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2024年08月13日21:43

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パリ・オリンピック企画最終10回 男子・サッカー 決勝 スペイン 対 フランス戦 レポート

日本時間8月9日25時、スペイン 対 フランス戦が、首都パリにあるパルク・デ・フランスでキックオフする。過去のオリンピックにおいて、スペインは自国開催の1992年に行われたバルセロナ大会で金メダルを獲得したものの、西暦2000年のシドニー大会、2021年の東京大会では決勝戦で敗れた。一方フランスは、金メダルに輝いた1984年のロサンゼルス(アメリカ)大会以来、40年ぶりの決勝戦である。

 写真 日刊スポーツ2024年8月10日4時28分 https://www.nikkansports.com/olympic/paris2024/soccer/news/202408100000250.html
写真 スポーツナビ https://sports.yahoo.co.jp/paris2024/olympic/text/FBLMTEAM11------------FNL-000100--

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       第1章 激しくスコアが動く前半戦

 右エンドにスペイン、左エンドにフランスが入り、スペインボールで始まった。一点が勝負を分ける決勝戦、ホームのフランスが立ち上がりから攻勢をかける。左サイドに張った2トップの1角1998年生まれのマテタが、対面の右サイドバックを努めるプビルを前にして、突破を図る。プビルは体をぶつけてスピードを殺し、ボールを奪取した。8分には、マテタが敵のエリア内にボールを持ち込んだ際、センターバックのクバルシが体を預けて、左足でクリアした。ゲームを優勢に進めるフランスは10分、右サイドのスローイングポジションにオリスが付く。ミリオットが近づきながらボールを要求する。オリスはミリオットに向ってボールを投げた。ミリオットは右足で落とす。オリスは、ゴールライン際からクロスを送った。後ろを向きながら右足を伸ばしたミランダに当たって、球が不規則に回転した。スペイン側は、ボランチのバエナが胸でトラップした際、ラカゼットのチャージを受けて、左足でミスキックを犯した。転がったボールを、助走をつけながらミリオットが、左足のインサイドで直接シュートを打った。左方向に体を傾けたGKアルナウ・テナスは、両拳でクリアを試みながら、球の勢いに勝てず、真後ろに弾いた。ボールはゴールネットに吸い込まれた。1対0.フランスが先取点を奪った。バエナに対して、ラカゼットがファウルをせずに、体をぶつけて、ミスキックを誘った結果、ゴールに繋がった。

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先取点を挙げたミリオットは、転がったボールに対して、きっちり左足のインサイドで抑えの利いたシュートを放った結果、枠内に飛ばした。フランスのアンリ監督とスペインのデニア監督は、互いにテクニカルエリア内で横に並ぶように戦況を見つめている。デニア監督は、選手時代の1996年にアトランタ五輪を経験した際、チームは1次リーグ敗退を喫した。対してアンリ監督は、選手として五輪の出場暦はないものの、Wカップには1998年のフランス大会から2010年の南アフリカ大会まで、4大会連続4度の出場暦を持つ。
スペインは、立ち上がりにフェルミン・ロペスが相手との接触プレーで倒れて以降、運動量が低下していた。フランスは、攻撃の壷が嵌り、前からプレスをかけて追い込んでいる。

 リードを許しても慌てずにパスを繋ぐスペインは17分、右のタッチライン際でプビルが、斜め後ろのセルジオ・ゴメスにパスを出す。セルジオ・ゴメスは、オープンスペースでボールを要求した左斜め前のバエナに繋いだ。バエナは、左足でボールタッチすると、振り向き様に右足で、エリア内のフェルミン・ロペスにボールを送る。ペナルティーキックポジションの後ろ側で、フェルミン・ロペスは、右足で振り向き様に、ネット左に向って、ボールを転がした。キッカーから見て右に体が傾いていたGKレステスは、瞬時に反対方向に右手を伸ばしたものの、全くボールに届かなかった。1対1。チームのファーストシュートで同点ゴールを挙げた。フェルミン・ロペスは、自身の持ち味であるスペースへの飛び出しが速く、右足の一振りできわどいコースにゴールを決めた。彼自身は、大会3試合連続5得点目である。

 試合を振出にされたフランスは20分、右サイドからのコーナーキックポジションにオリスが付き、ゴール前のマテタにピンポイントでクロスを送った。エリック・ガルシアを振り切り、右方向に体を回り込みながら、マテタはダイビングヘッドで合わせた。やや落ちていくボールを、アルナウ・テナスは、腰を落しながら抱え込んだ。

 同点に持ち込んだスペインは24分に逆転ゴールを奪う。ハーフウェー・ライン上でセンターバックの1枚クバルシが出したボールを、サイドバックのミランダが受ける。ミランダは、対応するコネのプレッシャーを受ける前に、左足でクロスを送った。ゴール前に流れていくボールを、トップのアベル・ルイスが、右足を曲げながら合わせた。跳ね上がったボールを、GKレステスは、一度左手に当てたものの、すぐ左横に弾いた。体を投げ出してセカンドボールのキャッチングを試みる。即座に反応したフェルミン・ロペスが、左足でゴールに向って蹴り込んだ。力強くボールはネットを揺らした。2対1.

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 アベル・ルイスのシュートを阻んだレステスは、球筋を正確に確認できず、小刻みにジャンプしながら、左手に当てる程度にとどまった。球のスピードが落ちている分、正確に確認すれば、キャッチングの選択が視野に入っていた。ゴールを決めたフェルミン・ロペスは、キーパーがリバウンドを出すことを予測し、アベル・ルイスのすぐ横にポジションをとっていた。彼の天性のゴール感覚により、あっという間に逆転に持っていった。

 続いてスペインは27分、エリアすぐ外の中央より左側でFKを得た。バエナが一人ポジションに着き、助走をつけながら右足を振りぬいた。壁の上をカーブしながら、鋭く内側へ落ちていく。GKレステスは、全く動けず、鮮やかに左ネット隅を揺らした。3対1.バエナが蹴るボールは、威力と共にスピードもある分、レステスは手が出せなかったのである。

写真=バエナのFK Youtube https://www.youtube.com/watch?v=NOf0cBRT7sU
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アンリ監督の表情は険しさを増す。一方スペインのデニア監督の表情は変わらず、ピッチに視線を注いでいる。一気にギアが上がったスペインだが、ゲーム開始当初はフランスの畳み掛けるようなプレスにより、後手に回っていた。ゲームは俄然激しさを増す。スペインは、両サイドバック(右プビル、左ミランダ)が高い位置を保ち、クロスの供給源になる。フランスは、試合をひっくり返された焦りから、ファウルが多くなる。36分に、スペインの左サイドを勤めるオロスが、右へ回り込みながらドリブルした際、対応が遅れたボランチのコネは、つい服を引っ張って、倒した。主審は、迷わずイエローカードを出した。

 40分、スペインはエリアすぐ外で左サイドバックのミランダが、右斜め後ろのオロスにボールを預ける。オロスはミリオットをひきつけ、シルディラと競争するミランダに左足でスルーパスを出す。ミランダは、シルディラをブロックしながら、左足でシュートを打つ。インコースをカヴァーしたGKレステスが、左足を伸ばしてセーブする。浮き上がった球を、エリアすぐ外でラカゼットがトラップする。バエナに一端奪われたものの、体をぶつけて、取り返した。ラカゼットはキープ力を発揮し、バエナに押し倒されながら、左横でサポートしたコネに繋ぐ。コネはドリブルで駆け上がり、ハーフウェー・ラインの手前の左サイドまで下がったマテタにパスした。カウンターを阻止するべく、センターバックのエリック・ガルシアがタックルを入れる。マテタの足ではなく、ボールにスライディングしたことにより、タッチラインの外へ出し、味方が戻る時間を与えた。懐が深いエリック・ガルシアのタックルを受けて、マテタは倒れ込んだ。エリック・ガルシアが、間一発でボールを外に出したことにより、カウンターによるピンチを逃れた。一歩でも対応が遅く、足を引っ掛けてファウルをとられれば、イエローカードを受けていた。2001年生まれのエリック・ガルシアと、オーバーエイジ枠で出場している左サイドバックのミランダが、前回の東京オリンピックを経験済みだった。

 ロスタイム7分と表示され、スペインは守備がために入る。フランスは、ボールを保持しながらスペースさがした。46分、エリアすぐ外でコネが、左斜め前のトルフェルトにパスをする。トルフェルトは、左足でクロスを送る。プビルの足先に当たって、コースが若干内側に変わる。不規則に回転したボールを、腰を折りながら、マテタがヘッドで合わせた。どっしりと構えたGKアルナウ・テナスは、右手を瞬時に伸ばして、ボールを外にかきだした。マテタは、球の回転を見極め、頭で反らすことにより、キーパーのタイミングをずらそうとした。GKアルナウ・テナスは、最後まで動かずに、球を追い、瞬時に右手を伸ばして、辛うじてセーブした。

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前半はスペインが、3対1でフランスをリードして終えた。めまぐるしく展開が変わる中、スコアではスペインが、フランスを2点突き放す結果だった。スペインは、センターバック(エリック・ガルシア、クバルシ)をハーフウェー・ラインまで押し上げ、サイドバック(右プビル、左ミランダ)が高い位置を保つと、中央からサイドまで攻撃の幅が広がる。23歳ながら、EUROもWORLD CUPも経験済みのエリック・ガルシアは、カヴァーリングに長け、ファウルをせずに、対応する。一方クバルシは、国際経験が少ない分、やや安定感に欠けるものの、パスの供給役を担う。彼を基点に、2点目のフェルミン・ロペスのゴールが生まれた。フランスは、前半開始から15分、また後半40分以降に、ボール保持率が上がり、パスを繋ぎながら、スペースを探していた。守備に関しては、少ないタッチ数でパスを繋ぐスペインに対して、ボールの出所をつかめず、マークを見失う。ファウルの増加に比例して、相次ぐイエローカードにより、接触プレーではより慎重さが求められている。スペインの技術が、際立った前半だった。

        第2章 フランスペースの後半戦

後半、エンドが変わり、右にフランス、左にスペインが付いた。スペインボールで再開された。

 フランスは5分、シルディディラから、オリスへパスを繋ぐ。オリスが出した縦へのボールを、ラカゼットが受けて、バリオスを避けるように右方向へ反転しながらキープする。体をしっかりくっつけたクバルシが、左足でクリアした。ラカゼットは、右手を伸ばして、親指を立てた。彼は球際に強いものの、コントロールに若干ミスを犯した。アンリ監督は6分に、一気に2枚代えを決断した。ショータードとラカゼットを下げて、アクリオルチェとカルムエンドを投入した。一方スペインのデニア監督に動きはなかった。

 ボールポジェッションを高めるフランスは11分、左サイドからロルフェルトが上げたクロスボールを、コネがヘディングで合わせた。ジャンプしながらGKアルナウ・テナスは両手を伸ばす。ボールはクロスバーに弾かれて、ゴールラインを割った。

 引き続きフランスは、トルフェールが左サイドに張り、ドリブルを仕掛ける。対面の右サイドバックを努めるプビルが対応する。プビルは、躓きながら粘り強く、体をぶつける。トルフェールは、左の足先でボールを横にスライドさせた際、そのままゴールラインを割った。

写真=トリフェール
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プビルは、エリア内でのファウルを恐れ、ドリブルコースに立ちはだかり、肩を当てて、突破を阻んだ。トルフェールは、しつこいマークを受けて、ボールコントロールを誤り、クロスを上げることなく、スペインのゴールキックからのリスタートを許した。

 後半は、よりフランスが、ボールを支配する。スペインは、時に前線でクロスの供給源になる両サイドバック(右プビル、左、ミランダ)が、体を張って守備をした。最終ラインを綺麗に揃えることにより、相手をオフサイドポジションに置く。フランスは、スペインの術中には嵌らず、中盤からスペースを探す。センターバックのバデが、センターサークルの中でパスの供給源になる。21分、交代で入ったアクリオルシュが、同じく交代で入ったクムエンドに縦パスを送る。クムエンドは右足で落とす。アクリオルシュは、2トップの1角マテタを狙ってスルーパスを送る。エリック・ガルシアが、マテタに体をくっつける。マテタは右足でボールをしっかり蹴れず、左ネットに転がっていく。右に体を倒しながら、アルナウ・テナスが両手でボールを抱え込んだ。エリック・ガルシアは、腹部を蹴られて、うずくまったものの、すぐに立ちあがった。裏をとられそうになりながら、速やかに体を寄せたことにより、シュートミスを誘った。後半は一方的に押し込まれながらも、DFラインを割られていない。屈強なエリック・ガルシアによって、守備が安定した。

 26分、フランスは、ゴールから約25m中央やや右でコネが、クムエンドに縦パスを送って、前に走る。クムエンドのリターンパスを、コネが受けると、バエナと接触しながら、持ちこたえ、右足でシュートした。左ネットに向うボールを、瞬時に横飛びしたアルナウ・テナスが両手でセーブした。テナスは重心を低く保ち、球の勢いに負けることなく、はじき出したのである。フランスは、交代で入ったクムエンドがポストになり、ようやく狭いスペースからフィニッシュに成功した。

 スペインのデニア監督は28分に一気に2枚のカードを切った。今日2ゴールのフェルミン・ロペスの代わりに、ベルナベを、プビルの代わりにサンチェスを投入した。

 現地では小雨が振り出して、視界もややかすむようになった。30分に、スペインはGKアルナウ・テナスのゴールキックが、ミスになり、ゴールから約35m中央やや左のコネに拾われた。慌てて対応する途中出場のベルナベが強引にドリブルを阻止して、ファウルをとられた。主審は、ベルナベにカードを出す。32分にもスペインは、バエナが、右サイドから突破しようとしたオリスの足を引っ掛けて、イエローカードを貰った。キックポジションは、右斜め45度のほんの少し内側である。ファウルを受けたオリスがキッカーを努める。オリスは、助走をつけながら右足を振りぬいた。手前でアキリオルシュが、足に当てて角度を変える。急いでカヴァーに入ったミランダの股を抜けて、大きくバウンドしたボールは、左ネットに向う。GKアルナウ・テナスは、体を傾けたものの、ボールに手を伸ばせなかった。2対3.アシストしたオリスは、冷静な表情でゴールを見つめている。ベンチに下がったキャプテンのラカゼットは、早くセンターサークルにボールを運ぶように、ジャスチャーする。オリスの蹴るボールに、アキリオルシュは、ゴールを背にしながら、足に当てて、角度を変える。GKアルナウ・テナスも球の行方を正確に追えず、失点を喫した。


 場内は弥が上にも盛り上がり、手拍子が巻き起こった。華麗なパスワークと、サイドアタックを理想とするスペインのサッカーは鳴りを潜め、守備に人数を割き、カウンター一辺倒になる。41分、フランスは左サイドからのコーナーキックポジションにオリスがついた。オリスが左足でボールを蹴ると、エリア内でポジションどりの末、双方接触の末に倒れた。レフェリーはファウルをとらない。自陣のエリア外からスペインは、バリオスがドリブルで駆け上がっていく。左横からサポートするようにセルヒオ・ゴメスが走る。バリオスは、セルヒオ・ゴメスにパスした。エリアに入ったセルヒオ・ゴメスに対して、トリフェールが、右足を伸ばした。セルヒオ・ゴメスは、反対サイドを狙って左足でシュートを打った。GKレステスは横とびする。ボールはわずかにゴールポストの外を転がった。セルヒオ・ゴメスは頭を抱えた。

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シュートミスを誘ったのは、戻りながら守備したトリフェールだった。ボールに追いつくことを無理と悟り、ジャンプしながら、右足を伸ばして、セルヒオ・ゴメスの動揺を誘ったのである。トリフェールに気をとられた分、狙い通りのコースに決まらなかったのである。

 44分、フランスの左サイドからのコーナーキック時に、ペナルティーエリア内の接触プレーを巡って、VARが介入する。スペインのトリエンテスが、ポジションを奪い合った末に、フランスのクムエンドを押し倒したのである。VARの助言を受けて、主審は、自らの判断で、笛を吹き、両手で三角のマークを作ってアピールした。急いでメインスタンド側に設置されたヴィデオ映像の確認に向う。場内が騒がしくなる中、主審はVARが提示した映像をリプレー検証した。しばらくすると、場内へ判定理由について説明し、フランスのPKを告げた。抗議をしたスペインのミランダは、カードを受けた。47分、PKのキッカーはマテタである。エリアの手前から助走すると、右方向に動きかけたアルナウ・テナスを見て、右足で反対サイドにシュートした。きっちりと左ネットを揺らした。3対3。場内のボルテージは一気に上がり、マテタは、ガッツポーズする。キーパーのテナスは、力が入りすぎて、キッカーのマテタに動きを見極められた。

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スペインは消耗しながらも力を振り絞って攻めにいく。右サイドからカメージョがボールを貰って、エリアに入る。中央へかけてドリブルした際、フリーで待ち構えていたトリエンテスに横パスをする。トリエンテスは、やや左に流れていくボールに追いつき、体をやや傾けながら左足でシュートした。ライナー性のボールは、左ネットに飛び込む。横飛びしたGKレステスの右手の指先をかすめ、クロスバーに当たって、ゴールラインを越えていった。トリエンテスは頭を抱えた。フレッシュな交代出場の二人がフィニッシュに持っていったものの、ボール一個分以下の差でゴールを阻まれた。


後半は、一気にフランスペースで進み、スコアは3対3のイーブンで、延長戦に入った。前半から一転して防戦一方になったスペインは、体力の消耗が激しく、ファウルの数に比例して、イエローカードが続出した。90分で交代カード5枚を使い切ったものの、延長戦は新たに1枚使用できる。一方、アンリ監督は5枚のうち3枚を使い、残り2枚プラス延長戦の1枚をくわえ、3枚残る。後半は、アクリオルシュがポストプレーになり、クムエンドもスペースでボールを受けた。延長戦も俄然激しい展開が続くと予想される。

 第3章 息を吹き返したスペインのパスサッカー

右エンドにスペイン、左エンドにフランスが入り、フランスボールで延長前半が始まった。後半に反して、スペインはボールポジェッションが上がり、落ち着きを取り戻していた。7分に、スペインは、交代で入ったカメージェが、左サイドをドリブル突破し、アクリオルシュを難なく振り切る。エリアに入ったところで左ひざを曲げたバデに意図的にボールを当てて、コーナーキックをとった。フランス側は、ファウルを恐れて、カメージョに長い距離にわたる突破を許した。カメージョのドリブルがアクセントになるかのように、スペインは、パスを繋ぎながら、打開を図る。ゴールから約30m、中央やや右でセルヒオ・ゴメスが、左足でベルナベに縦パスを出す。ベルナベは、右足でトラップし、ターンすると、左足で、カメージョを狙い、スルーパスを送った。カメージョは、左足で前にボールを動かし、体を投げ出したGKレステスの動きを冷静に見極めて、右足のつま先でシュートを打った。浮き上がったボールが、落ちてくると、ネット中央を揺らした。4対3.スペインが勝ち越した。最後尾からGKアルナウ・テナスもガッツポーズする。アシストしたベルナベは、左足でタッチした際、体の向きを変えて、すぐ前でオフサイドラインを確認するカメージョの動きを予測して、絶妙のタイミングでパスを出した。カメージョは、完全にフリーになり、キーパーを交わすかのように、冷静に右足のつま先でボールを持ち上げ、ゴールを決めたのである。

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スペインは、後半戦に鳴りを潜めたパスサッカーの健在振りをアピールした。再度リードし、守備がために入る。フランスは延長前半13分に、ドゥーが、サンチェスを前にしながら、左サイドを突破し、クロスを送った。飛び込んでくるカリムエンドをカヴァーするように、エリック・ガルシアが、右方向にボールを蹴りだした。続く延長前半14分、左サイドでボールを受けたドゥーは、サンチェスを前にしながらカットインし、右足を振りぬいた。ワンバウンドしたボールを、腰を落としたアルナウ・テナスが抱え込んだ。ドゥーは、スピードとテクニックがあり、フレッシュな状態から投入されると、サイドから中央へ切り裂く効果がある。両チーム交代選手が試合の行方の鍵を握る。延長前半15分を終えて、エンドが代わり、後半15分を迎えた。左から右に攻めるスペインは、延長後半1分、セルヒオ・ゴメスが、ミドルレンジの中央右よりから、左足でミドルシュートを打った。ショートバウンドしたボールを、左に体を倒したGKレステスが両手で弾くと、ゴールラインを割った。セルヒオ・ゴメスは、セットプレーのキッカーとして、味方にピンポイントでクロスを送る。振り返ると、準々決勝の日本戦では、2点目のフェルミン・ロペスのゴールをアシストし、3点目のアベル・ルイスの得点に繋がるコーナーキックを蹴っていた。延長後半3分に、左サイドのドゥーのドリブルにも対応する。ドゥーが中へ切り込もうとした際、肩を当ててブロックした。主審の判定はノーファウルだった。

 フランスは力を振り絞って反撃する。右サイドからのオリスのクロスを、エリック・ガルシアのチャージを受けたマテタがヘディングする。ボールは真上に上がって落ちてくる。GKアルナウ・テナスがキャッチして、フランスの不意を突くように、前線のカメージョを狙って、右手でボールを投げた。そのままボールはハーフウェー・ラインより先へと転がっていく。フランスはルケバ一人が残っていたものの、ボールに追いつけない。カメージョは、独走状態になる。思いっきりよく飛び出るGKレステスの位置を確認し、カメージョは左足のつま先でシュートを打った。キーパーの右肩口を抜いていくボールは、ネットに突き刺さった。5対3.延長戦で2点目をあげたカメージョは、チップキック気味のシュートでゴールを決めた。

写真=5点目を決めたカメージョが、喜び勇んでベンチに駆けつける様子
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ロスタイム1分が経過して、試合終了を告げる長い笛が鳴らされた。場内が沈黙に包まれる中、スペインのメンバーの雄たけびが響き渡る。再三攻守に渡って貢献したセルヒオ・ゴメスは、タッチランの外で、デニア監督に手を差し出された。彼自身は、足を痛めて、ピッチから退いていたのである。交代カードが切れず、残り数分スペインは実質10人で戦っていた。敗者となったフランスは、アンリ監督と共に、途中退いたラカゼットもピッチに向う。メンバーらは足並みをそろえて、競技場を一周しながらサポーターに挨拶した。ゲームは終始緊張感に包まれていた。フランスは1対3から試合を振出にしたものの、延長戦は息切れする。対照的にスペインは持ち直し、2点を加えて、スコアを突き放した。フランスも、ドリブラーのオリセー、ポストプレーヤーになるアクリオルシェなど、個性を発揮したものの、戦術的にはスペインが一枚上だった。ハイレベルな戦いを繰り広げた両者は、欧州チームの特徴であるチームプレーと個の力が合わさる、よりクオリティーの高いサッカーを展開した。



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