<第4回 ロシア軍とウクライナ軍の戦い>
ロシア軍によるウクライナ侵攻から3年目、両軍の差には、国力の差が顕著に現れてきた。一方的に侵略を受けるウクライナ側は、領土防衛に向けて苦境に立たされている。早期紛争解決を願う米国のトランプ政権が、ロシアの意向も聞き入れることにより、ウクライナと共に西側陣営との間で亀裂が深まりつつある。分断が進む西欧諸国を焦点において勧めていく。
前回 第3回 2月26日付
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バルト3国のリトアニアを取り上げた日記
・大統領選挙戦 2024年6月24日付
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目次
・第1章 2月25日から27日、軍事侵攻から3年の節目を迎えて
・第2章 広がりつつある米国と西欧諸国とウクライナの溝
・第3章 自己防衛意識を高める西欧各国
・第4章 ウクライナ国内で続くミサイルの応酬合戦
・第5章 ウクライナへ連帯を示す西欧 トランプ大統領も新たな一手
第1章 2月25日から27日、軍事侵攻から3年の節目を迎えて
ウクライナ国内では、東部の戦闘最前線地域を除き、人々は常に空襲警報を意識しながらも、経済活動を続けていた。首都キーウでは、各国首脳や特使が足を運び、ゼレンスキー大統領と会談を行う。西欧諸国の首脳が去ったタイミングで、ロシアは首都キーウにも遠隔で攻撃をしかけた。ウクライナの地元当局によると、25日の夜から26日の未明にかけて、住宅で火災が発生した。真っ暗な空には、流れ星のように横切る閃光弾と迎撃弾の攻防により、火花が散っていた。ロシア軍が放った無人機に対して、ウクライナの防空システムがしっかり働いていたことを示している。一部は撃墜できず、住宅街やインフラ施設に着弾した。火災現場の近くのマンションの8階に暮らしていた若い一組の家族は、被害状況を如実に語った。その一人主婦ビクトリア・ジハリュクさん(22歳)は、夫と3歳の子供、ベビーカーに乗る1歳の子供と、路上へ避難した。外は氷点下マイナス6度。夜空に瞬く閃光から、窓を開けて、外の様子を確認した際、突風によって、体の重心を後ろに崩した。着の身着のまま逃げたという。戦況が長引く度に、確実に犠牲が増えていた。
詳細 キーウの無人機攻撃について 読売オンライン 2025年2月26日9時52分付
https://www.tokyo-np.co.jp/article/388194?rct=world
2月27日、米国のワシントンに、英国のスターマー首相の姿があった。戦後のウクライナを見据えて、欧州を代表して、米国のトランプ大統領に訴える。会談後、共同記者会見に望んだ。スターマー首相は、国賓としてトランプ大統領を出迎えるため、チャールズ3世から託された招待状を渡したことを明かした。トランプ大統領は、スターマー氏の外交姿勢に「一生懸命だった」と感想を語った。両国の首脳会談において、ウクライナ情勢が争点になった。トランプ大統領は、記者会見の場で、アメリカ人がウクライナで働くことにより、ロシアとの和平に向けた後ろ盾になるとの独自の考えを表明した。ゼレンスキー氏を独裁者呼ばわりしたことについて、「そんなことを言った?」と問いかけ、言葉を濁した。
詳細 写真掲載元 BBC NEWS JAPAN 2025年2月28日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cddyyle6yrmo
当時、ゼレンスキー大統領の訪問を控え、鉱物協定の調印に向けて、準備を整えていた。父親の代から不動産で財をなしたトランプ大統領、若き実業家としてアメリカン・ドリームを達成したバンス副大統領は、ビジネス的視点で、外交関係を築く。ロシア軍によるウクライナ侵攻は、いわゆる対岸の火事、ヨーロッパへ不干渉のスタンスだった。ウクライナ支援と見返りに、鉱物資源の採掘権を獲得すれば、国益にも繋がる。あくまでもディーラーとして、ウクライナを利用する意向が見えた。
第2章 広がりつつある米国と西欧諸国とウクライナの溝
2月28日、ホワイトハウスにゼレンスキー大統領が訪れた。いつもどおり、グレーのTシャツを身にまとい、ラフな格好で、米国のトランプ政権の重鎮と握手した。トランプ政権も、ウクライナの鉱物資源の採掘権獲得をもくろんでいた。トランプ大統領とゼレンスキー大統領は、隣り合う椅子に座る。ウクライナ側とアメリカ側の参加者が、横並びに、向かい合わせに並ぶ。
会談の模様は、世界で大々的に報じられた。当初40分は、雑談を交え、和やかな雰囲気に包まれた。空気を代えたのは、バンス副大統領の発言だった。彼は腰をどっかり据えながら、「平和と繁栄への道は外交に関与することだ」と、飽くまでも中立的な視点を示した。ゼレンスキー大統領は、外交については、プーチン大統領は信用ならないと、厳しい面持ちで言い放った。捕虜交換にもしっかりと応じず、インフラを狙った破壊行為をするロシアを、断じて許してはならないと、訴えた。ゼレンスキー大統領が声を荒げると、トランプ大統領は、来賓として無礼だと叱責する。トランプ大統領は、前バイデン政権下で、ウクライナへ十分軍事支援をしてきた、と恩着せがましい態度を示した。現にロシアによる軍事侵攻から3年、ウクライナへの軍事支援額は、欧州でトップのドイツは日本円換算で4,4兆円に対して、アメリカは17兆円に上る。国力で上回るロシアと、張り合えた要因は、アメリカの先進的な武器を供与されたからだといえる。一方で見方を変えれば、専制主義国家から、西側の民主主義陣営との間で、ウクライナは防波堤に利用されたといえる。互いに口論になり、鉱物支援を巡る協定には、サインをしないまま終えた。
詳細 写真 掲載元 読売オンライン 2025年3月1日19時56分付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250301-OYT1T50115/
トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談の決裂は、予想されていた事態でもある。ゼレンスキー側からみれば、これまで制限付きながら、HIMARS(射程距離80km)を含め、長距離ミサイルを供与されてきた。アメリカ側は、軍事侵攻前の2022年2月24日前の領土に関しては、ウクライナ側の自衛権の範囲と説く。新たにバイデン政権下では、2024年5月に、正確に狙いを定めることを条件に、ウクライナに隣接するロシア領内の軍事施設の攻撃を容認した。実のところ、米欧を含め、ウクライナへの武器供与は、自国産の兵器の性能をテストする場としてふさわしいのである。いわゆる見本市を兼ねていた。すなわち西欧諸国の代理としてロシアと戦うウクライナは、犠牲が増えるばかりで、見返りが得られないのである。ゼレンスキー大統領は、鉱物資源の発掘権を与える代わりに、安全保障の一翼を担ってもらう考えを示していた。彼自身、米国の提案では、ロシアからの抑止効果にならないと判断し、共同記者会見に望まないまま退席した。
西欧諸国は交渉決裂に危機感を共有する。トランプ大統領とバンス副大統領の姿勢から、欧州と距離を置いていることは明白である。ワシントンから英国へ帰還したスターマー首相は3月2日、首都ロンドンにて、欧州首脳会議を主催した。同じくホワイトハウスを訪れていたゼレンスキー大統領を招待している。スターマー首相はまた、イギリスとして16億ポンド(約3030億円)の資金を投じて、ウクライナに提供する防空ミサイル5000発以上を購入すると発表した。前日、ウクライナへの軍事支援を強化するため、凍結ロシア資産の運用益をもとに22億6000万ポンド(約4270億円)を融資することでゼレンスキー氏との間で合意していた。トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談決裂を受けて、支援額を上乗せした形である。
参加した西欧10カ国の首脳の間では、主に4つの合意案がまとまった。
詳細 毎日新聞 2025年3月3日午前9時22分記事より
https://mainichi.jp/articles/20250303/k00/00m/030/018000c
�.Ε�ライナへの軍事支援の継続と対露経済制裁の強化��停戦協議へのウクライナの参加�D篝鏝紊離Ε�ライナの国防力、侵攻抑止力の強化�ぅΕ�ライナの平和を保証するための有志国連合の形成
会議後、セレンスキー大統領は「長い間見られなかった、極めて高い次元での欧州の結束を確認した」と記者団の前で印象を語った。有志連合軍の結成についての方向はまとまったものの、戦後ウクライナの派兵については、各国意見は合わなかったとみられている。ゼレンスキー大統領は、西欧諸国の首脳に支えられ、気持ちが楽になった。英東部ノーフォーク州サンドリンガムに移動し、国王チャールズ3世と会談した。新たに鉱物資源の採掘権と引き換えに、安全保障を担うとする米国との協定分に署名する決意を固めた。
詳細 BBC NEWS 2025年3月3日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cz6139l0nwdo
第3章 自己防衛意識を高める西欧各国
米ホワイトハウスの報道官は3月3日、米国が一時ウクライナへの支援を停止すると明らかにした。トランプ大統領としては、早期停戦を願い、ウクライナへ過度に偏らずに、ロシア側との間に立ち、仲介役を担う目的がある。初めて武器供与を停止することで、仲裁者としての公平な目で解決へ導く。3月4日に、バンス副大統領は、記者団から一時停止の解除の可能性について問われた。「ウクライナが交渉のテーブルに着いたとき、全てがテーブルの上にある」と歯切れ良い口調で語った。あくまでもアメリカは仲裁者として立つ意向である。続けて「トランプ大統領は、ウクライナは交渉を始めなければならないと明確なメッセージを送っている」と力強く言った。さらに「誠意を持って交渉するつもりがなければ、平和をもたらすことはできない。現時点で彼らはそのつもりがない」とゼレンスキー大統領に方針転換を求めた。
詳細 バンス副大統領の発言 読売オンライン 2025年3月5日午前11時6分付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250305-OYT1T50043/
アメリカに頼らずに、西欧諸国は防衛力を強化する必要性に迫られている。3月4日、EUのフォンデアライエン委員長は、記者会見で「私たちは再軍備の時代に入った」と言明した。欧州の防衛産業を強化するため8000億ユーロ(約125兆円)を充当すると発表する。加盟国に1500億ユーロを融資して防衛産業への投資を促した。
詳細 フォンデアライエン委員長の演説 毎日新聞 2025年3月5日付
アメリカの支援停止により、ウクライナへの戦車やミサイルを含め、戦闘能力が維持できなくなる。ウクライナのシュミハリ首相は、「軍と政府には、前線の状況を維持する能力はある」と述べた。ウクライナメディアが伝えた。
ウクライナ軍の戦いは、米軍によって成り立っている。ロイター通信によると、ウクライナへの軍事品は、4日未明に途中で止まった。同国の野党「欧州連帯」に所属する元兵士のオレクシー・ゴンチャレンコ議員(44歳)は、ゼレンスキー大統領の姿勢を非難した。「米国は我々にとって最大の軍事支援国であり、数千人が死ぬかもしれない」と危機感を募らせた。支援再開のために「できることを全てしなければならない」とゼレンスキー大統領に外交姿勢の見直しを迫った。「これはプライドの問題ではなく、我々は幼稚園にいるわけでもない。ゼレンスキー氏が(アメリカに)謝罪をするべきだ」と訴えた。「米国抜きでは、我々はとても、とても、とても悪い状況に陥る。残念ながら」と声を落とした。
写真=ゴンチャレンコ議員 掲載元 TBS NEWS DIG 2025年3月1日(土)21時35分付
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1761727?page=2
トランプ大統領の軍事支援一時停止について、交戦国のロシアは歓迎した。同国のペスコフ大統領報道官は「米国が供給を停止すれば、和平への最大の貢献になる」と述べた。インファクタ通信が伝えた。西欧諸国が引き続き武器を送ることを想定しつつも「(兵器のことを指す)もっとも多くを受け取っていたのはアメリカだった」と事実を語った。
詳細 ペスコフ報道官のインタビュー 朝日新聞デジタル 2025年3月4日19時52分付
https://www.asahi.com/articles/AST343DKPT34UHBI02MM.html
ロシアの協力国であるベラルーシのルカシェンコ大統領は3月5日、X(旧ツィッター)上でのインタビューの際、トランプ氏の姿勢を賞賛した。「戦争終結の課題がこれほど緊急になったのはこの政権あってこそ。(トランプ氏が)ゼレンスキー氏に自身の立場を知らしめたことはわれわれにとって有益だ」とロシアへ同調する。ベラルーシは、憲法改正の手続きを行い、戦術核兵器の配備を可能にする法案を採択していた。今後プーチン大統領に接近するような発言をした。「私は彼の隣に立ち、戦争を終わらせ、人々の生活の改善に必要なことを全て行う用意がある」
ルカシェンコ大統領は2024年1月下旬に、大統領選挙戦にて7選を決めたばかりである。西欧諸国から前回の2020年の秋に行われた選挙戦から、不正疑惑を指摘していた。言論弾圧を行い、報道を厳しく取り締まるルカシェンコ大統領は、プーチン大統領の姿勢と重なる。中国とも近づき、一体感を深めている。
詳細 ルカシェンコ大統領のインタビュー Reuters 2025年3月5日午後2時27分付
https://jp.reuters.com/world/ukraine/562D6A46UNLYPBGB3JIHVOUXYE-2025-03-05/
第4章 ウクライナ国内で続くミサイルの応酬合戦
ゼレンスキー大統領が国を留守にしている間、ロシア軍の攻撃はなりやむことはない。ウクライナのニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」は3月3日、ロシア軍が1日にウクライナ東部ドニプロペトロウシク州のウクライナ軍訓練場を攻撃したと報じた。兵士ら数十人が死亡し、最大100人の負傷者が出ていると伝えた。訓練場は前線から100〜130キロ・メートル、露軍は、標的を定めるうえで、偵察用の無人機飛ばした。警戒網が緩かったのか、ウクライナの防空システムは差同士なかったとみられる。露国防省は、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」によるウクライナ軍の訓練場への攻撃で、外国籍の教官30人以上を含む150人以上が死亡したとみている。ウクライナ捜査当局は、初動対応を誤った要因を突き止めるべく、関係者の取調べを行う。ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は同日、訓練場のセンター長などが、公務の一時停止を命じられたとSNSに投稿した。
詳細 訓練場のミサイル弾について 読売オンライン 2025年3月4日19時16分付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250304-OYT1T50138/
ウクライナ東部地域は、激しい砲撃にさらされていた。3月1日にウクライナ側のドネツク州当局によると、10代の男性一人が死亡し、2人の男女が負傷した。西隣のザポリージャ州の州知事は、3月1日のみで450回の攻撃があり、31歳の女性が負傷したと報じた。さらに東のヘルソン州の検察当局は、63歳の女性が、ロシア軍による攻撃で死亡したと発表した。
ザポリージャ州の知事は被災状況をSNSにて明かした。写真には、炎が上がる白い壁面の建物に対して、消防車が鎮火に当たっている。一方ロシア系メディアタス通信は、両国の国境沿いで激しい攻撃の応酬があり、多数の犠牲者が出た模様である。
写真=ザポリージャ州のマンション火災 詳細 掲載元 NHK NEWS WEB 2025年3月2日19時17分付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250302/k10014737851000.html
ウクライナ軍は、兵力や火力は足りなくても、国土防衛意識から粘り強く戦う。ドネツク州の要衝であるトレツクで、ウクライナは反撃を強めたようである。同地域はロシア国防省が2025年2月7日付けで制圧宣言していた。ロシア軍による侵攻前、鉱山労働者を中心に、人口3万5000を抱えていた高台に位置するトレツクは、ウクライナの補給路だった。2月21日には、ウクライナ軍がトレツクの部隊が、ロシア軍を押し返し、町の中心部に到達した。ロシアの軍事ブロガーは2月24日付けで、ウクライナ軍の反撃を食い止めたと書き込んでいた。投稿した写真の背景からウクライナ軍が町の中心へ近づいていることが明らかになった。エストニアのアナリスト、WarTranslatedは「(トレツク)市中心部で戦闘が続いていて、敵(ロシア側)は支配を失いつつある」と現場の状況を発信した。「いくつかの区域でロシア占領軍が完全に包囲されているという報告もある」とウクライナ軍の健闘ぶりを伝えた。
詳細 トレツクの攻防 Forbes 2025年3月3日午前9時付
https://forbesjapan.com/articles/detail/77498
第5章 ウクライナへ連帯を示す西欧 トランプ大統領も新たな一手
エストニアは、ラトビア、リトアニアと共にバルト3国として足並みを合わせ、一貫してロシアに対して厳しい姿勢で望んできた。2025年2月9日のことである。リトアニアのビリニュスにて、3国の首脳とEUのフォンデアライエン委員長が集った。旧ソ連時代の宗主国ロシアから物資を輸送してきたバルト3国だが、新たに送電網をロシアからEUへと切り替えたのである。調印式では、共に民主主義陣営としての連帯を示した。フォンデアライエン委員長は「敵対する隣国とつながる送電線の鎖は、過去のものとなる」とバルト3国の選択肢を歓迎した。2014年のロシア軍によるクリミア侵攻から、議論を重ねてきた。2022年2月24日から始まったロシア軍のウクライナへの全面侵攻により、決断を後押しされた。EU諸国の一員として経済制裁の発動に参加し、ロシアからのガス及び電力の輸入を停止する。電力網はロシアと協力国のベラルーシにつなぎとめられたままだった。式典の前日、2月8日に切断した。新たにポーランド経由で欧州の電力網に統合された
写真=2025年2月8日 ラトビアのリジャカにて、電力網切り替え作業の様子 掲載元 バルト3国の電力網の切り替え選択について Reuters 2025年2月10日午前7時52分付
https://jp.reuters.com/markets/commodities/CWC66XL35FP4FCMRP5HDAQEAYQ-2025-02-09/
3月4日、ウクライナ無人航空システム第14連隊は、ヘルソン州にてクラスター弾を使い、ロシア軍基地に命中したと明らかにした。特殊部隊と共同作戦は成功し、ロシア兵30名が死亡したと報じた。
詳細 News Week 2025年3月7日17時41分付
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/03/540725.php#goog_rewarded
兵器と共に情報についてもウクライナ軍は、アメリカによって支えられていた。3月5日にアメリカのマイク・ウォルツ大統領補佐官は、情報提供を一時停止したと、発表した。先の2月28日に、ゼレンスキー大統領とトランプ政権の口論が原因となったのは明白である。西欧諸国も3月に、急速に動き出した。新たな安全保障政策として、フランスのマクロン大統領は5日、テレビ演説で衝撃的な発言をする。核の傘を欧州全体に広げることを議論すると、宣言した。次期ドイツ首相として有力視される中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首も、各国へ議論に加わるように呼びかけた。右傾化や防衛費増額を含め、インフレ下で国の予算が削られる。そのしわ寄せは、移民へと向う。欧州の経済は、他国と連携をとり外交分野で安全保障政策を築くことにより、限りなく防衛予選を減らし、その分福祉予算に回した。実質賃金が上がらない中で防衛予算を割くと、福祉予算を削らざるを得ない。もう一つの方法は、国民に理解を求めたうえでの増税である。防衛力強化は、人々の暮らしを大きく揺るがした。
3月5日、アメリカとの関係悪化を踏まえて、ロシア軍は攻撃を強化した。ゼレンスキー大統領の故郷ドニプロペトロウシク州クリヴィー・リフのホテルにて、ロシア軍のミサイルが着弾した。翌6日、現地当局は、死亡者3人、負傷者31人だと明らかにしている。インフラについては、アパート14棟、郵便局、自動車約20台、文化施設、店舗12軒が被害を受けたと報じた。 当局はその後、さらに北のスムイの倉庫も攻撃を受け、警備員1人が死亡したと発表した。
詳細 AFP BB NEWS 2025年3月6日16時41分
https://www.afpbb.com/articles/newspicks/3566308
3月6日にはEUの臨時首脳会合が開かれ、ゼレンスキー大統領も招待された。各首脳は、防衛力の強化のため、日本円にして127兆円規模の資金の確保を目指す計画について大筋で合意した。ゼレンスキー大統領は、アメリカとの協議が再開に向かいつつあることを報告したうえで、改めて支援を求めた。
詳細 EU緊急首脳会議 2025年3月7日午前11時53分 NHK NEWS WEBより
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250307/k10014741921000.html
議長を務めたEUのポルトガル国籍のコスタ大統領は「われわれはきょう、EUが挑戦に立ち向かい、防衛の欧州を築き、ウクライナと肩を並べて立っていることを示した」と連帯を示した。ポーランドのトゥスク首相は「欧州はこの軍備競争に立ち向かい、勝利しなければならない」と宣した。また「欧州全体として、ロシアとのいかなる軍事的、金融的、経済的な対立にも勝利する能力がある。欧州は力強い」と結束力をアピールした。
なおロシアとの関係性が指摘されているEU加盟国のハンガリーのオルバン首相は、軍事支援には否定する立場を示した。参加首脳がウクライナを支援する声明を採択する際、加わらなかったのである。リトアニアのナウセーダ大統領は、前日フランスの核の傘による共同防衛について言及した。「ロシアに対する非常に強力な抑止力になる」と効果を期待した。
詳細 写真 掲載元 Reuters 2025年3月7日午前9時1分付
https://jp.reuters.com/world/ukraine/EJZZSOGVSNJHXOKZPWWW4NMEFM-2025-03-06/
なおポーランドのドゥダ大統領は3月7日に、国防費に国内総生産(GDP)の少なくとも4%を充てることを憲法に明記する案を提示した。ロシアによる軍事的な脅威に対応するための動きで、トゥスク首相は成人男性の全員が軍事訓練を受けるようにする意向を表明した。NATOの推計では、24年のポーランドの国防費はGDPの4.1%に達し、25年は4.7%となる見込みである。
写真=ドゥダ大統領 2025年3月6日ブリュッセルにて 出展:ロイター通信より
詳細 ポーランドの軍事費 Reuters 2025年3月7日 Reuters
https://jp.reuters.com/world/ukraine/OOARAFT2IRKKXARFWISEZKAZFU-2025-03-07/
トランプ大統領は、選挙戦の公約どおり、強引な手段で持ってしても、ロシアとウクライナの間に立ち、終戦へ導く意図がある。西欧諸国のロシア寄りの姿勢との見方を払拭する発言があった。3月7日に、両国の間で和平合意が成立するまで、ロシアへの「大規模な制裁」と「関税を強化する」と明らかにした。記者団に今後の見通しについて聞かれた際、「ウクライナとの交渉は前より難しくなっている」と述べた。現時点でウクライナへ武器や情報支援を停止、さらにロシアへは交渉のテーブルへ着かない場合、さらなる経済制裁を発動する。NATO諸国の一員でありながら、西欧と距離をとり、仲裁者の立場として振舞うことにより、影響力を誇示する。
詳細 トランプ大統領の発言 BBC NEWS JAPAN 2025年3月8日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/clyrdznz5g4o
プーチン大統領は、条件付きで一時停戦に応じる構えを示している。米ブルームバーグ通信が、3月7付で伝えた。ロシア側の関係者は、「(プーチン大統領が)どの国がウクライナへ平和維持部隊を派遣するか、早急に求めてくる」と話していたという。
2020年のコロナ・パンデミックを経て、2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻により、世界情勢は大きく変わった。西欧でもファシスト政権の台頭、右傾化が進む。互いに安全保障政策は共有しながら、自国経済では、移民排斥を掲げる。治安の悪化につながり、混迷の度合いを増す。停戦協議へ動き始めたとはいえ、収束の見通しはつかない。先が見えない展開になった。
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