とにかく怖い話。コミュの【実話】天井裏には

　あまり怖くなかったらすいません。

　私の大学時代の友人にMという男性がいます。
　彼はO市でワンルームの賃貸マンションに住んでいました。彼の住んでいる部屋は1階だったこともあり日当たりはひどく悪く、日中でも照明をつけなければいけない暗い部屋でした。Mは夜勤のバイトで昼間寝ることが多いので「これくらい暗いと昼間でも眠りやすいわ」とよく笑っていました。
　ある日、夜勤から帰ってきたMは疲れもあってすぐに床に就いたのだった。
　奇妙な夢を見た。

　夢の中でMさんはいつもと同じように床についている。するとズルッズルッと天井を何かが這いずるような音がする。Mは「天井になにいる」と思い、起きあがろうとするのですが体が言うことを聞かず起き上がることが出来なかった。そのうちに何かは天井裏をゆっくりとバスルームの方へ移動して物音一つしなくなった。
　こういう夢をMはたびたび見たのだと言う。夢を見始めてから半年ほど経った頃、Mが私に言った。
「あの夢まだ見るんやけど、最近気付いたことがあるんや。どうも何かはバスルームの換気口に近づいてるみたいや。昨日、風呂の喚起口に手をかけるような音がしたから今日くらい何かが降りてくるかもしれんわ」

　次の日、講義でMと出会った。Mは私を手招きすると
「お前、今日暇か？　暇だったらうちに来いよ。面白いもん見せたる」と言うので放課後、私はMの家に遊びに行った。Mの部屋に着くやいなやMは「こっちやこっち」、といきなり私を風呂場へと案内した。そして器用に換気口をはずすを私に中を覗くようにいった。天井裏と2階の床までの隙間は30cmほどしかなかった。
　見れば換気口まわりに溜まった埃に人での這いずったような跡がある。しかも手や足の跡もある。手や足跡の大きさはそれほど大きくなかった。
　なんだこれは？　と私が尋ねるとMはにやにやしながら「夢に出てきた何かやろうな」と言った。さらに彼は懐中電灯を持ってくると「奥みてみい」と私に懐中電灯を渡した。懐中電灯で天井裏を照らすと天井裏の跡は部屋の柱の前で途切れていた。
「面白いやろ」

　Mはそれから2年間そのマンションに住み続けて無事に大学を卒業した。彼は最後まで天井裏を這いずるモノの正体を教えてくれなかったが、何だったのだろうか？