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2026年10月30日21:56

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動画アリ!2026年第6回 横浜ライド 10月18日(日)『Today is another day』を風にのせて ― 山手西洋館ハロウィン装飾、

 <2026年第6回 横浜ライド 10月18日(日)『Today is another day』を風にのせて ― 山手西洋館ハロウィン装飾、秋の影と鮮彩のグラデーション ― テーマ曲「Today is another day」>



             前書き


今年も秋の深まりとともに、横浜市中区の山手西洋館(全7館)において、恒例の「ハロウィン装飾」が開催されている。異国情緒を今に残す館内は、普段の静謐な佇まいから一転し、カボチャの鮮やかなオレンジや深く重いパープル、そして秋の草花たちが織りなす幻想的な装飾で彩られる。古い西洋建築の木目やレースの陰影に、ハロウィンという異国の祭礼の遊び心が溶け込んでいく。七館それぞれに異なる趣向が凝らされた今回のハロウィン装飾。その中から、特に心に残った風景や、思いがけない出会いのあった場所を中心に紹介していきたい。
旅のテーマ曲として携えるのは、1996年7月8日にリリースされたZARDの7thオリジナルアルバム表題曲『Today is another day』である。
「明日は明日の風が吹く」という前向きな開放感と、どこか胸の奥に抱えた切なさを疾走感あるビートで包み込むこの楽曲。秋の透き通った空気を切り裂いて走るペダルのリズム、そして館内に広がるどこかミステリアスで華やかな秋の装飾――過去の傷や迷いを軽やかに追い越し、新しい今日という日を鮮やかに塗り替えていく旅を描いていく。

目次
• 第1章 秋風とビート、横浜への道
• 第2章 光と影が交差する坂道――谷戸坂からみなとのみえる丘公園へ
• 第3章 異国の館に灯る秋の幻想――ハロウィン装飾巡り
• 第4章 木立の先へ――洋館が織りなす宵のミステリー
  (1)テニス発祥記念館へ
  (2)イタリア山庭園 外交官の家
(3)イタリア山庭園 ブラフ18番館
• 第5章 海を見下ろす展望台にて――トワイライトの静寂
 (1)山下公園
  (2) シルクセンター
  (3) 北仲ノット46階展望台
• あとがき


第1章 秋風とビート、横浜への道


自転車のサドルに跨り、秋の澄みきった空気を感じながら、県道12号横浜上麻生線を疾走した。連日雨が続いた9月とは一転して、10月は快晴に恵まれ、湿気がとれて、暖かく感じる。夏場のように肌にまとわりつくような不快感は一切なく、ロングライドにはもっとも適した季節だといえる。朝方、Tシャツを撫でて吹き抜ける風の冷たさが、心地よく身体を研ぎ澄ましていく。
鶴見川沿いの緩やかな道を疾走すると、頭の中で『Today is another day』のイントロダクションが勢いよく鳴り響く。
軽快で力強いドラムのビートに導かれ、爽やかなブラスの音色とポップなキーボードの旋律が跳ねるように重なり合う。都会的な洗練されたアンサンブルでありながら、その底流には作詞者坂井泉水のメッセージが詰まっている。「昨日より今日、今日より明日へ」

海沿いのみなとみらい地区は、信号が多くて、ストップ&ゴーの繰り返し、そのたびにいったん呼吸がとまる。サドルに跨ったまま待機していると、周囲の景色を意識する。係留保存された日本丸の姿から港町として発展した様子が垣間見える。Today is Another Dayのミュージックビデオ(MV)は、モナコ公国や南仏のニースやカンヌで撮影された。抜けるような青空の下、薄ベージュ色のワイシャツ姿でヨットハーバーを散策する彼女は、背伸びをする。サングラスをかけたまま、潮風を受けて、腕を大きく伸ばす。からっとした空気に覆われ、辺りを散策しながら、腰を落ち着けた。ノートを手に気付いたことをまとめる。作詞家としての彼女の日常だった。

外部写真� �7thアルバム「TODAY IS ANOTHER DAY」のジャケット 
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坂井泉水を思いながらも、私は前を見る。道路では歩行者と共に、後続の車を気にする。安全が第一だった。信号が青に変わると、ペダルに足をかける。海沿いの整備された道路は、一漕ぎによって、前へと推進力を生み出していく。
  


第2章 光と影が交差する坂道――谷戸坂からみなとのみえる丘公園へ

 元町中華街駅を越えて、距離300m、平均斜度11%の谷戸坂へ差し掛かる。6段ギアを一番軽くして、座ったままペダルを踏み込んだ。最初は緩やかとはいえ、初速から重かった。この難所を越えれば、目的の西洋2館が並ぶみなとの見える丘公園、ハンドルを握り、膝の力だけで前に進む。すぐ脇に家があると、住人を意識してしまう。助けを求めたくなりそうになりながらも、自力での挑戦後には確実に達成感を味わえる。車体がややコントロールを失いながらも、どうにかたどり着いた。


みなとの見える丘公園は、秋バラの季節。春に比べて、株は小さく、こじんまりと咲く。雲がなく、日差しが届くと、色味がくっきりと出る。初めに訪れたイギリス館、テーマは 「古代ケルトの夜、英国の森から届くHalloween」、2階の一室のサンルーム、焚き火を囲うように、水を張った桶の中に詰められたリンゴやカボチャが用意されている。
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併設されている寝室には、紫の帽子やマントが添えられていた。ハロウィンの発祥は、イギリスのケルト地方だった。10月31日の夜に死後の世界の扉が開き、先祖の霊に紛れて、悪霊や魔女も来訪すると信じられていたのである。現世の人々は、不吉な予兆を感じ取り、魔女や悪霊に仮装することで、仲間だと見せかけて難を逃れようとした。災いを遠ざけるための祈りと、厳しい冬の到来を告げるかがり火の静けさが、余韻を残す。サンルームを包む淡い日差しの中に、本場ケルトのハロウィン祭を映し出していた。
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 外へ出ると開放的な気分になれる。白色のバラ「グラミス・キャッスル」が、イギリス館を背景に、格調を添える。白を基調とした、シンプルで気品あるクラシカル・モダンな佇まいの建物は、アメリカ・ヴィクトリアンの影響を受けてデザインされた。人の悩みや迷いが生じるとき、ふと出かけたくなる。一人静かな館をめぐっていると、階段を登り降りする足音も響く。誰かがくるとの緊張感から、展示されたケルトの不思議な世界観とあわさる。何か期待がよぎっても、大きくは変わらない。外へ出れば、正気にたちかえる。秋の日差しを浴びる一輪の白いバラが、優しく受け止めているかのようだった。
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第3章 異国の館に灯る秋の幻想――ハロウィン装飾巡り

みなとのみえる丘公園から西へ山手通りを走っていく。歩道の散歩客を追い越していくと、移動に便利な自転車乗りの醍醐味さえ感じられる。左手に見える山手234番館は、3本の紅葉の木によって幾分隠れてしまう。モルタル外壁とセメント瓦が特徴的な木造2階建て。1階は展示室と物産店、2階は時に市民サークルの発表会の場として開放される。過去にも写真や絵画を発表する団体との交流を通して、リラックスしたひと時を過ごさせてもらった。今回は、自分には馴染みのない分野、直接作者から説明を受けた。開催されていたのは「第2回 にはる展 能面中山重晴、石仏画久野秀晴 二人展」である。能面(神仏や死者、精霊の降臨と鎮魂の文化)も、石仏画(仏教美術・信仰の造形)も、いずれも深層では「仏教や神仏信仰、精神性」に深く根ざしている。西洋建築の空間の中に、ふと現れた静謐な「和」の領域。作者の中山重晴氏は、80歳を超えた今もノミを握り続け、公募展(現代能面美術展)でも入選を重ねる能面師として活動する。60歳を過ぎてから足を踏み入れたその世界。

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男性面は年季が入り、深く刻まれたノミの跡と垂れた目元に、幾年もの人生の機微が浮かび上がる。一方の女性面は、細い目元にふっくらとした頬のラインが印象的だ。古くは室町や平安の昔より、こうした豊かで丸みを帯びた顔立ちこそが美の理想とされてきた。作者は一刀に心を込め、かつての時代に愛された古典の美の像を、現代の光の中に蘇らせていた。山手234番館にて、古典美に触れると、芸術への見方も変わってくる。

斜め向かいの木立に囲まれたエリスマン邸では、おとぎの国に迷いこんだようなハロウィンの光景が広がっていた。テーマは「エリスマン邸のハロウィンパーティに迷いこんだ白ネコたち」。館内では、擬人化された動物たちが来園者を迎え、どこか芝居めいた夜会の気配を漂わせている。
ダイニングの黒いテーブルクロスの上にはティースタンドが据えられ、その上に小さなコウモリが羽を休めていた。脇にはマント姿の猫や小動物たち、そして手前にはシルクハットを被ったネズミ。まるでこの不思議な宴の案内役であるかのように、それぞれの位置に収まっている。黒を基調にした演出ではあるが、背後の大きな窓からのぞく緑が空間を一気に明るくしてくれた。

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サンルームには、黒いマントを羽織ったカボチャの紳士がロッキングチェアに腰を下ろし、そのそばで白ネコたちがひっそりと寄り添っている。ダイニングのにぎやかな演出に対し、こちらは静かな余韻を残す一角だった。エリスマン邸のハロウィンは、闇や不吉さよりも、光の中でほどけていく幻想を体感できた。
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窓越しの光と影のグラデーションの中にたたずむ彼らの姿を見つめていると、ふと『Today is another day』のサビの旋律が胸の奥で静かにリフレインする。
慣れない場所では、誰かに連れて行ってもらいたくなる。期待しすぎは禁物、ときに意見が合わなくなり、ペースを乱されてしまう。エリスマン邸の猫たちは、そのどちらにも揺れることはない。来園者を今宵の宴へ導くように、黙って持ち場を守っている。小さな世界に目を凝らしているうちに、こちらの見方の方が少しずつ変わっていくようだった。


 

第4章 木立の先へ――洋館が織りなす宵のミステリー

エリスマン邸を後にし、山手通りのアップダウンを軽快に駆け抜けていく。途中で左折し、緑豊かな山手公園の中にあるテニス発祥記念館へ立ち寄った。
  
(1)テニス発祥記念館へ

昔ながらの木のぬくもりを感じる館内、玄関のドアを引くと、ベルが鳴り、来園者を告げる。職員は2階にとどまったまま、作業音が聞こえてくる。室内のラジカセから「君が代」のピアノによる合唱が流れてくる。ソプラノやテノールなどの歌声が重なり合い、聖歌隊のような重厚なハモリが入ると、奥行きが増す。入り口には、とても簡素な飾り付けが拵えていた。紫の布飾りのもと、腰を落ち着ける二体のニッセの脇には、バケツに入ったカボチャと共に、オレンジのリボンをつけた三体の猫が寄り添いながらくつろいでいた。クロースの前では、木彫りのフクロウが居座る。尖った鼻、目から斜め上に睫が飛び出す様から、微笑んでいるようだった。その奥の窓際には、白いマントに覆われ黒いハットを被るお化けたち、それぞれ宴を楽しんでいるようだった。
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ゴーストたちが集う賑やかなディスプレイを眺め、再び山手通りへ戻ってペダルを進める。 Today is another dayのBメロの冒頭の歌詞と合わさる光景だった。口が上手い人は確かに些細なことでも大きく語る。ハロウィンといえば、死者の魂が戻る儀式として広まっていた。一見奇怪な出来事に見える。ただし見方を変えれば、我々の先祖が帰ってくる一大行事である。失った人を追い求めて、明るく出迎え、食事を通してもてなす。テニス発祥記念館を初め山手西洋館では、来賓を受け入れるかのように、ディナーの食器やカトラリー(食卓の品々)が整然とそろえられていた。
               
(2)イタリア山庭園 外交官の家

右手へと折れ、イタリア山庭園へ。その手前の外交官の家。「不思議な森の夜会」と題された館内には、およそ70体のフクロウのオブジェやシックな晩餐のテーブルが広がり、人里離れたメルヘンチクな森の世界だった。ダイニングには、八重咲きのダリアが添えられ、枯葉を横一列に並べて、隙間を埋める。揺らめく蝋燭の明かりによって、重厚な食器や空間のグラデーションが浮かび上がった。
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人の言葉の巧みさに戸惑い、目の前の小さな脆さにふと嘘か誠かを問いたくなるような、怪しくもどこか愛おしい夜会の風景。 2階には、全てのフクロウの作り手である植木学氏が迎えてくれた。
60歳を過ぎてから、フクロウの躍動感に魅せられ、手作りにて作品を発表するにいたったと答えてくれた。一見すると木彫り作品と想像する。原料はススキやパンパスグラスとのことである。秋の風物詩となる2種の植物は意外にも弾力があり、型崩れをせずに持ちこたえると説明してくれた。芸術家によると、実際フクロウは、野生下でトラフズクを観察したことがあるという。冬場時に首都圏の川原にも飛来し、茂みの中に隠れて過ごす。背景の木に化けてじっと周囲を凝視する姿から、古くから経験豊かな長老にもたとえられた。本業はフラワーデザイナー、客からは犬や猫の作品の依頼が来ても他の動物には手を出さない、職人としての筋を通していた。

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  例年12月1日から25日のクリスマスまで開催される、世界のクリスマス展でも出展予定だと、予告してくれた。こちらの疑問をぶつけて、丁寧に答えてくれた芸術家に感謝して、1階へと降りていった。
夜行性でミステリアスな特徴を持つフクロウ(オウル)は、ハロウィンの主役級の動物である。知恵者として魔女の使いとして現れ、奇怪な空気を作り出す。西洋のハロウィンモチーフの象徴だった。
             
(3)ブラフ18番館へ

続いて隣接するブラフ18番館へ。こちらのテーマは「魔女たちのミステリアスな晩餐」。黒と紫を基調としたテーブルセットが据えられた。銀色の水晶は、魔女の妖術を支えるアイテム。黒く変色したカラーの花、黒く縁取られた蝋燭立て、白いTカップが、飲み込まれるほど、ミステリアスな雰囲気に包まれる。暖炉には箒が立てかけられ、真っ黒のカラーや蝋燭が隙間なく置かれる。

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深まる宵の宴の気配をかもし出しているとはいえ、周囲は日差しが差し込むほど明るい。本来なら重厚な西洋館を満たすはずの魔女の妖術も打ち消されてしまう。この明るい陽光によってふんわりと解き放たれてしまうかのような、どこか微笑ましく愛おしいコントラスト。玄関口にたわわに実るソヨゴの赤い実を横目に外へ出る。

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園を囲う塀の上から見上げると、横浜の街には静かに秋のグラデーションが広がっていた。物の見方はその人次第で変わる。疑心暗鬼に陥っていると、魔女が織り成す世界を、不吉な予兆ととらえる。多彩な世界を受け入れる豊かな心があれば、小さな人形の表情をとらえていく。間取りが大きい館内に差し込む日差しから、不思議にも年に一度の宴のように見える。空はところどころ雲があるとはいえ、青空がしっかりのぞいていた。


第5章 海を見下ろす展望台にて――トワイライトの静寂
 
イタリア山庭園から山手通りを折り返して進む。もう一度西洋館に立ち寄り、見納めをする。毎回イベントや節句の度に展示品は変わり、その都度表情を変えていく。次は恒例の「世界のクリスマス店」、西洋7館で共通のテーマを掲げ、一館ごとに異なる国のクリスマスのディナーの食卓や文化を再現する。

みなとの見える丘公園まで息を切らして登った谷戸坂を今度は下っていく。ペダルに足をかけたままブレーキを握ると、風が頬をかすめ、少しひやりとした。座ったまま膝に力を込めて進む上り坂には、毎回張り詰めた緊張がある。その後の下り坂との落差は対照的だ。膝をほとんど動かさず、重力に身を任せて風を切る解放感は、自転車乗りならではの達成感の一つだった。

           (1)山下公園

丘から海沿いへ、向かうは山下公園。関東大震災の瓦礫を埋め立てて整備された園内、芝生広場にベンチを設置して、地元住民や観光客、ビジネスマンらの憩いの場となった。氷川丸のそばの「みらいのバラ園」は、過去から未来へ橋渡しする願いから命名された。春に比べると、小ぶりで、花数も少ない。早咲き、中咲き、遅咲きと順々に顔を出すことで、見頃の期間は長い。十角形の塔「マリンタワー」は、どの方角からも同じ姿に見える。スリムでシャープな姿は、戦後発展する町のシンボルとして1961年から60年以上にわたって、見守っている。

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         (2)シルクセンター 

公園のほど近くに位置するシルクセンターは、真っ白いブロックのような建物の2階と3回に位置する。2階に設けられた入口近くの記念撮影コーナーには、今が瞬の「紅葉狩り」と題された着物作品が展示されていた。深い藍色の布地の上に、繊細な絞り染めの羽織が映える。秋の深まりを感じさせる和の装飾にしばし目をとめ、心静かな時間を過ごす。

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その上の階は染物や着物作品のコーナーと化す。絹の貿易で発展した横浜の歴史を後世に残すべく、文化施設として役割を果たしてきた。東神奈川駅と八王子を結ぶJR横浜線は、絹のルートの名残である。江戸時代以降、日本は生糸や蚕種(さんし:蚕の卵)の取引で財をなした。その一大集積地が横浜港だった。全国の養蚕農家は、ピーク時の1929年(昭和4年)に約221万戸から、全国で113戸(2025年時点)まで落ち込んだ。国産繭の生産高は12万トンから38トンへと激減した。絹の国内消費量のうち、国産繭が占める割合は0.1パーセントにとどまった。人々が安い製品を求めた結果、国内の一次産業は打撃を受ける。養蚕業はその最先端に立たされていた。
消え行く養蚕について考えると切ない気持ちになる。館内から一歩外に出ると、ビルには影ができていた。日差しはなかったものの、風も穏やかで、背中をそっと押してくれるようだった。自転車で海沿いの道を漕ぎ、夜景スポットへと走り出す。

         (3)夜景 北仲ノット46階展望台

本日のライドの最終目的地、ザ・タワー横浜北仲(北仲ノット)である。2020年2月に竣工された複合ビル、高さは212m、地上58階、地下1階の構造である。開業から間もないにもかかわらず、ホテルの「オークウィッドスイーツ」が2025年8月24日を持って撤退した。46階から51階は、改装工事を経て、星野リゾートが運営する「OMO5横浜馬車道」として2026年1月15日にオープンしている。
一般にも無料で開放された46階展望台は、2025年9月から上層階の改修工事によって一時閉鎖され、2026年1月15日にリニューアルオープンした。改修前から、展望室は、宿泊客のフロントも兼ね備え、係員が常駐する。リニューアル前に比べて、360度ガラス張りの展望室にはカフェなどが併設されていた。一般の撮影スペースは少しばかりコンパクトに姿を変えていたのである。より効率よく利益を生み出すべく、展望立地を生かして、飲食業を誘致した。
東側の窓辺に佇み、眼下に広がる港の夜景を見つめる。対岸の大黒埠頭を結ぶ横浜ベイブリッジのスタイリッシュの外観は、オレンジ色のナトリウム光が点灯する。藍色の空に浮かび上がる明かりは、人の生活観を示している。

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サビの歌詞の内容通り、他人に過度な期待を抱いたり、思い通りにいかない現実に溜息をついたりすることは、誰にでもある。変えられない過去や孤独を嘆くよりも、いま自分の目の前にある景色を見つめ、一歩を踏み出すために何ができるのかを考えること。そうやってペダルを漕ぎ進めてきた秋の一日は、自分の価値観を正す旅でもあった。ハロウィンは、死者を迎える儀式、真っ黒のコウモリが闇にまぎれて飛び、知恵者のフクロウに先導され、黒いハットを被った魔女が箒に乗る。どこか異世界への入り口のようにミステリックである。日当たりの良い丘の上に立つ山手西洋館では、窓から降り注ぐ日差し、周囲を囲む緑の影響で、魔法が溶けてしまったかのように鮮やかに彩られていた。
青みを帯びた空のグラデーションが消えていく中、展望台のエレベーターに乗って、地上へ降りていった。秋の日暮れは早く、午後5時30分を越えれば、真っ暗である。自転車のライトをつけて、みなとみらいから出発した。Today is another day・・・・

あとがき

自転車で走った秋の横浜は、坂の息苦しさも、洋館の装飾も、港の夜景も、すべてが一続きの景色として残った。山手のハロウィンは、死者を迎える物語でありながら、昼の光の中ではどこか明るく、遊び心を失わなかった。怪しいはずの気配が、窓から差し込む陽ざしや緑に溶けるようにやわらいでいく。

『Today is another day』の世界観を重ね合わせながら走ったハロウィンライドは、日常の一幕に過ぎない。ペダルを踏み、坂を越え、展示を眺め、海を見下ろした。体を動かしたことで、昨日と同じはずの景色が、少しだけ違って見えた。変えられない過去や、うまくいかない思いに囚われるより、いま目の前にある光と影を受け止めて進むこと。曲のメッセージは、その単純な一歩の中にあった。今日が終われば、また別の一日が始まる。風の向きも、自分の気持ちも、同じとは限らない。だからこそ、秋晴れの一日を走り切ったことが、翌朝へとつながっていく。山手の坂を下り、港の灯りを背にして帰宅路についたとき、静かに確かめることができた。

外部写真�◆〆箘羸�水『Today is another day』の付属ブックレットやMVの一カット 
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出典先

外部写真� �7thアルバム「TODAY IS ANOTHER DAY」のジャケット 掲載元 Be資料室  注:アルバムタイトルは大文字表記、曲名は頭文字以外は小文字表記

https://beingmusic.ldblog.jp/archives/50552430.html

外部写真�◆〆箘羸�水『Today is another day』の付属ブックレットやMVの一カット 掲載元 FRIDAY 2025年5月13日付https://friday.kodansha.co.jp/article/423573/photo/cc43ceb6

参考リンク

・山手西洋館 イギリス館ブログより https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/details/20261017halloween.php
・植木学氏 Instagram https://www.instagram.com/manabuueki/
・シルク博物館 ホームページ https://www.silkcenter-kbkk.jp/museum/
・データ詳細 国内繭の生産高について サイト名 婦人画報 2026年2月22日付 https://www.fujingaho.jp/uts-kimono/essay/a70293733/sanshikaitaidan1-260222/
詳細サイト 個人ブログ たびくら 〜バイクで全国走破!?〜 最終更新2026年7月16日付 リニューアルした横浜北仲ノット(ザ・タワー横浜北仲)展望台に行ってみました【OMO5横浜馬車道 by星野リゾート】
https://tabikura-bike.com/archives/19681

・詳細サイト 夜景について 夜景FUNより
https://yakei-fan.com/magazine/yakei/kanagawa/thetoweryokohamakitanaka.html#google_vignette



 過去の関連作品

2026年 前回 第5回横浜ライド 6月6日(土)テーマ曲「不思議ね」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1992327566&owner_id=32437106&from=list_diary_title

前々年同期

2024年10月20日(日)テーマ曲「好きなように踊りたいの」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988700840&owner_id=32437106&from=list_diary_title

3年前同期

2023年10月22日(日)テーマ曲「きっと忘れない」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986240999&owner_id=32437106
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