<ロシア軍とウクライナ軍の戦い2025 第3回目>
今回は、ロシア軍の侵攻から3年を迎えるにあたり、両国の外交関係に焦点を当てる。アメリカのトランプ大統領は、選挙戦の公約通り、紛争の早期解決へ仲介役として存在感を発揮しつつある。西欧諸国も、一刻でも早い解決を願うものの、ウクライナ抜きでのロシアとの和平交渉には断固として反対の立場を示す。西欧の一般市民の間では、血税を使ってのウクライナ支援に、次第に批判の声が高まっていた。2月23日に投開票が行われたドイツ連邦議会選挙戦では、ウクライナ支援停止、自国民優先主義の極右政党が台頭した。最新情勢を分析する。
目次
第1章 ウクライナとトルコの首脳会合
第2章 G20会合を欠席したルビオ国務長官 分断が浮き彫りになった外相会合
第3章 オデーサでの2夜連続ドローン攻撃、ウクライナの安全保障とは
第4章 ドイツで連邦議会選挙が行われる 中立権力の大統領の役割
第5章 トランプに押し切られるG7の首脳達
前第2回 2月19日付
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1989435871&owner_id=32437106
第1章の参考日記
・2023年10月29日付け トルコ共和国建国100年
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986234427&owner_id=32437106
第1章 ウクライナとトルコの首脳会談
2月18日にサウジアラビアのリヤドにて、ロシアのラブロフ外相とアメリカのルビオ国務長官が、直接会談した。米ロの間で、停戦に向けたシナリオを共有する。ロシア側は、戒厳令により、2024年に行うはずのウクライナの大統領選挙を求めていた。ルビオ国務長官も、民主主義の原則からウクライナで早期に選挙を実施するべきだと訴えていく方向を示した。軍事侵攻から3年、停戦協議の行方や戦争終結後の安全保障政策を決めるべく、民意を問う必要性がある。米ホワイトハウスから、閣僚級の会議の結果報告を受けたトランプ氏は手ごたえを感じていた。彼によると、ゼレンスキー大統領は、選挙をすれば、「負ける」とみている。
トランプ氏の言動に反して、ウクライナのキーウのメディアによると、2月の調査でゼレンスキー大統領の支持57パーセント、不支持23パーセントだった。ゼレンスキー大統領は、19日に、トルコの首都アンカラを訪れ、エルドアン大統領と会談した。エルドアン氏は、黒海を通してのウクライナ産穀物の輸送手続きに際して、ロシアとの間を取り持つほど、外交的手腕を発揮している。NATO加盟国でありながら、民主主義を否定している立場から、EU加盟入りを果たしていない。ロシアに対する経済制裁は不参加だった。ロシアとアメリカのパイプ役として、ゼレンキー氏は、頼りにしていた。
エルドアン大統領は、ゼレンスキー大統領との共同記者会見において、「ウクライナの領土と主権の保全」の支持を表明する。過去に黒海を通して穀物の安全な輸送網の構築に勤めた実績を引き合いに出し、「和平協議の適切な開催地になる」と力説した。
Reuters 2025年2月19日午前2時28分
https://jp.reuters.com/world/ukraine/DE6H7DR2FZKPBP47DERFDQ343E-2025-02-18/
写真=2025年2月18日 ゼレンスキー大統領とエルドアン大統領 提供元ウクライナ大統領府ホームページより 掲載元 JBpress 2025年2月25日付
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86728
トルコのエルドアン大統領が所属する公正発展党は、アラブ諸国の社会奉仕団体ムスリム同胞団がバックにつく。イスラム色は確かに強いものの、決断力に富み、国内でも改革を断行する。中央銀行の人事にも介入し、政策金利も政府の都合がよい様に調整するように命令を出す。トルコの庶民を苦しめたのはインフレだった。必然的に欧米の中央銀行同様、利上げを容認する。自国通貨トルコ・リラ安に伴い、思い描いた通り収束には向わず、生活が苦しい国民から信頼を失う。2022年のインフレ率は72.31%、翌2023年は53,86%、直近2024年は60,92%、高止まりで推移している。2024年3月31日に、エルドアン大統領の信任投票の意味合いが強い統一地方選挙戦では、首都アンカラやイスタンブールで議席を減らす。公正発展党は、事実上敗北宣言した。統一地方選挙の結果は、少なからずエルドアンの求心力低下を意味する。
詳細 第一生命経済研究所 2024年4月1日より
https://www.dlri.co.jp/report/macro/327453.html
詳細 トルコのインフレ率 グラフ 世界経済のネタ帳
https://ecodb.net/country/TR/imf_inflation.html
ゼレンスキー大統領は、キーウへと戻り、20日に米国の要人ケロッグ特使と会談した。先日2月12日には、トランプ大統領の特使ベッセット財務長官と対面した際、500億ドル相当のレアアースの採掘権の譲歩と引き換えに、軍事支援を受ける案の署名を拒否していた。ケロッグ氏との会談の詳しい内容は明かされていない。後にゼレンスキー氏は、自身のXのアカウントにて、「実りある会談だった」と書き込んだ。要人との会議では通例の共同記者会見を見送る事態から、良好といえる状況ではなかった。
詳細 写真掲載元 ロイター通信 ケロッグ特使との会談 2025年2月21日午前5時56分 THE SANKEI NEWS
https://www.sankei.com/article/20250221-FSXWPYUYLNOAXJ2VMWQKURZBEI/
国際会議の場は、2月14日から16日に行われたドイツのミュンヘンから、南アフリカのヨハネスブルクに移る。同月20日から21日にかけての2日間、G20の外相会談を行う。
日本を代表して、ミュンヘン会議に続き、岩屋毅氏が、演説をする。トランプ氏がロシアとの交渉チームを結成して、停戦プロセスを策定していることについて、日本の立場を表明した。「長年にわたる戦闘行為が終結し、困難な状況の打開につながっていくことを期待する」
続いて、中国が東シナ海と南シナ海へ積極的に進出していることを懸念して、「世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みは決して認められない」と軍事行動を警戒した。岩屋外務大臣は、ブラジルのビエイラ外相と個別に会い、同国で11月に開催する気候変動枠組みCOP30の成功を祈ると、伝えたという。
詳細 岩屋毅外相の演説 日本経済新聞 2025年2月21日午前9時19分
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA210OW0R20C25A2000000/
第2章 G20会合を欠席したルビオ国務長官 分断が浮き彫りになった外相会合
一方米国からルビオ国務長官は欠席している。その理由は、南アフリカ政府が可決した白人に不利な法案にあると説明した。同国は、アパルトヘイトの影響が、今もなお根強く残り、人種間の所得格差は埋まっていない。多数派の黒人から選ばれたラマポーザ大統領は、人種間の平等をうたう。その一環として、持ち主が管理していない土地を、国が使用する必要性を説いた。2025年1月に「財産収用法」として成立した。アメリカは、国家が個人の土地を接収できる法律に対して、人権侵害だと抗議した。
ラマポーサ大統領は、アメリカの圧力に屈指ない。彼は、故マンデラ大統領が属したアフリカ民族会議(ANC)に属する。1994年に「虹の国になろう」をスローガンに掲げたマンデラ大統領は、1991年にアパルトヘイトの撤廃により、人種間の共存を目指した。確かに、人種ごとの居住区は撤廃され、選挙権も平等に与えられた。経済面に関しては、白人資本を大切にし、過度な税の取立てを控えていた。育ちが貧しければ、幼少期に教育を受けられず、将来の進路も限られる。所得格差は結局埋まらなかった。2024年時点で人口の7%の白人が、個人が所有する土地の70%を獲得しているとみられている。イスラエル軍によるガザ侵攻を「ジェノサイド」だと、2024年初頭にICJに訴えたラマポーサ大統領は、人種差別には根強く反対する。新たに土地を公平に分配することにより、貧しい黒人の生活が向上すると期待していた。米国のトランプ氏といえば、「白人至上主義」、政府内の要職に就くイーロン・マスク氏も、「財産収用法」に対して撤廃を求めていた。後押ししたのは、南アフリカ内で少数の白人から成る団体「アフリフォーラム」だった。アメリカでロビー活動を展開し、同法を「財産権の侵害」と訴えた。トランプ氏は、同団体の言い分を全面的に受け入れ、南アフリカ政府への援助を凍結すると発表した。G20外相会議を欠席する手段は、抗議の一環だった。
詳細 アメリカの南アフリカ共和国への政策 NHK NEWS WEB 2025年2月21日午前4時17分付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250221/k10014728671000.html
ルビオ氏は、先にラブロフ氏とサウジアラビアのリヤドで会い、紛争の終結について議論する機会があった。米ロの交渉は始まったばかりである。
G20外相会談に先立ち、中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相は個別に会談した。戦後80周年を意識し、「共に戦勝国」としての事実を確認する。ウクライナ情勢を巡って、ラブロフ外相は、「中国の立場を評価する」と述べた。表向きに中国は中立である。経済的には軍事侵攻後、両国は緊密に連携していた。西側諸国は、ロシアの戦闘能力を、影で中国が支えているとの見方をしている。王毅外相は、ロシアによる特別軍事作戦開始以降、「対話と交渉を通して、平和的な解決を望む」と表明していた。
ロシア外務省は、会談の場で、ラブロフ氏側から、王毅氏を首都モスクワに招待したと明らかにした。
詳細 中ロ外相会合 人民網 日本語版 2025年2月21日16時35分付
http://j.people.com.cn/n3/2025/0221/c94474-20280055.html
2日目の21日、議長を務めた南アフリカのラモラ外相は、欧州と中ロの関係性を念頭に置き、「地政学的な対立が拡大している」と印象を語った。2日目にこぞって、西側諸国の外相が、ロシアを非難していた。英国のラミー外相は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を「帝国主義の論理だ」と糾弾した。
EUを代表するカラス外交安全保障上級代表は、演説の場で、ロシアを論破した。「(ロシアは)和平を実現しようとしているように見えない」と単刀直入に非難した。「米露間の接触の様子をみる限り、ロシアはウクライナの領土を最大限以上に獲得する目標を放棄していない」と最大限の言葉で非難した。
カラス氏は、今後の展開についても警告した。「侵略者に全てを差し出せば、世界の全ての侵略者に同様のことをして構わないという合図を出すことになる」
ロシア寄りの姿勢を露にした米トランプ政権にも批判の矛先を向けた。
以下 写真掲載元 朝日新聞 2月22日付 レポーター&写真撮影者 今泉秦 より
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9f4d0cbb0c24da980c20dc8991db7e368468d85
南アのラモラ外相は閉幕後の記者会見で、ウクライナ不在のまま米ロ間で進む停戦協議について「包括的でなければならない」と強調した。ラマポーザ大統領は閉幕にあわせて、ウクライナのゼレンスキー大統領を「近く南アに招待する」と連帯を示した。合わせて「ロシアとウクライナの対話を支援する」と表明した。外相会合では、南アの土地制度改革などに反発し、ルビオ米国務長官が欠席した。ラモラ氏は、駐南アフリカ米大使が代わりに出席したとし、「米国はボイコットしたわけではない」と主張する。「南アに批判的でも肯定的でも、意見を述べる権利がある」と述べた。(ヨハネスブルク=今泉奏)
<参考記事 終わり>
第3章 オデーサでの2夜連続ドローン攻撃、ウクライナの安全保障とは
戦況の方は、ロシア側が押し切っている展開である。2月20日付、ロシア参謀本部は、クルスク州にて、一時は1280平方キロメートルをウクライナに占領されながら、64%奪還したと調査報告書にて記載された。丁度3ヶ月前の2024年11月20日時点の報告では、奪還面積は40%、3ヶ月で一気に邁進したことになる。報告を受けたプーチン大統領は、ウクライナのスムイ州に越境したと、戦況が優勢になったことをアピールした。ウクライナ軍側は2月19日付けで、自国領スムイでの戦闘を否定している。ロシア軍がスムイでの軍事作戦で有利な展開に持ち込めば、ウクライナが占領するスジャとの補給路を断つ。ウクライナ側は、ロシア領クルスク州スジャを占領することで、後の停戦交渉のカードに使う目論見があった。スジャから撤退すれば、後の領土を巡る協議でますます不利になる。
2月18日と19日には、黒海沿岸でウクライナが確保している地域オデーサに、2夜連続ドローン攻撃があった。
以下 写真掲載元 Reuters 2025年2月20日 午前10時53分付記事に基づく。
https://jp.reuters.com/markets/commodities/NVFAPYFI7FOTDFPLN5DJZ4HANA-2025-02-20/
オレフ・キペル知事が通信アプリ「テレグラム」に被害状況を投稿した。直近のドローン攻撃で約5000人が停電の中での生活を余儀なくされている。オデーサとその近隣の都市や村を合わせて、9万人が停電の被害を受けた。ゼレンスキー大統領も国際社会に対して、9万人が暖房のない過酷な環境に置かれていると訴えた。
キペル氏知事の投稿によると、19日夜の攻撃によってレストランや倉庫で火災が発生した。行政機関の入った建物も被災している。負傷者は一人、死者に対する情報は書き込まれていない。投稿された写真によると市内の各地で照明が消えて、一面暗闇に包まれていた。当局者によると、18日夜の攻撃では子供を含む4人が負傷し、集合住宅約500棟、学校13カ所、幼稚園1カ所、病院数カ所で暖房が止まった。当時オデーサの気温はマイナス6度近辺だった。
<記事終わり>
22日夜から23日朝方にかけてウクライナ各地でドローン攻撃があった。ロシア軍が発射したイラン製の「シャヘド」など計267機のドローンがウクライナ各地に飛来した。ゼレンスキー大統領は23日、侵攻開始から3年を前に「過去最大」のドローン攻撃を受けたとSNSに投稿した。南部オデッサ州では負傷者が出ている。ウクライナ当局は、飛来したドローンのうち、半分を超える138機を撃墜したと、防空能力をアピールした。地元メディアによると、ロシア軍は22日にミサイル攻撃も行い、東部クリブイリフで1人が死亡した。
詳細 ドローン攻撃 2月23日 22時29分配信 JlJl.com
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022300498&g=int#goog_rewarded
2月23日、ロシア軍による侵攻から3年前の前夜、ゼレンスキー大統領は記者会見に望んだ。戒厳令により、2024年に行うはずの選挙を先送りにしている状況から、トランプ大統領に独裁者呼ばわりされた。西側諸国からの支援は42兆円、そのうち4割はアメリカが捻出している。
詳細 支援金額 読売オンライン 2025年2月24日 22時58分
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250224-OYT1T50084/
最大支援国のアメリカの大統領が民主党のジョー・バイデン氏から共和党のドナルド・トランプ氏に代わり、一転してロシアへ近づく。ウクライナや西欧諸国を置き去りにしての和平交渉を進める状況に一段と危機感が募った。
記者会見の最中、自身を独裁者であることを否定した。彼は、「和平実現のために本当に、私がこの地位を離れる必要があるなら、私にはその用意がある。そして、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟と自分の地位を交換することもできる」と真剣な面持ちで語った。彼はウクライナの復興や安全保障を犠牲にしてまで、大統領の座に固執しないと、言い切ったのである。ただし彼自身は、2014年に一方的に併合されたクリミア半島を含め、領土を取り戻す姿勢を崩していない。今回の会見では触れなかった。
詳細 ゼレンスキー大統領の会見 BBC NEWS JAPAN 2025年2月24日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2gyvqnzrdo
ロシアの方は、プーチン大統領が勝手に名々したウクライナへの「特別軍事作戦」開始から3年目を迎えた日、中国との電話による首脳会談を行った。両国の政府によると、経済的にも緊密に連携する必要性を確認した。プーチン大統領は、トランプ大統領との停戦協議の進捗状況を、周近平国家主席に伝えたという。共に戦後80年を迎えるにあたり、「戦勝国」であるとの認識を共有した。
詳細 JlJl.com 2025年2月24日21時8分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022400565&g=int
侵攻から丁度3年を迎える2025年2月24日、ゼレンスキー大統領は、軍事侵攻下に対する切実な思いを語った。圧倒的なロシアの軍事力を前に、侵攻当初は正々堂々と戦い、キーウ州やハルキウ州では戦況を有利に進めた。「絶対的な英雄主義」とウクライナ人を称えた。自身のXでは「抵抗の3年。感謝の3年。ウクライナ人の絶対的な英雄主義の3年」と表現し、「亡くなった英雄たちへの永遠の感謝」と気持ちを綴った。
詳細 ゼレンスキー大統領の投稿 CNN.co.jp 2025年2月25日 11時32分付
写真=2025年2月23日独立広場を訪れた人 Getty Images
https://www.cnn.co.jp/world/35229751.html
ウクライナの首都キーウには、10カ国の首脳による会合が開かれた。スペインのサンチェス首相やカナダのトルドー首相、EUのフォンデアライデン委員長が現地に赴いている。オンラインを含めると参加した首脳は40カ国にのぼった。石破茂総理大臣もオンラインで参加した。ゼレンスキー大統領は「私たちは、強さと知恵、そして団結によって平和を実現しなければならない」と民主義陣営としての一体感を強く求めた。フォンデアライエン委員長は「危機にひんしているのはウクライナの運命だけではない。ヨーロッパの運命同じである」と力説した。
西欧諸国の間でも、民主主義が後退し、各国にてロシアの息がかかった政党が票を伸ばしている。その一国が、スロバキアのペレグレニ大統領とフィツォ首相が属する「スメル」だった。スロバキアのフィツォ首相は、EUの掟に反して、経済制裁を解除した。2024年12月22日にロシアの首都モスクワに赴き、プーチン大統領と会談している。
第4章 ドイツで連邦議会選挙が行われる 中立権力の大統領の役割
ドイツも転機を迎えた。2025年2月23日に連邦議会総選挙(下院:定数630)が行われた。選挙戦の争点は、エネルギー問題、移民規制、ウクライナ支援の3つともいわれている。投開票の結果、最大野党だった「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が、208議席、得票率28,5%を獲得し、第一党の座を勝ち取った。第2党は、152席、得票率20,8%の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」である。コロナ禍の前回2021年から議席をほぼ倍増させた。旧東側では、東ベルリンを除いて、小選挙区での90%を獲得した。AfDの男性のクルパラ氏と女性のワイデル氏が、共同代表を務める。ワイデル氏は、「我々は歴史的な結果を達成した」と躍進に手ごたえを感じた。連立政権に入る可能性は低いものの、野党第一党としての連邦議会での発言力は確実に高まる。エネルギー危機による経済低迷からの復活をアピールしていく。
第3党はショルツ首相が属する120議席、得票率16,4%の「社会民主党(SPD)」だった。
第一党となった「キリスト教民主・社会同盟」の党首メルツ氏は、投開票日の翌日となる2025年2月24日に記者会見を開いた。連立交渉に向けて、「社会民主党」と協議していく意向を明らかにした。第2党の極右政党「ドイツのための選択肢」を最大限に警戒する。
写真 掲載元 JlJl.com 2025年2月24日23時38分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022400154&g=int
第一党のキリスト教民主・社会同盟のメルツ党首は、4月20日に新政権発足を掲げ、交渉していく意向を示した。外から選挙の行方を見守っていたアメリカのドナルド・トランプ大統領は、自身のSNSにて結果について書き込んだ。「米国と同様、ドイツの国民も特にエネルギーや移民などで常識のない政策にうんざりしていた」と印象を語り、「ドイツにとって、そして米国にとって、素晴らしい日だ」とまとめた。トランプ氏は、極右政党の台頭を心底から喜んでいた。
詳細 トランプ氏の発言 朝日新聞2025年2月25日朝刊1面掲載
Afdは、イスラム教徒への差別から、憲法擁護庁から「右翼過激派」として事実上監視下に置かれている。排外主義政策を押し出し、人種差別的発言をし、法案を策定すれば、憲法擁護庁から警告が下る。基本的にドイツでは、どの政党にも属さない「連邦大統領」が、裁判官の任免を行い、提訴する権限を持つ。原則1期5年、最長2期10年迄務められる。旧西ドイツで1949年5月に制定されたボン基本法において、中立的立場に定められた「連邦大統領」は、形式的には、首相を任命し、組閣を任せる。実際単独での権限は抑制され、首相の助言を受ける、または多数派を形成した野党の議員の理解を得て、議会の解散にも踏み切る。連邦議会で可決された法案を、最終的に承認するのは大統領である。実際、ボン基本法に基づき、違憲の疑いから、署名を拒否した例は、過去に8度起こっていた。
詳細 ウィキペディア 連邦大統領(ドイツ)より
現在の第12代シュタインマイヤー大統領(1956年1月5日生まれ)は、2017年から務め、2期目に入っている。
あれから3年、ドイツもロシア軍によるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機と向き合っている。
第5章 トランプに押し切られるG7の首脳達
2月24日、G7によるオンラインでの首脳会合においては、リーダー的存在であるトランプ大統領が、ロシアを含めたG8に戻すべきだと、各国に呼びかけていた。ロシア寄りの姿勢を示すトランプ氏に対して、他の6カ国は共同歩調をとれなかった。
詳細 キーウでの首脳会合、G7オンライン会談 NHK NEWS WEB 2025年2月25日11時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250225/k10014732151000.html
欧州の首脳を代表して、フランスのマクロン大統領は、2月24日に、トランプ氏との会談に伴い、米ワシントンのホワイトハウスにいた。ロシア寄りの姿勢に対して、EU諸国は明確に反対を表明していた。マクロン大統領は、トランプ大統領の機嫌を損なわないように、最大限に配慮したと見られる。その結果終始両首脳の間では、リラックスした雰囲気が漂ってきたという。40分に渡った共同記者会見にて、マクロン大統領は「和平案は、ウクライナの降伏になってはならない。いかなる和平合意も、ウクライナの安全を保障しなければならない」と訴えた。トランプ大統領は、ウクライナの安全保障については触れなかった。停戦協議後の、監視部隊については、欧州に任せ、アメリカは関与しない方針を示した。両者の間では、相違点は明確だったものの、会談は滞りなく進んだという。
同日ニューヨークの国連では、総会が開催された。欧州連合(EU)とイギリスが起草した、侵攻開始3年に合わせた決議案が採択された。「ウクライナの主権、独立、統一、領土保全に対する国連の関与」を改めて確認する内容。
アメリカはこの決議案に反対。ウクライナの領土保全に触れず、ロシアの侵攻を「紛争」と呼ぶ独自の決議案を提出した。
詳細 トランプ氏とマクロン大統領の会談 国連の決議について BBC NEWS JAPAN 2025年2月25日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/ckgz9r8rxzeo
ロシア軍とウクライナ軍の戦いは、西側の民主主義陣営と専制主義国家陣営の争いの側面を持つ。ロシアの協力国ベラルーシは独裁国家、最大の貿易国である中国は権威主義国家と西側諸国からみられている。ドローンを供給するイランも、イスラム法の慣例に従い、人権無視をしていると指弾されていた。表向きに民主主義を維持しながら、大統領に権力を集中させるトルコは、西欧諸国から距離を置かれている。NATO加盟国である以上、西側陣営の一員でありながら、ロシアや中国、イランとの関係も深い。エルドアン大統領は数少ない仲介役を担う存在である。世界を牛耳るアメリカが、強引な手段で持って、紛争解決へ動き出している。
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