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小説を書いてみよう!コミュの春よ来い

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顔から火を噴きながら書きました。
限界を突破して新しい境地が見たかったのですが・・・。
如何でしょうか?

あんまり変わってないかな?

感想、批評、アドバイス、その他お待ちしております。

コメント(6)

 三十路を越え、将来への焦りが少し出てきた私、大畑美代子の下に、待ちに待った春がやってきた。数年ぶりの訪れに心を躍らせたのもつかの間、春は最近ちょっと冷たい。
 勤続年数も二桁に近づき、社内でのいわゆる地位は獲得したものの、同期の子なんて残ってない。周りのOLはみんな後輩ばっかり。みんなでお昼を食べていても、すぐに彼氏の話ばっかりで、取り残された私は仕方無しに愛想笑いをしていた。
家族とも離れて、一人暮らしを続ける私にとって、長き冬はあまりにも身にしみた。自棄酒をあおって泣き寝入りした日も少なくは無い。
 そんな日ともおさらば。・・・とは行かないのが悲しいところ。私のところに訪れたのは、おんなじ会社の人だったのだ。営業部の小田澄人君。私の随分後輩だけど、結構なやり手らしい。まさかそんな子から告白いただけるなんて思っても見なかったので、最初は随分ビックリした。
 でも、話してみると随分いい子だったし、私のことは本気で好き見たい。
「寂しい思いはさせませんから」
 何よりこの台詞にやられて、私はこの春から澄人君の彼女をしている。
 久しく忘れていたときめきに、私の頭は勝手に暴走した。デートはどこ行こう?彼の部屋には何度目ぐらいで?何が好きかな?私の料理、食べてくれるかな…などなど。挙句の果てには勝手に新婚生活までシミュレート。幸せの青い鳥は、すぐ近くにいました。全くその通りだわ。でも、デートのときは出来るだけクールに。年上だしね。落ち着いているところもみせなくちゃ。
 なんて舞い上がっていたのは短い間だけだった。幸せすぎて忘れていたが、彼は営業部の次期エース。忙しくないわけが無い。そんな簡単なことに気付いたのは、夕食を断られた初めての日だった。その日、私はある程度の覚悟を決めたつもりだった。
耐え忍ぶのもまた恋。たまに会えればそれで満足しなくちゃね。
 ところが、現実はもっと過酷だったのだ。

 
三ヶ月、同じ会社で働いていながら、まるで会えない日々が続いた。もちろんたまにすれ違うこともあるけど、社内じゃイチャイチャもできやしない。
倦怠期の夫婦ならともかく、こちとら久方振りの春に、やや浮かれ状態の恋人だ。生殺し状態の過酷な日々だった。早出残業は当たり前。休日出勤に長期出張。新手の罰ゲームですか?
 幾度と無く営業のオフィスに殴り込みをかけたくなり、その都度驚異的な精神力で押さえ込む。
「何が寂しい思いはさせませんだ。たっぷり三ヶ月、寂しい思いをしとるっちゅーねん」
 何で関西弁。自分で突っ込みを入れてしまう一人上手の悲しさ。
 ふと気がつくと、キーボードを八つ当たり気味に叩きながら、私は小声で愚痴を漏らしていた。結構末期的かもね。
 ため息をつき、手を止める。引き出しの中から旅行会社のパンフレットを取り出し、眺めてみた。青い空、白い雲、透き通る海。ありきたりなリゾート風景だけど、きっと二人でいけたら楽しいだろうな。そう思って、昨日の帰りに代理店で貰ってきた。もうすぐゴールデンウィークだし、私も旅行ぐらいしたいんだけどな。
 そう思って、今日は澄人君を夕飯に誘っている。神様、どうか今日だけは早く彼を解放してあげてください。
「あー、大畑さん、旅行行くんですか?」
 舌足らずな喋り口調で、いきなり背後から話しかけられた。振り向けば立っていたのは松原鈴希ちゃんだった。去年ぐらいに入ってきた子で、そのあけすけないキャラクターと、可愛らしい口調でそこそこの人気をゲットしている。もちろん私よりずーっと若い。
「え、うん、まあ気晴らしにね」
「へー、一人でですか?」
 ふふふ、ぶん殴っちゃうぞ?
なんで真っ先にそういう台詞が出てくるのか、ぜひとも聞きたいものだ。
「えー、どうかしら?」
 悔しいので、それとなく濁してみる。
「私も彼と旅行、行こうかなー」
 聞けよ。後、勝手に行けよ。こちとら夢で終わる確立のほうが高いっての。
「いいわねぇ。彼氏と幸せそうで」
 この辺でボロボロと本音が出てしまう。私も幸せそうにしてみたいよ。
「はい。大畑さんも、きっといい人が見つかりますよ」
 な、慰められた。こんな小娘に。笑顔が引きつってしまうのが自分でも良くわかった。
「ど、どうもありがとう」
 何とか強がることに成功した。
「いえ、どういたしまして。それじゃあ、旅行楽しんできてくださいね。向こうで出会いが待っているかもしれませんよ?」
 うわーん、そのスカスカの頭、てっぺんからバリバリ齧ってやるぅ。なんで一人旅と決め付けるのだ。覚えてなさい、絶対に吃驚させてやるんだから。
 そのとき、携帯電話が震えて、メールの着信を知らせてくれた。差出人は澄人君だ。私はもう一度強く神様に祈ってから、メールを開いた。
「ごめんなさい、美代子さん。残業が入っちゃいました。今日は無理っぽいです」
 もう嫌。なんだか泣けてきたので、ひとまずお手洗いに非難することにした。

「どうすればいいのよ」
 個室にこもって一人呟く。寂しいを通り越して、無気力になってきた。浮気でもしてやろうかしら。
 …そんなこと出来ないのは、私が一番良く知っている。これだけ放って置かれても、どうやら私は澄人君が大好きらしい。
 座っていてもため息しか出てこない。無く気力も無くなったし、そろそろ帰ろうかな。そう思って個室を出ようとしたとき、誰かがお手洗いに入ってきた。
 二人連れで、喋ってるみたい。
「えー、マジで?」
「うん、パンフレットとか見てさ、ボーっとしてるの」
 片方の声の主は鈴希ちゃんだ。ということは、私の話か?改めて個室の中に戻り、耳をそばだててみる。二人は化粧でも直しに来たのだろう、手洗いのあたりで立ち止まって話を続けた。
「男でもいるんじゃない?」
「アハハ、それウケル」
 なんでやねん。
「すっごい外れなんでしょ?」
「ハゲデブの親父とか?」
「それって愛人じゃん」
「でも、美代子はマジなのー、みたいな」
 ……。
「ダッセー、笑える」
「弄ばれてポイされてさ、訴えてやるー、みたいな」
 ……。あらやだ、拳が震えているわ。
「大体さ、ちょっと長居してるからってウザくない?」
「ああ、あたしが偉いのよー、みたいのね」
「偉くねぇよ。ただの行き遅れじゃん」
「まあ、年だしねー。若者に僻んでるんじゃない?」
「きぃぃぃ、この小娘どもー、みたいな」
「「アハハハハ」」
 二人が笑い出すのと同時に、私の拳は思い切り個室の壁を殴っていた。激しい音がお手洗いの中に響く。
「な、何?」
少し慌てたような鈴希ちゃんの声。
深呼吸を三回。私は極めて落ち着いた態度で個室を出た。出てきた私の顔を見て、血の気が引いている二人。鈴希ちゃんと、もう片方は知らない顔だわね。向こうは私のことを知っているみたいだけど。まあ、どうでもいいわ。調べれば分かるし。
「悪口は、個室に誰もいないことを確認してから・・・ね?」
 格別に優しい口調。おまけに笑顔まで浮かべてあげよう。なにしろ、明日からはありえないぐらいに過酷な日々が待っているんだから。この会社で、私を敵に回すとどういう目に遭うか、遺伝子レベルで分からせて上げる。長居したおかげで、築き上げた地位の力、今こそフル活用すべきよね?
 二人に背を向け、お手洗いを後にする私。制裁は受けてもらうとして、あの二人には少しだけ感謝しなくちゃね。
この会社に居辛くなる事に、私も少しだけ迷いがあった。ここまで頑張って築いた地位だから、しがみつきたい気持ちがあった。けど、やっぱりキャリアより円満退社かしら。

八時を回ると、会社の中にも人の気が無くなる。さっきの小娘どもに過酷な試練を与えるべく、それとない入れ知恵をしながら、上司に残業を申請したら、あっさり許可してくれた。物分りの良い上司で助かる。
 誰もいなくなったのを見計らって、何となく足音を忍ばせて、営業のオフィスに向かう。営業のオフィスからは蛍光灯の明かりが漏れていた。そっと覗いてみると、がらんとした空間で一人パソコンに向かう背中。見紛う筈も無い、澄人君だ。
 そおっと近づいてみる。気付かないみたい。ゆっくりと、抑えた声でも通る距離まで近づいてみたけど、やっぱり気付かない。
「わっ」
 背後から、耳元でそう言ってみた。
「うわわっ」
 予想外に驚いて、椅子から転げ落ちる澄人君。
「え?」
 床の上から、呆然と私を見上げる澄人君の顔は、疲労が色濃く出ていて、ちょっとやつれているような気がした。とりあえず、椅子に座りなおしてもらって、私も隣の席の椅子に腰掛けた。
「久しぶりね」
「み、美代子さん・・・。どうして」
「私も残業なのよ」
「そ、そうなんですか」
 まだちょっと頭が混乱しているらしい。あやふやな返事をしてくる澄人君。
「久しぶりの彼女に対して、随分素っ気無くない?」
「え、あ、はい、すみません・・・」
 どうして謝っちゃうかな。もっと笑顔見せてよ。会いたかったって言え、このニブチン。
全部心の声で止まっちゃう。
「お邪魔?」
「と、とんでもない。嬉しい・・・です」
「今、お話できる?」
「あ、はい。僕も休憩しようと思ってたから」
 そう言って、澄人君は軽く伸びをした。
「忙しそうね」
「ええ、なんかいろいろと仕事が廻ってくるもんで。すみません、いつも放って置いちゃって」
 そう言って頭を下げる彼は、本当に申し訳無さそうで、なんだかこっちまで悪い気がしてくる。でも、私は決めた。無理にでも次のステージへ進むと。耐え忍ぶのも恋。だけどそれだけじゃ駄目なんだ、きっと。
「ゴールデンウィークも忙しそう?」
「え、はい、そうですね、この分だと・・・」
「そう」
 やっぱりね。私はポケットから折りたたんだパンフレットを取り出し、広げて見せた。
「ゴールデンウィークに行きたい。二泊三日」
「えっ!?」
 目を丸くする澄人君。そりゃそうだ。でも、私のほうも捨て身だ。いわばガチンコ。
「どうしても・・・ですか?」
 大きく頷く私。
澄人君はパンフレットを手に取り、難しい顔で考え始めた。無理ですって言われたらどうしよう、泣くかも。こういうのを後悔先にたたずって言うのね。
 たっぷり十分ぐらい考えただろうか。澄人君はパンフレットから顔を上げた。
「わかりました」
 そう言ってにっこりと笑う彼は、今までで一番キュートに見えた。だから思わず抱きついた。
「やったぁ。嬉しい」
 どうにも押さえようが無く、はしゃいでしまう私。そんな私を暫く見つめていた澄人君は、急に軽く笑い出した。何?やっぱりこの年ではしゃいでいるのって可笑しい?
「美代子さん、そんなふうに、はしゃいだりするんですね」
「え・・・うん、つい」
「今まで、美代子さんて落ち着いた大人のイメージだったから、ちょっとびっくりしました」
 やっぱり、可笑しかったのね?
「でも・・・」
 でも?
「安心しました。そういうところもあるんだって分かって。凄く嬉しいです」
 そう言って微笑む彼は、私なんかより随分大人びて見えた。なんか立場が逆転しちゃった?
「そういう美代子さん、可愛くて好きです」
 なんて直球な言葉。私は顔が熱くなってくるのを感じた。恥ずかしいやつめ。さてはロマンチストだな?
「ふふん、嬉しいことを言ってくれるじゃないの」
 体裁を整えようと、お姉さん口調を使ってみたけど駄目だ、顔がにやけてきちゃう。
「よし、仕事おしまい。ご飯食べに行きましょう」
「え?いいの?」
 うーん、聞き返している声が踊ってるなぁ。もう駄目だ私。
「ええ、明日にします」
 そう言って電源を落とし始める澄人君。おお、なんだか嬉しい展開だぞ。
「僕ね」
うんうん
「美代子さんと釣り合う男にりたくて、仕事に打ち込んできたんです。ピシッとしてて、かっこいいイメージがあったから。少しでもそうなれる様に」
 ・・・。
「でも、そのせいで、美代子さんが寂しいって考えていませんでした。だいぶ思いつめてたんですよね?ごめんなさい」
 可笑しいね、嬉しいのに涙が溢れて止まりませんよ。
 私はなんだかたまらなくなって、澄人君に抱きついた。澄人君も私のことを抱きしめてくれた。ああ、幸せってこういうのをいうのね。

 たっぷり抱きしめてもらった後で、手を繋いでオフィスを出た。誰もいないんだもん、やりたい放題よ。
「どこに行きます?」
「うーん、澄人君の行きたいところで」
「それじゃ、軽く一杯行きましょうか?」
 杯をあける仕草。いいわねぇ、分かってるじゃない。気取ったレストランより、居酒屋のほうが腹割って話せるしね。お酒が入れば勝ったも同然よぉ。
「うん、いいわよ」
「個室のあるところにしましょうか、旅行の話もしましょう」
「うん」
 ああ、こういうのいいなぁ。甘えられるっていうか。気を張らなくっていいって言うか。面倒見の良いお姉さんよりも、彼氏に甘えられる女の子のほうが何倍も気持ち良い。私はさりげなく澄人君に寄りかかってみた。
 澄人君が私の肩に手を回して、引き寄せてくれる。待ちに待った春は、やっぱり暖かかった。
                          了
ある程度、切れ目で刻んで見ました。

・・・見れなかったら連絡ください。
直します。

原稿用紙で25枚ぐらいかな?
そんなに長くは無いのですが。

これ以上書いていると、顔が炭になりそうだったので、区切りの良いところできりました(笑)

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