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Yua's factoryコミュのFinal Destiny4-3

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「アアアアアッ!」

シェリルは叫ぶと身体中から黄金の毛が生えて身を包む。うっすらと魔王の刻印が頬に浮かび獣人化した。

『むう、それは』

ドニスの言葉はシェリルの蹴りで掻き消される。
そのままドニス勢いよく下降し、床を大きく凹ますほどの衝撃を受け、間も無く腹部にシェリルの膝が入る。床は破壊され下の階まで抜け、一階の床へ押し込まれた。

『ぐはぁああっ!』
「グルアアアアッ!」

シェリルの怒涛の連続攻撃。
鋭い爪でドニスの鉄のような硬さを誇る皮膚を何度も引き裂く。
ドニスは粘度のある緑色の血を噴き出す。

『ぐがあああっ!』

ドニスの右拳が放たれる。
シェリルは顔だけ反らし、ドニスの拳は空を切る。伸びきった腕にシェリルは噛み付き、顎の力のみでドニスの巨体を持ち上げると横へ振り飛ばした。
ドニスは壁を突き破り外へと放り出される。直ぐ様後を追うシェリル。

『貴様っ!魔王の闘気を纏ったか!』
「ガァアアアッ!」

シェリルの爪を己の爪で防ぐ。ガギィィインッ!と金属音を鳴らし、互いに引くと、再び爪を交える。
刹那ドニスのつま先がシェリルの腹を捉え、上空へ飛ばされる。すかさずドニスは黒き炎を手に宿し、シェリルへと放つ。
それをまともに喰らったシェリルは歯を食い縛り、四肢を広げると黒炎は四散した。

「ハァッハアッ…!」
『浮遊も可能か。いよいよ人間を捨ておったな』
「貴様に言われたくはない」
『そうよ。余は人間を捨てたのだ。唾棄すべきは人間の力の限界よ』

言うとドニスはシェリルの浮く空へと浮かぶ。

『見よ…あの貧民街を。まるでごみ溜めだ』
「黙れ。そんなこと言うあんたは何様だ」
『絶対者だ』
「…絶対者?」
『神をも凌駕する絶対的な存在よ』
「違うね。あんたはただの下衆よ」
『下衆?下衆にこんな力はあるまい?』

ドニスは貧民街を指差す。

「まさか――――」

それは一瞬の出来事であった。
指の先から何かが放たれたようには見えなかった。
が、街は大きな音を立てて地面から根こそぎひっくり返ったように吹き飛ぶ。

「ああっ!」

シェリルは声を漏らした。
あそこには多くの民が居る。当然、マリンの家族も…。自分には家族は居ない。だから家族というものがどういったものか、ほとんど分からない。いや、家族が居ないからこそ、家族を切望した。
きっと、大切なものなのだ。一時しか心を寄せてないマリンだけれど、失った時は心が砕けるほど痛かった。これが家族であったなら、どれほどの痛みか…。

「己ドニスーー!」
『囀ずる(さえずる)な、小娘が』

己が懐に飛び込むシェリルにドニスは裏拳を放つ。それを頬に受け、シェリルは城の外壁に衝突するまで吹き飛ばされた。

「かはっ…!」

まだ――――遠い。
ドニスにはまだまだ余力がある。変身を遂げたシェリルでも敵わない。

『そろそろ茶番も終えようか、シェリル』

ドニスの右拳に黒い気が集約されていく。その気は今までの気と比べ物にならないほど大きく、禍々しい。
全てを終わらせることの出来る力だと悟れる。

「諦める…もんかぁっ…!」

半ば外壁にめり込んだ体を抜きながら、シェリルは体に鞭打つ。

『城ごと消し飛べ』
「くぅっ!」

ドニスは構え、シェリルも構える。

「やぁああっ!」
『ぶはぁっ!』

突然ドニスの背後から何かが突進し、ドニスは前のめりに吹き飛ばされる。
吹き飛ばしたのは、サキュバス…ミラである。

「魔王様!申し訳ございません!遅れました!」
「ミラ!」

バサリと蝙蝠(こうもり)の翼を広げ、露出の高い黒い皮のビキニを纏っている。

「やっぱさ、そのはしたない格好どうにかなんないの?」
「これがサキュバスの正装ですから!」
『ぐぬぅ!この小蝿があ!』
「魔破歪障!!」

ドニスが黒い光弾を打つと、ミラは両手を翳す(かざす)。その両手から螺旋状の気が放たれ、黒い光弾は軌道を変えて逸れた。

『ぬぅっ!貴様、魔族の分際で我に楯突くか!』
「妾(わらわ)の主は《魔王様》である!邪王などに仕えるほど落ちぶれていないわぁっ!」
「…どう違うのよ…」

シェリルは聞こえない程度の小さな声でツッコむ。
魔王と邪王とで何が違うのか。魔界の者にしか分からない階級みたいなものがあるのだろうか。

『ふん、サキュバスごときが生意気な口をきくな。人間の精でしか腹を満たせぬ矮小な存在であろうが!』
「チャーム!」
『効かぬわっ!!』

ドニスの言葉に被せるように、ミラはピンク色の気を纏う呪文を放つが、ドニスのブレスで掻き消された。

『矮小な者の矮小な術など余に届くはずも無かろうが!』
「…ふん」
『なんだ』
「矮小な妾でも時間は稼げるのだ」
『何の話だ?』
「こういうことよ!」

いつの間にかドニスの背後に身を移したシェリルが、剣を背なから刺していた。

『ぐぬぅっ!?』
「死ねぇえっ!」

ズグゥ――――と、ドニスの背中から胸まで剣を貫く。

『ぐぉおおおおおおおっ!』
「あああああああっ!!」

貫いた剣を斜め左上へ引き上げて、肩口から剣が抜ける。

『ぐぅっ!』
「やった!」
『阿呆が』
「え?」

切り口からブクブクと泡が立ち、細胞が再生していく。

「なっ!?」
『な?』

ドスッと、シェリルは腹を殴られ体がくの字に曲がる。

『くく…はははははははっ!勇者も魔王も余には敵わぬ!無敵無敵ぃ!』

力無く項垂れたシェリルの顔面を掴む、ドニスは地面に投げ付けた。

「魔王様ーー!」

地面に衝突する前にミラは回り込みシェリルを抱き抱えると、フワリと着地する。

「ミラ……ごふっ!」
「魔王様!魔王様!」
「ミスト達…は…?」
「分かりません!妾も遠い地より参りましたので!」
「そっか…ふふ。でも、まだ諦めないよ…」
「はっ!命を賭しても!」
「だから…死んじゃ駄目……っての…」

シェリルは剣を杖にして立ち上がる。
ミラは上空に佇むドニスを睨む。

『蝿がいくら足掻いたところで無駄だ』
「嘗めないでよね…私達の力はこんなものじゃないんだから…」
『くくく、何匹集まったところで蝿が龍には敵うまい』

ドニスの周囲を包んだ大気が歪む。
また一つ、力を解放した。

『貴様らゴミが消えれば何も憂いが無くなる…纏めて消し飛ばしてくれよう』
「く、マザーも皆同じ所に飛ばしてくれれば良かったのにぃ…!」

少しだけ愚痴ってシェリルは柄を強く握る。
何か――――他に何か手立ては無いか。
ジリジリと強まる殺気を浴びながら…それでもシェリルは最後まで諦めない。
絶望的とさえ思える状況であるにも関わらず、希望の光をその眼に宿していた。








Final Destiny 4-4 http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=5718354&id=76656848

コメント(3)

五右衛門オネェだって、サスケをシェリルの真ん前に飛ばしたのにマザーェ(´;ω;`)

ちょ!どこ行ったのー!雷爺さんとか暑苦しい炎とか!
>>[1]

あれは特殊なサイコロを使った危険を伴う方法だったからねw

幻獣たちはどこでしょうねぇ♪

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