ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

俺と伝説のニーランチャーコミュの088

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

088

家を出ると、また不穏な気配を感じた。

「なんかやな感じだな。」

俺はとりあえず、不審な監視者を撒く事にした。
適当な路地に入ったところで跳躍し、近所の商店の屋上へ降りる。
もう日も暮れているので、都合がよい。
とりあえず、踏んでも壊れなさそうな屋根を選んでは、飛び石のようにジャンプで移動する。

「ここまで来れば大丈夫かな?」

俺は家から程遠いところで屋根から飛び降りた。
そして、一気に加速した。
流石にこうなるとついてこれる奴はいないだろう。
そして、師匠が昔連れて行ってくれた廃車置き場を目指した。
うろ覚えだったが、何とかたどり着いた。
俺はゲームの画面で見た膝蹴りのフォームがとても綺麗だったので、練習したかったのだ。
意識したわけではないが、トラックを蹴って右足を失った時も、膝から突っ込んだ。
義足になってからも、左足と連係して動く右足の膝から下では、満足に蹴れない。
自由に動く左足は、どう考えても軸足として大切だった。
自分の意志でしっかり動かせる右膝を使うのは良い考えだと思った。
どちらにせよ練習と言うものは人に見られないでやるのがベストだ。
高校生にもなって膝蹴りの練習を始める事に気恥ずかしさもあった。
一旦立ち止まると周りを見回す。
誰もいなさそうなのを確認すると、加速して手ごろな廃車に膝から突っ込んだ。

「うーん、なんか違うなぁ・・・」

俺の比重が大きくなっているので、当たり負けないからいいようなものの、膝を前に出して体全体で突っ込んでいる感じだ。
できれば膝で粉砕したい。
俺はもう一度立ち止まって、膝の素振りをしてみた。

「・・・こっから引いて・・・こう!」

どちらかと言うと膝蹴りは全身のバネで出す蹴りだと分かってきた。
風を切って走っているときと違い、全身に汗が噴き出してきた。
右の義足が重い。
軽量化はしてあるものの、そのほとんどが金属部品で出来ている義足だ。
それを、事故の際に残った右の腿で持ち上げているわけだ。

「あー!!」

無茶な動きを続けていたところ、右の尻がつった。
慌てて地面に這いつくばりストレッチをする。

「痛てぇ!!!・・・イテテ」

誰もいない夜の廃車置場で苦悶した。
やっと筋肉が伸びて痛みから開放されたところで、頬に涙が滴っているのに気づいた。

「泣くほど痛かったんかい!!」

自分で自分に突っ込む。
両手を打ち合わせて砂を払うと、涙を指の腹で拭い取った。

「・・・筋力の増加が必要だな。」

右足は右腿を残して、膝から下がなくなっている。
俺は残った右腿を鍛えることで、何かが得られる気がした。
せっかく来た腹いせに自動車を数台こなごなにして帰途へついた。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=34844068&comm_id=3641323

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

俺と伝説のニーランチャー 更新情報

俺と伝説のニーランチャーのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング