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2024年02月27日10:28

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2024年ウクライナ軍とロシア軍の戦い(2) 軍事侵攻から丁度2年(後編)日本で復興会議開催 総司令官交代 ナワリヌイ氏の不審死 国連改革を求める声 中国経済 

今回は軍事衝突から2年を迎えたウクライナ軍とロシア軍の戦いの後編である。ウクライナのゼレンスキー大統領は、2024年2月25日に、自軍の戦死者の数を3万1000人と明らかにした。一方でロシア軍の戦死者についても触れ、18万人と述べた。今回は戦況の鍵を握る中国の経済事情についても探っていく。

 前編 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987040271&owner_id=32437106

 2023年5月のバフムトでの攻防 カホフカダムの大洪水について
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985271655&owner_id=32437106



   第1章 総司令官交代劇!

 ゼレンスキー大統領は、アゾフ連隊を中心に、自国兵士を取り戻すことは、大統領自らに与えられた最低限の役割と認識している。2023年秋から欧米を歴訪して、支援を訴えるものの、思い描いたとおりの成果を上げられず、苛立ちを募らせていた。戦況を変えるには、軍指導部の人事を一新するしかない。100人規模の捕虜交換が行われた2月8日、ゼレンスキー大統領は、国民的人気が高いザルジニー総司令官を更迭した。代わりに、陸軍のオレクサンドル・シルスキー司令官を充てる。

 詳細 ザルジニー氏更迭について REUTERS 2024年2月9日付 https://jp.reuters.com/world/ukraine/DWNY6MX32FPXPACQLVKTVYXVXU-2024-02-08/

 またゼレンスキー大統領は、ザルジニー氏について、引き続き軍部にとどまるように要請した。ザルジニー氏は、大統領の考えに一定の理解を示し、以下の内容の声明を出した。

「(ロシアによる全面侵攻が始まった)2022年の課題と24年の課題は異なる」とし、「勝利するために、誰もが新しい現実にも適応しなければならない」

 ザルジニー氏は、兵士の命を優先して、リスク回避の方向に動いていた。囚人まで兵士に勧誘して、捨て駒として前線に立たせるロシアの戦略とは一線を画す。

 2023年6月に、ザポリージャ州とドネツク州を中心に反転攻勢を開始した。ザポリージャ州では、6月22日に第一防衛ラインを突破したものの、要衝トクマクの攻略に行き詰まり、成果を上げられず、膠着した展開に変わった。2023年秋以降は、長距離ミサイルを駆使しする安全策に出ている。反抗難渋の最大の要因は、アメリカの支援が滞っていることにある。ガザでの軍事作戦を続けるイスラエル軍に対する対応に追われ、ウクライナ軍へ予算を回せなくなった。兵力や弾薬が不足しているウクライナ軍は、ロシア軍の支配地域との境界線を要塞化して、防衛に力を入れる方法がベストだ。兵士の命優先から国土防衛を主張するザルジニー氏と、領土奪還を掲げるゼレンスキー大統領の意見が食い違った可能性が高い。2023年末から、総司令官の解任論がささやかれていた。

 写真中央=シルフスキー司令官 2023年3月8日バフムト訪問時、テレグラムに投稿
https://www.cnn.co.jp/world/35201063.html
フォト

 西欧の軍事作戦を参考にするザルジニーとは対照的にシルスキー司令官は、旧ソ連で軍事教育を受けた人物である。1965年にロシアのウラジミール地方で産まれ、1980年に同じソ連内だったウクライナ社会主義共和国内へと移住した。モスクワ士官学校に進学し、現在では敵国となったロシアの軍人とも共に学んだ間柄である。2014年のクリミア政変時、ウクライナ人の一員として、ロシアの武装集団と戦った。2022年2月24日のロシア軍により侵攻を受けると、首都キーウ防衛のために戦略を練った。マカリウやブチャなど、侵攻開始当初占領されたものの、ほぼ1ヶ月で奪還している。キーウ防衛に成功したことを評価され、2等ボフダーン・フメリニツキー勲章を授与された。2022年の秋に、南部地域の攻防戦でも指揮をとり、へルソン州の州都ヘルソン市奪還の功績を挙げた。積極的に兵士を動かす手法は、旧ソ連式である。一方で、ゼレンスキー大統領と同じく、兵士より領土優先な考えは大きな犠牲を払うことになる。2022年秋から激戦が始まり、2023年5月に陥落したドネツク州の要衝バフムトの戦いでは、前線の兵士を激励した。ロシアの猛攻にさらされ、犠牲が増える中でも、徹底抗戦するように命令したのである。当時の陸軍司令官シルスキー氏の報告を受けて、陸海空軍を総括する総司令官のザルジニー氏は、2023年3月24日時に「バフムトでの戦況は安定している」と結論付けた。

 詳細 バフムトでの攻防 2023年3月25日付け https://www.bbc.com/japanese/65072390

 当時バフムトでは、ロシアの民間軍事会社ワグネルが活動していた。バフムトの中心部はプリコジン率いるワグネルが占拠たままだった。ウクライナ軍は、周辺の村落を奪い返し、プリコジン率いるワグネルと対峙する戦略だった。戦いによる、兵力の消耗は大きく、バフムト攻略は厳しかった。ワグネルは、2023年5月に、ロシア正規軍に引き渡すべく、撤退を宣言した。

 ウクライナ兵士の犠牲が大きかったことを踏まえ、新たに総司令官に就任したシルスキー氏は、作戦の見直しを迫られる。2月8日に就任すると、13日に東部前線の現場を視察した。兵員や砲弾の数から、ロシア軍に劣っていることを実感し、戦略を変更するとみられている。就任早々一つ目の成果を上げた。2月14日に黒海を航行する揚陸艦を撃墜した。黒海周辺では、2022年4月25日の、戦艦モスクワの撃墜以来の成果である。

 一方、2月17日、シルスキー総司令官は、重大な決断をした。昨2023年秋から激しい攻防が続いていたドネツク州アウディーイウカから撤退すると発表した。原因は兵力と共に弾薬不足により、戦いを継続することが難しいことにある。ロシアの砲弾は1日1万発、対してウクライナは1日2000発とみられている。

 ロシアのプーチン大統領は2月20日に、ショイグ国防省と面会し、アウデーウカを制圧したとの報告を受けた。プーチン大統領は、ドネツク州全域制覇を目指して、攻勢を強めるように命じたという。弱った敵を徹底的に叩く。もはやプーチンの暴挙はとめられなくなっている。

 第2章 民主主義を守る代償、西欧諸国

 西欧諸国は、民主主義国ウクライナを支援することにより、自国の安全保障に繋がると、積極的に支援した。短期的にみると、戦争が勃発することにより、食物やエネルギーの輸送が滞り、物資不足からくるインフレに見舞われる。エネルギーを輸入に頼る西側諸国は、ロシアに経済制裁を下すことによる、犠牲が大きかった。

 ロシア軍とウクライナ軍の戦況の行方は、外的要因に左右されやすい。戦況は今大きくロシア軍に傾いている。
 

 ロシア軍によるウクライナ振興から間もなく2年、対外関係も大きく揺れている。

日本では、ウクライナへ連帯を示すべく、19日(月)に首都東京にて復興推進会議を開いた。既に1月7日に、上川大臣がキーウ訪問中に、会議の内容について明らかにしている。ウクライナの政府を代表して、シュミハリ首相が招待された。両国政府間や企業を含め、300人余りが出席する。企業では、日本側から80社、ウクライナ側から50社に上った。

 以下 日経新聞 2024年2月19日付
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA182D20Y4A210C2000000/

写真=岸田文雄首相とシュミハリ首相 出展:首相官邸より
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202402/19ukraine.html
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双方の政府と企業の間で個別の協力分野を記した56本の覚書に署名した。農業分野でクボタやヤンマー、インフラ分野は住友商事や川崎重工業などが参画する。
より実行力を持たせるため、両国間で租税条約を結んだ。企業の進出を後押しするため、配当や利子、使用料といった投資所得への税率を米欧並みに下げる。岸田首相はウクライナへの日本の民間投資を促す具体策を説明した。
会議を共済する団体の一つ、独立行政法人ジェトロは首都キーウ(キエフ)に事務所を設置する。日本貿易保険(NEXI)は、新たにクレジットライン(融資枠)を設けることも明らかにした。ウクライナ企業関係者の来日を容易にするため、商用ビザ(査証)の発給要件を緩和する。
外務省は19日、復興推進会議にあわせてウクライナへの渡航情報の一部緩和を発表した。復旧・復興に携わる団体について、キーウ訪問を認めたのである。6月に、EU諸国を中心に、国際的なウクライナ復興会議が、ドイツで行われる予定である。


 ヨーロッパでは、軍事衝突を避けるべく、2月16日から18日の3日間に渡る日程で、ドイツにてミュンヘン安全保障会議が行われた

 2月17日に、ウクライナを代表してクレバ外相が、中国共産党の王毅外相と直接会談したことが明らかになった。中国外務省によると、(ロシア軍とウクライナ軍の戦いについて)対話による政治的解決を推し進めると、声明を発表した。クレバ氏はX(旧ツイッター)への投稿で「二国間関係や貿易、ウクライナにおける公正で永続的な和平回復の必要性について話し合った」と述べ、「あらゆるレベルでウクライナと中国のやり取りを継続し、対話を維持する必要性で合意した」と説明した。

 詳細 ミュンヘン安全保障会議の中国とウクライナの外相会談の模様
 2024年2月19日 REUTERS https://jp.reuters.com/world/ukraine/4TYJFGDXXJLSRKCWZROUUGHCUI-2024-02-18/

写真=クレヴァ外相と王毅外相 (ミュンヘン=新華社記者/任鵬飛)
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 第3章 ナワリヌイ氏の突然死

西欧諸国への軍事支援が先細りする中、ロシアの治安問題を左右する出来事が起こった。反プーチン体制の急先鋒に立っていた野党の指導者ナワリヌイ氏が、2月16日に北極圏の刑務所で死亡したと、ロシア当局が発表した。報告によれば、刑務所の敷地内で散歩している最中、ナワリヌイ氏は、気分が悪いと訴えたという。直後に意識を失い、帰らぬ人となった。享年47歳。

 反体制派のシンボルとなったナワリヌイ氏の死亡が報じられると、ロシア国内でも動揺が広がった。急遽2月17日には、サンクトペテルブルクで、政権による弾圧の被害者を祀った記念碑の前に、人々が集り、黙祷をささげた。人権団体「OVDインフォ」によると400人以上が、無許可での集会に参加したとして、警察から拘束されたという。ロシア・サンクトペテルブルクの裁判所は、速やかに拘束者に対する処遇を決定する。逮捕・拘束された154人に対し、無許可集会を禁じる法律に違反したとして、最長14日の実刑判決を言い渡した。17、18両日に公表された文書で明らかになった。

 詳細 JlJl.co, 2024年2月19日付 https://www.jiji.com/jc/article?k=20240219045596a&g=afp

 ナワリヌイ氏の死を悼む声は、西欧諸国の間でも根強い。2月19日にイタリアの首都ローマにて、ナワリヌイ氏の顔写真特大パネルを前に、市民や議員が集い、トーチを掲げ、プーチン大統領へ抗議の声をあげた。

 ロシアの法律では、政権基盤を強固なものにするべく、言論弾圧の一環として、無許可での集会は、堅く禁じられている。法に則して、申請して、認められると良い事になる。

独系メディアによると、中道右派政党「市民イニシアチブ」が2月19日、アレクセイ・ナワリヌイ氏を追悼する5万人規模のデモ計画をモスクワ市に申請したと報じた。計画書によると、実施日は3月2日、2015年にモスクワ中心部で射殺された野党指導者のボリス・ネムツォフ氏も追悼する。ロシア大統領選挙戦を控える事情、モスクワ市は却下する可能性が高い。書類の不備で大統領選への出馬資格を剥奪されたリベラル系の女性ジャーナリストであるエカテリーナ・ドゥンツォワ氏も名を連ねた。市民イニシアチブの会員から、ボリス・ナジェージュジン氏が大統領選への出馬を目指して、中央選挙管理委員会に申請書を提出した。2024年2月に、書類不備を理由に候補者登録を認めなかった。民主主義の原則に反して、対抗馬を押し潰すプーチン大統領への抗議の意思は明確だ。大統領選挙は3月15日に当開票が始まり、17日には結果が出る見通しである。当のプーチン大統領は、ナワリヌイ氏について、存命中から口にしたことはない。選挙戦を前に、反対勢力の象徴となるナワリヌイ氏を消すことにより、事態の沈静化を図る狙いも透けて見える。

 朝日デジタル 2024年2月20日付け https://www.asahi.com/articles/ASS2N21JCS2NUHBI002.html

 ナワリヌイ氏の不審死を巡り、ウクライナへの特別軍事作戦を続けるプーチン政権に対する国民の反感が強まる可能性も否定できない。権力基盤を磐石なものにするうえでは、情報統制を敷くこと、また経済状況を良くすること、もう一つは軍事作戦の戦果を上げることにある。軍事作戦の成功を示すべく、2月17日のドネツク州アウデーフカの制圧は、大きな一歩だった。

 第4章 中ロの蜜月ぶり

ロシアは、ウクライナへの軍事侵攻以来、西欧とは断行状態に陥った。侵攻以来欧米から課せられた経済制裁は上手く交わしている。中国やイラン、インドを含め、資源国と外交関係を続け、輸送網を構築した。2023年、ロシアと中国の貿易総額は、過去最高の約2400億ドル(約35兆円)に達した。ロシア国内から欧米企業が撤退する中、国境を接する中国企業は、新たに活路を見出し、盛んに自社商品を売り込んだ。新型コロナによる入国規制の撤廃も、両国間の交流を後押しする。2023年9月に、中国の黒河とロシアのブラコベシチェンスクの間では、国境が開放され、ビザなしで行き来できるようになった。ゼロコロナ政策により、疲弊していた観光業界の業績回復を後押しした。

 写真 掲載元 読売ONLINE 2024年2月2日付 https://www.yomiuri.co.jp/world/20240202-OYT1T50151/
フォトフォト

 中国東北部の遼寧省瀋陽では2024年1月、両国間の経済推進に向けて、協定が結ばれた。中露の合同商談会にて、インフラ建設などで総額136億元(約2720億円)の事業契約が結ばれた。2024年1月末には瀋陽とモスクワを結ぶ航空便が就航する。2023年12月、周近平国家主席とロシアのミハイル・ミシュスチン首相との間で交わされた経済合同推進条約の一環として、急ピッチで進めた。

 中国は、第二次世界大戦以来共産党独裁体制で、ロシアと同じく、民主主義を否定し、反対勢力をことごとく排除した。情報統制を敷き、経済成長を遂げることにより、一党独裁体制を国民に認めてもらう。ロシアよりも、中国は情報を上手くコントロールしていた。海外から都合が悪い情報を遮断する。時には国営メディアを使って、共産党の主張に沿うようなニュースを流す。少数民族への処遇を巡り、欧米から非難の声が高まると、フェイクだと報じる。経済成長を遂げ、都市部を中心に豊かになると、国内で多数派の漢民族の間では、少数民族の行方に耳を傾けなくなる。現にウイグル人に関しては、周近平国家主席が、自治区の州都ウルムチを訪問した2014年4月30日に、テロ事件を起こしていた。中国公安当局が同年5月18日に、東トルキスタンイスラム運動に関わっているとの見解を発表していた。4日前の5月14日には、7名の容疑者が拘束されている。漢民族は、暮らしがよくなれば、中国共産党の政策を支持し、他民族への取り締まりについて、正当な行為と認識するようになる。
自国の歴史に興味を持つ国民の関心ごとの一つは、1989年に共産党体制が一気に倒れた東欧革命にある。中国も無縁ではなかった。同年6月4日に、北京の天安門広場で民主化を訴えた若者を中心としたデモ隊を、軍隊が武力で抑え込んだ。中国当局は、一連の天安門事件での死者数を319名と公表しているものの、他国メディアは過小に見積もっているとの見解を示している。2022年2月1日に、天安門事件について、周近平主席が、党理論誌「求是」の中で触れた。「国家の生死存亡をかけて勝利した」と当時の��小平指導部の対応を評価した。また社会主義体制がドミノ式に倒れた東欧諸国を念頭に入れ、「(中国共産党が倒れていたと過程して)中華民族の復興プロセスは確実に遅れていた」との認識を示した。

 詳細 朝日新聞デジタル 2022年1月2日付 https://www.asahi.com/articles/ASQ126KMYQ12UHBI00S.html

 天安門事件について、周近平主席の口から直接語られることはない。自国経済も今かげりが見え始めている。中国不動産市場では、大手「恒大グループ」が2023年8月18日に米連邦破産法の申請手続きをした。続く9月には、もう一つの大手、融創中国は2023年9月19日に、破産申請の手続きに入ったと、ロイター通信が報じた。負債総額は6月末時点で1兆元(約20兆円)に上っており、再建への道のりは遠い。

 詳細 2023年9月19日付 朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR9M6J9SR9MULFA03B.html

中国の不動産市場の低迷は、30年前の日本のバブル崩壊時を彷彿とさせる。同2023年9月に、ロシアとの経済協定を急ピッチで進める背景には、表向きに経済が停滞していないことを、国民に錯覚させることにある。一人っ子政策の弊害により、日本の後を追うように高齢化率も上昇の一途を辿った。2022年に人口14億人を突破したものの、65歳以上の高齢者は2億978万人と人口全体の14.9%に達した。学歴社会であるがゆえに、子供の教育には手間がかかる。子育て資金が圧迫する事情から、国民の間でも家庭を持つことを負担に感じるようになった。14億人の国民と長期的に向き合うためには、新たな政策が問われている。ロシアと中国は、西欧諸国から「権威主義体制」または「独裁体制」と非難の的になった。共に欧米に対抗して、中央アジアを中心に9カ国が加わる上海協力機構(SCO)と呼ばれる緩やかな国家連合を作り上げる。表向きには両国は中むつまじい関係に移る。中国共産党が、トンネル会社を作り、ひそかにロシア軍へ武器供与している可能性も否定できない。周近平の魂胆では、ロシアがウクライナ侵攻で疲弊すれば、恩恵を受けられる。なぜなら、単独のリーダーとして、中央アジアの国々に影響力を持つことができるからである。ロシアと中国は、微妙な距離感での付き合いを続けていく。
 
第5章 ナワリヌイ氏の暗殺説を検証する。

さてロシアの反体制派の急先鋒だったナワリヌイ氏の死亡の経緯について、政権の陰謀論が欧米各メディアで検証されている。ロシア当局は「突然死症候群」と断定して、真相の究明に応じていない。ナワリヌイ氏の母親と弁護士が、刑務所に到着する前に、遺体を運びだしたという。独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は、現地からの報告を元に、情報発信している。2月18日、遺体は極北ヤマロ・ネネツ自治管区中心都市の病院まで運ばれた。救急隊関係者の証言によると、遺体から複数のあざが見つかった。痣の状態から痙攣した体を押さえつけた時や心臓マッサージした際にも出現するという。心肺停止との因果関係は不明だとした。

 詳細 ナワリヌイ氏の遺体について TBS NEWS DIG 2024年2月19日付 

救急関係者が受刑者から聞き取ったところ、死亡前日の2月15日に騒動があったという。刑務官が、一段と警備体制を強化し、関係車両が敷地内に入ってきた。一夜明けて、16日午前中、受刑者の間でも死亡したとの噂が広まった。

 欧米各国は、プーチン大統領が影で絡んでいると非難した。イギリス外務省は2月21日付けで、刑務所の所長や副所長を含めて、幹部6人を制裁対象に加えた。資産を凍結し、入国禁止措置を下したのである。過去にもナワリヌイ氏は、健康が悪化したことが伝えられたものの、満足な治療を受けられていないと、訴えていた。一説によると、マイナス32度の中、野外へ歩かされたという。ロシアの人権団体グラグ・ネットを設立したウラジーミル・オセチキン氏は、遺体の胸にある傷から、体が凍えて血流が悪くなったナワリヌイ氏を、何者かが打撃を加えたと見方を示した。旧ソ連の秘密警察KGBでは、証拠を残さず、簡単に処罰するうえで、常套手段と化していたという。刑務所の関係者から聞き取り捜査した際、死亡する直前までマイナス27度の環境で放置されたことから、凍死を黙認していた可能性がある。

詳細 刑務所の幹部への制裁https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000338037.html

詳細 chosun online 2024年2月22日付 
https://www.chosunonline.com/m/svc/article.amp.html?contid=2024022280006

  ナワリヌイ氏の身内も黙っていない。妻ユリア氏は、民主主義を原則とするEUに保護を求めた。2月19日のブリュッセルでの外相理事会に出席し、反体制運動を行うと誓った。

 写真=外相理事会に出席したユリア氏(左側) 右側はボレルEU外相=ロイター通信
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22日には、米ワシントンのホワイトハウスに、ユリア氏は、娘のダイアさんと共に、バイデン大統領との面会に望んだ。プーチン政権へ抵抗を示したナワリヌイ氏に敬意を表したうえで、ロシアに対して追加の経済制裁を発動すると明言した。バイデン氏は、面会後に記者団の前に現れた。「彼(ナワリヌイ氏)は信じられないほどの勇気の持ち主であり、彼の妻と娘がそれを受け継いでいるのはすばらしいことだ」と賞賛した。

後にナワリヌイ氏の支援団体は、ドイツで拘束されたロシア人の囚人との交換条件で解放される手はずを整えていたことを明らかにした。釈放後に秘密を暴露されることを恐れて、政権側が口封じのために、手を打った可能性もある。身柄がロシア側にある以上、第3国は立ち入り捜査はできない。プーチン政権によって、真相は闇に葬られようとしている。

 2月21日、時を同じくして、ブラジルではG20の会合が開幕した。ロシア軍によるウクライナ侵攻と共に、ガザ情勢が議題に上った。日本から出席した上川陽子外務大臣は、ロシア軍によるウクライナ侵攻を「暴挙」と非難した。ロシア側からラブロフ外相がテーブルについていた。2日目の22日には、各国の代表が、国連安保理改革の必要性を訴えた。議長国のブラジルのビエイラ外相は、パレスチナ情勢について、2国共存を支持する立場を明確にした。国連安保理の機能不全を念頭に、改革の必要性について賛成した。世界各地の紛争を懸念して、安保理決議を行う際、憲章第27条に伴い、常任理事国(中国、フランス、ロシア連邦、イギリス、アメリカ)の5カ国のうち1カ国でも拒否権を発動すれば、否決される。現に戦争当地国のロシアが常任理事国である以上、ウクライナへの軍事侵攻に対して、国連は介入できないのである。国連の原点に立ち返ると、第二次大戦にある。特定の民族に対する差別や偏見を含め、多くの人々が紛争で命を落としたことを踏まえ、国際協調の必要性から、発足した。1945年10月24日に、機関が立ち上がって以降、国連憲章の一つ「国際の平和と安全の維持」を実現できていない。

 写真=G20の議長を務めたビエイラ外相 2月21日の記者会見にて:AFP通信より
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一方、ガザ紛争の停戦を盛り込んだ決議に際しても、イスラエルの肩を持つアメリカが、拒否することにより、国連の力が無力化してしまう。発足から78年4ヶ月を前に、改めて機能性が問われている。

 2月23日、ロシア軍による侵攻から2年を前に、国連総会が開かれた。紛争に焦点を絞った安保理とは対照的に、総会はエネルギーや感染症を含め、幅広い分野を議論する。ウクライナからクレバ外相が出席した。演説の場で「国土と自由を譲り渡すような真似はしない」と決意を語った。罪のない民間人を守るべく、協力を呼びかけた。会合に先立ち、日米52カ国は、ロシアの軍事侵攻を非難する声明を出した。国連加盟国の間では、ロシアの軍事侵攻は、侵略行為とみなしている。侵攻1年目の2022年3月2日の安保理において、ロシア軍の軍事作戦を糾弾する内容を盛り込んだ案が、賛成141カ国、反対5カ国の結果より、採択された。今回クレバ外相は、決議案の提出を諦め、市民の命や生活が奪われる窮状を訴え、粘り強く支援を求める方向に舵を切った。再提出すれば、決議案が採択されることは分かっている。可決されたからとはいえ、ロシアの軍事侵攻をとめてくれるわけではない。ウクライナの苦しい現状は続いている。


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