香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／新時代】新･欲望の街Ⅱ 97古惑仔最終章

原題：97古惑仔戰無不勝(Young and Dangerous Ⅳ)
香港　BoB ＆パートナーズ･カンパニー作品　97年　101分　カラー　彩プロ配給

製作･脚本：マンフレッド･ウォン　監督･撮影：アンドリュー･ラウ　音楽：クラレンス･ホイ
出演：イーキン･チェン／ジョーダン･チャン(チャン･シウチョン)／ミシェル･リー／カレン･モク／ロイ･チョン／マイケル･ツェー／ジェリー･ラム／ジェイソン･チュー／アンソニー･ウォン／アレックス･マン／サンドラ･ン／ラム･ソーンイー

―解説―
香港の黒社会をクールに生抜くチンピラ青年たちの活躍をスタイリッシュに描いた群像劇タッチのアクション･ドラマ･シリーズ第４作。今回は屯門のリーダー選びを契機に敵味方入乱れた内部抗争が勃発する。イーキン･チェン(鄭伊健)､ジョーダン･チャンことチャン･シウチョン(陳小春)の主演コンビに加え､前作から参加のカレン･モク(莫文蔚)やロイ･チョン(張耀揚)､新たなヒロインとして『天使の涙』(95年)などのミシェル･リー(李嘉欣)。ほかに『仁義なき抗争』(90年)などのアレックス･マン(萬梓良)､チャン･チーファイ(陳志輝)らが出演。監督は第１作から引続きアンドリュー･ラウ(劉偉強)が担当。97年作。

―物語―
フェイの妹ＫＫとイーとの結婚式から数日後､ナン(鄭伊健)たち洪興社の幹部は､殺されたボスの弟チャン(萬梓良)に新たなボスとなることを要請するためタイに飛ぶ。チャンは空席である屯門のリーダーを決めようと､サンカイ(陳小春)とサンファン(陳志輝)を候補に２ケ月間の業績と選挙で決定すると指示した。サンファンはナンたちを恨むライと東星社のユウ(張耀揚)と組み､ナンとの間に亀裂が生じたサンカイへ激しい追込みを掛ける。そしてユウたちはイーの新居を襲いＫＫは暴行されイーはビルの窓から突落とされ殺された。映画館でのリーダーを決定する会議で､ナンはイーを殺した仇敵ユウと激突する。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 12月25日 11:49

日本で公開された｢欲望の街古惑仔｣シリーズ４部作の最終作となります。入会者の皆様ならご存知の通りシリーズはこの後も続いていくのですが､とにかく日本では一旦の打止めと相成りました(その後第6作目にあたる2000年作の『狼たちの伝説－亜州黒社会戦争－』が映画祭でのみ上映)。
ただ…結論から申しますと､過去３作から比べトーンダウンしてしまった印象は否めません。このシリーズは第１作からの壮絶な内部抗争描写から始まり､第２作では台湾に舞台が移り現地マフィアとの軋轢や最大級の敵(しかも女性)の出現､そして第３作では対立する別組織との一大抗争劇など､徐々にスケールアップが図られてきましたが､今回は第１作と同様の内部抗争に物語が戻ってしまうのです。原点回帰といえば聴こえはいいのですが､その分ブラッシュアップなどがされたのかというと…､見てる限りは疑問が残り単に矮小化されてしまった印象を受けます。
前作までの３作で重要な登場人物が少なからず退場しているので､新しい登場人物たちが次々登場してくるのも本作の特徴です。まずはタイの場面で登場するアレックス･マン(萬梓良､画像左)です。前作で退場したサイモン･ヤム(任達華)の弟という役どころ。アレックス･マンといえば『愛と復讐の挽歌』(87年)での強烈過ぎる悪役など､80年代後半の”香港ノワール映画”では欠かせない顔のひとりでした。しかし当時長い下積みから上り調子だったサイモン･ヤムに対し､アレックス･マンは正直”旬”を過ぎたスターでした。しかもサイモン･ヤムの”弟”というのは無理があるような貫禄ぶり(笑) ですが新たなボスとして､この後もシリーズに参加を続ける存在となります。このタイの場面ではサンドラ･ン(吳君如)演じる十三妹､シブさを増したヴィンセント･ワン(尹揚明)扮するベン､そしてケン･ロー(盧惠光)の太子といった新キャラクターたちが顔を揃えます。
洪興社側のメインはイーキン･チェン(鄭伊健)扮するナンではなく､第２作に続いてジョーダン･チャン(チャン･シウチョン=陳小春､画像中)のサンカイが張ることになるのですが､彼に対抗する敵として登場するのが､海辺の街屯門を仕切る恐竜配下のチンピラ･サンファン(生蕃)。演じるのはチャン･チーファイ(陳志輝､画像右)。香港映画界きってのバイプレーヤーのひとりです。彼の顔を見て思わず身を乗り出した方は相当の”香港ノワール”通です。香港ノワール映画の金字塔『男たちの挽歌』(86年)において､台湾の取引でティ･ロン(狄龍)を陥れ､今や伝説となった｢楓林閣｣での銃撃戦でチョウ･ユンファ(周潤發)に報復の弾丸を撃ち込まれる台湾マフィアのワンを演じていたのがチャン･チーファイなのです。彼は元々スタントマンの出身で､80年代初頭から映画界入りしており本作に出演時は中堅からヴェテランの域に入ろうとしていた時期でした。やはり過去のゲスト陣に比べると小粒な印象ですが､いかにもチンピラ然とした奇抜な髪型と狂犬のような個性でインパクトを残し､サンファン役を当り役としました。

サンファン役･チャン･チーファイが映画界での半生を語る2022年1月配信の動画(広東語･日本語字幕無)。

[2] mixiユーザー 04月01日 15:37

前作でジジ･ライ(黎姿)扮する恋人サイが退場したため､イーキン･チェン(画像左)の前には新たなヒロインが現れます。本作でのお相手はミス香港出身のミシェル･リー(李嘉欣)。『チャイニーズ･ゴースト･ストーリー2』(90年)で映画デビュー後ウォン･カーウァイ(王家衞)監督作『天使の涙』(95年)で大胆な演技を見せ清純派の殻を破る新境地を披露しました。その次の出演作が本作となったのですが…､正直爪痕を残すまでには至らなかったのが惜しいです。彼女の役はジョーダン･チャン(チャン･シウチョン)扮するサンカイの恋人シュクファン(カレン･モク＝莫文蔚)の同僚教師なのですが､そのため本作では”古惑仔”のイーキンが教壇に立つというユニークなシーンが用意されています。コレはコレで楽しめるのですが､結局メインである洪興社内部抗争のサイドストーリーの域を出ないのです。イーキンと同衾するシーンまで見せたミシェルですが､その他のクセの強過ぎる面々に埋もれてしまった感があるのは､止むを得ないところです。
本作の悪役はロイ･チョン(張耀揚)が第３作に続き別のキャラクターで登場するのですが…､これまた正直パッとしなったですね。というか彼もまた前作で全てを出し切るかのような凄まじい狂気と暴れっぷりを披露しただならぬインパクトを残しましたので､やはりそこと比べなるを得ないんです。クールなポーカーフェイスから狂気を”にじませる”演技を見せて出色ではあるのですが､前作と連続しての出演は逆にそのお芝居を霞ませてしまう結果となってしまってるのが本当に勿体ないです。

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