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植民地問題研究所 in mixiコミュの植民地支配者の視点

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これからしばらく超いそがしくなるので、一つトピックをつくっておく。(もっとも、書き込むのは私だけか、あるいは、私に対する非難の文章だけなんだがね)

植民地の問題について、それを客観主義的に南北問題のように論じるように語るのではなく、植民地的状況のなかで生きていかなければならない我々の視点から語ることも必要なのではないのか。そう、我々は植民地支配者の末裔でもあるし、そういう立場から植民地あるいは旧植民地を観察してきているわけなのだ。その我々の立場や視点というものを、もっと全面に出して考えてみようではないのか。もちろん、植民地主義肯定論ではない。(たぶん、植民地主義に対する漠然とした批判的意識を前提にしたほうが望ましいだろう。そうでないと、議論がむつかしくなるしね)。だが、やっぱり、殖民開拓者のような視点でしか認識できない我々がいることも確かなことではないのか。

勘違いしてはいけないのは、植民地の支配者的立場というのは、いわゆるエリートではないということだ。むしろ本国ではつまはじきの身分でしかない。たとえば、サイードはカミュの植民地文学を酷評したが、彼こそは貧しいコロンだったんだということも忘れてはいけない。サルトルのような恵まれたフランス本国の都会の知識人とは大違いだったのだ。(このあたり、クンデラのエッセイが面白いことを書いている)。

いやいや、こんなことを書くのはやめよう。我々日本人だとかが、途上国に関わるとしたら、現地の貧しい民衆の視点ではありえないだろう。年収100万円のNGOの職員だとしても、一種の支配者の視点であろう、つまり、コロン的な立場だろう。そして、虚しくも、その大地を第二の故郷としようとするかもしれない。だが、なんとか、故国の中産階級的生活を維持しようともがくだろう。最低限、トイレと井戸のある生活、できたら電気もありテレビや電話もほしい。しかし、それこそが、嫌らしいコロン的観点であり、一種のアフリカーナーなのだ。あるいは、自分の娘たちが、いやらしい原住民に強姦されるんじゃないかと心配する。(その反対に原住民を強姦したり、手込めにしたいと願ったりもする)

きれい事を言わないで、矛盾を引き受ける視点が大事なのではないのか。あんまり、共感者がいないだろうなあと思いつつ、一応問題提起まで。

コメント(5)

追補

今読んでいて面白いのが、安部公房の処女作『終わりし道の標べに』(講談社文芸文庫)です。植民地に生きる青年の姿が浮かび上がってきます。安部公房をポストコロニアル文学者として規定したら、安部ファンが怒り出しちゃったんだけれども、そんなことはない、故郷なき植民地文学として読んでみて、彼の作品は面白いですよ。カミュ、ラシュディ、クッツェーなどとも通じ合う「故郷」論も、若き安部公房の作品でも展開されます。

なお、安部のエッセイ『砂漠の思想』も面白い。ブニュエル論のほか、「眼には眼を」という映画の論評が、サイードのコンラッド「闇の奥」とも平行する物となっています。
>我々日本人だとかが、途上国に関わるとしたら、現地の貧しい民衆の視点ではありえないだろう。年収100万円のNGOの職員だとしても、一種の支配者の視点であろう、つまり、コロン的な立場だろう。
>

ふかく共感します。どんな問題意識をもとうとも、自分がいまどこにいるのかは、かえられませんよね。自分がくみこまれているところに客観的たちばというのはありえませんし。
付け加えますと、安易に被植民者を理解してはいけないと思うのです。amazonの書評にも書いたのですが、大衆作家の第三世界・アジア体験(あるいはアフリカ体験)というのは、どうも簡単に彼らとコミュニケーションをしてしまうのです。現実には、言葉の障害があるし、さまざまな立場の違いがあるし、乗り越えることが出来ないさまざまな利害の対立があるのですが、そういうことを括弧に入れて、正義の立場から書いてしまう。例としては、船戸与一『虹の谷の五月』や梁石日『闇のおく』(タイトル忘れた)。

植民地で出会う「他者」体験とういのが、もっと強調されて良いのではないのか。もっとも、そういうことをすると、植民地主義者だとかレイシストだとかという汚名を着せられる危険もある。現にゴーディマやクッツェーのような南ア出身の白人(ノーベル賞受賞)作家もそういうふうに非難されてきた。だが、矛盾を引き受けないで綺麗事では、ウソになってしまうと思うのです。

もう一つ。
いわゆる海外ボランティアのようなものも、全く同じことでしょう。オランダの「進歩的NGO」のNOVIBなどは、自らの植民地主義、オランダの植民地主義の歴史にまったく無自覚だったが、これではマズイ。

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