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インチキ詩人の語り部屋コミュの〜インチキ一文短編集〜

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140字以内の一文小説を書いていきます。
《狙い》読点前の繋ぎの言葉を多彩に使用して、滑らかで美しい文が書けるようになるための訓練に!

コメント(11)

『別人の記憶』

 数十年隔てた私の細胞は、極小さなリセットをし続け、総てが入れ替わっている筈だが、過去の美しく悲しい記憶は徐々に劇的にコピーされ、総ての細胞が一度にリセットされるまで高みを増し続けるのだ。
『燼滅(じんめつ』

父の目に映った西の空は、倒れ逝く陽に灼かれ、誰の頭上にある雲か、朱くただれて、いずれ闇に飲まれていく僅かの間、父が言ったように、「世界の末期」に全てのエネルギーを燃やし尽くす命の解放を演戯していた。

『私は空を飛べる』

雨は雲の成れの果てとして、空に大量にあったものが地面に落ちるのだから、私の重量くらいの雨の代わりに私が空に居てもおかしくないだろうということで、私一人くらい生身で空を飛んでいても何ら不思議なことでもないだろう。
そんなつもりは、なかったときみの髪を撫でながら、膝をつく河川敷は冬の音が轟いていて、きみがゆっくり身を離すとたんに凍てつく空気を集めて光るナイフが落ちた、とともに溢れ出す赤い何かと、わたしの手のひらに、これはなんだ、ああ臓器、じゃないか、温い、
真夜中なるは、おもちゃたちの時間ですよ、よい子とよい大人はおやすみなさいませ、ほらほらあの子が泣いている、コキンちゃんがたちあがり、あるきだした、ちいさな足で、夜が明けるまでにかえらなくっちゃ、坊ちゃん、嬢ちゃん、おやすみなさい。
身体の震えがとまらず、やがて手のひらから力強く熱が、と思う間に肩から指の一本一本までおしひろげられるようにして、わたしは手を失い、翼を手に入れた、足はちいさく折りたたまれ、鉤爪が生えた、灰色のコンクリを蹴って、通勤路を下界にはるか、「ばかぁ、ぼかぁ、ばかぁ」いつしか繰り返し吠えるカラス男として、ぼくは。
アンダンテカンタービレがどんな曲であるのか知りもしないので「あんたって簡単よね」という中途半端な聞き違いのフリで君は背を向けようとしたくせに「ちょっとあんた、何か言いなさいよ」と振り向きざまに平手打ちをしようとしたから、私は君の腕を即座に掴んで唇を重ねると、君はウットリした顔で私を見つめたあと「あたしって簡単よね」と言って私の胸に顔を埋めた。
ペットボトルワインの栓を回し開けた後、その向こうに見えた猫用餌皿が綺麗に並んでいない事に気づいて、並べ直そうと手を伸ばしながら、ワインの口の上を通過させようとしたところで、手指が当たりボトルがパタリと倒れ、中身が溢れてしまったので、空かさず持ち上げはしたものの、自分が少しづつ歳をとっていく事に徐々に気づかされてほんの少しだけ寂しくなった。
ちいさな乾いた箱を、妻が手に取るとやがて、燐の燃えるかすかな匂いとともに火が点き、飾りだとばかり思っていた燭台をかかげ、妻は地下室へ降りていく、とうに使われなくなった地下室からは、得体の知れない生き物の吐く息のような冷気がじわじわ立ち昇ってくる、から嫌だ、行きたくない。
自分で140字以内と限定していた筈だが、その事を全く忘れていて、確認すると、170文字を使っている文もあり、どうしようかと思ったが、呟きに載せられるというだけの理由なので、美しい文の練習という意味では超えても良いという結論に達した。
猫が長くなっているのを見ていると、羨ましさが僅かに湧いて来るのだが、それと同時に、猫の体重分の責任感というものがにわかに降って来て、私は、猫がビックリしないように、ゆっくりと手を差し伸べて体を撫で、そして噛まれるのである。

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