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2006年02月14日00:06

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たとえばこんなバレンタイン

注意
本編には下品で毒性の高い代物です。
更に「好きだからこそイジメてしまう」そんな幼稚な人間が作者です、
以上を踏まえ、広い心でお読み下さい。



「冬はやっぱ肉マンよね−」
「ミヤビのおっぱいもこれくらいふかふかだったら良かったのにね」
「血のしょんべん流すか」

魔王マステリオンによる混乱を終え平和が訪れた神羅万象の世、戦禍の傷跡からの復興で繁忙は続くがようやく人々の心にも安心が蘇ってきた。
先の混乱では暗闇の覇者ゾルティアークを召喚し、聖龍族を阻む強大な敵、皇魔獣ティアマントを撃破したミヤビ。
そしてミヤビの周りをは舞うドライアードは古くからの友人、コノハである。
朝の穏やかな日差しの中、緑に囲まれた聖龍の里を散歩から帰ると神社の前に小さな人だかりが出来ていた。

告
古来には二月十四日を『ぶぁれんたいんで』と呼ぶ習慣があり、
これは姫方が殿方に『ちょこれぃと』とを贈り、愛を継げる日である。
この美しい習慣を蘇らせましょう。
恋愛成就には当神社のお守りを             ミコ婆

なんとも商魂逞しい立て札があり、これに人々は集まっていたのだ。
「ねぇミヤビ、あれなんて読むの」
とコノハが声をかけた時ミヤビは、すでに500段の石段を駆け登っていた。
ざわざわ
ざわざわ
境内にできた行列には、聖龍族だけでなく翼の生えた者や獣耳の者、多種多様の人々
が並んでいる。
そして「こちら最後尾」の札を掲げているのはなんと大賢者とまで呼ばれたライセンである。
「ラ、ライセン様。いったい何をなされているのですか・・・」
なんとも哀れな姿に声を
「ミコ婆にな、人々の心に活力を取り戻すために手伝ってくれとまるめこまれてな・・・」

右頬を引きつらせながら弁明する日頃は厳格な大賢者様ではあるが、
薔薇の描かれたどピンクのタスキには「Love will never die」と書かれている。
あの立て札に書かれた『ぶぁれんたいんで』『ちょこれぃと』の文字はいったいなんだったのだろうか・・・
そんな想いに耽りつつも、改造により撮影音を消した写メをシオン姉さんに送るミヤビであった。
「ミヤビ、早くこっちに来て手伝わんか」
送信完了を確認したその時、この人ごみだと言うのによく届くミコ婆の声がした。
ふと傍らを見ると先ほどの辛そうな表情を隠したライセンが愛想笑いで会釈している。
二人の間にはいったい何があったのだろうか・・・と言いつつもコレも写メ。
そしてミコ婆に逆らえないのはミヤビとて同じ事、すぐさま受付に飛んでいくのであった。

里には復興のため人々が多く集まっているとはいえ、どれ程の人々が集まっているのだろうか。
境内には聖龍は勿論のこと、飛天,鎧羅,獣牙、他種族の者も多く並び、ライセン様の持つ「こちら最後尾」の札は鳥居を出て石段の下まで続いた。
本当は1.3倍だけど3倍に見える動きでお守りを売るミコ婆、今邪魔をしたら、質問したら殺される。
本能がそう教えてくれたのでお守りの販売に集中する事にしていると、先の大戦で出会った人にも会う事ができた。
種族を超え私達にも気をかけて下さり大変お世話になった飛天の剣聖シ−プ様と、暑苦しい笑顔とモミアゲの三つ編みがなんとも不愉快な気分にさせてくれる紅蓮の騎士ラモン。
その間に小さくなっているのは私よりか若干劣るもののおしとやかで愛らしいお嬢さま。
彼女は涼しげな水色の髪をかきあげてニッコリ微笑むと
「そのお守りをダンボールでふた箱お願いします。
あ、ソレとレッカあなたでもコレなら持てるでしょ、
20個入りのその箱も一つ」
炎の精霊君はコノハより少し大きいくらいだ、コレを彼に持たせるというのか。それと、巫女として言ってはいけない台詞だけどお守りなんて所詮は気休めなのだ、本人の努力が一番大事、だから一つで十分なのに。良識のある大人なら決してしない大人買いをした彼女は、英雄二人を当然の如く荷物持ちにして去って言った。
他にも鎧羅族の双子は神社に迷惑も考えずパワ−ドス−ツで乗り込んできた。
小汚いバンダナを巻き白馬に跨った獣牙のチンピラは雄叫びと共に現れ駆け抜けていった。
なんなの、まったく。あんなド低脳な種族と相入れる日なんて本当にやってくるのでしょうか。

境内を染め上げていた夕焼けも落ち、
人々で熱気を帯びていた境内に如月の風が吹き込んできた。
居間ではジャージ姿で寝転びながらくつろぐミヤビ。
朝方から今まで不休で働き続けたのだ、
巨石で作り上げた『疲労』という文字が身体の上に乗っているかのように全身がダルい。
7本目の鼻毛を抜いたところに、ほくほく顔のミコ婆が売り上げ金を抱えてやってきた。
「どゆこと?」
残りの気力を振り絞りソレだけを一言発した。
「平和になったとはいえあれから皆の者も働きづめだしの、
息抜きも大切じゃろうて」
「あんなに沢山のお守りは」
「一週間ほど前からリュウセンやみんなに手伝わせたんじゃ。
お主は若いくせに考えが古臭いからの、反対するのはわかっておったからめんどくさいのでハブにした」
サイガさまが族長とは言えリュウセン様に・・・しかしツッコム体力が残っていない。
「それにしてもお前の写真付き限定版はちぃっとも売れなかったのう、情けない。ワシが若い頃はライ・・・多くの男どもを手玉にしたもんじゃ」
言葉を返す気力もない。
裏でコノハが私の写真を嬉々と引っぺがしているのは知っている、
ただ気付かない振りくらいさせてくれてもイイじゃないか。
「今朝の散歩は随分遠回りだったとは思わんか?
その間に伝令を四大大陸に飛ばしたのじゃが、大勢集まったの。
みんな色恋には疎いと見える。ひぇひぇひぇ」
この妖怪婆あを前にするとアナンシのヒヒヒッ笑いが如何に愛らしいものであったか良くわかる。
「疎いと言えばあのオトコじゃ。
リュウセンやフガクも朴念仁だったがしっかりとその血を引いておるの、
あの唐変木でもこの騒ぎでチョコを貰えばなんと思うやら。
今日のバイト代じゃ台所に材料とレシピは揃えておいたからの」
そう言い残すとミコ婆は襖の奥に去って行った。

私はいったい何をしていたのか。
そうだ、ダレている場合ではない。
私だって恋する乙女、やらないといけない事がある。
それからまもなく、キッチンからはとても芳ばしく甘い香りが漂ってきた。
「ミヤビ、甘いよ。なかからも とろーっ て甘いのがでてくるよ」
自分の顔ほどのトリュフチョコを抱えて満足気なコノハ
「そうでしょ、私結構お料理とか上手なんだ」
「ホントおいしいよ、
でも・・・いまさら料理上手なんてぞくせいふやしても見苦しいだけだよ」
わしっ
ぺぃっ
バタン
「な、なに。くらいよ、ここから出してよー」
「明るくしてあげるね」
ミヤビはにっこり笑うと電子レンジのダイヤルを強に設定した。

翌朝
あーうー
独り悶えるミヤビ
「どうしたのミヤビ、欲求不満?」
親切に気づかってくれたコノハにミヤビの返答は明瞭だった
「黄昏より暗きもの(略)
出でよゾルティアーク
そして我に相対するものを滅せよ
魔天呀撃」
ミヤビは消し炭となったコノハを摘み上げると、
感情の無い目で一瞥し、窓から捨てた。
「ひどいよ、ミヤビー」
しかし何処から湧いたのかすぐさま背後から声がする、
私の前では常に一匹だけど、本当はいったい何匹いるのだろう。
「乙女の機微を理解しないアンタが悪いのよ。
いくら空気を読むのが多少苦手なサイガでも、今日チョコを渡すって言うのはそうゆうことでしょ。
私だって葛藤くらいするわよ」
「あのね、ミヤビよけいなおせわかもしれないけど。サイガさまをすきなのはミヤビだけじゃないんだよ」
「え?」
「だーかーら。ほかにもサイガさまをすきなひとがはいるんだよ。」

 ・ ・ ・

テッシンの奴、意外と着痩せするんだよな
蒼天城の天守閣から鉄心道場の庭を覗くサイガ
両手で双眼鏡を支えているためよだれを拭くこともできない
ソレがサイガの朝の日課だった
鉄心道場の極意を極めたテッシンは、その日の夕暮れ道場の裏にある巨木の下でサイガを呼び出した
サイガ、今だから言うよ。実はオレ、サイガがすきなんだ
武道に打ち込んできた一人の少年
まだ幼い顔立ちが残るものの青年と呼んでもかまわない彼の真っ直ぐな視線を受とめるサイガ
純粋なその目を見つめながら、サイガは邪な心を増大させて行くのである
「ってちーがーう、私は何を考えているんだ。
あの女に決まっているだろ」

ボーンマスターは伝説の巨人タイラントゴーレムの復活に成功させた
それを引き受けてくれたエドガーとポラリス
宮殿の外ではその死闘が聞こえる
そして僕たちの前現れたのは・・・
危ない、アレックス
ソードギルの攻撃を受け止めるサイガ
風を極めたアレックスとて全方位からの攻撃を避け切ることは至難である
サイガさん、ありがとうございます
女の子と護るのは男の仕事だろ
と応えるサイガの頬からは鮮血が流れていた
二つ目の月が昇り始めたころ、ドアをノックするものがいた
サイガさん入りますよ
扉から現れたアレックスはなんだか浮かない表情ではあったが
まるで絵画から抜け出たかのように美しい
そんな事を考えていたらアレックスの腕がサイガの胸元に伸びてきた
緊張の余り声が出ないサイガにアレックスは行動止めなかった
吐息が耳を掠めるほど近づくと彼はこう言った
だれがおんなのこですって
え?目を白黒させるサイガ
ふっ サイガさん、貴方が望むのであればコレも一興かもしれませんね
けれどどう見てもあなたの方が受け顔でしょう
こういうとゆったりとしたローブをはだけさせ
「うん。この方がしっくり来るわね。
って、そーじゃねーだろ」
妄想と自分ツッコミの狭間で揺れるミヤビ
「これもサガか」
好きな人すらネタにしてしまう、そんな腐女子の末路にコノハは溜息をついた。

堅牢な中央王国の門
禍々しさは無くなったものの、
門の放つ威圧感はあの時と少しも変わらない。
そして私は、あの時以上に緊張しているのかもしれない。
「や、やっぱり辞めよう、コノハ」
「ここまできてそれはないんじゃない?」
「ほら、来年もあるしさ」
「ガンバロよミヤビ。せっかくがんばったんだからさ。
ってゆーかウゼーよ、とっとと行けや。締め切りが近いんだよ」
ミヤビはありったけの勇気で重厚な門を通ると、ソコには外見とは裏腹に暖かな光が満ちていた。
封印を司る中央大陸、確かに厳めしい造りをしているがフガク様を始めとし多くの皇帝がこの王宮を護って来たのだ。
そう、いつの頃からか建物には慈愛の空気が満ちていたのだ。
そして今はサイガがいる。
そう思うだけで元気付けられた気持ちになり、ミヤビは奥へと進む。
受付の飛天族のお兄さんは私を見ると直ぐに取り付いてくれた。そして私を案内してくれたのは玉座ではなく、サイガの私室であった。

落ち着け、私
「久しぶり、サイガ。入るよ」
大きく息を吐くと努めて元気に声をかけると
「うん、いいよー」
いつものサイガの声がする。
あの頃から変わらない柔らかな声、
皇帝になって変わっちゃったんではなんて心配は不必要だった。
ドアを思いっきり開くとそこには、
そこにはプレゼントの 山 山 山
あの飛天城のようなケーキは手作りか、
ピンクと赤なのに上品にまとまったあの箱もステキだし、
小さいけれど丁寧なラッピングには随分心がこもっていそうだ。
呆然部屋を見つめるミヤビに
「今日はバレンタインなんだって、
皇帝になっちゃったせいかみんなが持ってきてくれてさ。
そんな気を使わなくてもいいのにね」
とサイガはあっけらかん話す。
ニブくて助かった。
でも彼女達も可愛そうに・・・
敵ながら思わず同情してしまうミヤビ
「で、今日はどうしたのミヤビ?」
そんな心境には全く気付かず にぱー と笑いながら話しかけるサイガ
「あ、ああ。そうよそうなのよ。
今日はバレンタインデーでしょ、それがウチのお婆ちゃんが広めちゃったみたいなのよね。
それでね、私も一応幼なじみだしね、
皇帝になっちゃってサイガも疲れているかなーなんて思ったりもして、
甘いものを持ってきてあげたのよ。
いっぱいあるみたいだけど良かったらコレも食べてよね。
へ、変な意味じゃないわよ、ギリよ。義理」
まくし立てて話すと真っ赤になった顔を背けてチョコを突き出した。
「なんだ、ミヤビのは本命じゃないのか」
と少し拗ねた素振りで受け取るサイガ。
「じゃ、じゃあ又ねサイガ、お仕事頑張ってね」
ミヤビはサイガの呟きに気付かず、手の重みが消えると脱兎の如く走り去った。

残されたのは寂しそうにチョコを抱きしめて立ち尽くすサイガ。
しかしその口元は嬉しそうでもあった。
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