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2025年02月19日21:51

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2025年ロシア軍とウクライナ軍の戦い(2)ミュンヘン国際会議のレポート 米国バンス副大統領の過酷な生い立ち 米ロが急接近 トランプ大統領のロシア疑惑について

<ロシア軍とウクライナ軍の戦い(2) 2025年2月14日以降 ミュンヘン国際会議レポート>

 目次
・第1章 アメリカのトランプ大統領が和平へ動き出す。
・第2章 キーウを立つゼレンスキー大統領 米バンス副大統領との交渉
・第3章 ロシアを支える中国 バンス副大統領の不遇な生い立ち
・第4章 トランプ大統領の主張 過去のロシア疑惑への火消しに
・第5章 米ロの外相会議、欧州でも緊急会合

 ロシア軍とウクライナ軍の3年に渡る戦いに決着がつくのか。今アメリカのトランプ大統領が仲介に動き出している。2月14日から欧米の安全保障が議題に上ったミュンヘン会議の模様を含めて紹介する。また第3章では、米国のバンス副大統領の生い立ちにも迫っていく。

前回 2025年2月13日付 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1989394905&owner_id=32437106

前年同期 2024年のミュンヘン会議の模様 2024年2月27日付
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987057386&owner_id=32437106

第1章 アメリカのトランプ大統領が和平へ動き出す。

1月20日に、第49代大統領として2期ぶりに就任したトランプ氏は、選挙戦から和平の仲介役に意欲を示していた。就任後にも、プーチン大統領との会談を望むと、訴えていた。早速動きがあった。ウクライナのゼレンスキー大統領は2月12日付、トランプ大統領と電話会談したことを報告した。米ロ首脳会談の実現性や、ウクライナ軍が保有するミサイルの性能も議題の対象になったと明かした。既にトランプ大統領は、プーチン大統領との電話会談で1時間以上上ったことを発表した。直接会談の場は、サウジアラビアになると名言している。また米ホワイトハウスのレビット報道官は、ベラルーシで拘束された同国籍の男性が解放されたと発表した。

ベラルーシはロシアの友好国、アメリカへ配慮することにより、交渉のテーブルにつかせる機運を高める。現に2月12日に、ロシアのペスコフ報道官は、ロシアで拘束されていた米国人男性を釈放した見返りに、米国側がロシア人受刑者1人を解放してくれることを明かした。インタファクス通信が伝えた。双方拘束者の解放を通して、亀裂を修復し、話し合いの場で意志を通す狙いが見える。米ロが近づきすぎると、一方的に国土を侵害されたウクライナの立場は弱くなる。ゼレンスキー大統領は危機感を募らせていた。

 ウクライナが加盟を求めるNATOは、2月12日に本部があるベルギーの首都ブリュッセルにて、国防省級の会議が開かれた。米国のヘグセス国防省は、会合前にウクライナへの軍事支援について、関係各国と協議した。ウクライナの安全保障政策については、「NATO加盟は交渉による解決の現実的な結末とは考えていない」とはっきりと述べた。クリミア半島を含め、2014年以前の領土回復については「非現実的な目標だと認識する必要がある。幻想的な目標を追求することは戦争を長引かせるだけだ」と釘をさした。

 詳細 写真掲載元 ヘグセズ国防省の発言 NHK NEWS WEB 2025年2月13日付 8時2分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250213/k10014720731000.html
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 NATOのルッテ事務総長もヘグセス国防省の言動を踏まえて、加盟国に防衛力の強化を求めた。「アメリカが当然求めるようにわれわれは国防費を増額させる必要がある。そうでなければ4、5年後には自分たちを守ることができない」

 詳細 NHK NEWS WEB 2025年2月13日20時30分付け https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250213/k10014721261000.html

 ルッテ氏は、2024年10月1日に事務総長に就任し、3日にキーウのゼレンスキー大統領の下を訪れ、「ウクライナへの軍事支援は、我々の安全保障への投資だ」と一体感を表していた。


 現実的に戦況が長引き、ウクライナは領土を失っている。ロシア・ウクライナ両軍、ウクライナの市民の犠牲者数も膨らむ一方だった。

 2月12日、トランプ大統領の特使としてベッセット財務長官が、キーウを訪れた。この日の未明、キーウでは、ロシア軍のミサイル攻撃を受けて、死亡者1人、9歳の子供を含む4人の負傷者を出していた。

 後にゼレンスキー大統領は15日付で、会議の内容について語った。5000億相当の鉱物資源レアアースの採掘権を与える代わりに、安全保障の提供を受けるとする合意文書にサインを拒否したことを明らかにした。その理由は、費用対効果に見合わず、安全面が保障されないからだと説明した。


 第2章 キーウを立つゼレンスキー大統領 米バンス副大統領との交渉

ゼレンスキー大統領は、米国のベッセト外務長官と会談後の翌13日、ミュンヘン会議(2月14日から17日)に出席するため、キーウを立った。移動の途上、記者団からも質問を受け付けた。トランプ大統領とプーチン大統領の二国間の会談が実現する可能性について問われた。彼は「プーチンが思い描く計画通りに事態を進ませないことが重要だ」と厳しい面持ちで語った。

 詳細 Reuters 2025年2月14日午前1時19分付け
https://jp.reuters.com/world/ukraine/H3QVTOBO65IL7MWQQXJACOBSPM-2025-02-13/

ゼレンスキー大統領が国を留守にしている間、エネルギー事情を左右する大きな事件が起こった。2月14日、ロシア軍の無人機ドローンにより、チェルノヴィリ原発を覆うシェルターが、大きな被害を受けた。現地から報告を受けて、ゼレンスキー大統領から直接発信された。チェルノヴィリは1986年に、4基のうち1基が爆発事故を起こしている。現在はシェルターを覆いかぶせることにより、放射能を抑え込んでいる。

 継続的に放射能のレベルを測定しているものの、数値は大きく上昇していない。続けてゼレンスキー大統領は「原発を占領し、結果を顧みずに戦争をする国は、世界でもロシアだけだ」と厳しく非難した。

 詳細 写真掲載元チェルノヴィリ原発への攻撃 Reuters 2025年2月14日午前7時10分付けhttps://jp.reuters.com/markets/commodities/QNMGUJLSFZJRFO7URAIAS3WHTI-2025-02-14/
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2月14日、ミュンヘン会議の初日、アメリカを代表して出席したバンス副大統領は、演説に際して、ロシア軍とウクライナ軍の戦争について、「合理的な解決が可能だ」と強調した。安全保障において「欧州は今後数年間で大幅に防衛を強化する必要がある」と自主性を求めた。ロシアについては、交渉のテーブルに臨まない場合、米軍のウクライナ派兵も選択肢にあると、警告する。トランプ氏とプーチン氏の電話会談では対話重視の姿勢が見えていた。一転して、バンス副大統領は、ロシアに対して強気の態度に打って出ていた。

 ゼレンスキー大統領とバンス副大統領は、別室にて戦争終結に向けて、協議を開いた。会談後に、バンス副大統領は記者団の前で力強く語った。「われわれは戦争を終わらせ、人を殺しあうのをやめ、永続的な平和を成し遂げなければならない」
ゼレンスキー大統領も記者団の前で思いをぶつけるように話した。「プーチンを阻止する計画を準備するために、もっと話し合わなければならない。真のウクライナの安全の保証が必要になる」

米ロ主導で停戦交渉が進むことに焦りが見え始めていた。ウクライナ側は、軍事支援を受ける見返りに、レアアースを含め鉱物資源の獲得権を担保にする構えを崩していない。バンス副大統領と交渉したのか、双方の口から語られることはなかった。

 詳細 写真掲載元 バンス副大統領とゼレンスキー大統領の会談模様 NHK NEWS WEB 2025年2月15日8時53分付け https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250215/k10014723301000.html
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 ミュンヘン安全保障会議の開催2日目となる2月15日に、ゼレンスキー大統領は、演説の場にたった。彼は「プーチンに本当の安全保障は提供できない。彼が嘘つきだからではなく、現状のロシアでは権力の維持に戦争が必要だからだ」と訴えた。毎日100機以上のドローンを打ち込まれている現状から、ロシアには対話の意思がないと、きっぱりと述べた。ゼレンスキー氏は、アメリカとロシアとの間で、西欧諸国の意向を踏まえずに和平案の策定には否定的である。蚊帳の外に置かれつつある現状から焦りが見え始めていた。彼は演説の中で、他国への干渉を避けるトランプ政権を念頭に置き、「(NATOとは別に)欧州軍が必要」との認識を示した。その理由についても話した。「欧州と米国の古い関係は終わった。欧州のために警告する。欧州の軍隊を創設する時がきた。自分の未来を自分で決めるべきだ」

またウクライナが数少ないロシア領内の制圧地域クルスク州の戦いで、ロシア側に立つ北朝鮮兵の現状についても語った。「北朝鮮軍は弱いのではなく、現代の戦争の戦い方を学んでいるところだ」

 北朝鮮兵は弾除け用として動員され、数多くの死傷者が出ているとみられている。ゼレンスキー大統領は14日、北朝鮮兵2000から300人が追加で派遣されているとの現場から入手した情報を公開した。ゼレンスキー大統領によると、のべ1万2000人程の兵隊が参加し、3分の1にあたる4000人が死傷した。死傷者のうち3分の2の割合で犠牲者が出たとみている。

詳細 2月15日のゼレンスキー大統領の演説 テレ朝ニュース 2025年2月15日22時30分付 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000405029.html
詳細 欧州軍創設について 毎日新聞 2025年2月15日 20時32分付
https://mainichi.jp/articles/20250215/k00/00m/030/217000c

詳細 北朝鮮兵の人数について 朝日新聞DEGITAL 2025年2月14日22時43分付
https://www.asahi.com/articles/AST2G4CQWT2GSFVU17CM.html

 北朝鮮兵の参加は、本国もロシア側も言及していない。情報が閉ざされた北朝鮮に暮らす人々は、民主主義国家ウクライナと専制主義国家ロシア軍の戦いの意味もはっきり理解していない。兵隊にとられた若者達が犠牲を強いられている。

 第3章 ロシアを支える中国 バンス副大統領の不遇な生い立ち

ミュンヘン国際会議には、中国から昨年に続き、王毅外相が参加していた。初日となる14日に演説に望んでいた。彼は、トランプ大統領が発動する高関税を睨み、「米国が中国を抑圧、封じ込めることに固執するならば、われわれは徹底的に受けて立つ」と身構えた。トランプ大統領は2025年2月4日から中国製品の関税を10%に設定した。報復として中国はアメリカ製品の関税を15%へ引き上げた。米中関税戦争と化すことにより、物流が滞るが懸念される。

 トランプ氏がロシアとの和平へ動き出した件について、王毅外相は「いかなる衝突も終着点は交渉の場となる」と賛成の意思を示した。紛争解決に向けての方向性についても語った。「すべての当事者と利害関係者が適時、和平協議プロセスに参加できることを期待する」

 振り返ると、王毅外相は、昨年のミュンヘン会議の会期中となる2024年2月17日に当時のウクライナの外相を勤めたクレバ氏と会談していた。ウクライナでは、ロシアと貿易協定を結ぶ中国への、敵対意識を隠せなかった。王毅外相は、懸念を払拭するように、「平和的な解決」を訴えていた。王毅外相は、2025年2月15日、クレバ氏の後任に当たるシビハ外相と会談する。後に中国外務省が16日付で報じた。王毅外相は、昨年のクレバ氏との対面時と同じく、政治的解決と平和の実現のため建設的な役割を果たしていく、と中国の立場を表明したという。シビハ外相からは「ウクライナは中国を大国としての影響力を非常に重視している」と返事がきたとのことだった。

詳細 中国とウクライナの外相同士の会談 毎日新聞 2025年2月16日15時5分付け
https://mainichi.jp/articles/20250216/k00/00m/030/111000c

写真=シビハ外相と王毅外相 掲載元 TBS NEWS DIGより
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/withbloomberg/1733949?display=1
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中国は、自国の経済にかげりが見える中、ロシアから撤退する欧米企業の穴を埋めるように参入している。中国との貿易によって、ロシアの経済が支えられ、戦争を可能にする。西欧諸国は、基地を提供するベラルーシを「協力国」と断定し、経済制裁の対象にする。中国は、影の協力国とみなすものの、直接武器支援をしたとの証拠がない以上、制裁をかけられない。2025年1月14日に、中国税関が発表した公式データによると、中国とロシアの貿易は昨2024年過去最高を記録した。中国とロシアの輸出入総額は2024年に2448億ドル、2023年の2401億ドルをわずかに上回った。
成長率は前年比26.3%増と比べると大幅に鈍化した。
一方、中国の税関データによると、世界のトップ2の経済大国である中国と米国間の貿易は2024年に前年比3.7%増の6883億ドルに達する。


 詳細 王毅外相の演説 THE SANKEI SHINBUN 2025年2月15日13時20分
https://www.sankei.com/article/20250215-LKECLLWWF5NKHCH4ZNC6OLEOPM/
 詳細 中ロの貿易総額 国際ビジネスニュース 2025年1月15日22時1分
https://www.ibnews.com/jp/2025/01/15/485.html


14日、EUを代表して、外交安全保障上級代表を務める前エストニアのカーヤ・カラス氏が、議場に立った。先に演説したバンス副大統領の言動に不快感を示し、「ケンカを売ろうとしているように見えた」と単刀直入に非難した。バンス副大統領は、ロシア軍によるウクライナ侵攻に触れた時間はわずかだった。ヘイトスピーチを言論の検閲と表現し、誤情報の規制を巡りEUを非難していたのである。
カラス氏は、ロシア軍によるウクライナ侵攻のような重大な脅威に焦点を当てるべきだと、バンス副大統領の演説を酷評した。

詳細 カラス氏の意見 Reuters 2月15日午前4時18分
https://jp.reuters.com/world/ukraine/YWP335PU4JMHFAV526BC7BJQUQ-2025-02-14/

 バンス副大統領は、トランプ大統領の意向に沿い、自国の権益を優先的に考えながら、大国としての威厳を見せ付ける。ロシアとウクライナの和平交渉を持ちかける理由は、影響力を誇示するためだった。ウクライナ抜きでの和平会議、NATO諸国への防衛費増額を要求する行為は、協調路線を歩むEU諸国から、独善的だと受け止められた。矛盾点は一つある。トランプ大統領はプーチン大統領と融和を図ろうとしていた。一方でバンス副大統領は、融和から程遠く、ウクライナへの派兵も選択肢に入れているとロシアをけん制していた。プーチン大統領との蜜月ぶりを示すトランプ大統領とは一線を画す。後にバンス副大統領は、自身のXのアカウントにて、「米国の国益や安全に関わらない地域で米軍が危険にさらされてはならない」と事実上発言を撤回する内容を投稿した。あくまでも「ロシア軍とウクライナ軍の戦いだ」と米軍は域外だと主張した。

 詳細 写真掲載元 バンス副大統領 2月14日ミュンヘンより ロイター通信
 バンス副大統領の発言 日本経済新聞 2025年2月15日15時39分
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB151QX0V10C25A2000000/
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1984年8月2日生まれのバンス副大統領は、不遇な少年時代を過ごしていた。幼い頃に両親が離婚し、母親の3番目の夫と共にすごしていた。母親は薬物中毒症状をお越し、子育てに手が回らなかった。バンスと姉は、母方の祖父母に引き取られ、教育を受けた。2003年に高校卒業後、米海兵隊に入隊する。2005年後半から2006年にかけて半年間、サッダーム・フセイン無き後のイラクに派遣され、治安維持を担った。除隊後の2009年に、オハイオ州立大学に入学し、政治と哲学を学び、学位を取得した。その後イェール大学のロースクールで、法学位の資格を得て、自叙伝を出版する。白人労働者階級を掘り下げて書いた作品は、2016年と2017年にニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに掲載された。ベンチャービジネスでも手腕を発揮し、経営者としても財を成した。過酷な幼少期から成功者となったバンスは、まさにアメリカン・ドリームを達成した一人だった。2022年の中間選挙戦にて、オハイオ州から上院議員に選出され、2025年1月20日に、副大統領として実務に当たる。根っからの実業家のトランプ大統領と比して、不遇な生い立ちからバンス副大統領は、労働者目線にも立つ。共に移民排斥を掲げ、自国優先主義である。会議に参加した欧州の首脳から、軒並み批判されていた。

  第4章 トランプ大統領の主張 過去のロシア疑惑への火消しに

 ミュンヘン会議にあわせて、2月15日夜7時から1時間30分に渡り、G7の外相会合が開かれた。日本からは岩屋外務大臣が参加している。ウクライナを引き続き支援する方向で一致し、緊迫化する中東情勢やアジア太平洋地域の安全保障政策についても議論したとみられている。アメリカのトランプ大統領は2月13日に、ホワイトハウスにて、記者団を前にロシアを復帰させて、G7からG8に戻すべきと、独自の見解を示していた。2014年に一方的なクリミア半島を無欠併合したことにより、ロシアを外したのである。当時決断したのは、米国のオバマ大統領だった。トランプ大統領は、持論を展開した。「オバマやほかの人たちは間違いを犯してロシアを追い出した。G8であれば、ウクライナの問題は起きなかっただろう。私が大統領だったらロシアがウクライナを攻撃することもなかった」

詳細 G7外相会合について NHK NEWS WEB 2025年2月15日22時41分付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250215/k10014723741000.html

広義的にみれば、2014年のロシア軍のクリミア併合から、ウクライナ軍との戦闘は続いていることになる。当時オバマ大統領は、ロシア軍をけん制したものの、早々とウクライナへ軍事協力はしないと名言していた。ロシア側も、世界一位の軍事大国アメリカと事を構えたくはなかった。ウクライナの政治状況を黙認すれば、NATO入りが実現する。すでにバルト3国がNATOに入っている以上、ロシアとNATO諸国が国境を接することになる。ロシアは、ウクライナを緩衝地帯として必要との認識があった。芽は浅いうちに摘み取れのことわざどおり、中国の経済的支援を取り付けて、2022年の特別軍事作戦に踏み切ったとの見方がある。ウクライナのNATO入り阻止、親ロ政権樹立が目的だった。

 トランプ大統領は、一転してロシアに対しては、宥和的だった。1期目の大統領選挙戦を1ヵ月後に控えた2016年10月のことである。対立候補の民主党ヒラリー・クリントン陣営に、サイバー攻撃を仕掛けられた事実が明るみに出た。攻撃規模や手口から、ロシアの手法だと断定されていた。以降トランプ氏の当選には、ロシアが関わっているとの疑惑が付きまとっていた。

 詳細 写真 掲載元 ロシア疑惑 NHK NEWS WEB 2018年11月16日付https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/articles/russia-gate/features/20181126-01.html
詳細 司法の判断 2019年3月25日付 BBC NEWS JAPAN
https://www.bbc.com/japanese/47689105

写真=ムラー特別検察官 
フォト

2019年3月24日、米司法長官は、民主党が提訴したロシアの選挙戦への干渉について、トランプ氏と共謀した事実はない、と断定した。捜査に当たった特別検察官ムラー氏は「この報告書は大統領が犯罪に関わったと結論しないものの、無罪と認定するわけでもない」とした。捜査を続ける意思については明確に示さなかった。判決を下す立場にあるバー司法長官は「司法妨害疑惑について、特別検察官の報告書は、従来通りの起訴・不起訴の判断をしないと、最終的に決断した」と民主党陣営の訴えを退けた。疑惑は確かに残るものの、証拠が揃っていない以上、罪に問えなかったのである。
1年10ヶ月続いた検察官の調査は、司法の判断によって、一旦区切りがついた。2期目となるトランプ大統領は、ロシアとのパイプを生かして、ウクライナ軍との戦いで、着地点を見出していく。

 第5章 米ロの外相会議、欧州でも緊急会合

 15日、米ロ外相の間で、新たな動きがあった。米国のルビオ国務長官が、ロシアのラブロフ外相と電話会談した際、首脳会談への準備に着手することで合意に達した。

 ロシア軍のウクライナ侵攻は、欧州の安全保障や経済を大きく脅かした。3日渡る会議において、アメリカの自国主義的な発想から、欧州との間に溝が深まった。2日目に舞台にたった米国のウクライナ特使を担当するケロッグ氏は、停戦へのプロセスについて触れた。現在の戦闘を停止させたうえで、ロシア軍に支配地域を譲渡する必要性を説いた。停戦交渉について、ヨーロッパの国々の参加は想定していない、と語った。

 詳細 写真掲載元 ケロッグ大使について NHK NEWS WEB 2025年2月16日付 10時17分付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250216/k10014723991000.html
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戦闘はいまなお続く。ウクライナ軍関係者は2月16日、ロシア軍がドンバス地域を中心に攻撃を激化させたと報告した。軍の報告書によると、15日時点において、直近24時間でロシアとの戦闘が261回に上った。14日以前に報告されていた1日当たり約100回を大幅に上回る数値である。ロシア軍は15日、ポクロフスク北東のベレジフカ村を占領したと発表した。停戦に向けて、ロシア軍は一段と攻撃力を強化している。

詳細 ドンバス地域の戦闘 Reuters 2025年2月17日午前9時32分
https://jp.reuters.com/world/ukraine/335FA6TVKROJXDTUPCE7YOFWJI-2025-02-17/

米CNNは、18日から米ロ高官が、サウジアラビアで協議すると報じた。米国側からルビオ国務長官、中東担当のウィトコフ特使、ウォルツ大統領補佐官が参加する。一方で平行協議としてウクライナのキーウには、ケロッグ特使を派遣する。

 サウジアラビアのリヤドで18日に4時間30分に渡った会議にて、双方の間で関係修復を心がけた。ロシアのウシャコフ報道官は、米ロ首脳会談の実現性については、具体的な日程を示すのは難しいと、地元メディアに語った。一方、アメリカのFOXニュースは、停戦に向けて、3つの段階について話し合ったと報じた。ロシアが挙げたのは「停戦の実施」「ウクライナでの大統領選挙の実施」「最終合意の調印」である。ウクライナは厳戒令により、2024年に実施するはずの大統領選挙を延期している。プーチン大統領は、2024年以降に関しては少なくともゼレンスキー氏を正当な大統領と容認していない。FOXニュースによると、米ロ高官会議の情報を入手した外交筋の話として、支持率が低いゼレンスキー氏は大統領選挙を行えば、2期目の確立は限りなく低いとのことだった。トランプ氏によると、ゼレンスキー氏の支持率は4%程度だという。

 詳細 3つの段階について 毎日新聞 2025年2月19日11時15分付け
https://mainichi.jp/articles/20250219/k00/00m/030/064000c

 写真=ラブロフ外相(左側)とルビオ国務長官(右側)18日リヤドにて 出展:AFP
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一方、ミュンヘン国際会議で、ウクライナ復興に向けて米国との間で不和が生じたEU諸国は、連携する方向を確認する。フランスのマクロン大統領は17日に、同国の首都パリにて緊急首脳会議を開いた。英国のスターマー首相、ドイツのショルツ首相、ポーランドのトゥスク首相、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長、イタリアのメローニ首相、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員会委員長、コスタ欧州理事会議長(大統領)が出席した。戦後ウクライナに平和維持部隊の派遣について、英国のスターマー首相は賛成していた。他の首脳は反対意見を表明している。ウクライナ支援において、共通した方向は見出せなかった。トランプ氏の動向を伺いながら、協議することになる。

詳細 欧州の緊急首脳会合 Reuters 2025年2月17日 午前7時22分付
https://jp.reuters.com/world/ukraine/RYKQWU56LRNPLEANXB3E2DQB6I-2025-02-16/

2020年に突如始まったコロナ・パンデミックを乗り越えた世界は、2022年以降ロシア軍によるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機に見舞われた。長らく物価が安定していた日本でもインフレが起きている。世界情勢を左右した戦争をいかに終らせるのか、今仲介役に名乗りを上げたトランプ大統領の動向に視線が注がれている。


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