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政治理論談話会コミュの【日記再録】追悼・福田歓一氏(2007年1月没)

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 この春に自分の個人日記に書いた福田歓一氏(政治思想史家)に関する追悼記事をここに貼り、年末に当たって改めて氏を追悼したく思います。

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http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20070109zz29.htm

福田歓一氏=東大名誉教授、政治学者

 政治学者で東大名誉教授の福田歓一(ふくだ・かんいち)さんが7日、肺炎で亡くなった。83歳。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻、良子(りょうこ)さん。「偲ぶ会」は27日午後1時、東京都港区白金台1の2の37明治学院大白金キャンパス。

 兵庫県生まれ。東大法学部で丸山真男とともに南原繁に師事。専門はヨーロッパ政治学史で、ホッブス、ルソーなどの研究を通じて近代政治における社会契約説の重要性を指摘。1960年代以降は民主主義の原理的な考察を踏まえて雑誌「世界」などで日本の政治についても積極的に発言した。

 東大教授、同法学部長などを経て90年から6年間、明治学院大学長を務めた。90年、他のキリスト教系3大学の学長と連名で大嘗祭(だいじょうさい)に反対する声明を出した。92年日本学士院会員。主著に「近代政治原理成立史序説」「現代政治と民主主義の原理」「政治学史」など。

(2007年1月9日22時38分 読売新聞)
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 10歳近く年長の兄弟子・丸山眞男ほどの「スター性」はなかったものの、旧制高校時代に親しんだドイツ観念論の素養をベースにした重厚な西洋政治思想史研究によって、また積極的な社会的発言によって、アカデミズム、ジャーナリズム両面にわたって戦後の政治的言論の世界において指導的な位置を保持し続けた学者であったことは間違いない。彼の学殖に関しては学閥を超えた定評があり、一代の「碩学」であった、と言っても過言ではないだろう。(但し、古代ローマ法に関してはやはり碩学である片岡輝夫教授の「福田さんはまた間違えた。」という口癖的な決まり文句を人づてに聞いている。法制史、西洋古典学というのは福田ほどの学匠にしてこれまた一筋縄では行かないヨーロッパ学の「奥の院」なのであろう。)

 長尾龍一氏に直接伺ったところによると、彼の助教授時代の講義は、初期の代表的著作である『近代政治原理成立史序説』の文体を彷彿とさせるような日本語としてはあまりに重厚な文体の口述だったそうで、おそらくその原稿を読み上げる形式で行われた講義は受講生泣かせだったという。(定評のあるノートとして出回っていたものが佐藤誠三郎のノートだったらしいが、これは別の人から聞いた。)これに対して、後年の通史的主著である『政治学史』は内容は重厚ながら、比較的平易な文体で書かれている。これは彼の教師としての成長(と諦念)のためでもあろうが、かの大学紛争の経験もまた反映していると思われる。

 東大紛争の時、福田研究室も御多分にもれず破壊され、彼が助手時代から丹念に作り上げてきた主として原書からの研究カード・システムが全て完膚無きまでに破壊されてしまったという。この件は彼から通史叙述のモティヴェーションを奪い、授業のためのメモを通史テキストにまとめる作業は退官間際にまでずれ込んだ。結局、出版社が録音した自身の講義テープを元に口述筆記のような形で通史をまとめることになったため、内容豊かにして文体平易な名著『政治学史』(東京大学出版会)が誕生することになったという。もっとも、彼の手になる政治学及び西洋政治思想の定評ある入門書である『近代民主主義とその展望』『近代の政治思想』(共に岩波新書)を見る限り、彼は難解な内容を平易に語りうる教師であったことが推察される。旧制第一高校弁論部出身、というキャリアが良い面で作用している、ということか。なお、『政治学史』に関しては、丸山眞男があるパーティの席上、かなり根源的な批判を展開した、と聞いている。その論点の骨子をいずれ同席者に取材したいものである。

 古い世代の政治思想史家ではあるし、近年の研究動向や戦後知識人論という観点からすれば、さまざまな批判は当然成り立ちうると思うが、それでもなお、我々日本人が、「政治」という基本的に西洋に出自を持ちつつ普遍的な価値と通用力を有する現象を「理念的に」考えようとする場合に、福田歓一の一連の著作は―玉石の種別は当然あろうとは思うが―今後とも参看されるに足る金字塔と言って大過ないであろう。

 オレはどうも最近は不勉強で政治思想関係の書物からも遠ざかり気味ではあったが、福田氏(オレは会ったり講義を受けたりしたことはついに一度もなかった―一度潜ろうとして非常勤講師先の三田に行ったら休講だったw)の死をきっかけにして、というのも変かもしれないが、これを何かのメッセージと考えて、彼の主著『政治学史』『近代政治原理成立史序説』を再読することから、2007年の読書生活を始めようかと思っています。できれば積ん読だった英語での西洋政治思想史の代表的な教科書"Janet Coleman,A History of Political Thought1、2"(2000年刊)とも読み比べてみたい。また、福田氏の「西のカウンターパート」、保守派政治思想史家のチャンピオン、勝田吉太郎先生のロシア政治思想史の本にも年内に挑戦したいと思います。(勝田氏というとゴリゴリの保守派ながら飄々とした人柄もあり、政治的には対極に近い立場にある故・竹中労と共演していたラサール石井司会のニュース番組で彼と妙に意気投合していたのが面白かったです。アナキスト研究家と自称?アナキストだから当然か。)

ともあれ、合掌。

コメント(4)

 実は後期のゼミで『近代政治原理成立史序説』の読解に挑戦しています(笑)。第一部を先々週読み終わりました。先生と1対1なので、毎回のレジュメ作りに苦労しました^^;本書の書名には「成立」の文字が掲げられていますが、実は「終焉」ではないかとその昔福田ゼミで話題になったというエピソードがあるそうです(笑)
 近代国家における社会契約説の意義を重要視した福田氏ですが、彼の政治思想の批判と継承をどうするか、自分も今後の課題としたいと思います。
 今思いつくのは、「近代国家」の概念それ自体の再考です。ホッブズ・ロック・ルソーの社会契約説は国家間の関係が想定されておらず、原理的には国内の安定が確保されても国家間では無政府状態に陥る結果となります。国際連合が戦後設立されましたが、これは言わば力の均衡の上に成り立っており、それが崩れれば国際連合も無力と化すような状態です。そのため、「近代国家」を前提とする国際連合は発足当初から原理的に矛盾を抱えていたということになります。
 自分は修論の関係もあって、南原繁の『政治哲学序説』ほか彼の著作集を読んだり戦後の論説に目を通したりしていますが、国際関係論まで視野におさめた彼の政治哲学の中には「近代国家」再考の鍵が隠されていると思ってます。(自分が理解できるかどうかは別として笑)まあ、自分なりにぼちぼち考えていこうかと思います。長くなりました。
なるほど、御趣旨を完全に理解しているかどうかには自信がありませんが、なかなか興味深いですね。福田歓一氏の通史では国際関係レベルでの政治思想の流れとしてはカントの『永久平和のために』〜フィヒテ『封鎖商業国家論』が挙げられていたと思いますが、これはモロに南原繁の路線ですね。手元の南原の『フィヒテの政治哲学』をパラパラ見てみましたが、なかなか面白そうです。あと、福田氏に関しては『序説』と『国家・民族・権力』(岩波書店)所収の国民国家論、権力理論についての論考なんかを突き合わせてみると面白いかな、と思いました。…単なる思いつきで済みません。

ところで、この機会なので是非伺いたいのですが、早い時期にこのコミュニティで読書会に関して会員各位に相談してみたいと思っています。題材、方法等に関して何かアイディアというか、こうしたらどうか、みたいなお考えはおありでしょうか。相談トピックを立ち上げる前の「雑談」とお考え頂ければと思いますが…。前に他のメンバーとお話ししたところでは、ちょっと古いけどシェルドン・ウォーリン『西欧政治理論史』(福村出版)あたりが良いのではないか、などという話になりました。高価かつ大部の本で敷居は高くなってしまうと思いますが、一人でも読めるような本では皆で読む意味はないかなあ…などと思ったりもします。
 シェルドン・ウォーリン『西欧政治理論史』はみんなで協力して読む必要がありますね(笑)題材に関しては、何分院生の端くれで読書量も微々たる物ですので、なかなかアイディアが出ないところです。
 ただ、方法に関して、題材の選定方法と会の運営方法の二点があると思いますが、題材の選定方法について言うと、コミュニティの特性上、なるべく多くの参加者の共通目的となりやすい題材を選ぶのがよいかと思います。経験談ですが、自分の通年ゼミで、ある人物を取り上げて彼の著作・論稿なりを少しずつ読破していっています。しかし、自分は不学のせいもあって「なんでこの人の文章を毎週毎週読んでるんだろ〜」と思ったりしている始末です(笑)そのため、「この本を読む理由、この題材を選んだ理由」が明確であり、その点で共通認識が多く得られればどのような本でも構わないと考えております。長々と駄文を失礼しました。
御意見どうも有り難うございました。近日中には読書会に関して打診するトピックを(今度こそ)上げたいと思っています。

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