ロシア軍とウクライナ軍の戦い2025(5)
2月27日にゼレンスキー大統領とトランプ大統領とバンス副大統領の交渉決裂により、西欧諸国は一段と危機感を抱いている。事実上ウクライナに引導を渡したとの見方が強い。アメリカは制裁の一環として、一時ウクライナ軍へ情報網を停止した。米国のウクライナ離れにより、ロシア軍は停戦交渉を見据えて、より全力を傾けた。トランプ政権の誕生に伴い、ロシアは俄然有利にたった。外交に焦点を当てる。
前回(4)3月8日付け
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第5章の関連日記・2024年6月10日付 第3章にて、2024年4月3日ウクライナとフィンランドが結んだ安全保障協定を取り上げる
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目次
・第1章 ウクライナは停戦交渉のカードを失う
・第2章 サウジアラビアでの米ウ高官会議へ
・第3章 ロシアの戦時下の経済 マクロ経済学から語る
・第4章 停戦を受け入れるウクライナ クルスク州での攻防 モスクワのドローン攻撃
・第5章 ロシアの外交関係 西欧諸国はウクライナを支援する
第1章 ウクライナは停戦交渉のカードを失う。
ウクライナは、苦境に陥る中でも、将来の停戦交渉を見据えて、ロシア軍の防衛網が弱かったクルスク州へ奇襲攻撃を行った。8月9日に開始し、ほぼ無傷で15日に州都スジャを制圧した。司令部を置き、長距離ミサイルを配備した。一方、手薄だった守備網が明らかになったロシア軍は、ドンバス地域を攻略しながら、北朝鮮兵の力を借りて、クルスク州の奪還作戦を進めた。兵力で上回るロシアに対して、ウクライナは辛うじて踏みとどまっていた。その要因は米国から提供された情報である。衛星写真を通して、ロシア軍の居場所を特定して、ウクライナ軍に教えていたのである。ウクライナ軍は、ロシア軍の位置を割り出して、焦点を絞って攻撃を繰り出していた。情報網が無くなり、ロシア軍の進撃ルートがつかめなくなったのである。そもそも兵隊の数で上回るロシア軍は、クルスク州スジャへの突撃部隊と共に、敵軍の補給路ウクライナ領スムイ州での軍事作戦も進めていた。ロシア国防省は3月9日、クルスク州にて新たに3つの集落を奪還したと誇示する。ロシア側の軍事ブロガーは、国防省の宣言前から、展開を読みきっていた。スジャ均衡のガスパイプラインに沿って、ウクライナ軍の背後を突いていたと、こぞってSNSに投稿していた。2024年8月15日に、ウクライナ軍はロシア領クルスク州を一時1300平方キロに渡って制圧していた。現在は、補給路を絶たれつつある。7日時点のオープンソースの地図ではロシア軍によるウクライナ部隊の包囲網が狭まっていた。司令部を置いたスジャへの撤退時期を探っている段階である。
詳細 ロシアの奪還作戦 Reuters 2025年3月10日午前8時2分付
https://jp.reuters.com/markets/commodities/BUJF4J3DMVOZDK3HXGUXZ7KXTI-2025-03-09/
写真=クルスク州の攻防を示した地図 2025年3月10日午前8時54分付 THE SANKEI SHINBUN
https://www.sankei.com/article/20250310-GWTY6UBRKBN2JGKS5HO2V3X2WE/photo/BJAQTEL4QFIOVM7VKVP3TMIX2I/
クルスク州で暗躍している北朝鮮部隊に精通している韓国の国会議員は、3月5日にウクライナ軍から得た新たな事実を公表した。北朝鮮から追加派兵は1500人、新たにロシア極東5箇所の地域で軍事訓練を受けている3500人が控えている。
詳細 北朝鮮兵の人数 読売オンライン 2025年3月6日18時21分付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250306-OYT1T50171/
ウクライナの戦闘能力は、外国頼みだった。他国の支援に支えられていることを裏付けるデーターが、この度発表された。集計したのはスウェーデンのストッコホルム国際平和研究所(SIPRI)、3月10日に公開した報告書によると、欧州の兵器輸入は2020−24年に155%増えた。軍事関連の転機となった2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ウクライナは世界で最大の兵器輸入国となった。
2020-2024年に世界の兵器輸出に米国企業が占める比率は43%、15年―19年の35%から上昇した。世界の兵器市場を米国が席巻する状況が明らかになった。
欧州は2020-2024年に世界の兵器輸入の28%になる。比率は15-19年の11%から上昇した。
ウクライナが世界の兵器輸入に占める比率は2020-2024年に8,8%となった。ウクライナの兵器輸入の半分弱は米国である。
世界の兵器について 詳細 Reuters 2025年3月10日午後2時4分付
https://jp.reuters.com/world/ukraine/2FG6O2VRBRLNXEFLYV7ZSVIGJI-2025-03-10/
第2章 サウジアラビアでの米ウ高官会議へ
ロシア軍の無差別攻撃は続いている。3月7日、ドネツク州ドブロピリャ町で行われた攻撃では、少なくとも11人が死亡し、40人が負傷した。当局によると、弾道ミサイル2発が住宅8棟とショッピングセンターを直撃。被害者には子供6人も含まれているという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は通信アプリ「テレグラム」で被害を訴えた。救急隊員が現場に到着した後、ロシアが「救助隊を意図的に狙った」別の攻撃を行ったと非難した。「こうした攻撃は、ロシアの目的が変わっていないことを示している」と厳しい面持ちで語った。ドネツク州では他にも、7日と8日に攻撃があり、9人が死亡し、13人が負傷したとのことである。
詳細 ドネツク州の被害 BBC NEWS JAPAN 2025年3月10日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cwyg588ne72o
アメリカのトランプ政権との不和が生じたウクライナのゼレンスキー大統領は、関係修復を探る。3月11日には、サウジアラビアにて、再び米ロの高官協議が開かれるとの報が入った。ゼレンスキー大統領は、直ちに動く。前日となる3月10日に、サウジアラビアのジッダに入り、同国の最高権力者サウード家のムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談に臨んだ。詳細は明らかにされていないものの、ゼレンスキー氏の顧問を務めるドミトロ・リトビン氏は、「非常に良い内容だった」と評価した。
実のところ、その後ムハンマド皇太子は、米国のルビオ国務長官と協議した。協議の記録によると、ルビオ氏は、交渉の場を提供してくれたことに謝意を示していた。中東情勢についても議題の対象となり、紅海を航行する船舶を取り締まるイエメンの武装勢力フーシー派への対応や、ガザ地区再建もテーマになった。オイル・マネーで潤う同国は、中東から世界への影響力拡大を狙っている。
詳細 写真掲載元 ジッダでの協議模様 ルビオ氏とムハンマド皇太子CNN.co.jp 2025年3月11日 午前9時21分付
https://www.cnn.co.jp/world/35230304.html
第3章 ロシアの戦時下の経済 マクロ経済学から語る
プーチン大統領の方は、3月7日にトランプ大統領から追加制裁を検討するとの発言を受けて、和平へ向けて動き出している。3月6日に戦死者の遺族らの会合に出席し、停戦条件について口に出した。2022年9月30日に住民投票にかけて一方的に併合したウクライナ領東部4州を断固として手離さないと強調した。プーチン氏の理念では、獲得した領土をいかなる事情を持ってしても保持する。日本との北方領土問題についても、返還には応じない。1992年から北方領土に暮らすロシア住民と旧日本国籍の島民との間では、ビザ無しでの交流には応じた。2020年のコロナ禍により、一時休止。2022年9月5日付け、対ロ経済制裁に加わる日本への報復として、ビザ無し交流を無期限休止とした。
中国やインドに助けられた現在のロシア経済は、高金利とインフレにより、停滞している。同国のレシェトニコフ経済相は、2025年2月17日に、記者を前に状況説明していた。「食品産業、化学産業、木材生産、機械製造の一部など、多くの産業でペースが落ちており、企業からの受注量も減少している」
見過ごせないのは金利である。ロシア中央銀行は、インフレ退治として、金利を高く据え置いた。2024年12月の消費者物価指数は前年同月比プラス9,52%。翌2025年1月は、さらに伸びて、前年同月比プラス9,92%である。食料品は、2025年1月時点で前年同月比プラス11,13%だった。2024年12月20日に行われた金融政策決定会合の末、金利を21%に据え置く決定をした。通貨ロシア・ルーブルの防御策に走った代償に、企業活動や個人消費は停滞する。
レシェトニコフ経済相は、さらに切り込んで話した。「その顕著な例が自動車市場で、乗用車、特に特殊機械や農業機械の売り上げが、高いローン金利の影響で減少している」
今後の経済政策については「インフレ抑制と経済成長のバランスを考えている」と説明した。
詳細 ロシアの経済 Reuters 2025年2月18日午前8時50分付
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/54ELGSJBMNKAHO6FTMJR73LJTQ-2025-02-17/
ロシアは、若い働き手が、兵隊を含め軍事産業にとられることにより、他の業界で慢性的な人手不足に陥っている。マクロ経済学のケインズ理論によると、物の値段と同等に、賃金も労働市場の需給バランスで決まる。マクロ経済学者の一人イギリスのアーバン・フィリップスが1958年に発表したフィリップス曲線によると、名目賃金の上昇率と失業率はトレードオフ関係にある。
以下 労働需給曲線である。掲載元 Xユーザー miniいけ先生 2024年1月8日午後9時3分より
https://x.com/miniiketeacher/status/1744328851319328909/photo/1
労働市場の逼迫感は、日本と比較して、軍事産業に人員を費やすロシアの方が顕著である。人手不足から企業側が高い賃金を提示して、労働者をかき集めていた。労働者に支払う賃金の上昇により、サービスの値段を改定する。結果的に賃金上昇によるインフレが起きていた。GDPに関して、2023年は前年同月比プラス3.6%、2024年1〜3月期は前年比プラス5.4%と堅調に推移している。世界銀行IMFは2025年1月17日、ロシア経済の見通しは、同年に関して、プラス1,4%とはじき出した。一見経済的には良好に見える。GDPは国民総生産を表す。簡潔に式を表すと、「消費+投資+政府支出+(輸出−輸入)」である。2025年度のロシアの予算は、GDPの6,3%を軍事費に割く。福祉や医療を中心とした国民サービスには還元されていない。つまり人々の暮らしはよくなっていないのである。
プーチン大統領も今後経済の悪化を予測していた。交渉のテーブルに付いて、米欧から経済制裁緩和を引き出しながら、自らの主張を押し通す。ウクライナ側も窮地に陥った現在、部分的停戦に応じる姿勢を示した。3月10日付けでAP通信が報じた。ウクライナ側はドローンやミサイルなどによる空爆の中止と海上での戦闘停止を提案する。
停戦交渉をサウジラビアで行う件について、両国にパイプがあるからである。ロシア直接投資基金キリル・ドミトリエフ総裁(49歳)が鍵を握る。プーチン大統領が主導する政府系ファンドの代表を務め、サウジアラビアでの原油価格輸入に向けて、価格交渉を担っていた。米国とも通じ、交渉の場の提供に一役かったとみられている。
米国のウィトコフ中東大使は、米記者に「キリルという紳士がいる。重要な双方の橋渡し役だ」と発言していた。
写真=キリル・ドミトリエフ総裁{出展:2024年7月、モスクワ(EPA時事)} 詳細 掲載元 時事通信 2025年2月19日7時8分付け
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025021800621&g=int#goog_rewarded
第4章 停戦を受け入れるウクライナ クルスク州での攻防 モスクワのドローン攻撃
3月10日午後に、ジッダでウクライナとアメリカの高官協議が8時間に渡って行われた。ウクライナ側は、シビハ外相とイェレマーク長官、アメリカ側はルビオ国務長官とウォルツ米大統領補佐官が参加した。アメリカは、ロシアとの30日間に渡る一時停戦を提案した。ウクライナのゼレンスキー大統領は部分的停戦を示していたものの、新たに全面的を要求されたのである。ウクライナ側から参加した2人は、ゼレンスキー大統領と事前に協議した内容に基づき、回答を出していくことになる。ゼレンスキー大統領は、主権国家として、領土喪失は避けたく、降伏をしなかった。アメリカの支援なしでは、戦闘能力を維持できない。現場の二人は、アメリカの意向を汲み、停戦に応じると返事をした。つまり事実上ウクライナは、喪失した領土を放棄する覚悟を決めたことになる。2人の高官が応じたことを受けて、ルビオ国務長官は、一時停止していた情報提供を再開すると、表明した。彼は停戦案について「ボールは今、ロシア側のコートにある」と応じることに期待を寄せた。
確かにロシアは、ウクライナへの「特別軍事作戦」において、推定10万の兵士の命を犠牲にしながら、領土獲得には成功した。高インフレと住民サービスへの低下から、国内では厭戦感情が広がっている可能性がある。もっともプーチン政権は、厳しく取り締まっているものの、潜在的に国民の不満が高まれば、治安の悪化につながる。欧米からの経済制裁も、長期的に見ればボディーブローのように利いてくる。プーチン大統領も決断の時を迫られている。
戦況の方は、ウクライナが占領した自国領クルスク州を取り戻しつつある。ロシア国防省は2025年3月11日、12集落を新たに奪還したと成果を誇示した。ウクライナ側は、アメリカ軍からの情報寸断により、ロシア軍の居場所を掴めず、1万の部隊が包囲されつつある。司令部を置いた州都スジャから12日付けで撤退の準備を始める。プーチン大統領は12日に、クルスク州に入り、ウクライナ軍を駆逐した部隊をたたえた。軍服姿のままロシア軍の指揮統制センターを訪れ、ゲラシモフ参謀総長と直接顔を合わせた。ウクライナ軍を包囲し、全土奪還が目前だとの報告を受ける。プーチン大統領は、滞りなく進む軍事作戦に手ごたえを感じた。「最短期間で決定的に打ち破り、同州の領土を完全に解放し、国境沿いの地域の状況を回復することがわれわれの任務である」と宣した。将来のウクライナの越境攻撃に備え、攻略を続けるスムイ州にて緩衝地帯を設置するべく、作戦を継続するように命じた。クルスク州で捕縛ウクライナ兵をテロリストとして裁きにかけ、外国人義勇兵を「ジュネーブ条約」の対象から外す考えを示した。テロリストとして扱えば、自国の法律に則って裁判にかける。原則交戦国の捕虜は、ジュネーブ条約に基づけば、人道的に扱うことを義務付けられる。負傷兵の手当てや衣料品の提供を含めて、手厚く扱わなければならない。もちろん強制労働は禁止である。戦争が終れば、原則捕虜の解放が求められる。
詳細 プーチン大統領のクルスク州訪問 Reuters 2025年3月13日午前10時47分
https://jp.reuters.com/world/ukraine/2IW6YDM5UJM5ZKZURTYWGLBBQM-2025-03-12/
一矢報いるべく、ウクライナの航空部隊は、大胆な作戦に出た。3月11日に、首都モスクワに、大量の無人機を飛ばしたのである。ロシア国防省によると、337機のドローンを迎撃し、そのうち91機はモスクワ州で撃墜したと発表した。現地メディアは保健当局の話として、一連の攻撃で3人の子どもを含む18人が負傷したと伝えた。ウクライナの当局者は、空と海での部分停戦へ応じるようにメッセージであると、攻撃の意義を語った。ロシア当局によると、死亡したのは38歳、43歳、50歳の男性計3人。共通して、ドモジェドヴォ空港近くのヤム村にあるミラトルグ農業配送センターで働いていた。
モスクワ州のアンドレイ・ヴォロビョフ知事は、うち1人は警備員、他の2人は同センターで勤務に就いたばかりだと説明した。現地時間11日午前5時14分に、同センターにドローンが直撃し、火災に巻き込まれたとみられている。なおクルスク州では、他にも被害が出ていた。ロシア当局は10日夜、ウクライナと国境を接するクルスク州のショッピングセンターが砲撃を受け、4人が死亡したと発表した。
詳細 モスクワのドローン攻撃とクルスク州のショッピングセンターの被害 掲載元 BBC NEWS JAPAN 2025年3月12日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cvg5jzn80j0o
第5章 ロシアの外交関係 西欧諸国はウクライナを支援する
ロシアは、外交面で専制主義国家として、同様の体制を持つ国家との協力を推進する。3月4日に首都モスクワにて、軍事クーデターで政権を握ったミャンマーのミンアウンフライン総司令官(68)と会談した。2024年に両国間の貿易額が4割増えたことを指摘し「着実に発展している」と認識を共有した。
ロシアは中国と同様、ミャンマー国軍をバックアップした。ロシア側から戦闘機6機の引渡しの見返りに、ミャンマーはゾウ6頭を提供した。軍事アナリストらは「ゾウ外交」の一環だと呼んでいる。
ミンアウンフライン氏は、ウクライナを巡る戦闘で、プーチン氏を支持すると表明した。ロシアのミシュスチン首相は、ミャンマーに対して、農業や原子力、輸送、インフラなどの分野で協力を拡大すると明らかにした。
詳細 写真=ミンアウンフライン氏とプーチン大統領が覚書を交わす様子 掲載元 モスクワでの会談 Reuters 2025年3月5日午前3時29分付け
https://jp.reuters.com/markets/commodities/YNB6TICFLNPYVJKQQM57ZWGTQE-2025-03-04/
ドローンの供給を受けるイラン・イスラム共和国との間では、軍事協力を深化させた。2025年1月17日に、ペゼシュキアン大統領をモスクワに招き、有効期間20年の包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。合意に基づき、ロシアとイランは治安部隊や軍事演習、軍艦の寄港、合同訓練など、多くの分野で協力を強化した。
詳細 Reuters 2025年1月18日午前7時25分付け
https://jp.reuters.com/world/europe/UEFNC4ERRFOTLOKZXDUN4LQ3BY-2025-01-17/
イランは、核開発をめぐり、アメリカとの軋轢が深まっている。ウクライナとの紛争の調停役となるアメリカから、制裁緩和を引き出す狙いを持つ。同じく、イランと米国の間を取り持つのは同じイスラム教国家でありながら、宗派が違うサウジアラビアだった。2016年に断交した両者は、2023年3月10日に中国の仲介で和解した。同年11月12日に、国交再開後、当時のライシ大統領とムハンマド皇太子が、ガザ紛争を受けて、会談している。それぞれ宗派の違いを超えて、地域情勢の安定化に向けて連携を図っていくことで一致した。サウジアラビアは2024年9月1日、米ロとの間で、拘束者の身柄交換の仲介役を務めた。プーチン大統領は9月6日付で、ムハンマド皇太子に直接電話で謝意を示したと明かした。冷戦終結後、最大規模の身柄交換だった。ロシア側は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者らアメリカ国籍の24人、西欧諸国の国籍を持つ8人を釈放する。その見返りとして、西側諸国は、拘束していた8人をロシアに引き渡していた。
詳細 身柄交換 2024年9月7日午後12時56分付 Reuters
https://jp.reuters.com/world/security/W6EVPESKGFMRPPF7UKVXDMKVXA-2024-09-06/
戦闘能力を維持するロシア側は、クルスク州奪還の余生を駆って、さらに領土拡張をもくろむ可能性も否定できない。ウクライナのシルスキー総司令官は3月12日、SNSにて現状報告した。2024年8月から始めた越境攻撃にて、ロシア軍の死傷者はおよそ5万4000人にのぼり、捕虜は942人、戦車90両、戦闘車両654両などに損害を与えたと書き込んだ。スジャの市街地は、ウクライナ軍を叩くべく、ロシアの空爆で破壊されたという。ウクライナ軍部隊の戦闘能力についても明かした。SNSには「極めて困難な状況にあって、私の最優先課題は兵士の生命を守ることだ。このため、軍の部隊は必要に応じてより有利な位置へ移動している」と事実上撤退している途中だと明かした。
詳細 シフスキー司令官の報告 NHK NEWS WEB 2025年3月13日14時35分付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250313/k10014748321000.html
3月13日、プーチン大統領は、クルスク州スジャ奪還を宣言し、ベラルーシのルカシェンコ大統領とクレムリンで会談後、米国のウィトコフ特使と停戦協議に入った。ウクライナ軍が停戦交渉で使う予定のクルスク州スジャを取り戻したことを受けて、強気の姿勢を示した。アメリカが提示した30日間の停戦案は、ウクライナ軍の建て直しに有利になるとの見解を示し、拒否した。新たにトランプ大統領との電話会談で詳細を詰めていく意向を表した。会談を終えると、クレムリンに待機していた記者からの質問に応じた。彼は「敵対行為を終わらせる提案には同意するが、長期的な平和につながり、根本の原因を除去するものに限られる」と述べた。根本原因とは、ウクライナのNATO加盟申請を指している。ロシア側が停戦に応じれば、領土をめぐって協議に入ることになる。
時を同じくして、3月13日カナダのケベック州シャルルボアにて、G7外相会合が開かれた。議長を務めたカナダのジョリー外相は、開会の挨拶にて、ウクライナ問題を切り出した。停戦協議へ向けて進んでいることを受けて、「ウクライナでの公正で永続的な平和が実現することを期待する」と述べ、出席した外相との連帯を表す。米国の外相に当たるルビオ国務長官は、同国が作成した停戦へのプロセスについて説明した。日本の岩屋毅外相は、官民一体で、ウクライナの復旧・復興を支援する考えを、出席者達に伝えた。外相たちとの間では、ウクライナへの支援を再確認する。停戦を見据えて、すでに動き出していた。なお岩屋外相は、カナダのジョリー外相との間で安全保障分野の協力強化に向けて提携を図った。双方の間で、機密情報の交換を可能にする「情報保護協定」の締結交渉が実質合意に至ったと確認した。両氏は、インド太平洋地域や経済分野で協力を推進する方針を申し合わせた。
詳細 モスクワでのウィトコフ特使との会談 G7外相会合 掲載元 NHK NEWS WEB 2025年3月14日 午前7時59分
写真=ジョリー外相と岩屋毅外相 3月13日シャルルボワにて 出展先:共同 情報協定について 北国新聞 2025年3月14日11時24分
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1685332
一方ウクライナは、3月13日に、ロシアと国境を接するフィンランドとの間で、防衛協力を締結した。フィンランドは、2億ユーロ(日本円換算320億円)の支援を発表した。フィンランド国防省によると、武器支援パッケージの中には、ウクライナが求めていた砲弾も含まれている。アンティ・ハッカネン国防相は「ロシアと3年間戦争をしたウクライナ軍は欧州で最も強力な軍隊の一つとなり、広範囲な防御経験を蓄積した」と評価した。了解覚書によると、両国は防衛分野の情報交流・研究革新・弾薬生産および防衛産業協力プロジェクトを推進する計画である。
詳細 フィンランドとウクライナの防衛協力 中央日報 2024年3月14日午前7時46分
https://japanese.joins.com/JArticle/331133
フィンランドは、2024年9月6日に、ロシアの土地買収計画を睨み、安全保障上の理由から6件の不動産購入を阻止したと明らかにした。同国は、防衛政策の一環として、欧州連合(EU)と欧州経済地域(EEA)の非加盟国からの土地買収を禁止する法案を可決している。政府が民間の会社を通して、買収する手法に備えて、個人や法人も対象に含む。
写真=ハッカネン国防省 2023年10月11日撮影:AP通信より 掲載元 AFP通信 2024年9月7日14時6分付
https://www.afpbb.com/articles/-/3537620
西欧諸国は、ロシアが停戦に応じるまで、ウクライナへ支援を続ける。ロシア側は、クルスク州奪還を間近に控え、ドンバス地域での攻防も優勢に進めた。交渉のテーブルにおいて、現状の戦力値によって、明暗が分かれる。ようやく軍事衝突3年目で、終戦の兆しが見え始めた。
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