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インチキ詩人の語り部屋コミュの〜インチキ詩集〜

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インチキです。普通書いてる詩じゃなくて、

[人に読ませる気が無い詩]

、を書いてみようではありませんか。
↑↑↑口調(文面)がなんだか誰かに読んでもらおうという感じが残ってますが、まあ、自分本位で書いてくれということです。

どうぞ。

コメント(34)

『黒い空』

やぶれ、黒い椅子
ななめ、そっぽを仕事
詩に書いている
のか?
否、
質問なんか無い。
あるのは、空っぽの椅子を見ている俺。

『時は刻々と過ぎていくのだ、が。』


親父が死んだ
悪魔は、いる
何処かでジイさんを見れば
何で、この人が生きていて
親父が死んだ

ロシアンルーレットは音もたてず
腹の中に潜む

俺も

あと何年生きられる

親父が死んだ
医師のデクレッシェンドに沿って

俺は死の恐怖が少しだけ薄れた
ただ、命、もったいないなと
も少しだけ頑張りたい

思うのは妻のことだけ




種火がある

消えていないが


燃えてもいない


    』







灰に包まれた肺は
力無く咳を押し出して
出すものも無く




過去の爆発が俺の爆発の起爆装置を爆破して爆睡している



いや、
一瞬の消滅が俺をじわりじわりと圧力をかけて消滅させず、爆発もさせず




種火は燃えもせず







『意思の変化』


これらの詩が他人にどんな感動を呼び起こすかなどということは自分にとって何ら意味を持たない

箱の中身が俺の指に噛みつくか引っ掻くかあるいは舐めるのかでもなくそれを俺がどう感じるかということだけのため

否、

そう言いながらもこれを今後の糧にしようと墓を掘り返すブラームスが見える



『インチキをハッタり』


ブラームスと書いてはいるが、
これもアヤシイ
いい加減な記憶と
いい加減な感性で
いい具合な芸術をうみだせる
筈もなく
ただ調べて書き直すつもり
もないものを
言い訳がましく
マチガイが有り得る
ということを
玉露でも淹れて
はいどうぞ
な俺のハッタリは
インチキ



雑草



病院の駐車場の端、縁石の足元にほこりがたまり、雨に固められて草が生える。いろんな草が次々に生え、虫の森になる。
ヒバリが何かをくわえてグリーンベルトを歩く。

フェンスの先の荒れ地には、掌を空に向けるように幾つもの木が立っている。風が枝を揺らしている。

小山の森のてっぺんに突き出た高い木は大きく揺れて、森は穏やかな海のようにゆったりと波うっている。

おにぎりを頬張りながら車の中、クーラーの風に当たる左手が寒い。曇り空は、フロントガラスにまだらな水玉模様を作り始めた。

病院からは見舞い客が出てくる。そろそろ診断書をとりに行くとするか。




『普通の人』


軽トラが病院のエントランスを通りすぎる。

身障者用スペースには2台停まっている。

タクシーと表示されたスペースに普通車が2台。

角を曲がった所で軽トラが駐車する。

降りてきたのはO脚のお婆さん。左右に揺れながらゆっくりと歩く。

歩く。

おじさんが速足で車に乗り込み身障者用駐車スペースを出ていった。

普通車の若い奥さんがタクシースペースにバックで駐車を完了した。



猿の腰かけ



20年前、田舎道を車で走っていた。両側の竹林が道にかぶさり、薄暗いトンネルを作っている道路を通りかかると、沿道の切り株に猿が腰かけていた。彼と目が合った。国道3号線から1kmしか離れていない所だった。猿の行動範囲に頭を巡らせた。

今、この道路の竹は伐られ明るくなっている


何処まで目をこらせば宇宙の線上に君を見つけられるだろう。あるいは、私が見つめているものは私の後頭部なのかもしれない。

『重役出勤』


向かいの子供が口をよこに大きくあけて
やはり小さな友達に何か叫んでいる


私は遮光カーテンで作った夜の縁で
皆と逆方向へ進んでいこうとしている
エアコンをつけなければ
数時間もすると昇る太陽の熱が
汗と一緒に私を連れ戻すだろう


翌日期限の仕事を片づけて
朝日に追われながら帰路につく
ラッシュの時間を待っている対向車線を
目蓋の落ちかかる目で見ている


『本当は』

人は感じたもの全てを覚えているらしい。
物凄く辛い出来事は脳が忘れたふりをする。
産道を通る記憶を幼児の頃まで覚えていることがあるらしいが、
消えたよ、と騙してくるのは
脳の中にいる大きな愛の仕業か。
辛い出来事は忘れたい。が、
失恋の記憶が残ってるって事は
大した事じゃないって事か。
大きな愛は分かっちゃいない。

『魂のゆくえ2』14/08/08


また書くよ

1+1=3
は、間違いなんです
1+1+(1)=3
でしょ?

生まれて来る子は
どこから来るの?

針が全くの0を指しているかと思えば
ほんのちょっと1の方にずれて

0.0000・・・(限りなく)・・・0001

×(∞に限りなく近い)
=1
になって
おぎゃ〜

おぎゃ〜が、ちょっと時間が経つと
白髪になってコトリ。

3=1+1+{0.00・・・(限りなく)・・・001 }×(∞に限りなく近い)

散ってしまった命は
生まれる前の、集まる前になって
0ではなく、
あの世という異次元に行くのでもなく、
愛する人を包む宇宙になる

母ちゃんは父ちゃんを持ち出して
TVを観ながらいつも話しかけてる




『何でもない』


生きているというには走っていない
心臓は時々つぶやきを止めるがまた
脳ミソは半分遊んでいる
血液はいつまでも赤い
しかし俺は赤にネズミ色を混ぜて
おにぎりの包みをはずそうかどうか
面倒くさがって
スポーツもしないのに
アイソトニック飲料の蓋をあける



『懸想文』141018


  懐に狗のひそめし懸想文
   恋ふるをみなを想ひつづるに


*かろき小男ありて
誰そ知らねど
いと*やむごとなき*際に見えたる方
我が狗になれ、とのたまひて
褒美を与ふること*結びたるゆえ
男、一日を暮らしかぬるよしにて受けたり
銭なる綱にくくられて
あるじの命を重んずる狗になりけり


ある日の昼つ方
*おもき方、男に命じたる事ありき

大きなる*亭のあるじが*夜殿を見つくること
もし捕らへらるることあらば
つくりものの懸想文をばとり出だすこと
和歌はみずからよみて
歌よみをして書かせしむること
*実知られたれば自害を*くはだつること
問ひに*おつらば*家内の命あらざらむこと

男*おぢまどひけれど如何はせむと
恋ふる女を想ひてよめる歌


 春の夜に舞ひちる花の立ちかくす
     空のいづこに月やどるらむ


十日後の*夜半
男、亭に忍びたりけり
月影さやけき庭ぞ*まかりぢに見えける

あな、口惜しや、狗ぞほえたる
すなはち亭より番出でたりて捕らへらる
はたと思い出づるは懸想文
頼まれしものとて懐よりとり出だせば
亭に姫はおらぬとぞのたまいける
ところ*違へてけり、と申さば
一同にうち笑ひけり
何と
と夜殿と思しきより出でし方おもき様なり

*許られし男*なくなく帰へり来るは
懸命によみける懸想文を
*没収せられしゆえなり

あるじより褒美をたまいけるが
綱こそ解かれざりにける


―完―


〔註釈〕
懸想文(けさうぶみ)=恋文に短歌を詠み内容に纏わる草木を添えて使いに持って行かせる物
狗(いぬ)=(犬=嗅ぎまわる者)=密偵
をみな(女)=若い女性
かろき=身分の低い
やむごとなき=おもき=身分の高い
際(きは)=身分
結び=約束し
亭(てい)=屋敷
夜殿(よどの)=寝室
実知られ=正体を見破られ
くはだつる(企つる)=実行する
おつらば(落つらば)=白状すれば
家内(けない)=家族、一族
おぢまどひ(怖ぢ惑ひ)けれど如何はせむ=恐れうろたえたがどうにもならない
夜半(よは)=夜中
まかりぢ(罷り路)=冥土への道
違へ(たがへ)=間違え
許られ(ゆられ)=(ゆるされ)解放され
なくなく(泣く泣く)=泣きながら
没収(もっしゅ)
「伝言」わたしのことはもう心配しないで。ちゃんとやっているから。ありがとう。
「追伸」いろいろ心配かけたけどもう大丈夫。安心して下さい。
「追伸」ありがとう。ありがとう。ありがとう。

『潮―usio―』141019


月は愛をうばわれ青くさびしく
太陽は恋をしても近よれない
この星に満ちる穏やかなるものを
二人は分け合う夢をみて
みずみずしい星にさよならを
ほら
と手をのばせばそこに居ず
なみなみと注がれた水が
残るばかり

 

『闇夜』141020


温かくて柔らかくて清らかな
白い花
両手ですくいあげようとしたとき
ササクレ立った黒い手は
ただ影にしか見えなくて
実体のない闇の一部でしかなくて
触れることもできず
遠くに行こうとする光を
追いかけるだけ追いかけて
時が経つにつれて
長くなっていく影に引きずられ
走り続けてやっと届いた花から
こぼれた露は
影に沁みこんで
そして
闇夜になった





『アーモンドチョコレート』141020


アーモンドチョコレートーッ!
右手の公転周期がはやまる
突き出したアゴにおさめられた
黒いカーテンをめくると
僕の惑星に落ちたいと
チョコレート色の
(チョコレートーッ!)
隕石が引力で声をひっぱる
周回軌道を帰る右手がせまる!
大気圏に突入する時に放つ
虹色のかほりが
(ハフハフ)
僕の地上にクレーターをつくって
脳ズイにまでひびく音をとどろかす!
カリーーンーーー
地を這う波動
大気を震わすチョコレートと
(チョコレートーッ!)
アーモンドの
(ぬアーモンドーッ!)
かほりが
(ホハー)
溶けあって
チョコレートーゥはとろり
自然の法則が、慣性の法則が
アーモンドーゥを小さく小さく
kかmみkくdだiいtてe、
そしtてまたa、みぎt手eは
Wホhワiイtトhホoーlルeへと
旅立っteいくuuー






『 0 ―rei― 』141027


そこに0が居る
そいつは真性という夢物語ではなく
現実のほこり高き尊い0
無いという幻想に惑わされて
誰もそいつが見えない
しかしそいつは確かに居て
再生の時を待っている


伊勢物語第二十三段異譚『井筒越へ』
               141028

子どもありけるが、
むかしなるか いとあやし
人なるもぞ いみじくあやしき
かの子ども、井筒をこへけるは丈ならず
筒井にて跳ねありきけるは
足生えにけむ
髪、肩すぎぬといへどもさはあらざらむ
うで生へにけむ
井の中より出でしあをき身の
かはづやありけむ

さて、かはづどもあひにけるが
をとこ、河の見まほしく覚えければ
河内にいかむとぞいひてよめる

 大きなる河内ぞみずのながるるを
  ながめて我のおとがいおちむ

をんな、世にすさまじきものなりとて
井にいりにけり





※冗譚なり

『激熱』141028


好きだ
好きだ
好きだ
好きだーっ、て何回何百回念仏のように唱えてもどうにもならないのに、布団をかぶれば



のように目の前をチラついて、真っ暗闇の中の僅かなひかりをすべて集めて

笑み

どす黒い井戸の底で燃え滾る熱情の赤い血の爆発をあばら骨が必死でこらえていて、俺は黒と白と氷と火とを行き来して体がすり減ってしまう

ばかやろう

違うそうじゃない
もぎ取られた心臓の半分が恋しがる
細胞が粉になって宇宙に飛び散ってあなたの粉と混ざるまで俺は赤く滾りつづける




『雨になって』141028


灰色はふちどりが溶けて
たった今のぼる太陽に色づきはじめる
芯に灯された命のきらめきに
体温を宿して
雲で覆われた空は青くやわらぎ
草原に花が咲く
私は雨になって大地を洗い
さらに低いところへ潜り込む
光が私のカケラにとりこまれ
緑の上でころがって弾ける
いつまでも、何度でも降りてくる
光絶えるところまで


『詩で空腹を癒せるか』141029


今日は仕事を早めに切り上げて、居間の模様替えのために買っておいた棚を組み立てた。数時間で出来上がったが、夜も更けて、腹が減ったので弁当を食べはじめた
(旨い)。半分ほどのところで(こりゃ少ないぞ)、量が足りない事に気付き、どうしたものかと思いつつ平らげてしまった。

喉はツバメの雛になっている
どうしたものかと親鳥は考える
浅知恵は瞬間
詩でお腹が満たせないものか
我ながら馬鹿馬鹿しくもあり
しかしながら興味深い

「まぁ、魔法みたい♡」と
お客が言うのを鵜呑みにして
人とは違う私のパワーが
魔法であるとすれば
食べものだって簡単に出せるはず
呪文の代わりに目をつむる

壁は光にすけて真っ黒にならない
強く目をつむると闇に似る
黒い壁はミリからメートルに遠のき
眼球をはなして無限大まで遠ざける

宇宙の果てはすぐそこまで来ている
振りかえれば地球は零になって
遠すぎる私を記憶していた者は
零をすり潰して吹き飛んだ粉でさえない

私は宇宙である
と同時に全能の神である
時を超え
次元の枠を選ばず
全てが私の腹の中に存在している
足りない物など何も無く
宇宙の果ての闇の殻の中で
零と最大を含んでいる

妻がコーヒーを淹れてくれた
胃に流し込む黒い液体で
宇宙は更にふくれあがる
ふくれあがっている
煙草に火をつければ
混沌の世界がまた
新たな産声をあげようとしている!

妻が魔法使いなのかもしれない



『虚水』130714〜141101


透きたる壁にかくまれて
すぎたる水に漬かさせて
おもき衣を引きしろひ
うるはしき赤、いつはれり

光あるうち懸命に
身をばけづりて揺り游ぐ
目皮の閉づるよひやみに
とこに逃ぐるは青をとこ

さかづる心もちたれど
今はあたはず真砂にて
夢路にかよふ川くだり
黄なるなみだを流しける



かく(囲)まれて
漬(つ)かさせて=浸けられて
引きしろひ=引きずり
うるはしき=鮮やかな
いつは(偽)れり=嘘をつく
けづ(削)り
目皮(まかは)=目蓋
とこ(床)=寝床
青(あを)をとこ=若者
さかづる=目尻が上がる、腹立たしい
黄なる涙=くやし涙(動物が流す血の滲む涙

『いなか都会』141101


扉は左右にひらき
私を中洲にして人が流れていく
降りそそぐアナウンスの滝が背をおせば
車内を出ていく匂いと押しこまれる匂い
見知らぬ世界はとざしたままで
たまごが当たらぬように整然と
550Hzはやさしく通り
オーケストラのチューニングと咳払い
ひとかけらの過去に引かれたあと
静かにレコード針をふるわせる
よぎる白い鉄柱が急ぎはじめて
間もなく青い空
可笑しな顔したビルが首をのばす
空をうつした川が見えると
突然の悲鳴と
影が目まぐるしく
子供はひっきりなしに首をふり
おしり
片足がひっくり返えっておちる音が浮き立つ
ママが耳うち
胸のキャラクターは勇敢に
黒い目がふたつ
天井のポスターは変わらずゆらり
隙間の田んぼが遠くまでつながって
立ち上がる雲はクッキリ
黒い目がふたつ
私を取りもどしたニコちゃんに
そっぽ向きながらチラリ
いたずらな眼差しと口一文字
割って入るアナウンスと緩む床
未来にもたげる乗客のからだが
もう一度ひとかけらの過去を覗くと
ひらいた扉から滝に入る前に手をふって
一文字は三日月に
ママの影で白いモミジがふるふる
そして私は川になる



『終わらない水の旅』141102


地の底に行った水はどうなるんだろう
宇宙空間に拡散される水より幸せだろうか
思ってもみない重力に潰されながら
地殻で身をほそめ
先に着いた水にのけ者にされた小さな水は
いつかマントルに出くわして
亜、とも言えない瞬間に
消し飛ぶと思いきや
煮え滾ったまま
グラグラ、グラグラ堪えきれずに
弱い地殻を舐め回る
見つけた瞬間の速度
膨れ上がりながら全てを押しのけ
爆破!
解放された水は再び空で癒され
今度こそは美しい川を目指して

課題詩『バベル街の異殺』
2014年11月02日19:27
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全体に公開
1988年秋
未知なるものに出逢った
私はまだ二十歳
上層世界を見渡せば
雑草がかろうじて生えていて
横一線に並んだ男とも少年とも言えない半端者どもが
何も知らずに首をふらつかせて笑っていた
夢を語る者もいず
巨人の囁く夢をうのみにして
門を出された後
皆ぞろぞろと歩いた
同じ方角へ
暫くするとしびれを切らした一人が走り出す
私は空を仰いだ
灰色が全てを覆い一欠片の陽もない
辺りを見回すと私一人
歩くほかはない
遥か後方に退いた門はすでに閉ざされていた
行けども同じ景色に私は空想にふける
赤い血が滾る時
青くぼやけた中心の先に立ちのぼる湯気
その先にある暗闇
はっとして見渡すと荒野
再び空を仰ぐと雲が近づいている
前方に黒い点
足が早まる
黒い点は変わらない
やがて走り出す
地面が上り坂になっているようだ
空は手に届きそうなほど近い
走った
息を吸い込むことさえ忘れて走った
疲れを知らない足が高速で回転している
黒い点は点ではなかった
おびただしい数の人だかりが
一本の梯子を奪い合っていた




*あるサイトの「無茶振りタイトルで書く詩」への投稿分。「異殺」の意味分かりません。字面のイメージで書いてます。

『破裂』141103


手も足も突撃を欲しているが
脳天から送られる信号のために
沸騰するカタマリが
釜の壁を激しく鳴らしている
振動は見破られているが
扉を開けるわけにはいかない
破裂しそうな壁を鎖でしばりつけ
一瞬で気化する氷を噛みしめながら
頑強な箱へと向かう
視界のすべてにヒビが入っている
たった今マスキングした場所で
一気に壁を破壊する
粉々になった破片ははねかえり
落ちた足元で
鋭角に刺さっている



(「怒り」を表現 )

『妹』141104


容姿に恵まれた姉のうしろで
妹はいつも泣いていた
姉にいじめられたわけでも
恨んでいたわけでもない
ただ自分も姉のように生まれていたらと
光のあたる姉の影になって
目立たないように

姉は何でも手際よくこなした
妹はママにおこられないように
服を汚さないように
顔いろをうかがって
ある日妹は病院にかつぎこまれた
左手に巻かれた包帯が
痛々しくて

母は抱きしめ声をあげて泣いた
真実を目のあたりにして
これまでを恥じ
全てを受け入れて
母は今日の日を待ちわびていた
姉に三年おくれて
妹の晴れすがた




(喜びを表現)

『迷子』141104


稲妻にサいた地の底の
やみの記憶が脳髄をつく

黒い点に固執する男のまなざしは
オしつぶされた世界に染まりつくして
宇宙のはての住人と通じている

天井の細長い恒星をよりどころに
カシャカシャと機械になって
まなこを通る色を記録しながら
抜けだした過去の信号をはじきトばし
幼児の草原にころがっている

男は腹にブラックホールをこさえて
命のドーナツをかかえて笑っている



(哀しみを表現)

『ケン坊の記憶』141106


あのケンちゃんの名前は、
ユウちゃんでも
ショーンでもいいい

顔の表情がいつもより大きく変わると
(別人みたい)で
〈ケンちゃんだよね?〉と訊きたくなる

眉があり、目があり、鼻、口、

「おばあちゃん、久しぶり〜」
《どちら様ですか?》
「え〜っ、ケンだよ」
《あ〜、ケン坊ね!よ〜う来たね〜》

眉があり、目があり、
呼びなれた名前の孫との思い出が蘇る

《早よう彼女ば作らんばね》
「俺はもう、結婚して子供がおるばい」
《あいや、そうねぇ、そりゃ良かったぁ》

眉があり、目があり、
写真たての人は誰か

《あん人が誰じゃいろ分からんとさ》
「じいちゃんたい、愛する砂夫さんたい」
《ありゃっ、砂夫さんね》

《今度ケンちゃんの写真ば持って来てくれんね》

眉があって、目があって、鼻があって、

「よかばい。じゃあまた来っけん」

『卒業写真』141107

僕等が互いに見つめあった視線は、最後には、それぞれが同じ方向のそして別々のものに注がれた


『エヌとエス』


出逢った瞬間から引かれ合い
近づくほど強く
合わさった時は一個の物であるかのように
ところが二つはそれぞれに革が貼られていた
ある時、革の間がこじ開けられ
二つは離れてしまった
裏返され離れていく一つに対し
もう一方は別の方向へ遠ざかる
力を無くした一方は
やがて鉄の壁に付き動きを止めてしまった
一つはあちこちでさまよい
そしてふたたびもう一方に出逢った
しかし一つは離れた時のまま
どんなに強い風が吹いても
近づく事は出来ない
また一つがさまようかと思われた時
もう一方が鉄の壁からすべり落ちた
そのはずみで裏返り
ぶつかる時にまた引かれ合い
そして合わさった
金属の壁のすき間で
二つは二度と離れないだろう



結構インチキくさい詩(詩か?)を書いてるなぁ。
さて、久々。


『騒音』160313

ワンルーム

テレビが左の窓から無神経に忍びこむ
0時はとっくに過ぎている

右の窓からは国道の合奏

黒くて見えない床の下で
ゆるやかに跳ねるように
心臓

両窓から、否、
部屋の中
壁から
あるいは部屋の中心から
針の穴を通るハウリング
地面の土が死んでいく音
あるいは宇宙を探る音

細胞が「だまれ」と騒いでるのか
やはり宇宙の音をとらえたスピーカーの音か

無音など存在しない
あるとすれば
否、無いから無音

無を探る音が聞こえる



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