鳳も、風の力でブン太をサポートする。

そして、しばらくすると、菊丸はようやく目を開けた。
「う・・・あ・・・み、皆・・・」
「良かった。気がついた」
「大丈夫か?」
「俺、どうしちゃったの?」
「覚えて無いんですか?」
「途中から、俺、必死でやってたから・・・」
「まあ、それは後にして、とっとと契約を果たして来い」
「あ・・・うん!」
菊丸がクリスタルに触れると、彼はそのままクリスタルの中へ吸い込まれ、クリスタルから、
「キーン、キーン」
と、甲高い音を立てながら、回っている。

そして、光り輝くと、中から出てきた菊丸は、黄色いローブに身を包み、手には黄色い宝石の付いた杖を持った格好で出て来るが、肌

の色はそのままだった。

彼は、少し歩いてくると、橋の真ん中でぐらりと傾いた。
「危ない!」
鳳は飛び出すと、すぐに菊丸を抱き上げ、皆の所に戻った。
成功か失敗か、皆が不安になっていると、菊丸の姿が、元に戻った。

すると、肌の色が普通になり、眼をあけると、カラコンをしていないはずの菊丸の目が普通に戻っていた。
「成功の様だな」
「良かったC〜」
「って芥川。貴様こんな時だけ起きるな!」
「大丈夫ですか?」
「うん。少し、クラクラするけど・・・」
「とりあえず、用事は済んだ。こっからとっととおさらばしようぜ」
「そうですね。菊丸さんも、ここじゃ、休めないでしょうし」
「世話になったな」
「いや。私がその者の心に負けたのだ。あの状態で、私に勝つなんてありえないと思った。だが、彼はそれをやってのけた」
「ライ・・・ティア・・・あ、あれ・・・なんだか・・・力が・・・入らない」
「力を使いすぎたんだ。いいから。お前は寝てろ。俺達が連れて帰ってやるからよ」
「その必要はない」
「何?」
「私がお前達を、地上へ送ろう」
と、ライティアは、魔法陣を出現させた。
「これに乗れ、そうすれば、地上のお前達の行くべき場所に着く」
「恩にきるぜ」
と、皆がその魔法陣に乗ると、合宿所の玄関の中に着いた。
「丁度いい場所についたな」
「早く菊丸さんを、医務室に連れて行きましょう」
「そうッスね。ちょっと心配だし」
皆はそれぞれ靴を履きかえると、菊丸を医務室に運んだ。

医務室では、既に侑士が待機していた。
「おかえり」
「忍足、待ってたの?」
「一応必要そうな部品は集めといたで。あれ?肌の色、戻っとるやん。それに耳も」
「これで、日常生活には不都合はねえ。しばらく休ませる」
「それで、契約は?」
「無事に済んだッスよ」
「あとあと、ちゃんと、菊丸、アクロバットできるようになってたC〜」
「彼の気持ちが、敵を退けたのだ」
「これで、もう心配はないそうです」
「けど、念の為、検査はした方がええやろな」
「そうだな。こいつも、今日は疲れてるだろうし、寝かしておくか」
「それでは、後は我々の仕事だね」
「お願いするわ。先生」
「任せておきなさい。さ、君達は、明日も練習があるんだろう?部屋に帰りなさい」
「ほな、俺らはいこか」
「ですね」

そして、皆が出ていくと、菊丸は夢を見ていた。
跡部達が、自分を助けてくれた事、自分の身を案じてくれた事、全て覚えていた。
「う〜ん・・・みんな・・・ありがとう・・・ムニャ〜」

そんな折、この事を見ている、老人と、大きな獣がいた。
「フフフ。ワシの最高傑作を精霊に変えたつもりじゃろうが、ワシの術は、まだまだあんな物ではないわ。菊丸を失ったのは惜しいが、
こうなったら、ワシの全精力を見せてやるわ!」
「今度こそ、奴らを落とせ!いいな」
「言われんでもわかっとるわ!」

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