mixiユーザー(id:8306745)

2008年04月08日13:40

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読めばいいってもんじゃあないんだよ

再び濫読本の感想が溜まってきたのでガス抜き。
相変わらずの手抜き読書ですが。トレーニングに
なるような本にはなかなか手が出ないなぁ。

『カレル・チャペックの日曜日』カレル・チャペック

 1920年代から30年代のエッセイをまとめた物、なのだが
その内容は未だ普遍性を持ち続けている。これはチャペックの
慧眼なのか、人間がそうおいそれと進歩しない、という事の証明か。
両方なんだろうな。ちなみに翻訳者解説は蛇足。つうか下品。

『弥勒戦争』山田正紀

 著者のデビュー二作目。面白いんだけど、話が膨らんで膨らみきって
爆発しないフラストレーションは『神狩り』と同様。明白に影響を与えている
平井和正が物語を終わらせきらずに、ドラマ性が頂点に達した時点で
物語を打ち切ったのと同種の手法、だと思うが、そのずっと手前で物語が
ストップしてしまっている。

・・・というか、これは『神狩り』と併せて、『青春の自分探しストーリー』と
読んだ方がいいのかも。乱暴だが。だから完結はしないのだ、と。

『煙草おもしろ意外史』日本嗜好品アカデミー

タイトルが云うほど面白くないし、意外でもない。
煙草と人類の共存と迫害の歴史、と
現代の嫌煙の流れへの懸念、が大きな柱だけれど
周知のトピックも多かった。

疫学と煙草の関連性にはほとんど触れられていないが、
そちら方面のアプローチも欲しかった。屁理屈でもいいからさ。
『日本人の肺ガン罹患率が急激に跳ね上がったのは70年代の
高度経済成長期からであり、戦前から60年代までの成人男性の
喫煙者率がほぼ100%近かった頃よりも高いという事はデータが
立証しており、煙草が肺ガンのキーになるという論法は詐術であり、
冤罪と言える!原因は大気汚染にあるのだ!』とかなんとかかんとか。
あ、ちなみに上記もデータを意図的に読み違えて見せた手法です。
嫌煙論者が『煙草は肺ガンの原因になるんだから吸うべきではない』
と云ってきた場合の反論材料です。今の所全勝(笑)。
ま、きっちり疫学的な事を学んだ人間には歯は立ちませんけどね。

『極私的全共闘史 中大1965-98』神津陽

う〜ん、悪文。結局の所親父の回顧録(あの頃は良かったなぁ、的な)
にしかなっていない。あと、セクトやブントが色々あって対立していた
ってのは分るが、一回名前が出てきた組織は次から全て短縮系で
書かれているので、どれがどれやらさっぱり分らなかったのは、
読み手の未熟ですか、そうですか。

『ビューティーハニー』マツモトトモ

・・・凄まじいばかりの開き直りっぷりが素晴らしい。著者のデビュー作
をそのまんま焼き直し。そのテーマとキャラが大好きだ!!と
居直って吼えるのは、よし。問題は面白いかどうか、だけ(笑)。

『現代思想 特集メタミステリ』青土社

日本のハイデガー関連本では出版点数一位なんでは、という
木田元と『哲学者の密室』を書き上げた笠井潔の対談目当てで
購入。木田がいい人過ぎて結局いつもの笠井節で対談が
終わったのが残念。もっと突っ込んで欲しかったんだが。
法月綸太郎が柄谷にどっぷりだった時期のクイーン論が面白い。
つうか、引用しすぎ(笑)。法月の文章読んでいるんだか柄谷の
文章読んでいるんだか分らなくなる。

『天龍同盟 十五年闘争』小佐野景浩

男気の天龍、ってのがどうも好きではないんだが、それだけに
天龍の人生最大の裏切りであるSWS関連の本はつい読んでしまう。
この本も2002年の天龍までを追っているので、SWSは避けては
通れない。この『天龍が好きな人』が『SWS』という当時鬼子の
ような団体へ参加した天龍をどう評価するか、というジレンマは
読み応えがあるのだ。意地悪い読み方だがね。

『キミキス1〜3』東雲太郎

読んだ私が馬鹿でした。全く合わないな、こういう世界。

『ラインの白い霧とアクロポリスの円柱』埴谷雄高

巻頭のヨーロッパ紀行文は、そんなもんかな、って感じでしたが
次の吉本隆明への公開書簡がいやらしくて素敵。性格
悪いわぁ。こういうのとは論争したくないね。

『アオイホノオ 1』島本和彦

プレ『燃えよペン』か?と思って読み始めたらいい意味で違いました。
新『まんが道』というか80年代初頭オタク生態学、というか。

とまれ、このジレンマは物凄く覚えがあるので、面白い。
島本和彦の筆致で描き切られると平伏するしかない、わな。

『カナリア殺人事件』ヴァン・ダイン

正直、タルい。エラリー・クイーンというある意味本格推理の
完成形を愛している訳だから、その一世代前の作品は
瑕が目に付くのは無理もなし。次は名作と名高い『グリーン家』だしなぁ。
実はまだ読んでいないんですよ、『グリーン家』も『僧正』も!

あ、ラスト近くのレコードのシーンの盛り上がりは素晴らしい。
ゾクゾクしました。あまりにも偶然に頼りすぎだが。

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