意見もいろいろとあるかと思いますが、とりあえず叩き台として、よく疑問が出るようなことについて、自分の考えを四点ほどメモしてみました。
『仏教を学ぶにあたって』
１、何を学べばいいか。
いわゆる「原始仏典」と呼ばれる、歴史的に最も早く成立したパーリ語で書かれた仏典が、基礎的な経典になる。
パーリ仏典（原始仏典）は、長部・中部・相応部・小部・増支部という五つの分類がされている。
よく読まれるダンマパダなどは小部経典の一部になる。
ソクラテスのような対話形式のものとしては、中部経典がいろんな対話を収録している。
春秋社から『原始仏典』というシリーズが出ており、長部と中部はすでに全巻出ており、相応部の翻訳がいま刊行中である。
増支部はまだあまり訳が出ていないので、すべて読みたい場合は戦前に刊行された南伝大蔵経で読むしかない。
小部は、ダンマパダやスッタニパータなどは岩波文庫から出ている。
これらをよく読むのが一番良いと思う。
大乗仏教を学びたいのであれば、無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経の浄土三部経や、法華経、維摩経、勝鬘経、大日経などがポピュラーな経典である。
華厳経も名高いが、すべて読むのは相当骨が折れる。
まずは、パーリ仏典をしっかり精読するのが仏教を学ぶにあたっては良いと思われる。
２、仏教における悪は時代によって変遷するか否か
仏教においては、仏教の定める戒律と、その社会の法律やマナーと、その両方の観点から悪を定める。
したがって、仮にその時代や社会の法律やマナーでＯＫとされていても、戒律に禁じていることであれば悪となる。
逆に、戒律では細かく規定されていないことであっても、その社会の法律やマナーでだめなことであれば悪となる。
仏教は「不殺生戒」、つまり命を奪ってはならないという戒律を定めている。
五戒のひとつとして極めて重視されている
したがって、過去の時代であろうと、戦争がその社会では賛美されていようと、この戒を破っていれば、仏教的な見解から言えば、悪ということになる
ただし、その人がその悪業の報いを生きている間に受けるかは、必ずしも観察できるとは限りませんし、死後にも報いが生じるかは、他にどのような善行為をしているかなどによって変化してくる。
仮にその人が殺人を犯した後であっても、アングリマーラのように修行して悟りを開けば、死後に悪業の報いを受けることはなくなる。
３、仏教における死後の世界について
仏教においては、死後は無ではない。
死後を無だとする見解は「断見」といい、邪見の一種だと仏教では明確に述べてある。
仏教においては、人間はその人の業（心・言葉・身体による行為）によって瞬間瞬間に変化していると考える。
したがって、変化しない不滅の霊魂があるという見解（常見）も邪見とされる。
しかし、そのように瞬間瞬間に変化しているものが、突然理由もなく結果を生じずに消滅すると考えること（断見）も邪見とされる。
常に瞬間瞬間変化するということは、言うならば、瞬間ごとに人は生まれては死んでいるということである。
しかし、一般的な感覚としては、この身体が生まれて死ぬ間のことを、人は生死と考える。
仏教では、この身体が死んでも、瞬間的に別の生命に変化し、またそこで瞬間瞬間変化し、その結果としてその身体の寿命が終わった瞬間にまた別の身体に変化すると考える。
この身体の死のあとは、仏教においては、六道輪廻と言いまして、大きく六つの境涯にその人の業に従って変化すると教える。
六道とは、
天（神々の世界）
人間（私たちの人間の世界です）
阿修羅（悪い神々）
畜生（動物）
餓鬼（目に見えない苦しんでいる生命体です。一般的に霊と言われるのはたいていこの境涯のものが多いそうです。）
地獄（非常に苦しみが大きい境涯）
の六つである。
善い行為、つまり善業を積んでいれば、天や人間に、悪い行為、つまり悪業を積めば畜生や餓鬼や地獄などに生まれ変わるとされている。
この輪廻を基本的に生命は延々と繰り返しているが、仏教の教えをよく聞き実践し、悟りを開けば、この輪廻のサイクルから抜け出て、二度と生まれかわらない、涅槃に達すると仏教では教えている。
悟り（阿羅漢果）に達して、涅槃に達するまでは、あらゆる生命はこの輪廻を繰り返すと教えられている。
４、なぜ善い人や正しい人が苦しむのか。本当にカルマの結果だと納得できるのか。
たとえば、ダライラマ14世を描いた映画に『クンドゥン』という映画があり、その中で、亡命していくダライラマに、あるチベット人が、「私たちに何の悪いカルマがあってこんな目にあうんですか？」と質問するシーンがある。
映画の中のダライラマは、その質問に直接は答えず、じっと慈悲のまなざしをそそいで、一緒に悲しみつつ、亡命していくという場面だった。
おそらく、何の罪があってこのような苦しみに、ということは、ダライラマ法王御自身、そしてチベットの人も、あるいはその他のさまざまな仏教徒も、時には、幾度となく心の中で思いながら、結局のところは答えが出ない問題なのではないかと思う。
しかし、仏教徒は、「何の悪いカルマがあってこのように苦しむのか？」という過去を向いた問い方ではなく、「今から幸せになるためにはどのようなカルマを積めば良いのか？」という問いをこそしてきた。
だからこそ、どれほどひどい目にあっても、暴力に対して暴力で対抗することもなく、恨むこともなく、非暴力と平和の精神で応じてきた。
カルマは、過去に向かってその原因を尋ねるというより、未来に向かって、「ではどうすればいいか？」ということを考えるためにある。
その時に、カルマは絶望の論理ではなく、希望の論理になる。
（輪廻転生については枚挙にいとまがないが、長部経典・中部経典を読めば、いかに多く輪廻について仏典が言及しているか明晰にわかる。
大乗経典でも、勝鬘経がわかりやすく断見と常見について論じている。）
『仏教を学ぶにあたって』
１、何を学べばいいか。
いわゆる「原始仏典」と呼ばれる、歴史的に最も早く成立したパーリ語で書かれた仏典が、基礎的な経典になる。
パーリ仏典（原始仏典）は、長部・中部・相応部・小部・増支部という五つの分類がされている。
よく読まれるダンマパダなどは小部経典の一部になる。
ソクラテスのような対話形式のものとしては、中部経典がいろんな対話を収録している。
春秋社から『原始仏典』というシリーズが出ており、長部と中部はすでに全巻出ており、相応部の翻訳がいま刊行中である。
増支部はまだあまり訳が出ていないので、すべて読みたい場合は戦前に刊行された南伝大蔵経で読むしかない。
小部は、ダンマパダやスッタニパータなどは岩波文庫から出ている。
これらをよく読むのが一番良いと思う。
大乗仏教を学びたいのであれば、無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経の浄土三部経や、法華経、維摩経、勝鬘経、大日経などがポピュラーな経典である。
華厳経も名高いが、すべて読むのは相当骨が折れる。
まずは、パーリ仏典をしっかり精読するのが仏教を学ぶにあたっては良いと思われる。
２、仏教における悪は時代によって変遷するか否か
仏教においては、仏教の定める戒律と、その社会の法律やマナーと、その両方の観点から悪を定める。
したがって、仮にその時代や社会の法律やマナーでＯＫとされていても、戒律に禁じていることであれば悪となる。
逆に、戒律では細かく規定されていないことであっても、その社会の法律やマナーでだめなことであれば悪となる。
仏教は「不殺生戒」、つまり命を奪ってはならないという戒律を定めている。
五戒のひとつとして極めて重視されている
したがって、過去の時代であろうと、戦争がその社会では賛美されていようと、この戒を破っていれば、仏教的な見解から言えば、悪ということになる
ただし、その人がその悪業の報いを生きている間に受けるかは、必ずしも観察できるとは限りませんし、死後にも報いが生じるかは、他にどのような善行為をしているかなどによって変化してくる。
仮にその人が殺人を犯した後であっても、アングリマーラのように修行して悟りを開けば、死後に悪業の報いを受けることはなくなる。
３、仏教における死後の世界について
仏教においては、死後は無ではない。
死後を無だとする見解は「断見」といい、邪見の一種だと仏教では明確に述べてある。
仏教においては、人間はその人の業（心・言葉・身体による行為）によって瞬間瞬間に変化していると考える。
したがって、変化しない不滅の霊魂があるという見解（常見）も邪見とされる。
しかし、そのように瞬間瞬間に変化しているものが、突然理由もなく結果を生じずに消滅すると考えること（断見）も邪見とされる。
常に瞬間瞬間変化するということは、言うならば、瞬間ごとに人は生まれては死んでいるということである。
しかし、一般的な感覚としては、この身体が生まれて死ぬ間のことを、人は生死と考える。
仏教では、この身体が死んでも、瞬間的に別の生命に変化し、またそこで瞬間瞬間変化し、その結果としてその身体の寿命が終わった瞬間にまた別の身体に変化すると考える。
この身体の死のあとは、仏教においては、六道輪廻と言いまして、大きく六つの境涯にその人の業に従って変化すると教える。
六道とは、
天（神々の世界）
人間（私たちの人間の世界です）
阿修羅（悪い神々）
畜生（動物）
餓鬼（目に見えない苦しんでいる生命体です。一般的に霊と言われるのはたいていこの境涯のものが多いそうです。）
地獄（非常に苦しみが大きい境涯）
の六つである。
善い行為、つまり善業を積んでいれば、天や人間に、悪い行為、つまり悪業を積めば畜生や餓鬼や地獄などに生まれ変わるとされている。
この輪廻を基本的に生命は延々と繰り返しているが、仏教の教えをよく聞き実践し、悟りを開けば、この輪廻のサイクルから抜け出て、二度と生まれかわらない、涅槃に達すると仏教では教えている。
悟り（阿羅漢果）に達して、涅槃に達するまでは、あらゆる生命はこの輪廻を繰り返すと教えられている。
４、なぜ善い人や正しい人が苦しむのか。本当にカルマの結果だと納得できるのか。
たとえば、ダライラマ14世を描いた映画に『クンドゥン』という映画があり、その中で、亡命していくダライラマに、あるチベット人が、「私たちに何の悪いカルマがあってこんな目にあうんですか？」と質問するシーンがある。
映画の中のダライラマは、その質問に直接は答えず、じっと慈悲のまなざしをそそいで、一緒に悲しみつつ、亡命していくという場面だった。
おそらく、何の罪があってこのような苦しみに、ということは、ダライラマ法王御自身、そしてチベットの人も、あるいはその他のさまざまな仏教徒も、時には、幾度となく心の中で思いながら、結局のところは答えが出ない問題なのではないかと思う。
しかし、仏教徒は、「何の悪いカルマがあってこのように苦しむのか？」という過去を向いた問い方ではなく、「今から幸せになるためにはどのようなカルマを積めば良いのか？」という問いをこそしてきた。
だからこそ、どれほどひどい目にあっても、暴力に対して暴力で対抗することもなく、恨むこともなく、非暴力と平和の精神で応じてきた。
カルマは、過去に向かってその原因を尋ねるというより、未来に向かって、「ではどうすればいいか？」ということを考えるためにある。
その時に、カルマは絶望の論理ではなく、希望の論理になる。
（輪廻転生については枚挙にいとまがないが、長部経典・中部経典を読めば、いかに多く輪廻について仏典が言及しているか明晰にわかる。
大乗経典でも、勝鬘経がわかりやすく断見と常見について論じている。）
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コメント(82)
ここも結局はNET上に過ぎないのよね。
だけどこんな繫がりでも縁は縁。
普段の生活の中でも気の合う人合わない人があるわけで。
ましてやどこの誰かもわからない人と繋がっているわけだから。
だからと言って、NETで知り合った者同士で、会ったこともない人の命を奪ってしまう
と言う事件も実際に起こっている。これを理解しろって言われても今の私には無理。
最近の事件で新幹線の中での殺人事件があったから私の過去の例を話すけど、
正義感か何かわからないけど、もめごとを止めに入り、一方的に手を出している人間を最後は私が切れてしまい、かたわにしてしまったことがある。一般的には私は犯罪者。
それは私の精神疾患からくるもので、物を壊すと快感と言うくらい気持ちよくなる。
だから人を殴っているとだんだん快感に繋がってくるの。理解できないでしょ？自分でもわからないんだから。
そんなことも私は禅との出会いがあり、出会った間際からその影は出なくなった。
禅に救われたの。縁に救われたの。
ただ、毎日懺悔文を唱えようが、心から懺悔しようが、罪は消えない。一生背負っていかなければならない。これも懺悔だと思っている。
しかし、いくら禅の教えがあっても、その通りなんてできやしない。
ここにいる全ての人は、まだまだ修行の身なんだから、100人居れば100通り。
なんて言っても私が一番ひよっこなんだろうけど。
好きな人嫌いな人があるのも其の人への執着なんだって。
でもね、仏教を学ぶにあたっての心構えなんていらない。対人でも構えてしまったら開かない。
一部は自分自身に言ってる。
（ー人ー）
私が師のお寺に参禅した時必ず立ち寄る喫茶店がある。
その喫茶店は開店してまだ5・6年。その土地では新店。
マスターはよその土地からその土地を気に入り、定年後そこに喫茶店を開いた。
驚いたことに師と大学の同期だったそうだ。マスターは師がその土地に居るのを知らずに
その土地を選んだらしい。
このマスターは仏教を学んだこともないのに、ものの捉え方は禅そのもの。
今、ここ、が穏座で在ることが教えではあるが、
マスターの笑顔、美味しいコーヒー、美味しい空気、師の近く、私にとっての穏座の一つ。
禅が深いのではなく、那由他などと言う言葉では表せないくらいの
私達が生かされているこの法が深いということじゃないのかな？って言うか、
深い浅いで測れるものではない。
と思うのだけど。
（ー人ー）
>>[77]
単一宗派だけの仏教系私立大学はかなり淘汰されますよ。
「坐はすべからく実参」なので、師がどの学校を卒業してるかとか関係ないというか、その線で師を探したことはないですね。
私の出会いは、小学校の教師が禅寺の二男で、中１の夏に２泊遊びに行ったら、夜の坐禅が初めて。大学心理専門で、課題で無為の真人出された。で、卒後、心理の勉強しながら、曹洞宗の坐禅会や三島の龍沢寺とかヒマ見て行った。ずっと実戦のカラテやってたんで、その師家がどの程度修行やって来たかはわかるんです。
まぁ見かけだけの坊さんはいらないかな。もうロボット和尚がお経読んで好きな戒名・法名つけるのも自由な時代です。
単一宗派だけの仏教系私立大学はかなり淘汰されますよ。
「坐はすべからく実参」なので、師がどの学校を卒業してるかとか関係ないというか、その線で師を探したことはないですね。
私の出会いは、小学校の教師が禅寺の二男で、中１の夏に２泊遊びに行ったら、夜の坐禅が初めて。大学心理専門で、課題で無為の真人出された。で、卒後、心理の勉強しながら、曹洞宗の坐禅会や三島の龍沢寺とかヒマ見て行った。ずっと実戦のカラテやってたんで、その師家がどの程度修行やって来たかはわかるんです。
まぁ見かけだけの坊さんはいらないかな。もうロボット和尚がお経読んで好きな戒名・法名つけるのも自由な時代です。
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