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2007年09月10日23:43

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強固なる信念に支えられた科学は神と狂気のいずれに行き着くか?

東野圭吾強化週間。

『鳥人計画』読了。
文庫版のアオリ文句は「本格スポーツミステリー」だが、
どうにも、一つの道を愚直に求める人間の姿の醜さがテーマと
思える。

スキージャンプ競技関連がメインの舞台だが、その記録を
伸ばすべく、あるテクノロジーが追求され、それによって
人が死ぬ。その死は意味が無い。しかし、その死に様々な
意味を人は求める。その死に夢を見たが故に人々はもがく。
関わる人々の愚かさを非常に冷徹に描く筆致は素晴らしい。

恐らく作中で描かれるテクノロジーは完全に現在再現可能
であろう。この辺り、ほぼ同時期に書かれている岡嶋二人
『クラインの壷』にも言える事かもしれないが、その先見性を
讃えるべきか。

ミステリーとしての構成も抜群に素晴らしい。犯行は序盤に
行われ、犯人は中盤で逮捕される。探されるのは、密告者と
犯人の動機。動機がどうでもいいなどという作家に読ませて
やりたい(また森の事?)。

解説は蛇足。というより、この小説の内容を踏まえた
解説としてはゾッとする程不適格な物だと思う。

最後に、本当にどうでもいいが、「脳天気」という表現が
頻出するが、非常に気になる。東野らしくないというか・・・。
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