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バニラ・エアアジア等図解LCCコミュのオープンスカイ、航空行政等LCC関連 特集記事

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羽田の国際線拡充、オープンスカイ、航空行政等LCC関連の特集記事や社説・論説などがマスコミで報道される機会がふえてきました。
長文となりますので、LCCニュースから独立させ、こちらで扱うこととします。

コメント(228)

エアアジアX(D7)CEOのトップインタビュー
長いため、一部抜粋。全文はこちら。
http://www.travelvision.jp/interview/detail.php?id=54451

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レガシーキャリアのみならずLCC間でも競争が激化していく中、どのようなビジネス戦略を描いているのか。
日本市場の現状ならびに旅行会社との関係なども合わせて、D7創業からCEOを務めるアズラン・オスマン・ラニ氏に話を聞いた。

(中略)

−LCCがプレミアムサービスを提供し、既存大手がサービスの個別販売により追加的収益の確保をめざすなど、「ハイブリッド化」が進んでいます

 ハイブリッドという言葉は好ましくないと考えている。メルセデス・ベンツとユニクロを例に挙げると、いずれも非常に明確なポジションでビジネスをしている。同様に、対極的な立場にある我々とシンガポール航空(SQ)もそれぞれ安定的に利益をあげている。中間的な立場は安定には結びつかない。
 レガシーキャリアも中間の位置で苦しんでいるだろう。例えば、我々との提携が解消となったマレーシア航空(MH)も、AKと勝負するのであればユニットコストを大きく下げなければならないが、60%も削減するとなると簡単なことではない。一方で、新機材を導入しサービスを向上させSQと勝負するにしても容易ではない。しかし、どちらかを選ばなければ生き残れない。
 我々がプレミアムシートを設置していることについては、両極のサービスを提供するという「ハイブリッド」とは異なる考え方だ。エアバスA330型機に10%のスペースがある場合、2つの選択肢がある。一つは、全席エコノミーにして400席にすること。しかし、年間で満席になるのは限られ、搭乗率90%でも10%の空席がでてくる。
 これに対して、そのスペースをプレミアムシートにすると、プレミアムシート12席は収益としてエコノミーの30から40席分に相当し、年間を通じてそのスペースから収益を期待できる。重要なのは、プレミアムシートを導入してもユニットコストが高くならないということだ。レガシーキャリアよりも1000ドルほどセーブできてゆっくり寝られるなら得だ、と考える旅行者をターゲットとしており、ラウンジやシャンパン、キャビアなどにコストをかけることはしない。

(中略)

−JW(エアアジア・ジャパン)も運航を開始しましたが、成田にD7が乗り入れる可能性はあるでしょうか

 成田就航には関心を持っている。しかし、現在のところ空いているスロットでは、JWとのコネクションに利便性がない。成田容量が拡張され、昼間時間帯のスロットが確保できれば、ぜひ飛びたいと考えている。
 ただし、成田に就航しても羽田便は維持していく。その場合、羽田線はより東京市場に注力していくことになる。それだけ東京は大きな市場ということだ。JWとの連携は、一つのブランドなので難しくないだろう。すでに先行する他市場で成功している。

格安航空、お盆の搭乗率9割 「成田リスク」課題 空港コスト負担重く
2012/9/2 3:30 日経

 今年に入り運航を始めた格安航空会社(LCC)が上々のスタートを切っている。お盆期間の搭乗率は軒並み9割前後と、全日本空輸や日本航空を上回った。運賃を大手の半分以下にしたことで、これまで飛行機を利用していなかった顧客を取り込んでいる。LCCが外国並みに普及するには、空港の使い勝手を改善したり、着陸料を引き下げたりする必要がある。
 「この飛行機は札幌に寄ったあとで新千歳に行くんですか」。
 8月半ば、関西国際空港から新千歳に向かうピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)の機内で1人の年配女性が不安そうに客室乗務員に問いかけた。「いえ、真っすぐ新千歳に行くんですよ」と伝えるとホッとした表情に変わった。
 シートベルトの金具の留め方がわからない人。自動チェックイン機と格闘する人――。ピーチの利用者の2〜3割はこうした飛行機未経験者だ。

■女性の乗客が半数
 ピーチの井上慎一最高経営責任者(CEO)は「学生や元気なお年寄りがたくさん乗ってくれている」と話す。
 男性客が圧倒的に多い全日空や日航に対し、女性客が半分を占めるのもピーチの特徴だ。3月の就航から半年。8月26日には当初計画より約3週間前倒しで、国内線利用者が累計50万人を突破した。平均搭乗率も想定を上回る70%台後半で推移している。
 8月1日から成田空港を拠点に運航を始めたエアアジア・ジャパン(東京・港)。お盆期間に9割を超えた搭乗率は、8月全体でも80%台後半となり計画を上回ったもようだ。成田は都心から離れていることで当初は集客を懸念する声もあったが、格安バス運行の効果などもあり「西東京方面からの利用客も多い」(岩片和行社長)という。
 全日空などが出資するピーチ、全日空とマレーシアのLCCが設立したエアアジア・ジャパン、日航などが出資するジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)。12年に就航した3社はいずれも大手の半分以下の運賃が支持され、滑り出しは好調。とはいえお盆期間の3社の国内シェアは、搭乗者ベースでみるとまだ約3%にすぎない。
 海外では過去10年間でLCCの普及が飛躍的に進んだ。アジア・太平洋地域の伸長はめざましく、エアアジアの本拠地であるマレーシアではLCCの国内シェアが5割を超える。
 日本も成田の発着枠にはまだ余裕があり、LCCの路線を拡大する余地は大きい。専門家の間では「国内でもLCCシェアは3割近くまで拡大しそう」(航空経営研究所の稲垣秀夫主席研究員)との見方がある。課題は何か。

 「空港コストの高さが日本におけるLCC普及の障害だ」。アジア最大のLCCに成長したエアアジアのトニー・フェルナンデスCEOはこう指摘する。
 着陸料など航空会社が空港を使用する時にかかる日本のコストは、海外に比べて飛び抜けて高い。航空経営研究所の試算によると、成田のコストはエアアジアが本拠地を置くクアラルンプールの約20倍だ。
 LCCは機内サービスを絞り込み一人が複数の仕事をこなすなどしてコストを切り詰め、利益をひねり出す。海外のLCC大手は売上高営業利益率がエアアジアで27%、ライアンエアー(アイルランド)で約15%と高収益企業だ。
 日本では「空港コストが重くなかなかその水準に届かない」(エアアジア・ジャパンの岩片社長)。利益が出ないと事業拡大のピッチが鈍り、LCC普及に時間がかかる可能性もある。

■門限回避へ拠点増
 成田空港は周辺住民への配慮で午前6時から午後11時までしか飛べない。同空港を拠点にするジェットスターとエアアジア・ジャパンにとっては、この発着時間制限が悩みの種だ。
 ジェットスターは7月の就航以降、天候以外の理由で計15便を欠航した。成田から地方へ飛び、折り返し運航をしているため混雑などで成田を離陸するのが遅れると、午後11時までに戻ってこれなくなる。欠航の大半が成田の“門限”に間に合わない、との理由だ。
 エアアジア・ジャパンは悪天候を除くと欠航はないが、到着地を成田から羽田に変更してしのぐなど、成田拠点のLCCは欠航リスクと隣り合わせの状況が続く。LCCは欠航した場合でも、基本的に代替手段がない。利用者に負担や不便を強いることになるだけに、信用問題に関わる。
 ジェットスターはこうした「成田リスク」を軽減するため、関西国際空港を第二拠点と位置づけ路線を拡張する方針。エアアジア・ジャパンも中部国際空港への進出を検討している。
 ただ、既存航空会社の牙城である羽田にLCC枠は期待できない。首都圏に住む人がLCCを利用する場合、成田を使わざるを得ない。離着陸時間を弾力的に運用するなど、国や自治体が本格的に成田空港の運用改善に乗り出すことが課題に浮上しそうだ。
LCCは上級者向けの旅客機か?
2012/12/01(土) 16:57 サーチナニュース

  今年、本格的参入を果たして何かと話題の格安航空会社・LCC。しかし、まだまだ日本人はこのシステムに馴染みが薄いせいか、「LCCは、運賃は安いが、サービスが悪い」というマイナスの評価をなされることが多い。

  確かに、LCCは従来型航空会社のサービスのように、黙っていても「至れり尽くせり」というモノではない。これまでの空の旅では当たり前のように提供されていた機内食や飲み物、荷物の運搬、果ては毛布や枕、映画、音楽に至るまで、細かくオプション扱いで有料になっているものが多い。「サービスが悪い」といわれる理由の多くはここにある。

  ところが、これはLCC側が悪いのではなく、顧客の認識が間違っているといわざるを得ない。なぜなら、LCC(=LOW COST CARRIER)を和訳するのであれば、一般的に言われている「格安航空会社」ではなく、「低原価型航空会社」と訳す方が正しい。つまり、徹底して原価を抑えることで低価格運賃を実現しているのがLCCなのだから、原価のかかるサービスを求める方がどうかしている。機内食はもとより、毛布や映画も当然、そのサービスを提供するためには余分な原価がかかってしまうのだ。

  そもそも、LCCには明確な定義はない。現在、日本では「ピーチ」「ジェットスター」「エアアジア」の3社が日本のLCCとされているが、たとえば大手のJALやANAが明日から「うちはLCCです」と宣言すれば、たったそれだけで業界内ではLCC扱いとなるのだ。逆に、JAL <9205> やANA <9202> が早割などの格安航空券を軸にLCCを名乗って、フルサービスを提供しはじめたとしたら、料金と品質の両面で、現在のLCC各社では太刀打ちできなくなるかもしれない。

  要するに、LCCは「格安航空会社」ではなく、サービスをカスタマイズできる航空サービスだと考えるとわかり易い。サービスを極力求めなければ、従来よりもコストを抑えて空の旅を楽しむことが出来るが、交通手段以外の機内サービスまで求めるのであれば、自分にとって必要なものだけをカスタマイズし、その分の料金を支払えば良いというわけだ。

  そう考えれば、これまでの過剰ともいえる機内サービスが不必要だと思っていたような人には、そのコスト削減分が運賃に直接反映されるのだから、LCCは「サービスが悪い」とどころか「顧客ニーズに即した的確なサービス」と映るだろう。

  また、LCCを利用する利点の一つは、路線もカスタマイズ出来るということだろう。従来型の航空会社の格安航空券や正規割引航空券の場合、往復利用が条件となっていることが多いが、LCCのチケットは通常、片道で販売されているので、自由に乗り継いでルートを構築することが出来る。たとえば片道のみ空路で、往路、もしくは復路は陸路、もしくは海路というようなルートも容易にできるのだ。

  基本的に、LCCはインターネットのWEBサイトを介して自力で予約する必要があり、それを面倒だとかデメリットだと捉える人も多いが、独自の旅程を考えながら予約を抑えるという行為も「旅行の一部」と前向きに考えることができれば、楽しいだろう。

  ただ、ビジネスでの利用やタイトな日程の旅行、また、他の便や交通機関への乗継などがある場合は、細心の注意が必要だ。LCCはコスト削減のために、飛行機を最小限の機数しか保有しておらず、それをフル活用させているので、もしも天候不良や機材トラブルなどの事情で発着が遅れたりすると、それがたとえ自分が乗る便でなくても影響が出る可能性が高い。ひどい場合は欠航することも覚悟しておいた方が良い。その際、代替便などは、まず出ないと考えておいた方が無難だろう。

  こうしてみてみると、LCCは単に低価格の運賃だけで利用しようとするのではなく、サービスや旅程をある程度自由にカスタマイズできるというメリットと、不慮の事態が起こった場合には旅程そのものが崩壊するかもしれないというデメリットを充分に考慮した上で、選択する必要があるだろう。さらには、LCCがまだ始まったばかりの数年の間は、そのデメリットすらも楽しめる旅行上級者向けの航空プランといえるかもしれない。
LCC各社が大苦戦があらわに エアアジアはもう社長交代
Business Journal-2013/01/03

鳴り物入りで就航したLCC(格安航空会社)が大苦戦である。2012年8月に就航したばかりの全日本空輸系のLCC、エアアジア・ジャパンがもう社長交代だ。
 12月17日付で新しい最高経営責任者(CEO)に、全日空出身でオペレーション部門統括責任者兼安全統括管理者だった小田切義憲・取締役が昇格した。

 創業時の2011年8月からCEOを務めた全日空出身の岩片和行は取締役を外れ、会長に退いた。また、取締役の人数も10人から7人に減らした。

 エアアジア・ジャパンは、全日空が51%、マレーシアのLCC・エアアジア49%(無議決権を含めた割合)の出資で設立された。成田国際空港を拠点に12年8月、札幌、福岡、那覇便を就航。10月以降、仁川便、釜山便など韓国路線を2便、新たに開設した。

 運航開始後の8月に84.4%だった全路線の搭乗率は、9月が68.3%、10月が56.9%、11月が55.9%で平均は65.4%で、目標の80%に届かなかった。LCCが採算を維持するには、75%以上の搭乗率が求められるが、これを下回ったわけだ。

 成田空港を拠点とするライバルの日本航空系のLCC、ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)の全路線の搭乗率は、就航した7月が85.5%。8月85.6%、9月76.7%、10月69.4%、11月64.9%と推移し、平均で76.4%。エアアジアはジェットスターに搭乗率で10ポイント以上、水をあけられた。

 前CEOの岩片氏は「搭乗率は日本では季節変動があるので年間を通してみないと判断はつかない」とし、「(搭乗率80%の)目標には届いていないが、直接の(退任)理由ではない」と引責辞任との見方を否定した。ただ「(辞任の)背景には業績もある」と認めた。

 新CEOの小田切義憲氏は、東京商船大学商船学部を卒業して87年に全日空に入社した変り種。日本貨物航空からの出向を経て、全日空では成田空港と東京空港でステーションコントロール部の各部署を歴任。LCC進出のために設けられたアジア戦略室副室長を経て11年8月、エアアジア・ジャパンの設立に伴い取締役になった。

 エアアジアは成田空港に続き、中部国際空港を第2の拠点とする方針で、13年3月末に中部ー福岡便を就航する。国内LCCが中部国際空港に就航するのは初めて。成田で伸び悩む搭乗率をいかに向上させるかが、経営課題となっている。中部空港はLCC向けの施設の建設など受け入れ態勢の整備を進めている。中部空港もLCCに熱い視線を送っているのだ。

(続き)
●LCC各社でトラブル続出中……

 だが、搭乗率ではライバルのエアアジアに差をつけたとはいえ、ジェットスターも大苦戦中だ。

 ジェットスターは11年9月、豪カンタス航空と日本航空が各33.3%、三菱商事と東京センチュリーリースが各16.7%出資して設立した。成田を拠点に大阪、札幌、福岡、沖縄の国内4便を就航した。

 鈴木みゆき社長の経歴は多彩だ。幼少期と学生時代のほとんどを英国で過ごす。英オックスフォード大学卒業後、82年ロイター(現・情報企業トムソン・ロイターの一部門)に入社。世界各地で勤務したのち、起業などを経験。02年、日本テレコム専務執行役員兼コンシューマ事業本部長に就き、インターネットプロバイター事業など個人向けサービスを統括した。06年、情報ネットワーク会社KVHのCEO。11年12月、ジェットスター・ジャパンのCEOに就任した。

ジェットスターは12年7月3日の就航初日からトラブルが相次いだ。初日の札幌ー成田行きの最終便が欠航し、搭乗予定の155人のためにホテルを用意した。前便で乗客の搭乗に手間取ったことが原因という。7月12日も同じ最終便が欠航。7月28日には機体に鳥がぶつかるハードスライクの影響で、成田ー沖縄(那覇便)が欠航した。
 8月24日、同日就航したばかりの関西ー福岡便など3便が、関西国際空港で見つかった機体トラブル(胴体中央部下部のネジの欠落)の影響で欠航。あまりの欠航の多さに、利用者からは「もうLCCに乗らない」と不満の声が上がったほどだ。

 11月16日には、経験が社内規定(3年以上)に満たない整備士を確認主任者に選任していたことが発覚し、国土交通省から厳重注意を受けた。LCCへの厳重注意は初めてである。この問題で12月に予定していた関空の第2拠点化を延期した。

 もう1社のLCCはピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)。全日空38.67%、香港の投資会社ファーストイースタン・インベストメントグループ33.33%、産業革新機構28.0%の出資で11年2月に設立された。

 関西国際空港を拠点に12年3月に就航。国内が札幌、福岡、長崎、鹿児島、沖縄の5路線、海外は韓国・仁川、香港、台北の3路線を運航している。

 この結果、関空は国内外9社が乗り入れる国内最大のLCC空港となった。大阪(伊丹)空港と経営統合し、再建を目指す新関空会社は、中期経営計画で「LCCによる成長ネットワークの獲得」を重点施策のトップにあげた。「関空をアジアのLCCの拠点にする」のが目標だ。LCC空港、関空の稼ぎ頭と期待されていたのがピーチ・アビエーションだった。

 エアアジア・ジャパンは国内線就航から4カ月で社長交代。ジェットスター・ジャパンへの厳重注意とLCCの経営課題も見えてきた。

 国交省航空局がまとめた航空8社に関する「航空輸送サービスに係わる情報公開」(12年7〜9月分)によると、LCCの遅延率が突出している。遅延率とは定時の運行予定時間より15分以上時間がかかった発着率の割合をいう。延滞率はエアアジアが57.2%でワースト1位。便の半分以上が定時運行していないということを示す。ワースト2位はジェットスターの25.9%。ピーチは13.7%でスカイマークの15.4%に次いでワースト4位だ。

 欠航率は6.4%の日本トランスオーシャン航空がワースト1位だが、これは沖縄を直撃した台風による欠航がほとんど。実質的にはエアアジアの3.5%が1位。ジェットスターは1.4%、ピーチは1.1%だった。

 LCCは少ない航空機を使い回してコスト削減するため、遅延や欠航が出やすい。ここに事業拡大を急ぐLCCのひずみを見ることができる。LCCを利用するリスクが改めて浮き彫りになった格好だ。
この活用術はヒマな人向けでしょう。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20121228/1046657/
以下は記事の抜粋
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東京→大阪なら札幌か福岡に寄っても1万円!?
【国内線LCC上級活用術】
2013年01月08日 日経トレンディネット

 2012年の流行語にもなった「LCC(格安航空会社)」。就航当初に比べると欠航や遅れも少なくなり、便数も増加している。
 日本の大動脈である東京と大阪の移動でも、ジェットスター・ジャパンが就航する成田―関空線が数千円程度の運賃水準ということで、想定以上に利用者が伸びているようだ。そんななか、国内線LCCヘビーユーザーの間で話題なのが、成田空港から札幌もしくは福岡に寄って関西空港へ向かう方法。片道2区間を合計しても1万円前後で買えるケースが多く、成田−関空線の“直行便運賃”に数千円程度のプラスで札幌や福岡にも立ち寄れてしまうのだ。東海道新幹線、東京‐新大阪間の片道(1万3000円、エクスプレス予約EX-ICの場合)より安い。
 経由地ですぐに乗り継ぐ必要はなく、午前中もしくは昼前後の便で成田から福岡や札幌へ飛んで食事や観光を楽しみ、夕方の便で福岡や札幌から関西空港に飛べばいい。
 2012年は国内線LCC元年で、3月に関西空港を拠点とする「ピーチ アビエーション」、7月に成田空港を拠点とする「ジェットスター・ジャパン」(今後関西空港も拠点とする予定)、8月には「エアアジア・ジャパン」の3社が相次いで就航した。現在、3社の運航する国内線(2012年12月現在)は以下の通りである。

●ピーチ アビエーション(5路線)
関西空港―札幌、福岡、長崎、鹿児島、沖縄
●ジェットスター・ジャパン(7路線)
成田空港―札幌、福岡、沖縄、関西
関西空港―札幌、福岡、沖縄
●エアアジア・ジャパン(3路線)
成田空港―札幌、福岡、沖縄

成田から札幌に寄って大阪に行くには?
 前ページの路線をつなぎ合わせることで、大手航空会社や新幹線よりも安い料金で大阪プラス1都市を楽しめてしまうのだ。ここで主なパターンについて、2013年1月19日搭乗分で考えてみよう。

(中略)

 上記で見ると、ジェットスター同士の組み合わせが最も安く、成田→札幌4690円、札幌→関西4790円で2区間合計9480円が最安値となる(運賃は変動するため、常にこの組み合わせが最安とは限らない)。また、関東では就航路線のないピーチを利用するのも、このルートならではだ。
 せっかく札幌まで来たら、すぐに乗り換えをせずにいったん札幌市内まで出て、ラーメン・寿司・ジンギスカンなどを堪能してから新千歳空港に戻り、関西空港への便を利用するのがおすすめ。新千歳空港から札幌駅までのJRの料金は往復2080円なので、飛行機代の9480円に2080円を加えても1万1560円と、まだ東海道新幹線、東京‐新大阪間の片道(1万3000円、エクスプレス予約EX-ICの場合)より安い計算になる。
 乗り継ぎ時間があまりないケースや少しでも節約したい人は、人気の北海道スイーツを新千歳空港内の土産店で購入し、空港内で豚丼や寿司、ジンギスカンなどを食べ、北海道気分だけ味わうという方法もある。
 ちなみに筆者は成田発の夕方便(エアアジア)で札幌に入り、札幌に1泊して翌朝のピーチで関空に入ったが、その際、エアアジアはセール運賃を利用、ピーチも5500円程度で購入でき、札幌でのホテル代を含めても1万5000円以下で済んだ。
(続き)

成田から福岡に寄って大阪に行くには?
 さらに、福岡に寄る場合のパターンを2013年1月19日搭乗分で考えてみる。
2013年1月19日(土)搭乗分(運賃は2012年12月25日時点)

(中略)

 こちらもジェットスター同士の組み合わせで、成田→福岡5290円、福岡→関西3790円で2区間合計9080円が最安値となる(運賃は変動するため、常にこの組み合わせが最安とは限らない)。ピーチ便であれば最終便も遅く、福岡でゆっくり遊んでから大阪に入ることができる。何よりも福岡空港は交通アクセスが良く、地下鉄で福岡空港駅から博多駅まで5分(往復500円)、天神駅まで10〜11分(往復500円)という近さなので、乗り継ぎの合間にもつ鍋や水炊き、豚骨ラーメンといった地元のグルメを堪能できる。
 東京からLCCを利用することに関しては、「成田までの交通費が高い」とお思いの方もいるだろう。実は成田空港までのアクセスに関しては以前の記事にも詳しく書いたように、
東京駅から京成バス「東京シャトル」や平和交通「THEアクセス成田」などの格安バスを利用すれば、900円〜1000円で利用できる。

乗り継ぎ時間を長く取ることで“LCCリスク”も分散

 札幌や福岡に気軽に立ち寄れるのも、1区間あたりの運賃が安いLCCならでは。さらに、経由することによる意外なメリットもある。LCC便が遅れても乗り継ぎ時間に余裕があれば、航空券を放棄する可能性はかなり低くなるのだ。料金は少しアップしてしまうが、沖縄経由でも同様のパターンで利用できる。
 今回のシミュレーションでは通常運賃で計算しているが、各社が期間限定で発売するセール運賃を利用すれば、さらに安く購入できる可能性もある。
 実際、エアアジア・ジャパンでは2013年1月7日〜14日の予約に限り、1月9日〜2月9日搭乗分(札幌線のみ1月31日まで)について成田―札幌、成田―福岡が片道2680円(支払い手数料200円を含む)という「2013年新春セール」を実施(日数、座席に限りあり)。このキャンペーン運賃で購入できれば、8000円台で「成田→札幌もしくは福岡→関空」の移動が可能となるのだ。
 さらに、ピーチの「お年玉セール」(2013年1月9日18時59分まで販売、搭乗期間は1月16日〜3月30日)も利用できれば、関空―札幌が3635円から、関空―福岡は3655円(空港施設利用料及び支払い手数料665円込み)となり、6000円台も可能になる。
 成田―関空ならジェットスターの直行便を利用する方法もあるが、片道だけでも今回のルートを利用し、乗り継ぎ地を楽しみながらLCCの乗り比べをしてみてはいかがだろうか。
LCCの襲来、国内線での成長の限界に直面したスカイマークは、奇策を打ち出した。
超大型機、エアバス380を使っての国際線進出である。A380は2階建てで、3クラスであれば525席を確保できる。スカイマークは、エコノミー席は一切設けずに、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーの2クラス計380席で、2014年末から成田〜ニューヨーク路線を飛ばし、往復運賃でプレミアムエコノミーは24万円から、ビジネスクラスは30万円台で販売する予定だ。JALやANAのニューヨーク路線のビジネスクラスはおおむね50万〜100万円。低価格で、大手からビジネス客を奪おうとしているのだ。この奇策が成功するか否か、今、航空業界の注目の的となっている。というのも、世界の航空史上でも成功例が見当たらない、極めて珍しいビジネスモデルだからだ・・・・。

以下記事は長いため、国内線関係はカットした抜粋と社長インタビュー記事。全文はこちら。
http://diamond.jp/articles/-/30396
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【企業特集】スカイマーク
LCC襲来で戦略大転換 超大型機で国際線進出の賭け

2013年1月17日 週刊ダイヤモンド

これまで低価格を武器に成長してきた新興航空会社のスカイマークだが、国内線にLCCが誕生したことで岐路に立たされている。成長を目指して打ち出したのは、世界最大の旅客機エアバス380を使った国際線への進出だ。さらに、国内線でも機材の大型化に踏み切る。巨額の資金を投じる大勝負ははたして吉と出るのか。

(中略)

超大型機A380で挑むエコノミーなしの奇策

 LCCの襲来、国内線での成長の限界に直面したスカイマークは、奇策を打ち出した。超大型機、エアバス380を使っての国際線進出である。A380は2階建てで、ファースト、ビジネス、エコノミー3クラスであれば525席を確保できる。スカイマークは、このA380を使ってエコノミー席は一切設けずに、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーの2クラス計380席で、成田〜ニューヨーク路線を飛ばそうというのだ。この奇策が成功するか否か、今、航空業界の注目の的となっている。というのも、世界の航空史上でも成功例が見当たらない、極めて珍しいビジネスモデルだからだ。

 そもそも、スカイマークのような低価格運賃の航空会社が得意とするのは短距離路線だ。「過去に北米〜欧州という大西洋路線に就航したLCCもあったが、ほとんどが頓挫した」(航空アナリストの杉浦一機氏)。
 こうした過去の事例について、スカイマークの西久保愼一社長は、「かなり調べて研究した」と言う。その結果、浮かび上がったのが、燃費の悪い中古機を使っていたこと、4〜5機体制と小規模のため低コスト体制が整っていなかったこと、大西洋上の低価格路線しか持たず失敗した場合に逃げ場がなかったことなどだ。これらを検証した上で、スカイマークが組み立てたシナリオは以下の通りである。

 まず、燃費のよい新機材でしかも超大型機のA380を用い、1座席当たりのコストを低く抑える。成田〜ニューヨーク路線の1フライト当たりのコストは2500万円だ。つまり、片道12万円の価格設定で搭乗率6割を確保できれば利益が出る。往復運賃でプレミアムエコノミーは24万円から、ビジネスクラスは30万円台で販売する予定だ。JALやANAのニューヨーク路線のビジネスクラスはおおむね50万〜100万円。しかも、搭乗率80%台後半と潤沢な需要がある。低価格で、大手からビジネス客を奪おうとしているのだ。
(続き)

米国での低い知名度
集客力に疑問符

 スカイマークがこれまでに築き上げてきた勝ちパターンは、JALやANAが就航する路線に低価格運賃をぶつけることで、大手から顧客を奪うというものだった。
 LCCとの低価格競争による消耗戦は、スカイマークの望むところではない。
 西久保社長は「常にJALやANA、シンガポール航空、米デルタ航空などと戦えるかたちを維持したい」と言う。故に、国際線進出でもLCCの土俵である近距離アジア路線ではなく、フルサービスキャリアの牙城である長距離国際線を狙うのである。

だが、2種のエアバス機を投入して成長を狙うスカイマークの戦略には、懸念材料も多い。まずはA380を投入する国際線の集客力である。損益分岐点が搭乗率6割として埋めなければならない228席は、すべてがビジネスクラスかプレミアムエコノミーとハードルが高い。JALやANAの営業力をもってしても、ニューヨーク路線のビジネスクラスは1便当たり最大で77席、プレミアムエコノミーは46席という展開である。スカイマークの営業力で、はたして毎便228人以上の高単価客を集めることができるのか。 国内線で1000社以上ある法人客との契約や旅行代理店ルートを駆使して集客するというが、特に知名度の低い米国では苦戦が予想される。米国航空会社のパートナーが必要だろう。

(中略)

西久保愼一 スカイマーク社長インタビュー
LCCは時代の徒花
大手と戦ってこそ利益が出る

今期減益の要因に値上げがある。低価格運賃がスカイマークの魅力なのでは。

まず、大前提としてわれわれの最大の目的は利益の最大化で、手段の一つとして低価格がある。
一定の企業規模になったので、2年前から上値を探ってきた。そこにLCCが参入してきてカウンターパンチを食らい収益が落ちた。

LCCの参入もあり、事業モデルを大きく組み替えている。

LCCは時代の徒花。小型機を10機そろえれば簡単にできる。参入障壁は低く、長いライフサイクルにはならない。国内にLCC3社ができて、これから低価格チケットは過当競争になる。
LCCのような事業形態は脆い。1品種しかない。短距離路線のエコノミー席を安く売ることだけで勝負しており、そこがもうからなくなったら逃げ場がない。
世界中の大手航空会社がLCCに攻められながらも生き残っているのは事業が豊富だから。長距離国際線があり、チャーター便があり、ビジネスクラスもファーストクラスも展開している。どこかで利益を出している。当社も事業のバリエーションを増やして低価格競争から抜け出す必要がある。LCC相手ではなく、大手と戦うからこそ利益が出る。

超大型機A380を導入しての国際線進出は課題も多い。

何よりも価格がカギを握る。国内で1000社と法人契約をしているが、2008年のリーマンショック以降、急激に増えている。
A380を選んだのは、エンジン4発機で事業のバリエーションが豊富だから。双発機と異なり実績が少なくても洋上飛行が可能だ。ヨーロッパ向けなど大陸上の航路はもうからないとなった場合に、ハワイやタヒチへのチャーター便に転用することもできる。シナリオはいくつもある。

さらに国内線にA330を投入して、これまでの必勝法だった単一機材モデルは崩れる。

航空機は15機以上になると、コストはあまり下がらなくなる。コストのうち本社や空港コストのほうが5割以上と大きく、単一機材にこだわる必要はない。それぞれの路線に適した機材を使うほうが利益率は上がっていく。
羽田〜福岡路線は搭乗率が90%台にまで回復してきた。今後は羽田空港の発着枠が思うように取れないので席数を増やすのが手っ取り早い。ただ席数を増やすだけだと搭乗率が下がるリスクがある。2クラス制にして、大手のプレミアム席の客を取りにいく。最近は法人客からビジネスクラスの要望が増えているし、そこに新しいマーケットがある。
奇策実現へ NY就航にむけ、着々と準備中。
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スカイマーク、A380の成田/JFK線 売上予想は約173億円
配信日:2013/01/11 12:06
http://flyteam.jp/news/article/18455

スカイマークはアメリカ運輸省(DOT)に成田/ニューヨーク・JFK線にA380での定期便就航を申請しましたが、この路線就航で売上は1億9553万5000米ドル、日本円で約172億6400万円、利益は3259万米ドル、日本円で28億7700万円と想定していると示しています。
 これまで発表しているとおり、運航コストを抑えながら、競争力のある価格でビジネス客を引きつけるとしています。スカイマークは今回の申請について、許認可を得ることで早めのマーケティングを展開したいと申請で述べています。
アジアの空に中長距離LCCが続々参入
シンガポール航空系がもくろむ日本直行便
ダイヤモンド・オンライン 2013年2月19日

 アジアの空で、飛行時間4〜9時間と中長距離を飛ぶLCC(格安航空)が台頭している。日本に乗り入れる航空会社も増えてきた。
 すでに、エアアジアグループ(マレーシア)のエアアジアXや、カンタス航空(オーストラリア)傘下のジェットスター・アジアが乗り入れているが、昨年10月、シンガポール航空子会社のLCC、スクートが成田空港に就航した。成田から台北経由でシンガポールまで約9時間、片道1万8780円(燃油費と空港使用税を含む。荷物預け、食事は含まない)からという格安料金である。日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などのフルサービスエアラインであれば、エコノミークラスの割引運賃でも燃油費込みで6万円程度する。
 シンガポール航空が中長距離LCCに乗り出した背景には、東南アジア航空業界の急激な変化がある。東南アジアでLCCが誕生したのは2004年だが、わずか10年足らずの間にLCCのシェアは急拡大した。12年度末には4時間以内のフライトのうち、52%がLCCのシェアとなる見通しだ。
 だが、東南アジア域内に閉じこもっていては市場に限りがある。そこで、「4時間以内のフライトでLCCが急拡大したように、4〜9時間のフライトにもLCCのマーケットはある」(スクートのキャンベル・ウィルソンCEO)と中長距離路線への参入を決断した。 
 もともとLCCのビジネスモデルは短距離路線が常識だ。航空機の空港での折り返し時間を極力短くして、航空機の稼働時間を長くすることで収入を高める。また、座席シートが狭いため、利用客も短時間移動が好ましい。
 業界の常識を覆す中長距離LCCに勝算はあるのか。ウィルソンCEOは、「欠かせない要素が二つある」と説明する。「一つは適切な機材を使用すること、もう一つは4〜9時間のフライトに限定する」ことだ。
 一般的な短距離LCCは、エアバス320機やボーイング737機といった180席ほどの小型機を使いエコノミークラスしか設けていない。これに対してスクートは、400席ほどの大型機B777機を使い、エコノミーと上位の「スクートビズ」の2クラス制とした。長距離移動では、シート幅や前後幅が狭いと疲れてしまうが、大型機ゆえ機内は広い。

エコノミーは座席幅が48cm、前後幅が79cm。これに対してスクートビズは座席幅56cm、前後幅96cmで、成田〜シンガポール(台北経由)であればエコノミーに1万円ほど上乗せした2万7000円程度の運賃だ。なお、JALの国際線のエコノミーは座席幅47cm、前後幅86cmである。

「フルサービスエアラインの利用客がスクートに乗って上位座席の存在を知れば、LCCでも十分と考える人が出てくるだろう」と、乗客を取り込む構えだ。
 また、飛行時間が9時間までの路線に限定しているため、1日当たりの機材稼働時間は、フルサービスエアラインが約12時間のところ15時間と長い。こうした工夫により、運航コストはフルサービスエアラインよりも45%低く抑えられているという。
 運航開始からまだ7ヵ月で「成果を語るには時期尚早」(ウィルソンCEO)としながらも、「いまのところ全路線の平均搭乗率は81%で、計画よりもうまくいっている」と自信を覗かせる。日本とシンガポールを結ぶ直行便も検討中だ。
 日本や中国などの東アジアでは、まだLCCが浸透しているとは言い難い。しかし、昨年、日本で誕生したLCC3社(ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパン)は、国内線のみならず、韓国や台湾への国際線の展開を始めた。さらに今秋には、中国資本の春秋ジャパンが日本国内線に進出する予定だ。
 LCCのビジネスモデルが多様化し、日本を巻き込んで、アジアの空で激しい競争が起これば、利用者にとっては歓迎すべき状況だろう。今後、ますます選択肢が増えることになりそうである。

LCCをさらに伸ばすために
日経社説・春秋 2013/2/26付

 日本初の格安航空会社(LCC)であるピーチ・アビエーションが就航して来月1日で1周年の節目を迎える。LCC元年といわれた昨年は、ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンの両社もサービスを始めた。
 「飛行機は速いけれど割高」という常識に挑戦し、新たな市場を創出できるか。過去1年を振り返ると、LCC3社はかなり健闘したといっていい。
 例えばピーチが飛ぶ関西国際空港―新千歳路線をみると、ピーチ参入前の2011年3〜12月の総旅客数が86万人だったの対し、ピーチ就航後の12年の同じ時期には126万人まで伸び、市場のパイが大きく広がった。
 懸念された顧客の食い合いは起こらず、既存の航空会社も旅客数を維持する一方で、ピーチは安さを武器に、あまり飛行機に乗ったことのない層の需要を掘り起こした。去年の夏はこうしたピーチ効果もあって、北海道の主要観光地はどこも活況を呈したという。
 座席がきゅうくつで、機内食も有料、搭乗口は遠く、空港の中でたくさん歩かないといけない。こんなLCCの事業モデルを日本人が受け入れるか、という懸念もあったが、それは杞憂に終わったようだ。
 経営面での今後の課題は機材や便数のさらなる拡充を進め、「薄利多売」でもしっかり利益の出る強い事業基盤をつくることだ。
 利用者の視点からしても、路線網の拡大が待たれる。これまでは首都圏、関西圏と札幌、福岡、那覇を結ぶいわゆる基幹路線への就航が中心だった。今後は地方路線や海外路線の開設が課題になる。
 こうした成長戦略の前提として、安全運航の徹底が必要なことはいうまでもない。
 LCCを受け入れる空港側の取り組みも重要だ。エアアジア・ジャパンなどが拠点とする成田空港は利用時間に制約があり、LCCにとって使い勝手がいいとは言いがたい。地元の理解を得つつ、乗客利便を向上する工夫が必要だ。
国内LCC就航1年、日本の空に新たな需要 成田利用制限、成長に壁
2013/3/1付 日経

 国内初の格安航空会社(LCC)、ピーチ・アビエーションが就航してきょうで1年を迎える。ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンも昨夏に参入、国内LCCは3社体制となった。これまで航空機を利用しなかった人を取り込む半面、課題も見えてきた。
 「リピーターがかなり増えている」。関西国際空港を拠点とするピーチの井上慎一最高経営責任者(CEO)は指摘する。例年2月は1年間で最も需要が少ない閑散期だが満席便が続出。利用率が80%以上で推移した。就航から3月末までの利用率は77〜78%の見通しで、当初計画(70〜75%)を上回る勢いだ。
 成田国際空港を拠点とするジェットスター・ジャパンのカウンターにはスノーボードを抱えた半袖姿の外国人が列をつくる。北海道の良質な雪を求める豪州からの旅行客だ。「成田―新千歳線は便によっては半数以上が外国人」(ジェットスター・ジャパン)。同じLCCのエアアジア・ジャパンも成田空港を拠点としたことなどで、同空港の2012年下半期(7〜12月)の国内線旅客数は約204万人と前年同期の2.1倍となった。

 昨年、ピーチ、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンが相次ぎ就航、日本の空は「LCC元年」となった。ピーチの井上CEOは「航空機に初めて乗る人も多い」と指摘。LCCは新たな需要を創出したが、課題も浮上している。
 1つは成田空港問題だ。同空港は騒音上の理由で、午後11時から翌日午前6時までの離着陸が制限されている。このため最終便が欠航となるケースが当初は続出した。
 サービスを限定することで運賃を大手航空会社の半分以下に抑えているLCCは、航空機を多頻度で飛ばすことによって収益を上げる事業モデル。離着陸制限は成長の大きな壁だ。「成田の使い勝手が現状のままではやっていけない」とエアアジア・ジャパンの小田切義憲CEOは嘆く。
 ジェットスター・ジャパンでは昨年11月、社内規定に満たない整備士を使っていたことが表面化。エアアジア・ジャパンでは就航当初、マレーシアの本社が運用する予約システムをそのまま転用したため、日本人にとって使いづらいという事態が生じた。成長を急ぐあまりつまずいた形だ。
 ジェットスターとエアアジアは3月末から中部国際空港も拠点化。福岡線、新千歳線などを順次開設する。地方路線の充実は成田対策の側面もある。各社の2年目は浮き彫りとなった課題の克服と国際線の充実がテーマとなりそうだ。
LCC就航1年で見えた課題 顧客満足度とコストとの戦い
2013.3.24 07:00 産経
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130324/bsd1303240701000-n1.htm

 日本の国内線に格安航空会社(LCC)が就航して1年が過ぎた。大手の半額以下という低運賃で気軽に旅を楽しめ、今のところ航空機を初めて利用する乗客など新たな需要を獲得している。ただ、サービスの簡素化でコストを下げるビジネスモデルの課題も露呈。日本の空に定着できるか、正念場を迎えている。

 浴衣姿の女性客

 今月1日、全日本空輸などが出資したLCCのピーチ・アビエーションが主要拠点の関西空港で行った就航1周年の記念セレモニー。井上慎一最高経営責任者(CEO)は、搭乗客をハイタッチで送り出した後、「新しいビジネスモデルを確立できた。従来の航空会社にないお客さまに乗っていただいている」とあいさつした。
 LCCが最も注目するのが、利用客数を提供座席数で割った搭乗率だ。ピーチは70%で利益が出せるとされるが、2月の搭乗率は80%超と好調だ。
 LCCのビジネスモデルは、インターネットでのチケット販売や機内食の有料化など徹底したサービスの簡素化でコストを下げ、運賃を安くするのが特徴だ。
 ただ、それだけでは客に飽きられてしまう。ピーチは、客室乗務員が関西弁で接客するほか、飛行機の塗装やユニホームに「桃」をイメージしたピンク色を採用するなど、親しみやすさを訴える戦略を展開した。
 ピーチの主な顧客は20〜30代の女性で、利用客全体の3分の1を占める。若い女性が浴衣姿で博多に移動したり、日帰りでソウルとの間を往復したりするなど空の旅が変わりつつある。
 国内LCC3社のうち、日本航空系のジェットスターは豪州、全日空系のエアアジア・ジャパンはマレーシアが運営母体。それぞれ海外で成功したビジネスモデルを日本に持ち込み、「観光を通じて経済活性化に貢献できる」(ジェットスターの鈴木みゆき社長)と期待する。

 格安の「代償」

 ただ、格安の「代償」としての不便さが、LCCの普及を妨げている。
 「LCCは欠航が多い」というイメージが浸透し、時間に厳しい利用客から敬遠されていることもその一つだ。
 成田空港を拠点とするジェットスターとエアアジアは、騒音上の問題から離着陸を午後11時までに制限した“門限”により、最終便が欠航となるケースが続出。国土交通省によると、昨年10〜12月の欠航率は、エアアジアが1・53%、ジェットスターが1・34%で、大手9社の平均(0・90%)を上回った。
 ピーチは欠航は少ないが、予定時間を15分以上超えた便の割合を示す遅延率は25%強で、6%弱の日本航空とは雲泥の差だ。
 こうしたトラブルもあり、エアアジアは昨年10月から4カ月連続で搭乗率が6割を下回った。ジェットスターは昨年12月以降、搭乗率を公表していない。
 ただ、千葉県成田市は今月19日、成田空港の離着陸時間について、悪天候などやむを得ない場合に限り午前0時までの延長を容認すると決め、今後は利便性が改善されそうだ。
 しかし、ジェットスターは今月13日、航空機部品を輸入した際の添付書類に記載ミスがあったとして、1機の運航を取りやめた。国交省によると、部品の書類ミスで欠航するケースは珍しいといい、LCCの弱みは容易に解消されそうにない。

 日本流の改善 

 欠航などに対する利用客への対応は、各社で分かれている。ジェットスターは欠航などの場合、乗客の宿泊費などを負担。エアアジアは「(航空機が)遅れても代替交通手段の手配はせず、ホテル代や交通費も出さないと約款に書いてある」(小田切義憲CEO)とする。
 ウェブサイトでの予約が使いづらい、という声もある。「不満をぶつけたくても(LCCの)コールセンターにつながらない!」。国民生活センターの担当者は、怒りに満ちた利用客の苦情を何度か受けたという。
 日本の大手航空会社の手厚いサービスになれている利用客からの不満が高まれば、顧客離れにつながりかねない。
 エアアジアは、3月末に予定する中部空港への進出に合わせ、2月にマレーシアだけにあったコールセンターを千葉県にも開設。自社のウェブサイトの改善や、1月から旅行代理店を通じたチケット販売にも乗り出した。
 顧客満足度を高めようとすれば、コスト増を覚悟しなければならない。日本流のビジネスモデルを構築するまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
国内LCC就航から1年、「ピーチ」が成功した要因は?
日経トレンディネット 2013年03月22日
記事は長いため、一部引用した記事。全文はこちら。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130318/1048164/

乗り継ぎに関しては、ピーチの成田就航に伴い、
「香港・台北から関空乗り継ぎで成田」といった需要も今後増えそう。
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LCC専用ターミナルオープンで乗り継ぎ利用増加

 現在、日本国内でLCC専用ターミナルがあるのは関空と那覇空港(どちらも2012年10月オープン)。飛行機とターミナルビル間を歩けるようになった結果、導線が短くなって利用しやすくなり、「福岡や香港・台北から関空乗り継ぎで札幌」といった乗り継ぎ需要が増えている。
 2013年9月には那覇―石垣線をピーチが就航するので、「成田から那覇まではジェットスターかエアアジアを使い、那覇でピーチに乗り換える」といったことも可能になりそうだ。

空港アクセス料金も手ごろに

 LCCは成田や関空など都心部から少し離れた空港を使用しているが、成田では国内LCCが就航した7月から東京駅と成田空港を結ぶ格安バスの運行を開始。現在京成バスと平和交通の2社が運行し、東京駅発なら京成バスは900円、平和交通は1000円、成田空港発は両社ともに1000円で、両社ともに1時間に1本で運転している。
 運行開始直後は空席が多かったが現在では利用者に浸透しつつあり、時間帯によっては2台で運行するケースも出ているなど、格安バスの存在がLCC利用者促進に寄与していることは間違いなさそうだ。
 ピーチでは関空着の便で南海電鉄とコラボレーションした機内販売限定の鉄道チケットを販売しており、関空からなんば駅までであれば、乗車券のみ800円(通常価格890円)、特急ラピートの特急券が付いた乗車券は1000円(通常1390円)で販売する「Peach・なんばきっぷ」が好評だ。
 LCCは機材を効率よく運用するため、早朝から深夜まで飛行機を飛ばしている。関空発の早朝便利用の場合、大阪新阪急ホテル(大阪駅前)を4時40分に出発し、関空第2ターミナルに5時41分に到着するバスが運行されているが、4月からは新阪急ホテルを3時15分に出発(関空第2ターミナル4時16分到着)するバスが新設される。
 深夜に到着した場合は関空第2ターミナル24時15分発が最終だが、4月以降は25時15分発が追加されるなど、成田以上に早朝・深夜便が充実していることが分かる。
HIS、アンチLCCで「割安航空」に参入
国際チャーター活用、バンコクまで片道1万円
東洋経済

「いつ行くの」「今でしょ」「どこ行くの」「タイでしょ」
林修東進ハイスクール講師の当意即妙なプレゼンで紹介されたのは、格安旅行大手HISが設立した新航空会社「アジア・アトランティック・エアラインズ(AAA)」。トリプルAの品質と世界を股にかけた航空ビジネスに向けて、今夏からバンコク便でテイクオフする。

国際チャーター航空で「格安」より「割安」

第1便のフライトは7月19日。成田空港とタイの首都バンコクの往復からスタートする。続いて7月27日に関西国際空港とバンコクを結ぶ便が就航。料金は、初便就航記念価格として片道1万円で、諸経費込みのため、燃油サーチャージはかからない。
日本人の旅行需要のピークである夏休みに合わせた運航であり、成田―バンコク便は9月29日まで、関空―バンコク便は9月27日まででいったん終了。その後はバンコクと、中国や韓国との間で運航する計画だ。
日本人には馴染みが薄いが、これは「国際チャーター航空会社」の手法だ。季節ごとに運航地域を猫の目のように変えることで、年間を通して常に高い搭乗率が確保できる。
国際チャーター航空会社はAAAが日本では初。アジアでもまだ多くないが、「アメリカでは市場全体の3割程度まで普及している」と、AAAの社長は説明する。

JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)など「レガシーキャリア」と呼ばれる大手航空会社は通常、年間を通して定期便を運行している。旅行需要の少ない、いわゆるオフシーズンには搭乗率が下がるため、運賃も下げざるをえない。
 が、固定費をリンクして縮小することはできないから、赤字か不採算となる。その分は、ゴールデンウイークや夏休みなど、旅行需要が大きく、搭乗率が100%近い時期の価格を、オフシーズンの2〜3倍に設定することで、年間のコストを賄っているのが実情だ。
 国際チャーター航空は、このレガシーキャリアの「時期ごとのリスク分散」を、運行地域の変更によって賄う「場所ごとのリスク分散」で代替しているのだ。LCC(ローコストキャリア=格安航空会社)のようにサービスレベルを落とすことなく、フルサービスのままでも、大手のピーク時期の価格よりは安い。つまり、狙っているのは「格安」ではなく、「割安」だ。
 日本は休日が分散していないので、ピークと閑散期の運賃の格差が著しい。また。アジア各国でも、やはり旅行需要の繁閑が存在する。しかも、アジア圏では国により休暇の集中時期がずれている。

HISの平林朗社長は、「タイなら10月、中国なら2月など、意外なほど分散している」と話す。HISがLCCよりも遅れて航空事業に乗り出したにもかかわらず、成算に自信を持つ理由がここに隠されている。AAAは初年度となる2014年7月期から、一気に黒字化を目指している。

コストと市場性で「タイでしょ」

昨年12月4日、HISがAAAを設立した時の社名は、「アジア・パシフィック・エアラインズ」だった。が、将来的にはアジア・太平洋だけでなく欧州方面にも就航を図るため、アトランティック(大西洋)を入れたAAAに社名変更した。

5月末現在のAAAの従業員数は105人。ボーイング社のB767―300ERを2機保有している。添乗員は基本的にタイ人で、パイロットも外国人が中心だという。
 資本金は5億4000万タイバーツ(約17億3000万円)。出資比率は、HISが49%、HISのタイ現地法人が39%。残りは、バンコクで超高層の「バイヨークスカイホテル」等を経営するパンラート・バイヨーク氏が12%。初フライトに合わせて、HISはバイヨークスカイホテルのスイートに泊まれる4泊プランを、4万9800円で限定販売する。
 AAAの本社はバンコクに置く。人件費などコスト面の優位性もさることながら、HISが重きを置くのは周辺のASEAN各国を含めた旅行需要の潜在的な成長性の高さ。海外旅行の国内トップから、国内旅行やテーマパーク運営にも多角化を進めるHISの成長エンジンのひとつが、海外現地での旅行需要への対応だ。アジアから日本、あるいはアジアから日本以外の地域への渡航でも構わない。
 HISはタイにもすでに4店舗を展開し、現地の旅行者向けにサービスを行っている。「今夏には10店程度、3年後には70店舗まで拡大したい」とHISの平林社長は意気込む。
(続き)

ハウステンボスなど好調で、上半期は2割増益

 HISは限定パッケージツアー用の座席は独占確保し専売するが、AAAの旅券(片道1万円)は他の旅行会社経由でも販売する。AAAは5年後に20機の運航を目指しており、認知度と路線が増えるにつれ、他の旅行会社が組成するツアーにも積極的に供給していく考え。すでにタイの旅行会社数社と交渉中だ。
 路線もバンコク発に限らない。オープンスカイポリシーを利用して、たとえば成田―ハワイ便、関空―グアム便など、柔軟に設定していく見通しだ。

HISが6月7日に発表した2012年11月〜13年4月期(第2四半期累計)の業績は、連結売上高が2246億円(前年同期比12%増)、営業利益が60億円(同20%増)と順調だ。買収した九州産業交通のフル寄与による利益のカサ上げ(通期で営業利益9億円程度)もあるが、テーマパークのハウステンボスが絶好調であるほか、クルーズ船が人気で夏秋に増発した効果も出てくる。

収益柱の海外旅行は中国、韓国行きの戻りがなお鈍いものの、欧州や東南アジア方面への渡航増加でカバーして堅調を維持、上半期では過去最高益を達成している。

旅行会社はLCCとは共存できない

足元の業績では順調なHIS。あえて航空事業にのめり込む理由はどこにあるのか。それは多角化戦略の一環であると同時に、対LCC戦略の側面も持っている。
 格安料金である反面、欠航リスクの高いLCCは、旅行会社の得意な添乗員付きツアーにはなじまない。かといって、大手航空はピーク時期の運賃が高い。円高修正や燃料高で、日本から海外へ旅行するコストは上昇している。
 今はツアーを利用している旅行客も、あまりに移動コストが高くなれば、若者を中心に一気にLCCに流れてしまうかもしれない。それを防止するには、国際チャーター航空を活用するしかない、というのが将来を見越したHISの深謀遠慮のようだ。

「旅行者のために、旅行会社が国際的にアライアンスするような仕組みを作りたい」(AAAのアザドゥル社長)というAAAの構想は、きれい事だけではない。アジア旅行者の急成長市場を取り込むための、陣取り合戦が激化している現実の裏返しでもある。
NHKBS1で好評放送中の『島耕作のアジア立志伝』、次回の放送は7月4日24時。
航空業界の革命児、エアアジアのトニー・フェルナンデスが登場します。

保護政策や規制など国が関与しながら、急成長を遂げてきたアジア。
しかしその規制は弊害である、と国営企業や政府に対して、真っ向勝負を仕掛けた凄腕経営者がいる。
エアアジアグループCEOのトニー・フェルナンデス。
補助金で支えられたフラッグシップのシェアを奪った。
さらに航空協定に守られた国際線を巡り、シンガポール政府とも戦う。
政府から与えられる自由ではない。実力で奪い取った「規制緩和」。その“知られざる戦い”に迫る。

現代ビジネスに連載中の『弘兼憲史のアジア立志伝』で番組のダイジェストを紹介中
空の「規制」を打ち破る---エアアジア トニー・フェルナンデスの闘い
http://bit.ly/1105VZF

(一部抜粋)

「簡素化はしているがサービス自体の質が低いわけじゃない。ローコストというのは低品質なのではなく、効率のよいサービスを提供するということ、乗客にサービスを受ける選択肢を与えるということなんだ」(トニー)
 低価格にこだわり続けたエアアジアは、現在21の国と地域、85都市に193もの路線を持つにいたり世界中の人々に利用されている。

新聞広告でシンガポール政府を批判

 だが、ここまで路線を拡大するまでにトニーを阻む数多くの壁が存在した。それは「規制」という壁だ。
 そのなかでもトニーの前に立ちふさがった壁がシンガポールへの乗り入れだ。シンガポールの空港は、東南アジアのハブ空港として中心的な存在。トニーは何としてもここを押さえておきたかった。しかし、シンガポール政府の「規制」は厳しいものだった。
「(シンガポールで合弁会社を作る申請は)政府に3度も却下されました。どこへ行っても政府の許可が必要。航空業界は非常に規制されたビジネスなのです」(トニー)
 いくら陳情をしても、クアラルンプール(マレーシア)からシンガポールへの直行便の許可が降りない。トニーは考えた。
 空がダメなら陸から行けばいい。
 クアラルンプールからシンガポール国境に近いセナイ空港まで国内便を飛ばし、乗客にはシャトルバスに乗り換えてもらう。そして、国境は陸路で通過してしまえというわけだ。
 しかし、それも却下。シンガポールの大臣はその理由をあくまでも「国益のため」と語った。
 バスの運行許可が出なかったのでトニーは強行突破することにした。2004年、実際に乗客をバスに乗せて国境を越えようとしたのだ。
 シンガポールの陸運局に止められ、乗客は全員降ろされた。そして、バスは没収された。
 ついに、トニーは公然とシンガポール政府を批判することに決めた。シンガポールの新聞に、ある広告を載せたのだ。
厳しい法律が多いシンガポール政府がチューインガムの国内への持ち込みすら禁止していることにかけた辛口の広告だ。

 チューインガムは禁止。横断歩道以外の道の横断は禁止。エアアジアのシャトルバスの乗り入れは禁止。でも、低価格で飛行機に乗るのは合法です。

 この新聞広告はシンガポールの人々から喝采を浴びた。
 トニーは語る。
「人々は私の味方だった。みんな、エアアジアのように小さな航空会社が広告まで出してシンガポール政府を攻撃するなんて信じられなかった。不公平と戦うことをやめれば我々は終わりだ」
 2007年、エアアジアはついにシンガポール就航を果たした。
 その後も次々と新路線を開拓しエアアジアを拡大し続けるトニーは、新たな「規制」を打ち破る挑戦を始めている。エアアジアのように低価格にして「誰でも利用できる」保険業や教育にも進出しようとしているのだ。
「人生は困難なものだ。近道なんてないが、自身の運命は自分の力でコントロールすることができる。前を向いていれば何でもできるんだ。政府は我々のために何かをしてくれるわけじゃない。運命は自分で切り拓いていくものなんだ」
"規制緩和の革命児"トニー・フェルナンデスはこれからも闘い続ける。



(続き)
 この番組を見て、タイの航空会社外資規制を乗り越えマレーシアの政策に変革をもたらし、シンガポール政府の規制にも敢えて行動で挑戦して世論を味方にしたトニーは、規制に文句を言うだけの人とは違うなと思った方も多そうな内容でした。
 しかし、案内役の島耕作がファーストクラスでシャンパン飲んでLCCの解説をしていたら、あかんでしょとも思う・・


見たかったのに、録画も忘れ見のがしてしまいました涙
再放送があれば良いんですが…
>>[208]

7月27日に再放送ありますよ!

http://www.nhk.or.jp/asianleaders/
OJIさん >
ありがとうございます 日程チェックしました
忘れずに録画セットしておきますわーい(嬉しい顔)
日本の空を変えるか 格安航空LCC
2013年7月30日放送 0:10 - 0:36 NHK総合
クローズアップ現代

国谷裕子 戸崎肇
(オープニング)
格安航空会社LCCが国内で本格的に就航してから1年。圧倒的な低価格だけでは生き残れないとされ、細やかなサービスなどが模索されている。格安航空会社LCCは日本の空を変えるのか検証。

あらゆる手段でコストを下げ、格安運賃で飛ぶことを売りにしているLCC。3社のLCCが相次いで就航し、33路線150便の空のネットワークが新たに生まれた。昨年度はLCCによって国内線の空の便の利用者を6年ぶりに8パーセントあまり増やす事に貢献したと見られている。しかし就航から1年、3社とも赤字だと見られており、集客力を高めていくのが大きな課題となっている。

格安航空の最大拠点 関西空港に密着
関西空港第2ターミナルは1日に最大26便が飛び立つ、日本最大のLCCの拠点だ。朝5時30分位には利用客のピークの時間帯を迎える。朝一番の沖縄への便に乗り込む人たち。多い日には園1割が日帰り客だという。

格安航空で増える沖縄日帰りの旅
デパートの店員の端本華子さんと美容室で働く三渕菜美さんは日帰りで那覇へ旅行。旅費は1人2万2千円で、大手航空会社の3分の1以下の旅費だという。LCCは価格を抑えるため、座席数を増やしている。また、機内サービスは全て有料。那覇空港に到着した二人は車で10分ほどの港へ向かい、そこから船に乗り無人島へ向かった。二人はそれから海で遊んだ。LCCの安さのお陰で、日帰りでも十分に満足できるという。

格安航空 乗り継ぎ 長距離を安く
LCCは1機の飛行時間の平均が1日およそ12時間。一方大手は6時間から8時間。LCCは運行の頻度を高めて一人あたりの料金を下げている。また、沖縄から仙台に向かうという人は、乗り継いでコストを抑えているといい、大手の半値以下に抑えた。
鹿児島県日置出身の高木弘二さんは、LCCを使って度々里帰りするという。料金は関西から鹿児島まで往復で一万二千円と大手の3分の1の旅費だ。LCCが飛ぶ前、里帰りは2年に1度ほどだったが、今後は3ヶ月に1度は里帰りするつもりだという。

海外の若者呼び込む格安航空
LCCの安さは海外の旅行客も惹き付けている。台湾からの便が関西空港に到着すると、若者の姿が目立った。大学生の台湾からの旅行客はLCCの安さのお陰で日本に来ることが出来た。4人は大阪の道頓堀に向かい、お目当ての日本限定のいちごのスイーツを購入した。
関西空港第二ターミナルに午後11時、LCCの沖縄からの最終便が到着した。日帰り旅行を終えた、端本華子さんと三渕菜美さんが戻ってきた。二人はまた行きたいとコメントした。
(続き)

スタジオトーク
早稲田大学教授の戸崎肇さんは、LCCの利用者が昨年度の利用者270万人だったことについて、まだまだ伸びるとし、全体的の需要は増えているとコメント。また、既存の航空会社は安定性があるため時間にうるさいビジネスマンは利用勝手はいいが、時間のある若い人を中心にLCCを利用していくのではないかと分析し、観光とビジネスの住み分けが起きて全体的なLCCに対する需要は伸びると述べた。また苦情が増えているという点については、乗る人が増えたからこその結果だとコメント。また、安全が確保できているのかという点については経営判断によるものがあり、利用者の理解も必要になると述べた。

低価格でも伸び悩み 格安航空の課題
エアアジア・ジャパンは徹底したコスト削減で低コストを津給したが、搭乗率は平均で6割とLCCの採算ラインと言われる8割に届いていない。航空経営研究所の森崎和則さんは、エアアジアが伸び悩んでいることについて、安さだけでなくサービスの質も求める日本の利用者に質が合わなかったためと指摘。エアアジア・ジャパンの定時運航率は64パーセントと他のLCCと比べても遅れが目立った。さらに、航空券の予約画面では、日本の空港がどこにあるのか見づらく、説明が英語で表示される部分も目立つ。森崎さんは、使い勝手が悪いことや面倒くさいイメージを与えてしまうとなかなか回復させるのは難しいとコメントした。

ANAホールディングスは先月エアアジアとの合弁を解消し、会見で自らの手で経営を立て直すこと発表した。清水信三グループ経営戦略部長は、エアアジアグループのやり方を全て日本のマーケットに持ち込むのは限界があると述べた。

“安さ”と“サービス” 格安航空の模索
関西空港を拠点にするLCCのピーチ・アビエーションの井上慎一CEOはできるだけコストを抑えながら乗客の満足度を高める方法を模索している。この会社の搭乗手続きを行うコーナーでは客室乗務員や訓練中のパイロットに兼務してもらい、案内係を置いている。また、搭乗の仕方も窓側の人からと工夫している。最近、映画などの動画を無料でスマートフォンに転送するサービスも始めたという。お客様のニーズをお伺いして改善していくのが直近の課題だと井上慎一CEOはコメントした。

スタジオトーク
戸崎肇さんはサービスを充実させることは必ずしもコストの上昇にはつながらないとし、安さとサービスの両立がLCCの生き残る道であるとコメント。また、LCCの発展が日本の観光立国への発展へとつながるとし、地方自治体もLCCにしっかりとお客さんを乗せる協力をするべきだとコメントした。
LCC迎撃 新戦略とは
テレビ東京 WBS‎
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_46685
リンク先に番組動画があります。

低価格で空の旅を変えたLCC=格安航空会社の台頭で、空の競争が一段と激しくなっています。フルサービスを売りにする大手航空会社と、安い運賃が特徴のLCCのはざまで、中堅の航空会社の業績は悪化しています。中堅の一角、スターフライヤーは30日、新たな戦略を打ち出し、LCCに対抗する姿勢を強調しました。スカイマークも高級路線にシフトし、LCCとの差別化を進めます。来年3月に全席プレミアムシートの新型機を、羽田〜札幌、羽田〜福岡などに投入します。座席幅は広がりますが、現在のエコノミークラスと同じ運賃に据え置く方針です。一方、LCCでも明暗が分かれています。ゴールデンウィークの搭乗率は、ピーチが9割以上なのに対し、エアアジア・ジャパンは7割以下にとどまりました。業績低迷により、出資していた全日空はエアアジアとの提携を解消し、きょう、新LCCブランドを始めることを発表しました。合弁会社を100%子会社化し、グループのLCCブランドとして12月から運行を開始する予定です。
ガチンコ対決の軍配はどちら? 新幹線VS. LCC

夏休みシーズンが本格化し、関西でLCCと新幹線の顧客争奪戦が過熱している。新幹線は提供座席数や運行本数で勝るものの、LCCが掲げる「低運賃」は脅威。新幹線は危機感に駆られ割り引きに走った格好だ。
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LCC相手に王者・新幹線も危機感 価格競争回避…総合力で勝るのは?
2013.8.7 08:00 産経
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130807/bsd1308070602007-n1.htm

以下 一部抜粋

LCC、お盆に増便で囲い込み強化
 関西国際空港で昨年10月に供用開始したLCC専用の第2ターミナル。初の夏休みシーズンを迎え、若者や家族連れで連日ごった返している。利用者のお目当ては、低運賃で急速に浸透するピーチ・アビエーションだ。
 ピーチは昨年3月に関空を拠点に就航し、今年5月に利用者は早くも200万人を突破。勢いに乗り、お盆期間(10〜18日)の需要増を見越して九州方面の「ドル箱路線」で増便に乗り出すことにした。
 関空−福岡線を1日4往復から5往復に、関空−鹿児島線は同3往復から4往復に増やす。片道運賃は福岡線が最安3590円、鹿児島線が同4290円。増便によるさらなる利用増は確実だ。
 関西と九州を結ぶ路線は他のLCCも重視。成田空港が拠点のジェットスター・ジャパンは関空−福岡線を同3490円とピーチより100円安く運航し、こちらも順調に利用者を伸ばしている。
航空業界の地殻変動招くANAの新LCC
「リゾート特化LCC」が与えた余波とは
2013年8月7日(水)日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130805/251961/?n_cid=nbpnbo_leaf_bn
以下は一部抜粋

 エアアジア・ジャパンの後継となる新LCCは、国内線よりも客単価が高い国際線を重視する。国際線の就航先はグアムや台湾、韓国を想定している。機材はエアアジア・ジャパンと同じ180席クラスのエアバスA320型機で、新たに2機をリースで調達し、2014年3月末には5機体制にする。当面はA320の運航距離である、片道4時間程度の就航地に限られるが、将来は大型の機材を導入し、ハワイ路線への参入も検討している。

(中略)

 ANAなどが出資し、関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーション。同社は関空〜台北線の乗客は6割が台湾人で占められるなど、地元の関西だけではなく、アジアでも人気を増している。
 さらに9月20日からは、ピーチが関空に次ぐ「第2拠点」と位置づける那覇空港から、那覇〜台北線を就航させる。これは同社にとって初の那覇発着の国際線。ピーチは路線計画を練る際、国際線と国内線を明確に分けるよりも、A320の運航距離である片道4時間以内を基準にしている。そして今後は、那覇空港を「アジアに向けた拠点」と位置づけ、年々増えつつあるアジアの需要開拓に力を注ぐ。ピーチの井上慎一CEOは「沖縄を拠点にすれば、ベトナムのハノイくらいまで足を伸ばすことができる」と打ち明けている。

 今年度の黒字化を目指すピーチ。国内での不毛な低価格合戦は避け、客単価の高い国際線を重視する戦略で差別化を図っていく。

 一方、日本航空(JAL)が33.3%出資するジェットスター・ジャパンは、ANA系2社が国際線を重視するのに対し、国内線専業の姿勢を貫いている。
 昨年7月の就航前、ジェットスター・ジャパンは中国や韓国、台湾、フィリピンへの路線を計画していた。だが整備体制の不備などで、関空の第2拠点化が幾度となく延期。その影響もあり、現時点では具体的な計画を発表していない。

 ただ国内での販売力を高めるための努力は惜しまない。7月には、ローソンと提携し、国内約1万以上のローソンの店舗で、航空券を予約販売するサービスを始めた。これまでにも、コンビニの店頭で予約済み航空券の決済は受け付けていた。だが店内で予約から購入までできるのは初めて。現金決済をできるようにし、クレジットカードを持たない若年層や、インターネット予約に抵抗を感じる高齢者層の取り込みを狙う。

 また7月26日からは、国内LCC初となる貨物事業も始めた。当初は成田や関空から札幌、福岡、那覇を結ぶ幹線7路線でスタートし、地方路線にも拡大を予定する。ジェットスター・ジャパンは、機内販売でも「場所貸し」を進めている。物販業者などと提携し、客室乗務員が機内で商品を代行販売し、付帯収入を得ている。貨物事業も同じように、機内の「場所貸し」をすることで収益拡大につなげる。

 リゾートを狙うANAの新LCCに対して、ピーチはアジアの需要を開拓し、ジェットスター・ジャパンは国内マーケットを深掘りする。エアアジア・ジャパンとの提携解消でANAはLCCの事業再構築を迫られた。これによって国内LCC各社のポジショニングは鮮明になり、さらなる差別化が図れるようになった。だが決して、道のりは易しいものではない。
 3社とも、今後成長を続けるには潜在需要を掘り起こすことが何よりも大切だと見ている。ウェブサイトを使いやすく改良し、ネット経由の売り上げを伸ばす一方で、きめ細かなマーケティングを繰り返して対面販売の売上高も伸ばす。
 そのうえで、生き残るのはどのLCCなのか。本当の勝負が始まるのは、これからだ。
2020年東京オリンピックに向けて変わる空事情。大手・LCC・空港はどう動く?
[2013/09/18]マイナビニュース
http://news.mynavi.jp/news/2013/09/18/098/
以下は一部抜粋

2020年のオリンピック/パラリンピックの開催地が東京に決まったその時より、世界の窓口を担う航空関連企業は動き始めていた。特にその動きが顕著なのは、低コスト航空会社(LCC)と言えるだろう。7年後を見据えて、今動き始めた空事情を考察してみたい。

既に始まった「オリンピックセール」

「TOKYO」と発表された翌日、ジェットスター・ジャパンは早速「2020円セール」を実施した。期間限定ではあるものの、東京へ向かう国内8路線の2,020席分をこちらも数字を合わせ一律2,020円で販売。同じく9月に東京で行われた「JATA旅博2013」の国内各地の出展ブースも盛況だった。

日本国内や日本発着の国内線を運航するLCCにとって、外国人旅行者を呼び込めるかどうかは、事業を展開する上で大きなポイントとなる。LCCに関して言うと、12年3月に関空を拠点に運航を始めたビーチ・アビエーション(以下、ピーチ)は、13年9月17日に累計搭乗者数300万人を突破するなど、集客という面では成功していると言っていいだろう。

同社は関西圏のF1(20歳代から34歳までの)層をメインターゲットとしていたが、「『Peach=桃』という社名とそのデザインが、台湾人旅行者の心を捉え人気が出た。それは予想外だった」(同社)とうれしい悲鳴を上げている。12年10月に成田〜台北〜シンガポール線を就航したスクートも、当初の乗客の大半を台湾人乗客が占めていた。

(中略)

LCCを救う訪日外国人

では、そうした厳しい国内LCC市場に春秋航空日本が参入するのはなぜか? 鍵は訪日外国人(インバウンド)にある。

03年、それまで500万人程度しかいなかった訪日外国人を1,000万人レベルにまで増やすべく、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」をスタートした。日本からの出国者が1,600万人だったとに対し、500万人規模しかない訪日外国人。そのアンバランスさを解消するのが目的だったのだが、一方で観光の促進には経済効果が期待された。

国際線を運航する春秋航空は上海から茨城と佐賀に乗り入れており、日本人旅行者だけでなく、それらの便を使って日本を訪れる中国人観光客をメインターゲットとしている。インドネシアのライオンエアやジェットスター香港など、日本への就航を計画しているLCCはいくつもあり、今回のオリンピック開催の決定がこうした計画に弾みをつけるのは間違いないだろう。
「乗客1人当たりの利益はマクドナルド1食分」
エアアジアXのオスマンラニCEOが語る
2013年9月18日(水)日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130917/253498/?ST=manage
以下は一部抜粋

また今年11月からは関空便を週4往復から週7往復(デイリー運航)に増便。2014年1〜6月期には中部国際空港に、今後5年間では福岡や札幌への就航も計画している。
 今年上期の平均搭乗率も81%と好調に推移する。そこで今回は、エアアジアXのアズラン・オスマンラニCEO(最高経営責任者)に日本市場の戦略を聞いた。

沖縄にカジノを誘致せよ

2010年末に羽田空港に就航して以来、2011年には関西国際空港に路線を開設した。また今後も中部国際空港、福岡、札幌と、東京以外の都市への路線開設に意欲的だ。この狙いは。

オスマンラニCEO:日本の市場を開拓するには、東京以外の都市への就航が重要だと考えている。特に大阪は、潜在的な需要が大きい。関空は発着枠にも余裕があり、運航時間の制限がない。またこれは名古屋(中部国際空港)も同じ。まずはこうした開拓しやすい空港から、路線を増やしていく。

日本国内では、沖縄発着のアジア路線に注目している航空会社も出てきている。

オスマンラニCEO:沖縄は立地条件が良く、戦略的な優位性をもたらす都市だと考えている。利用客はレジャー目的に限られるだろうから、沖縄へ向かう一方向の需要は見込めるだろう。つまり180席クラスの機体を飛ばせば十分に収支が見込める路線だ。ただエアアジアXが運航するエアバスA330型機は377席もある。往路は満席でも、復路が埋まらないという懸念があるため、まだ路線を開設するのは早いと思っている。
 しかし今後10年間というスパンで見ると、沖縄は大きな可能性を秘めている。言うなれば、日本のバリ島だ。約400席の機体を飛ばせるだけの需要が見込めれば今後、就航を検討する可能性はあるだろう。
 私個人は、沖縄にカジノを誘致するのが一番の策だと思っている(笑)。
スカイマーク、なぜ失速?台頭するLCCに苦戦で関空撤退、国際線進出に厳しい見方も
http://biz-journal.jp/2013/11/post_3340.html
以下は一部抜粋

14年から成田-ニューヨーク線を皮切りに国際線に進出する計画を明らかにしたのは、昨年11月のことだった。欧州エアバス社の2階建て超大型機「A380」を導入。この機材にはエコノミークラス席を設けず、ビジネスクラス席とエコノミー席より座席がややゆったりしているプレミアムエコノミークラス席の2クラスのみを設け、約400席の座席数を確保する。JALとANAが国際線に導入している米ボーイング社「777」の1.5倍の座席数だ。これで運航効率を向上させて運賃を大手の半額程度に下げ、低価格の魅力で国際線の商用客を取り込むとのシナリオを示したのだった。

 しかし、これも業界内では奇策と見る向きが多い。前出の関係者は、こう解説する。

「スカイマークのような低価格の中堅航空会社が力を発揮できるのは、中・短距離路線。長距離路線はフルサービスで運航しないと乗客の体が持たないため、最低限のサービスしか提供しないLCCでは難しい。過去に北米-欧州間の大西洋路線に挑戦したLCCもあったが失敗している」
「航空ベンチャー」ではあっても「LCC」ではない──スカイマーク 西久保愼一社長に聞く
http://bizmakoto.jp/style/articles/1401/28/news004.html

スカイマークは2014年3月、プレミアムシートのみを搭載したエアバスA330-300を羽田−福岡などの国内幹線に投入する。双通路の中型機A330の導入は、国内エアラインでは初めて。就航に先駆け、2013年12月には南仏トゥールーズのエアバス本社でその1号機が披露された。2014年後半には、オール2階建て超大型機A380の受領と成田−ニューヨーク線の開設も控えている。同社を率いる西久保愼一社長に、その戦略と今後のプランなどを聞いた(以下、敬称略)。

●低運賃競争からクオリティ競争へ

──例えば、「運航コストを削減するため、運航する機材(航空機)を1機種に絞る」。それがLCCの常道だと言われてきましたね。スカイマークもかつて使っていた中型機ボーイング767を手放して2009年9月以降は小型機737-800だけで機材を統一し、オペレーションをシンプルにすることで収益力を改善してきました。なのになぜ今回、再び中型機を導入するのか? 集まった記者団からは案の定、そんな質問が出ていましたね。

西久保: ええ、予想どおり(笑)。うちは「航空ベンチャー」ではあっても「LCC」ではない。いつもそうお話ししてきたのですが。私たちは、単に1つのストーリーを進めているだけなんですよ。

──といいますと?

西久保: “低運賃の提供”というのは、もちろん最初の目標でした。そしてそれを維持できる体制が整えば、次は当然、クオリティの改善が目標になります。回転寿司でもカラオケボックスでもそうですが、どんな業界でもまずは安いものに利用者が殺到するでしょう。それが過当競争になると、次の段階ではクオリティを改善したところだけが生き残っていくようになります。

──2013年3月から羽田−福岡線に導入するA330-300は、西久保さんの言う「クオリティ改善」の象徴なわけですね。

西久保: 通常のエコノミーシートなら440席程度を設置できるA330-300のキャビンを、スカイマークは豪華なプレミアムシートのみのわずか271席でレイアウトしました。「グリーンシート」と名付けたこのシートは、従来のエコノミーシートに比べてシートピッチ(座席の前後間隔)を7インチ(約17.8センチ)広げています。

●高級シートとミニスカ新制服

──私も実際のキャビンで試してみました。なるほど、これまでのエコノミーシートとはまったくの別物だと思います。

西久保: 横幅も約5センチ拡大し、隣席との間のひじ掛けも両側から使える幅があります。腰の落ち着き感も悪くないでしょう。本当は革製のシートのほうが汚れを簡単に拭きとれるのでメンテナンスが楽なのですが、シート素材もあえて高級なファブリック製にしました。ノーマルポジションのときの背もたれの角度も3度ほど深くしてあるので、離着陸時もゆったりした姿勢でくつろいでいただけます。そのあたりにもかなりこだわったんですよ。

──このプレミアムシートを、従来の料金帯とほぼ変わらない運賃で提供すると発表されました。本当に大丈夫なんですか?

西久保: やるしかないです。生き残りをかけた大勝負ですからね。

──A330-300は、2015年までに全10機を導入予定と聞いています。具体的な導入スケジュールは?

西久保: 2014年3月から、まずは2機で羽田−福岡線を運航します。その後、8月に3機目を受領して秋から羽田−那覇線に投入し、年内には6機体制に。2015年中には全10機をそろえ、那覇線のさらに半年後に羽田−新千歳線への導入をスタートします。

──従来のボーイング737より席数の多いA330-300の導入で、運航便数の減便などは考えてるのですか?

西久保: 多少の便数の調整は今後、必要になるかもしれません。例えば現在、毎日11便を飛ばしている福岡線は、10便もしくは9便に減らす予定です。しかし那覇線や新千歳線は、そもそもそんなに多い便数ではないので、変化はないと思う。全体としては、福岡線のみ1便か2便を減らすという程度で収まると考えています。

──12月のトゥールーズでは、A330-300の就航に合わせたミニのワンピースの新ユニフォームも披露されましたね。マスコミ各社は大騒ぎです(笑)

西久保: 思った以上の反響に、私も驚いていますよ(笑)。でもこの制服はあくまでキャンペーン用で、福岡線、那覇線、新千歳線ともに着用は就航後半年間の限定です。「ずっと着せてくださいよ」と言う記者さんもいましたが、半年したら元のポロシャツの制服に戻します。
(続き)
●総2階建てのA380でニューヨークへ

──ところで、同じ中型機でも選択肢はいろいろあったと思います。注目のボーイング787や、エアバスが開発中のA350はスカイマークの新しい機材として候補に挙がらなかったのですか?

西久保: まったく挙がらなかったですね。

──では、A330-300に絞った理由は?

西久保: ずばり、安いからですよ。ボーイング787やエアバスA350は、新しいテクノロジーが搭載されて確かに快適なのだと思います。その一方で、そうしたニューモデルが市場に出てきた結果、もともと一定の快適性をもっていたA330の価格が相対的に安くなりました。われわれとしては、まさにいまこそクオリティの高いシートを安く提供できるタイミングだと判断して導入に踏み切ったのです。

──日本ではスカイマークが初めての導入になるわけですが、もともとA330-300も世界的に評価の高い機種ですよね。

西久保: そう思います。A330は誕生から多くの改良が重ねられ、同じクラスの航空機のなかでも1席あたりの運航コスト効率がきわめて高いモデルとして完成しました。大手キャリアを中心に、新規に導入する会社がどんどん増えています。その「信頼性の高さ」という点は、運航する側にとってとても重要な要素ですね。

──A330-300の導入により航続距離もぐっと延びるわけですが、いずれはこの機材で海外へという目論みもあるのでしょうか?

西久保: 確かにハワイくらいまでは飛ばせる飛行機ですが、私たちはA330については国内幹線だけでの使用しか考えていません。

──A330は国内線の柱とし、スカイマークの国際線はあのA380に託そうと。2014年1月に入って、スカイマーク塗装のA380初号機の尾翼がトゥールーズのエアバス本社に到着し、最終組み立て作業がスタートしたいうニュースが入ってきました。いよいよですね。

西久保: まだ具体的な時期は申し上げられませんが、2014年にA380の1号機を受領し、早い時期に成田−ニューヨーク線に投入するための準備を社員一丸となって現在進めています。

──「空飛ぶ豪華ホテル」といわれるあのオール2階建て機を全席ビジネスとプレミアムエコノミーのみの仕様で運航するというのが、とても楽しみです。それが果たして、どれくらいの運賃で提供されるのか? 長距離路線だけに、機内でのエンターテインメントなどのサービスも登場するのか? 検討を始めているとも伝えられるマイレージプログラムは? 取材したい点が山ほどあって、待ちきれません(笑)

西久保: ありがとうございます。A380については、導入時期の詳細なども含めて、改めてきちんと発表させてください。成田からニューヨークまでのフライトも体験取材していただきたいと思っています。
LCC 消える勝ち組 ピーチ、最大2000便減便
2014/5/4 7:00 日経産業新聞

 ANAホールディングス(HD)傘下の格安航空会社(LCC)、ピーチ・アビエーションは5〜10月に最大2088便を減便する。病気やけがで機長が不足し、夏場に予定した増便計画をほぼそっくり取り下げた。国内LCC3社の中で唯一の勝ち組と言われてきたピーチの失速は、日本のLCC市場全体にも影を落とし始めている。

■後見役ANAも余裕なし

 「支援と言われてもね。ファイアウオールや従業員感情もあるし、基本は彼らが自力で解決しないといけない問題だ」

 ピーチが引き起こした機長不足問題について、ANA首脳陣の歯切れは悪い。ANAはピーチに38.67%を出資する筆頭株主で、経営陣を送り込んではいるものの、発足以来、経営への関与を極力避けてきたためだ。

 大株主に遠慮して路線計画を立てていたのでは成長を損なう恐れがある。このためピーチは自主自立の経営を掲げ、全日本空輸と競合する路線にも積極的に参入。資本関係はあるが、従業員らは互いをライバルと認識し、それがANAグループ全体の競争力の向上にもつながった。

 ANAには2013年3月末時点で2061人のパイロットが所属しており、ピーチを危機から救うのは容易に思える。しかし、ANAは16年度までに国際線の運航規模を13年度に比べ45%増やす計画で、実は後見役のANAにもあまり余裕はない。むしろ将来のパイロット不足に備え、今年度から勤務体系を見直して平均乗務時間を延ばしているほどだ。

 そこに突如として降ってわいた機長不足問題は、ANAグループの「両輪経営」を大きくきしませている。実はピーチが大規模減便の緊急記者会見を開いた時刻には、ANAは10年ぶりに刷新する新制服のお披露目会を開いていた。ANAの事務方は直前までピーチの動きを把握しておらず、ピーチが大株主の晴れの場に水を差す形になった。

 日本航空と豪カンタスグループが出資するジェットスター・ジャパンとANA全額出資子会社のバニラ・エア(旧エアアジア・ジャパン)を含む国内LCC業界は「1強2弱」と呼ばれ、ピーチは唯一の勝ち組と見られてきた。

(続き)
■パイロット引き抜きが常態化

 実際、ゴールデンウイーク期間中(4月25日〜5月6日)のピーチの国内線の予約率は4月18日時点で70.0%と、バニラ・エアやジェットスターを大きく上回る。それだけにレジャー需要が本格化するこのタイミングでの大規模減便の発表は、ピーチに対する消費者の信頼を大きく傷つけた。

 今回のピーチの減便数は同社の全便数の16%に当たる規模で、最大で2万6175人の予約客に影響が出る。国内では08年6〜8月にスカイマークが機長不足を理由に633便を減便しているが、ピーチの減便はこれを上回り過去最大の規模となる見通しだ。減収額は最大30億円となる。

 ピーチは夏場の増便に向けて10月末までに62人の機長を確保する予定だったが、世界的なパイロット不足を背景に採用は難航し、4月24日時点の機長の数は52人。加えてLCC業界では副操縦士を含むパイロットの引き抜きが常態化している。

 同社はもともと3人の病欠者が出ることを想定して夏場の増便を計画していたが、2月以降、病気やけがで8人が乗務できなくなり、運航計画の修正に追い込まれた。井上慎一最高経営責任者(CEO)は「お客様を第一に考えた結果、6カ月間はこの措置を取ることにした」と釈明するが、人材面で綱渡りを続けていたことは、同社のブランドイメージを低下させる恐れがある。

 4月28日には同社機が那覇空港に着陸する際、海面に異常接近する「重大インシデント」も起きた。

 ピーチは業績予想や月次搭乗率を開示していないが、13年度はLCCの中で初めて営業損益が黒字化したとみられている。関西国際空港を拠点とするLCCはピーチだけで、他のLCC2社との運賃競争に巻き込まれずに事業運営できたのがその要因と言われる。

 ただ、これまで成田空港を拠点としていたジェットスターは関空を第2の拠点とする計画で、6月から10月にかけて成田―関西線などの一部路線を増便する予定だ。業界最安値を掲げ、積極的に価格破壊を仕掛けるジェットスターの参入で、ピーチは厳しい競争にさらされることになる。新興国市場拡大で機長不足が深刻になる見込みだが、ジェットスターは海外のグループ企業との間でパイロットを融通できるため「現時点で機長不足の懸念はない」という。

 6月末には中国最大のLCC、春秋航空が傘下の春秋航空日本を通じて国内線に参入する。13年にANAHDとの合弁を解消し、国内LCC市場から撤退したマレーシアのエアアジアも15年をメドに再参入を目指す。LCC時代が到来してわずか2年で過当競争の様相だ。国内勢は1強2弱から3弱となるのか、最後の勝者は誰だ。
世界で広がる「脱LCC」の波
競争のステージが変わった航空業界
2014年9月4日(木) 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140903/270766/?P=1

(一部抜粋)
 ノルウェジアンとは欧州のLCC大手で、北欧地域ではスカンジナビア航空に次ぐ第2の勢力を持つと言われている。LCCは通常、航空運賃に機内サービスなどは含まない。航空券の変更や座席指定、フライト中の飲料や食事のサービスなど、フルサービスキャリアが無料で提供するサービスを有料化している点がLCCの特徴だ。

 ノルウェジアンも、基本的にはLCCモデルを踏襲し、サービスを絞り込んでいる。しかしその一方で機内のインターネット接続を無料にするなど、ユニークな試みで乗客を増やしている。つまり機内サービスに付加価値を付け始めているのだ。最近は大手のフルサービスキャリアの牙城だった長距離路線への進出を検討しており、欧州〜北米路線に参入すべく調整を重ねている。

 欧州の大手LCCの1つであるイージージェットも、数年前からは、航空運賃の安さだけでなく、LCCにはなかった付加サービスを売りにしている。例えばLCCの場合、いったん購入した航空券は払い戻しできないことが多い。仮に乗客が搭乗予定の便に乗り遅れれば、航空券を改めて買い直さなくてはならない。乗り遅れても、次の便に振り替えられたり、購入後に便の変更ができたりするフルサービスキャリアと比べると、使い勝手の点では劣っていた。そのため予定が見えづらいビジネスパーソンなどはLCCを敬遠していた。この問題を解消すべく、イージージェットはチケット変更ができたり、優先搭乗を受けられたりする有料サービスを導入。サービスを拡充することで、単なるLCCから脱却しようと試みている。

 中東のLCC、フライドバイに至っては、ビジネスクラスを設けると同時に、拠点とするドバイ国際空港にビジネスクラス向けのラウンジを開設。ビジネスクラスの利用者向けにバスの送迎サービスを用意するなど、サービス内容は着々とフルサービスキャリアに近づいている。
香港エクスプレス航空の羽田便は到着が朝5:05、出発が6:20
出発便利用者は前泊が必要
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アジア発中長距離LCCが日本を攻める
観光、出張、親族訪問ニーズを狙う
2014年9月17日(水)日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140912/271204/?P=1

(一部抜粋)
 香港を拠点とするLCC、香港エクスプレス航空も日本への乗り入れに積極的だ。機材は小型機のエアバスA320型機(174席)で、日本国内のLCCが使う180席仕様よりも1列分、座席が少ない。東京からは約5時間、関空からは約4時間半と、フライト時間が短いので、たとえシートピッチが大手よりもやや狭くても、許容できる範囲内だろう。

 同社は2012年10月まで、関空〜香港間を、フルサービス航空会社として運航していた。だが2013年6月、香港エクスプレス航空自体が、そのビジネスモデルを転換して、LCCに変わった。LCCとして再出発した後は2013年11月に羽田と関空、2014年4月に福岡に就航している。さらに2014年9月25日から中部空港に1日1往復乗り入れれば、日本の就航都市は4つ目となる予定だ(羽田便と福岡便は1日1往復、関空便は1日2往復で運航中)。

 しかし、現状ではウェブサイトが日本人にとって使いにくく、日本発便の6〜7割が旅行代理店経由の販売になっているという。

 旅行代理店経由でLCCの航空券を販売すると、どうしても直販と比べると高くなりがちだ。しかし香港エクスプレス航空の場合、それでも日本〜香港便は大手のほぼ半値(燃油サーチャージ含む)。羽田便の場合は、早朝発着と利便性では大手に見劣るが、それでも運賃を優先して航空会社を選ぶなら、選択肢に入るだろう。
格安航空、東南アで進化 エアアジアCEOに聞く
2014/12/26 23:00 日経

マレーシアに本拠を置く格安航空会社(LCC)、エアアジアのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は21世紀の東南アジアを代表する起業家だ。日本経済新聞のインタビューでフェルナンデス氏は「格安サービスで新たな事業に挑戦する」と述べた。ホテルや通信、保険へと事業を多角化し、東南アジアに住む6億人の消費の裾野拡大を支える立役者となる。

 「アジア全域でLCCを展開するのは我々だけだ。社名を見てほしい。我々はエアアジアだ。(合弁会社を設立していない)ミャンマーやラオス、カンボジアにも進出する。北アジアの拠点は日本、南アジアはインドに据えた。アジア最大のLCCとして路線網を広げる。2015年は札幌、ハワイ、ロンドン路線を就航する」

 エアアジアはグループ全体で約220路線を運航する。最大の強みはアジア域内に張り巡らせた路線網だ。タイやインドネシア、インドに合弁会社を設け、各国の国内線で運んだ乗客を国際線に誘導し、6億人の航空需要を丸抱えする。

 実質創業した01年は東南アジアの航空便に占めるLCCのシェア(座席数ベース)はわずか3%強だった。大手航空会社の半分以下の運賃を武器に瞬く間に市場を開拓した。今ではLCCのシェアは6割弱に達した。

 だが、足元の業績は厳しい。「アジアで台頭するLCCとの競争は大歓迎」というが、13年12月期の純利益が前期比で半減した。路線網の見直しは急務で、オーストラリア路線などは縮小する。機内の空きスペースを利用した小口貨物運送サービスにも参入し、運賃収入以外の拡大を目指す。

 「5歳の時に航空会社を持ちたいと思った。普通はパイロットにあこがれる時期だ。資金も信用力もないなかでエアアジアを立ち上げ、独占市場を崩した。政府や規制当局は変化を嫌う。でも慣例を変えないと革新なんて無理だ。エアアジアはアジアの人々の暮らしを変えた」

(中略)

 米ワーナー・ミュージックを経て航空産業に参入したのは2001年。多額の借金を抱えていた旧エアアジアを1リンギ(約34円)で買い取り、古い機体2機でサービスを始めた。創業当時はマレーシア運輸省から運航認可がおりず、同省の建物の前で7時間も座り込んだ。就航に難色を示すシンガポール政府に業を煮やし、新聞広告を使って同国政府を批判したこともある。

 エアアジアは機内食を有料とするなど新しい事業モデルで、LCCの最大の強みである安い運賃を可能にした。客層を広げたことで「観光産業が育ち、中小企業経営者や学生が海外に飛び立つのを後押しした」という側面も持つ。LCCは地方都市間を結ぶ路線にも広がり、マレーシア北部ペナンの病院はインドネシアの地方都市から訪れる患者でにぎわう。LCCの普及は新産業を生むきっかけにもなった。

「エアアジアのスローガンは『誰でも空を飛べる日が来た』。次は『誰でも生活スタイルを選べる日が来た』にしたい。ホテルなど新事業を始めた。次の夢は誰もが利用できる病院と学校の経営だ」

 格安航空から「格安複合企業」へ――。フェルナンデス氏の次の狙いは格安ビジネスの進化だ。傘下のチューン・グループはホテルや携帯電話、保険事業に参入した。例えば格安ホテル「チューン・ホテルズ」の基本料金に含まれるのは宿泊だけで、エアコンやタオルを使うには追加料金が必要になる。LCCモデルを応用したものだ。

 すでに保険会社チューン・インスは株式を上場し、チューン・ホテルズも近く上場を目指す。また、病院と学校も非効率産業の代表とみており、「人々には学び、健康になる権利がある」として参入する意向があることを明らかにしている。LCCの普及で新しい産業が生まれている。

 「ANAホールディングスとの提携で学んだのは他の航空会社とは二度と組まないということだ。王が2人いれば、必ず1人は倒れる。だからスカイマークとは組まない」

 エアアジアの日本事業は曲折を繰り返している。ANAと組んで11年にエアアジア・ジャパンを設立したが、13年秋に運航を休止した。低迷した理由の一つは日本の消費者が求めるきめ細かいサービスに欠けたことだ。もう一つがANAとの対立だ。慎重な事業展開を求めるANAとの温度差は開く一方だった。

 LCCの普及が遅れる日本市場の開拓はフェルナンデス氏の悲願だ。楽天やノエビアホールディングスと組んで新生エアアジア・ジャパンを立ち上げた。国土交通省との調整に時間がかかっているが、それでも「15年末までに運航を始めたい」としている。「遅延が多い」などの批判にどうこたえるかが成否を握る。
謎多き墜落事故で揺らぐエアアジアの日本市場”再起”
価格破壊の革命児、トニー・フェルナンデスCEOの拡大路線に打撃
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42613

(一部抜粋)

ただ、悪天候と墜落の関連が注目される中、実は事故機の周辺には他の航空機数機が飛行していたが、悪天候の報告がなかった。いずれにしても、真相究明にはブラックボックスや機体の回収と分析が欠かせない。

 また、当初の離陸予定時刻は午前7時30分過ぎで、出発時間が2時間早まったという。結局、搭乗できなかったインドネシア人の家族が「不幸中の幸いだった」と明らかにし、「早朝の出発時間の異例の変更」への謎も浮上。

 さらに、3日夜、インドネシアメディアの報道によると、スラバヤの空港で離陸前のエアアジア機のエンジンが突然停止する事態が発生。同機はインドネシアのバンドン行きで、離陸に向け走り出した直後に停止。乗員乗客約120人にけがはなかったが、乗客は大混乱になったという。しかし、フェルナンデスCEOはツィッターで「安全確認のための停機だった。メディアの反応は『Silly』(ばかげている)」と一蹴した。

 一方、エアアジア系列のマニラ発カリボ行のエアアジア・ゼスト機がスラバヤの墜落事故後の2日後、着陸時にオーバーラン、未舗装の草地で停止したが、乗員乗客159人にけがはなかった。同機は今回、墜落したエアアジア機と同型のエアバスA320だった。また、タイでも同日、タイ・エアアジア機がドンムアン空港から同国内の別の空港に向かう離陸直後にドンムアン空港に引き返すなどアクシデントが続いた。
スカイマーク破綻を招いた下手なモノマネ&広報、LCCで唯一ピーチ好調の戦略的理由
http://biz-journal.jp/2015/03/post_9230.html

(一部抜粋)

 ここで思い出してほしいのだが、12年に物議を醸した「スカイマーク・サービスコンセプト」には「客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております」とはっきり書いてあった。ミニスカートの乗務員が緊急時に主要職務とされる保安業務をどう果たすのだろうか。まずジャージーに着替えてから対処するとでも言うのだろうか。

 確かに、サウスウエスト航空も、最初はホットパンツとゴーゴーブーツを履いた女性乗務員で有名になった。地方の小さな格安航空が営業を開始してもメディアは取り上げてくれないため、ホットパンツとゴーゴーブーツで名を馳せた。しかし、それはあくまで70年代のことだ。当時はミニスカート全盛時代で、ホットパンツもゴーゴーブーツも乗務員の制服としては異色だったためニュースになったが、当時の流行のファッションだった(ちなみにホットパンツは71〜72年に日本でも流行している)。また、セクシーな制服は、「Love Airline」として「Love」をウリにしていたサウスウエスト航空の企業テーマにも合っていた。

 そういった歴史を考えると、スカイマークの14年のミニスカートは時代錯誤としかいいようがない。それ以前に、サウスウエスト航空が有名になったひとつの要因だけを取り上げ、ほかの要因や背景と関係なしにマネする行為は、マイケル・ポーターが言うところの「下手な模倣」だ。

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