石坂団十郎コミュのエルガー・チェロ協奏曲

管理人のこくぶんです。ご無沙汰しています。

管理人でありながら、あまりこのコミュを盛り上げるのが得意でなく、申し訳ありません。メンバー数は増えたり減ったりを繰り返しつつ、わずかずつ増えているように思いますが、個人的には人数を増やすことを目的、または重要課題とは考えておりませんので、どうか御理解をいただきたくお願い致します。

さて、10月19日はあの女流チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの命日でしたね。彼女の演奏と言えば、思い浮かぶのはエルガーのチェロ協奏曲なのではないでしょうか。

昨年の団十郎君の来日公演で、彼がこの曲を NHK 交響楽団と共演したと思います。実はそれが放送された番組の録画が、今年の始めに実家から送られて来ていました。中身は番組全体を録画したものでしたが、その時私は団十郎君の演奏が聴ければそれで良かったので、ビデオを早送りして、直接エルガーを観ました。

あれ？っと首をかしげたのは、彼がヴィブラートもほとんどかけず、演奏に彼らしい情熱が感じられないように思われたことです。デュ・プレのエルガーも非常に情熱的なイメージがありましたし、以前ドボルザークを共演した時の彼のイメージも、もっと情熱的だったと思いましたので、この録画での彼の演奏がどうにも腑に落ちませんでした。

番組を最初から観てみると、この指揮者が古典奏法を貫く人であることがわかり、納得が行きました。このヴィブラートをかけずに演奏する古典奏法は随分昔からあり、特にバッハなどを当時の古楽器で演奏する際も用いられますよね。

ところが私はそのバッハの作品ですら、古典奏法は演奏するのも聴くのもあまり好きではない方なんです。学生時代、オリジナル楽器によるブランデンブルク協奏曲全集を初めて買い、聴いた時には、感動よりもむしろ不気味さを感じてしまい、その時以来、慣れようとも思いましたが未だにどうしても馴染めずにいます。あ、もちろんこの奏法自体は、否定も軽視もしていません。

私も仕事で古典奏法でベートーヴェンやモーツァルト、ブルックナーなどをこれまで弾いています。感想として、どうやらヴィブラートで感情を表現出来ない分、非常に洗練された細かいフレージングや、右手の弓による表現がよりいっそう要求されるように感じられ、結果としてヴィブラート奏法に比べ、普段使わない神経を使わされるためか、かなり疲労するように思います。

さて、この古典奏法をエルガーのチェロ協奏曲で、ソロパートにまで要求するのが正しいのかどうか、これは非常に意見の分かれるところだと思います。正直に言わせていただくならば、個人的にはやや無茶なように感じました。エルガーがヴィブラートをかけずに演奏することを想定して作曲したようにも思えないんですよね。まあ、その辺は今エルガーに電話で聞くわけにも行かないので、あくまで指揮者の解釈に任せるしかありませんが、少なくとも観ていてもかなり歯がゆく思われ、残念ながら全く感動を覚えませんでした。

ただ、画質や音質も最良とは言えない録画だったので、生で聴いたりなどした場合はまた全然印象も違って来るのでしょうね。その辺りは実際に聴きに行かれた方の感想なども聞ければ面白いのではないかと思います。

多分古典奏法を貫くには、その指揮者にかなりカリスマ的な要素がないと駄目のような気がします。更に、その要求に演奏者がどこまで応えられるかなども、そう易しくない課題なのではないかと思っています。

団十郎君はどんな気持ちで弾いたんでしょうね。まあ、彼はチェロをこよなく愛する超一流のプロなので、楽しんでやれたのかも知れませんね。

コメント(3)

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[1] mixiユーザー 10月29日 08:37

ヴィブラートの演奏を聴き慣れている方には拍子抜けした演奏に聴こえたかもしれません。団十郎さん本人もサー・ロジャー・ノリントンと共演ということでずいぶん練習したようです。右手の弓遣いに関して、すごく勉強になったと話していました。

[2] mixiユーザー 02月25日 14:11

ボクはこの時の演奏で、石坂団十郎さんが好きになりました。

[3] mixiユーザー 03月02日 05:58

私も出来れば生で聴いてみたかったです。録画でしかもノン・ヴィブラートということで、caro さんのおっしゃるように、拍子抜けしたというのが正直のところでした。

でも確かにヴィブラートをかけないとなると右手で音楽をやるしかないですよね。具体的に弓遣いのどんなところに気を配ったのかなどは、彼本人から話を伺ってみないとわかりませんが、その努力はちゃんと報われたようですね。

何にしてもそれで彼を好きになったという方がいらっしゃるのを聞くと、ますます生で聴きたかったと思います。

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