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mixiシネマクラブコミュのサイダーハウス・ルール(The Cider House Rules)

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1999年アメリカ
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:トビー・マグワイア、マイケル・ケイン、シャーリーズ・セロン

ニューイングランドの孤児院で育てられたホーマーは、院長のラーチに見込まれ、産婦人科の技術を仕込まれる。だが違法な堕胎手術に疑問を感じ、跡継ぎになるのを拒否して、孤児院を出てリンゴ農場で働く。
初めて外の世界で暮らしたホーマーは、恋愛を経験し、社会の矛盾を知る。

原作者ジョン・アービングが脚本を書き、さらに駅員としても出演している。2000年度のアカデミー最優秀脚本賞・最優秀助演男優賞を受賞した。

コメント(1)

 孤児たちはみな、内心では孤児院を出て行きたいと思っている。養子にもらわれて、自分の家庭を持ちたいのだ。しかし主人公ホーマーは「特別」だったので、養子にもらわれることなく孤児院に残った。彼は院長のラーチに見込まれ、産婦人科医としての技術を仕込まれる。
 ラーチは産婦人科医としてお産もしたが、違法な堕胎を請け負うこともあった。ラーチがなぜ家庭も持たずここの院長を務め、なぜ違法な堕胎を行うのか、作中では説明されないが、ホーマーは自分が望まれずに生まれてきた孤児ゆえに、堕胎の手伝いをすることに疑問を感じていた。彼もひょっとしたら堕ろされ、生まれて来られなかったかもしれないからだ。堕胎は違法なうえ、ホーマーには学位も免許もない。高齢に達したラーチは、ホーマーを後継者に望むが、ホーマーは「ぼくは医者じゃない」と、首を縦に振らない。
 ホーマーは「自分を必要としている人がどこかにいるはずだ」と考えていた。ある日、ウォーリーとキャンディのカップルが豪勢なオープンカーで、孤児院を訪れる。孤児たちは珍しい車に興味を示すが、ホーマーは二人に自分を連れて行って欲しいと頼む。ホーマーにとって初めての巣立ちである。孤児の一人が「ずるいよ、こんなに大きいのにもらわれるなんて」と言うのがおかしい。

 ホーマーは、ウォーリーの母が経営するリンゴ農場で働くことにした。農場の労務者たちは黒人ばかりで、「サイダーハウス」で共同生活を送ることになる。そこには「サイダーハウス・ルール」の紙が貼られていたが、労務者たちはそれを無視していた。字が読めなかったからだ。文字の読めるホーマーが声に出して読むと、そこには「ベッドでタバコを吸うな」「酒に酔って機械を操作するな」「屋根の上で寝るな」などと書かれていた。あまりの馬鹿馬鹿しさに、Mr.ローズが言う。
「これを書いたのはここに住んだことのない奴だ。俺たちのルールは俺たちで決める。」
 そのMr.ローズは、娘ローズを溺愛するあまり、性的関係を持ち妊娠させていた。救いの手を差し伸べようとするホーマーに、Mr.ローズは「お前には関係ない。お前はお前のことだけを心配すればいいんだ」と言う。実はホーマーも、ウォーリーが出征している間にキャンディと関係を持っていたのだ。
 苦しむローズに、ホーマーが言う。「ぼくは医者だ」。医師の免許を持っていないことをあれほど気に病んでいた彼が、自ら医者だと名乗り出たのだ。育ての親ラーチの言いつけでではなく、彼は自分の意思で堕胎手術を決意する。
 ローズもまた、父親の言いなりではなく、自分の人生を求めた。彼女は父親をナイフで刺し、家出する。そして最愛の娘を失ったMr.ローズは、そのナイフで自死を選ぶ。労務者たちはMr.ローズの遺体が搬出されるのを、屋根の上から見守る。
 いっぽう孤児院では、ラーチが理事会に解任されようとしていた。ラーチはホーマーを後任にすえるため、大学の学位と医師の免許を偽造し、理事会にホーマーは敬虔なクリスチャンだと嘘を言う。

 「ルールは当事者が決めるべきだ」という作品の強いメッセージが、「産むかどうかは女が決めることで、法律や宗教が決めることではない」ということを意味しているのは明白だ。だが本作は、堕胎問題を扱うだけでなく、「自分のルールは自分で決めろ、たとえ社会のルールと合致しなくても」という普遍的な問題にまで昇華している。ラーチは、苦しむ女性のため違法な堕胎を行うだけでなく、ホーマーの経歴を偽造し、理事会に嘘をつき、ホーマーが徴兵されないようカルテの偽造まで行っている。どれもこれも、親としての愛情ゆえであり、孤児院の未来のためである。そのいっぽうでラーチは、毎晩エーテルを吸引しないと眠れない。彼も内心では苦悩していたのだ。
 ホーマーのもとに、ラーチが死んだという手紙が届く。エーテルを吸引したうえでの事故なのか、それとも自殺なのか。ホーマーに旅立たれたうえ、院長の地位まで失えば、彼にとっては家族を失うに等しかった。ひょっとすると、ラーチも孤児だったのかもしれない。
 ラーチの死によって、ホーマーは自分が必要とされている場所がどこなのかを気づかされる。彼は汽車に乗り、孤児院に帰る。敷かれたレールの上を行くだけの人生を拒否し、巣立って行った彼だったが、今度は自分の意志で帰って来た。孤児の彼にとって、本当はここが帰るべき家だったのだ。
 主役のトビー・マグワイアがやけに童顔だが、巣立つとは、大人になるとはこういうことなのだと思わされる。現実社会にはルールを逸脱する人は少なくないが、登場人物たちの行動が大きな愛に裏打ちされていることに、深い感慨を覚えずにはいられない。

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