香港ノワール映画－英雄片－コミュの【香港ノワール／絶頂期】極道追踪

原題：極道追踪/極道追蹤(Zodiac Killers)
香港　フレンド･チアーズ･リミテッド作品　91年　99分　カラー　ツイン配給

製作：エリック･ツァン　監督：アン･ホイ　脚本：レイモンド･トウ／ウー･ニエンジェン
出演：アンディ･ラウ／チェリー･チェン／石田純一／高沢順子／倉田保昭／渡辺哲／岸田今日子

―解説―
日本を舞台に､暴力団の抗争に巻き込まれていく中国人女性と彼女に恋した留学生の逃避行を描いたサスペンス･アクション。出演は『フルタイム･キラー』(2001年)などのアンディ･ラウ(劉德華)､『狼たちの絆』(91年)などのチェリー･チェン(鍾楚紅)､『愛と平成の色男』(89年)などの石田純一､『用心棒ドラゴン』(73年)などの倉田保昭､『チャイナシャドー』(90年)などの高沢順子､『炎の大捜査線』(91年)のトゥ･チュンファ(庹宗華)､『台北ストーリー』(85年)などのスン･ペン(孫鵬)ほか。『望郷』(82年)などのアン･ホイ(許鞍華)監督､91年作。

―物語―
東京に暮らす留学生ベン(劉德華)は､親友ミン(孫鵬)が仕切るキャバレーに学友チョンチイ(庹宗華)と出向いた際ホステスの中国人女性ティンラン(鍾楚紅)に一目ぼれする。だが彼女には日本人ヤクザの浅野(石田)という恋人がいた。彼は過去起こした組長殺しで兄貴分に裏切られ､死ぬ間際その真相を吹込んだテープを桜門会の石川(倉田)に渡せとティンランに託す。追われる彼女に助けを求められたベンは､ミンの協力で中国行きの密航船に乗込む算段を付けた。しかしテープの受渡し現場で､ティンランはヤクザに殺されてしまう…。

香港版オリジナル予告編動画↓

コメント(5)

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[2] mixiユーザー 11月07日 04:43

国際的にも評価の高い香港が誇る女流監督の第一人者アン･ホイ(許鞍華､画像左)が全編日本ロケで撮影した力作です。
主演はアンディ･ラウ(劉德華､画像中)ですが､過去作に多かった血気盛んなチンピラヤクザではなく､東京の片隅でひっそりと生きる留学生の若者を等身大で演じています。ヒロインはアンディと何度も共演しているチェリー･チェン(鍾楚紅､画像右)ですが､驚くことに本作が現状最後の映画出演作となっています。
前述の通りロケは東京都内を中心に冬場に行われたようですが､当時バブルがはじけたとは言え､現在と比べると華やかで豊かだったはずです。ところがアン･ホイ監督はそういった華美な部分はほとんど見せません。山谷周辺の所謂"ドヤ街"や高架下など､寒々しく薄汚れた吹き溜まりのような街の風景や人々ばかりが出て参ります。特に高架下は､終戦直後ではないかと思わせるような描写でしたね。
主演のアンディらはおよそ２ヶ月あまり日本に滞在し､合宿生活のような状況でロケを乗切ったとのことで､撮影以外の食事は自炊で調理していたそうです。

[3] mixiユーザー 11月08日 08:11

本作はほぼ全編日本が舞台となるため､アンディ･ラウやチェリー･チェン以外にも日本から多数俳優が出演を果たしています。まずは"トレンディ俳優"として人気絶頂期にあった石田純一(画像左)さんが､チェリーの日本での恋人役で出演。当時の日本では考えられないヤクザ役で､香港流の格闘アクションにもチャレンジしています。
また､逃避行するアンディたちが避難する山谷の木賃宿でうろつく老娼婦の役で､強烈なインパクトと存在感を見せ付けるのが､日本映画界を代表する名女優･岸田今日子さん(画像中)です。白塗りメイクでの登場は衝撃的ですが､アンディやチェリーと短い交流の後自分の衣裳をチェリーに与え変装させて暴力団の追手から逃がす重要な役どころを哀感とほんの少しユーモアを交えて好演しています。
ほかにも70年代初頭から香港や台湾のアクション映画に出演を続けてきた倉田保昭さんのほか､渡辺哲さんや高沢順子さんなど､実力派の俳優陣が顔を出してるのはウレシいところです。ちなみにアンディ･ラウの親友役として台湾の実力派俳優トゥ･チュンファ(庹宗華)が出演しているのですが､彼が劇中行方を捜す恋人役には､グラビアタレントとして鮮烈なデビューを果たした後アダルトビデオにも出演した秋山エミさんが配役されていたのも印象的です。

本作は終始重苦しい雰囲気に満ちていますが､トップスターふたりを揃えやはり娯楽性を加える必要もあったのでしょう。劇中に登場する暴走族が､大ヒット作『ブラック･レイン』(89年､画像右)そのマンマだったりと､よくも悪くもアバウトな演出が見受けられたりします。
香港での公開直後､日本では香港映画関連のイベントで上映され相応の話題を集めたのですが､前述したようにハードでヘビーな内容の為封切りがずれ込み､結局96年2月になって小規模公開にて終わったのは惜しまれるところです。