今回は、我々の体内の設計図となるDNAの分野から、将来的に不老不死の実現への鍵を握るT細胞について探っていく。
目次
第1章 老化細胞の除去で若返りを図る
第2章 細胞の若返りに欠かせないT細胞の正体をDNAから辿っていく
第3章 アミノ酸からT細胞の生成過程を辿る。
第4章 司令官T細胞をコントロールする
第5章 自己免疫疾患を予防する たんぱく質「FoxP3」の正体を掴め!
関連日記
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第1章 老化細胞の除去で若返りを図る
詳細 ファンケルページ 2025年3月6日付より
https://www.fancl.jp/news/20250025/news_20250025.html
人間は、誰しも着実に歳を重ねていく。後戻りが出来ないからこそ、与えられた時間を有効に使うことにより、将来の道が開ける。化粧品を含め美容に関するサプリを販売してきた「ファンケル」は、このたび、見た目の若返りを図る研究への成果を発表した。多年草「キンミズヒキ」に含まれるポリフェノールの一種「アグリモール類」が、老化細胞の除去に効果を発揮する可能性を見出したのである。
写真=多年草「キンミズヒキ」掲載元 公益社団法人「東京製薬協会」より
https://www.tokyo-shoyaku.com/ohana.php?hana=175
臨床試験の結果、アグリモール類の成分を摂取した男性のグループは、摂取しなかったグループに比べて血液中の老化細胞の減る量が約4%多いと判明した。次に、アグリモール類を含んだサプリを開発し、中高年の活力維持をサポートする目標を打ち出した。
第2章 細胞の若返りに欠かせないT細胞の正体をDNAから辿っていく
他の美容品メーカーも、ファンケルの研究成果に反応する。美容の他にも、教育・保育事業、レストラン事業を含め、幅広い産業に参入する「資生堂みらい開発研究所」も、老化予防に向けて取り組む。加治屋健太朗センター長は「年齢は老化と必ずしも相関しない」と今後の研究意義を語った。例えば見た目の若さを保つ秘訣、潤いのある肌を保つうえで、免疫細胞のメモリーT細胞に由来する。T細胞が多いほど、老化細胞が少なくなるのである。T細胞を促進させるのは、ツバキ油の搾りかすを発酵させた抽出液だと明らかにした。抽出液をスキンケア商品に活用し、美容家にも愛用された。センター長は「肌だけでなく、体や心の状態も良くする製品を提供したい」と意欲を語った。
以下アミノ酸について解説 協和発酵バイオ アミノ酸の基礎知識より
http://www.kyowahakko-bio.co.jp/rd/aminonavi/basic/
さてT細胞は、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。体内を異物から守るべく、免疫応答の司令塔の役割を果たす。作られる箇所の胸腺(thymus)の英語の頭文字をとり「T細胞」と名づけられた。細胞を形作るのはたんぱく質である。たんぱく質は、小さなアミノ酸が数百から数千個長く鎖のように繋がっている。そのアミノ酸自体は、アミノ基とカルボシキ基から成り立つ。我々人のたんぱく質を構成するアミノ酸は全部で20種類明らかにされた。体内で合成できないもの(必須アミノ酸)と合成できるもの(非必須アミノ酸)に分類される。必須アミノ酸/非必須アミノ酸の種類は生物種や年齢、生体状況によって異なっていた。必須アミノ酸は食事などから摂取する必要がある。アミノ酸は、食品加工、医薬品原料、化学品原料、肥料などにも応用された。アミノ酸を合成するのは、DNAだった。二重らせん構造で決まったパターンを成す。DNAの形成を「塩基配列」と呼ぶ。塩基3つ分で1つのアミノ酸に対応している。 例えば、ATGはメチオニンというアミノ酸、GAAはグルタミン酸である。いわゆる生物や植物の設計図となり、決まったとおりに構成される。アミノ酸の構成にかかわる塩基配列を、遺伝暗号または遺伝コードと呼ぶ。アミノ酸に対応する3つの塩基配列のことを「コドン」という。
元を辿ると、我々の遺伝子DNAの塩基配列をもとに、アミノ酸をつなげてタンパク質を合成するためには、「転写」と「翻訳」の2つの作業を経て行われる。
� 崚昭漫廚箸蓮�DNAの中の必要な遺伝子の塩基配列をmRNAへコピーすることを指す。
�◆嵋殘�」とは、mRNAへコピーされた塩基配列をアミノ酸配列へ変換する作業を擁する。リボソームでアミノ酸を順番につなげてタンパク質を合成する。
写真=細胞小器官の解説図 掲載元 SGS総合栄養学院 2018年6月19日より
https://sgs.liranet.jp/sgs-blog/3840
�.潺肇灰鵐疋螢�
ミトコンドリアは、ATPの合成を行う。エネルギー源であるATPの多くは、ミトコンドリア内膜の電子伝達系で合成される。
�▲螢椒宗璽�
リボソームは、たんぱく質の合成を行う。
�� 粗面小胞体
小胞体にリボソームが結合しているため、「粗面(ザラザラしているイメージ)」という名称がつけられている。
�ち凸名�胞体では、たんぱく質の合成が行われる。
�コ衞名�胞体 コレステロールの合成や分解などの脂質代謝を行う。
�Ε乾襯限痢.螢椒宗璽爐嚢臉�したたんぱく質の修飾をする。
修飾とは、たんぱく質に糖を結合させる等、利用目的にふさわしい形へと変えていくのである。
�Д螢愁宗璽燹焚耽緤�解酵素を持つ) 細胞内の異物や老廃物などの分解を行う。
��中心体 細胞分裂の際に、染色体を移動させる。
母から子供のみ受け継がれるミトコンドリアの役目の一つ、エネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸の略語)を作ることになる。図のように、 アデノシン という物質に、 三つのリン酸 が結合した構造になっている。
写真=ATPの構造 掲載元 高校生物基礎Try It 5分でわかる!ATPの構造より
https://www.try-it.jp/chapters-10282/sections-10366/lessons-10371/point-2/
高エネルギーリン酸結合と呼ぶ。一つのアデノシンに、3つのリン酸が結合する構造である。運動により、体内から熱を発散する際、2番目のリン酸と末端となる3番目のリン酸を切り離すことで、エネルギーを生み出していた。逆にリン酸の結合により、エネルギーが蓄えられる。
京都産業大学では、ATP合成酵素の回転運動を世界で初めて観察したと明らかにした。
詳細 プレスリリース 総合生命科学部 生命システム学科 吉田 賢右教授 エネルギー通貨を生み出すナノモーター――ATP合成酵素
もう一度説明すると、ATP(アデノシン三リン酸)とは、生物に必要不可欠なエネルギーの供給源である。植物もバクテリアも、全ての生物はATPという小さな分子をADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に加水分解する際に生じるエネルギーを得て、活動する。ATPが分解されて出来たADPとリン酸は、食べ物を燃焼して得られるエネルギーによって再びATPに合成される。人間の体内にはわずか数10グラム、約3分間分のATPしか存在しない。常時我々の体内がフル稼働することにより、一日に作られるATPは体重に相当する量になる。
ATPが生成されるメカニズムについては実のところ長年謎だった。その究極の問いに迫ったのは、ポール・ボイヤー(Paul Delos Boyer,1918-)だった。彼は、ATP合成酵素は回転していると提唱したのである。常識的なアイディアであるがゆえに、研究者は注目されなかったのである。彼の理論を検証し、世界で初めて回転するATP合成酵素を観察することに成功した京都産業大学のグループだった。すでに、1997年秋にノーベル化学賞を受賞するボイヤー、ウォーカー、スコウの3名が、論文を発表し、新発見と認められていた。スクリューで泳ぐ魚類やプロペラで飛ぶ鳥、車軸で走る動物が存在しないように、休みなく回転運動している現象は、生物学会で特異である。付随する血管や神経、あるいは骨などの器官が千切れてしまう恐れがある。物理学でN=r ×Fの式で表す通り、回転により大きな力が生まれる。Nは力のモーメントという。つまりは回転によって生み出す力のことを差す。公式から力のモーメントの値が大きい程、物体の勢いがある。
詳細 力のモーメントの式 EMANの物理学 回転に関する物理量より
https://eman-physics.net/dynamics/angular.html
回転に伴う遠心力が加わる中、あらゆる細胞をつなぎとめておくには体内で特殊な仕組みを持ち合わせる必要がある。ATP合成酵素が回転できる要素は、周囲のリング状の固定子の中で浮いていて、繋がれていないからといえる。回転運動については今のところ明らかになっていない。地球が太陽の周りを回っているように、宇宙の物質は常に動き続けている。生物の体内については当てはまらない。謎が謎を呼ぶように、一つの難問を解決すると、新たな疑問が生まれてくる。細胞の働きについて、研究は続く。
さてエネルギー源となるATPを生成するのはミトコンドリアは、産みの母親からのみ受け継がれる。母親が持つ包容力や子に与えるエネルギーは、遺伝的情報にも刻み込まれていた。
第3章 アミノ酸からT細胞の生成過程を辿る。
アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基から成り、リボソームに運ばれていく。2つのアミノ酸は、カルボキシル基とアミノ基で結合する。
そのとき、カルボキシル基のもつOHとアミノ基のもつHにより水が生成され、取り除かれていく。いわゆる「脱水縮合反応」である。カルボキシル基に残されたCとOと、アミノ基に残されたNとHによって、新しい結合が形成される。ペプチド結合という。ペプチド配列を書くときはN末端(アミの基)を左に置く。NからC末端(カルボキシル基)にかけて配列を書くのが慣例である。
詳細 Try It 高校生 5分で解ける!遺伝子発現:翻訳(2)に関する問題より
https://www.try-it.jp/chapters-15090/sections-15091/lessons-15128/practice-3/
また、アミノ酸がペプチド結合によって連結されたものを、ペプチドという。2つから50個のアミノ酸がペプチド結合すると「ジペプチド」と呼ばれる分子になる。
さて、アミノ酸は、我々の体内機能の元となるたんぱく質を作り出す。必須アミノ酸が欠乏すると、低栄養状態となり、肌に張りがなくなる。頬がこけて、実年齢より老けて見えやすい。病人が急に老化する所以は、必須アミノ酸不足による低栄養状態にも起因する。
アミノ酸が結合して生み出されたT細胞には2種類存在する。
以下 看護roo!用語辞典から引用 執筆:執筆: 朱 祐珍 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野
https://www.kango-roo.com/word/10674
ヘルパーT細胞は免疫機構の司令塔であり、抗原によって刺激を受けたヘルパーT細胞は、B細胞やキラーT細胞を活性化させる。指令を受けたB細胞は抗体産生細胞となり、その抗原に対応する抗体を産生し放出する。この機構による免疫を液性免疫という。
一方で、キラーT細胞は直接病原体に感染した細胞などを攻撃する。マクロファージなども直接細胞を貪食するが、このような機構による免疫を細胞性免疫という。ヘルパーT細胞にはTh1細胞とTh2細胞があり、Th1細胞は細胞性免疫、Th2細胞は液性免疫を活性化させる。
<引用終わり>
CD4ヘルパーT細胞は、免疫の司令官として、他の免疫細胞に、がん細胞やウイルス感染細胞に対する「攻撃始め」の指示を出す。CD4ヘルパーT細胞は主に2つの系統の戦法を繰り出す。指令を受けるのは、CD8キラーT細胞を始めナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージと呼ばれる異常細胞の直接攻撃を得意とする細胞を活性化させる。細胞性免疫と呼ぶ戦い方の指揮官は、「1型CD4ヘルパーT細胞」である。
次に、B細胞を刺激して抗体を産生させる液性免疫と呼ぶ戦い方を指揮するのは、2型CD4ヘルパーT細胞という。細胞性免疫と液性免疫という2つの手法を、CD4ヘルパーT細胞が繰り出して、異常な細胞を排除する。T細胞の働きによって、がん細胞から守られていた。
写真=T細胞を中心とした免疫反応の解説図 掲載元 細胞性免疫・エフェクター細胞より
https://jaci.jp/patient/immune-cell/immune-cell-04/
第4章 司令官T細胞をコントロールする
さて長寿の鍵を握るT細胞だが、司令官として、コントロールが利かないと、新たな健康リスクを伴う。いわゆる免疫暴走反応により、体内に特異な症状を引き起こす。「サイントカインストーム」と呼ばれる現象である。
以下6種複合免疫療法より サイトカインとは?
https://gan911.com/column/2542/
写真 掲載元 上記のサイトより
https://gan911.com/column/1847/
サイトカインは、一般的には、細胞間相互作用に関わる低分子タンパク質の総称である。細胞から作られたたんぱく質は、他の細胞の機能や働きをうながしていく。
実のところ、1918年から1919年に流行した「スペイン風邪」、2020年にWHOからパンデミックの宣言が出された「COVID-19(新型コロナウィルス)」の罹患者の行方を左右したのは「サイトカイインストーム」だといわれている。
実のところ「サイトカイインストーム」は2つのタイプに分類される。一つは「炎症性サイトカイン」、もう一つは「抗炎症性サイトカイン」という。
炎症性と抗炎症性が均衡を保つことにより、人々の健康を保つ。新型のウィルスが体内に入り込んだ際、炎症性の方が血中に大量放出されると、自己免疫疾患を起こす。免疫の暴走反応により、多臓器不全で命を落とすことにもなりかねない。サイトカインストームのリスク因子としては、免疫力の低下にある。炎症性と抗炎症性のバランスを欠くと、起こりやすい。高齢化とも無縁ではなかった。
写真=免疫反応の仕組み 掲載元 参考リンク やさしいLPS 2023年10月10日 免疫の暴走について解説!感染症の重症化やアレルギーは免疫の暴走によって起こる!より
https://www.macrophi.co.jp/special/1492/
アレルギー反応も、実のところT細胞が深くかかわっている。アレルギー反応といえば、春先の花粉、季節性の草、室内の埃からくるハウスダスト、人によっては特定の食物でも起こりえる。なぜ皮膚が赤くなる、目がかゆくなる。鼻水が出るなど、症状が現れるのか、体内のT細胞の働き次第といえる。本来は、免疫細胞の一つマクロファージが異物を除去する役割を担う。専門用語では「感作」という。人によっては正常に働かず、そのまま見過ごしてしまう。その後方に構える司令塔の役割を果たすT細胞は、攻撃本能から、異物に対して厳しく対応する。埃や花粉、特定の食物を、有害物質と判断して、防御するように指令を出す。IgE抗体を形成して、有害物質に立ち向かう。そもそも抗体の役割は、有害なウィルスや細胞から身を守る手段として活用される。埃や花粉、特定の食物には、反応を示さないのである。代わりにマスト細胞に、埃や花粉、特定の食物がくっつく。マスト細胞は、外部から入ってきた物質を拒絶する。原抗体反応により、ヒスタミンやセロトニンといった炎症を起こす物質を出す。悪い細胞か良い細胞が判断できず、周囲の細胞を痛めつけていく。アレルギー反応として、マスト細胞が多く付着する目や鼻の粘膜、皮膚にくる。
写真=アレルギー反応の仕組み 掲載元 上記のサイトより
人によっては、特定の食物にアレルギー反応を起こすのか、一説によると、成長段階で消化機能が未熟で、アレルゲンであるタンパク質を小さく分解(消化)することができないことにある。患者のうち80%は6歳未満の幼児、1歳未満の乳幼児には10から20人に一人が発症しているという。分解力が弱いと、IgE抗体は異物と認識しやすい。もっとも多い食べ物は、鶏卵である。牛乳、小麦と続く。近年、クルミなどナッツアレルギーも急増している。
詳細 子供の食物アレルギー 国立生育医療センターのページより
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/food_allergy.html
高齢者に多い関節リウマチやバセドウ病、1型糖尿病などの「自己免疫疾患」も実のところ免疫の暴走反応が原因だった。特定の細胞や異物を敵と認識する「自己免疫反応」を改善される方法は、今の医学では明らかになっていない。
2021年に新型コロナのワクチン接種による副作用で「アナフィラキシーショック」について、確認されていた。いわゆる複数の臓器や全身のアレルギー症状を表している。通常の目がかゆくなる、鼻水が出る。皮膚がかゆくなる等のアレルギー反応に比べ、血圧の低下に伴う意識障害などが起こり、時に命を脅かす。2008年3月に東京医科歯科大学の烏山一教授が、新たなアナフィラキシーショックの仕組みについて解き明かした。実のところIgE抗体やマスト細胞のない動物からもアナフィラキシーショックが確認されていた。別の仕組みでも起こりうると考え、実験を重ね、成果を挙げたのである。
以下引用 プレスリリース 「アナフィラキシー(急性アレルギー)・ショックをひきおこす未知の仕組みを発見」
−新たな診断・治療・予防法の開発へ−」
https://www.tmd.ac.jp/cmn/soumu/kouhou/news20080310.html
IgEとは異なる種類の抗体であるIgGによってもアナフィラキシーがひきおこされ、しかもその場合、アレルゲンの刺激によって活性化するのは肥満細胞(マスト細胞のこと)ではなく、血液中を流れる好塩基球と呼ばれる細胞であることをつきとめました。実験動物で、あらかじめ好塩基球を取り除いておくと、アナフィラキシーによるショック死を防ぐことができました。好塩基球は、血液中の白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない最少細胞集団ですが、アレルゲンによって活性化すると、ヒスタミンの1,000倍以上の非常に強い作用をもつ物質(血小板活性化因子)を放出して、アナフィラキシー・ショックをひきおこすことがわかりました。すなわち、従来から知られていた肥満細胞・IgE・ヒスタミンが関与するアナフィラキシー発症機構とは全く別に、好塩基球・IgG・血小板活性化因子が主役を演じる新たな発症機構が存在することが明らかとなりました。
これまで知られていなかったアナフィラキシーの仕組みが明らかになったことで、アナフィラキシー・ショックの新たな診断・治療・予防法の開発が進むものと期待されます。」
<引用終わり>
もう一つアナフィラキシーショックの代表は蜂刺されである。1回刺された際には快方に向っても、2度目は危険と認識されている。実際2度目の被害でアナフィラキシーショックを起こった例は少なくない。なぜなら1度刺された際、蜂毒に対して、IgE抗体が生成されるからである。抗体は時と共に弱くなっていくものの、1年から2年は体内で強い反応を起こす。IgE抗体が、蜂毒に対して、処理するように指令を出す。マスト細胞が、毒を取り込もうとする際、ヒスタミンと呼ばれる物質が作られる。通常の花粉やハウスダストの場合、何度も同じ反応を起こすことにより、ヒスタミンが蓄積され、やがて大量放出する。毒性があると抗体の反応も強い。化学物質の大量放出により、臓器にまで影響が達する。主に循環器症状を引き起こす。ヒスタミンによって、喉の皮下組織に水が溜まる「浮腫」による窒息、急激な血圧低下などが確認される。刺されて平均15分、速くて6分で呼吸が止まり、命を落とすリスクがある。一刻でも早く、病院の手当が必要だった。エピペンと呼ばれる特殊なペン型注射器でアドレナリンを刺された患者に送ることにより、浮腫の軽減や血圧低下によるショック状態を緩和させる。やがてマスト細胞からのヒスタミンの過剰分泌を抑制し、時と共に効果が現れる。
奈良医師会ホームページ 蜂刺されによるアナフィラキシーショックについて
https://nara.med.or.jp/for_residents/7601/
高校講座 生物基礎第26回 免疫と様々な疾患 講師・監修 長尾嘉崇
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/seibutsukiso/assets/memo/memo_0000008880.pdf
我々の体の仕組みは正確に理解できていない。年々細胞の役割を解き明かすことにより、薬品やサプリメントの開発にも繋がる。美容や長寿の鍵も握っている。
第5章 自己免疫疾患を予防する たんぱく質「FoxP3」の正体を掴め!
以下 日本経済新聞 「免疫抑制細胞の重要たんぱく質、大阪大発見 治療応用も」2024年8月26日午前5時付
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG201VZ0Q4A820C2000000/
医療の分野は、先代の研究者が残した成果を積み上げることにより、着実に新発見へ繋がる。2024年、大阪大学では、自己免疫反応の抑制にかかわる新たなたんぱく質を見出したと、明らかにした。論文を発表したのは同大学に属する市山健司特任准教授と坂口志文特任教授の二人である。自己免疫反応を抑制する「制御性T細胞」の維持に必要なたんぱく質が、別のたんぱく質と結合して働いていることを確認した。2つのたんぱく質を分離することにより、制御性T細胞の動きを抑えられたのである。実のところ坂口志文特認教授自身が、1995年に制御性T細胞の存在を明らかにしていた。制御性T細胞の存在により、体の正常な機能を保つ。ただし当時は、制御性T細胞をコントロールする方法は見出せなかった。長年の懸案を解決するべく、2個の鎖で出来ているT細胞を形成する数個のたんぱく質の輪の構造を紐解いた。一つ一つの役割を分析した結果、「FoxP3」と呼ばれるたんぱく質に着目する。FoxP3と親和性が高いたんぱく質「Ikzf1」の構造を変えてマウスに投与した。経過観察したところ、自己免疫疾患を起こして、間もなく死亡したのである。生態解剖したところ、制御性T細胞から免疫物質の一種を多く出すようになっていた。制御性T細胞が、免疫物質の一種と反応し、機能不全に陥り、自己免疫物質を多く放出したのである。
写真=坂口志文特認教授 掲載元 大阪大学免疫学フロンティア研究センターより
https://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/laboratory/shimon_sakaguchi/
<以下 新聞記事引用>
今回の知見はがん治療などに応用できるとみている。活性化した制御性T細胞は免疫物質の刺激を受けて不安定になりやすい。2つのたんぱく質の相互作用を薬剤で妨げられれば、活性化した制御性T細胞の関わるがんなどを狙って治療できる可能性がある。自己免疫疾患の治療ではこの相互作用を強める手法が考えられるという。
Foxp3自体の働きを妨げると、がんなどにいる活性化した制御性T細胞だけでなく全身の制御性T細胞が影響を受けて自己免疫疾患が起きうる。Ikzf1はB細胞など別の免疫細胞でも働くため、Ikzf1の働きを妨げるのも悪影響が大きいとみる。
今後はヒトのがんや自己免疫疾患で、2つのたんぱく質の相互作用が病気に強く関わっているか調べる。大塚製薬や米ハーバード大学との共同研究で、成果をまとめた論文が米医学誌「イミュニティ」に掲載された。
<引用終わり>
大阪大学の坂口志文特認教授らの研究チームの成果により、T細胞のコントロールが可能になり、我々人の体内機能も維持しやすくなった。先進医療として導入され、有効性が確認され次第、学会の要望を踏まえ、保険適応の申請に入る。
健康な高齢者が多くなると、将来の労働力不足や福祉予算の削減にも繋がっていく。介護福祉士の成り手が少ない以上、将来的には手厚いサービスを受けられない。長く健康でいることの重要性が増す。官民の研究チームに日本の未来が託されている
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