桜が満開になるにつれて 風邪が悪化していった
高熱にうなされ 夢見がちになっていった
見る夢は いつも同じ
カノジョと 桜の旅に出ること
満開の桜の咲く 小さな駅のベンチで
2両しかない電車を 待つ
行き先は 知らない
ここから先は 夢まかせだ
ボクたちは お茶会にいた
野立てを楽しむカノジョは 美しい和服に包まれていた
やがてお花見弁当の時間になった
どーやら 向こうの島まで行かなくてはならないらしい
向こうの島までは セルフサービスだ
ボクは 漕いだ
ひたすら 漕いだ ・・・
それでも 島は 遠かった
お花見弁当は 鯛めしや かれいの煮付けだった
ボクと カノジョは 向こう島に上陸せずに
舟の上で 食事を楽しむことにした
しばしの くつろぎ ・・・
小鳥がさえずり 桜が 水面に映る ・・・
いつしか カノジョの着物の膝に 桜の花が浮かび上がってきた
ボクたちは 向こう島で しばらく遊んだ
夕暮れが 近づいてきた
島の管理人の ジェーンと別れを告げて
ボクたちは 帰ることにした
辺りは 暗転
すっかり暗くなってしまった
寝汗を びっしゃりかいて ボクは目覚めた
和服のカノジョも もうどこにもいない
コーラを飲み干す ・・・
ボクは まだ 風邪の中にいた
でも ・・・
でも 春風邪のイタズラなのか ・・・
ボクの手には しっかりと
カノジョの手折った桜の枝が
握られていた ・・・
夢見花 ・・・ 桜を こう呼ぶ人も いる ・・・
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