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2024年05月19日11:13

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仮題 放浪のライダー ノブシゲ編 8

「ユキムラ、ここまでだ!ベイルアウトする」

「マンチヨ、シロウ君とムツキのベイルアウトを援護しろ。ノブシゲ、いけるか?」

まともに動けるのは自分とノブシゲだけと現状を把握したユキムラはノブシゲに援護してくれと頼んだ。

「いけるぜ、隊長さん。こうなったのは俺の不手際だから、落とし前はつけるよ。だが、チャンスは一度きりだぜ」

「その一度目を外したら?」

「俺自身がカタをつける。これでどうだ?」

「納得だ。フブキ、突っ込むよ」

ナオマサから受け取ったヒートサーベルを過熱させたユキムラは、残弾が少なくなったマシンガンを捨ててヒートサーベルを両手で構えた。

「マスター?」

「打てたとして1連射だろ?、少しでも軽くした方がいいと思ったんだ。ノブシゲ、いくよ。援護頼む!」

「オオヨド、やるぜ」

ハイザックに、パンツァーファストとマシンガンを両手持ちさせたオオヨドをノブシゲが茶化した。

「そんな装備で大丈夫なのかぁ〜」

「『大丈夫だ。問題ない』と言わせたいのですか?私はサクラドールです。この持ち方でも照準は問題ありませんよぉ〜」

「そうだったな・・いくぞ!」

ザクFZの突撃を支援するために、ハイザックはゴードンの横に回り込んで攻撃
した。

「おら、こっちだよ!」

ハイザックはゴードンの頭部に、マシンガンの一撃を叩きこんで挑発した。

「マスター、ロックオンされました!」

「上等だ、回避は貴様に任せる」

「わかりました。手荒な操作になりますけど、ついてきてくださいね!」

「おうよ」

挑発されたゴードンは4本の手を回しながらノブシゲに照準して指ビームを乱射した

「『正確な射撃ですね。だから予測できます』マスター、ついていけてますか?」

「あ・・ああ、なんとかついていけてるぜ。ユキムラ、そろそろ頼むぜ!」

ノブシゲが陽動していたその時、ヒートソードを構えながら突っ込んだ

「マスター、ロックされました!」

「・・フブキ、スラスターとバーニアをフルスロットルさせろ!胸元に飛び込むぞ!」

「は、はい!いきます!マスター、頑張って!!」

一気にデッドゾーンまで踏み込んで生じたGがユキムラとフブキを襲う。ノーマルスーツとメットのおかげで、裸では目と内臓が飛び出すぐらいの圧力を凌いだユキムラはフブキに命じた

「今だ、胸の髑髏をLOCKONしろ!」

「は、はい!マスター照準合わせます!!」

漸くに照準を合わせたザクFZを機銃弾が襲う!

「フブキ、狙いを外すな。なんとか頑張れよ」

「は、はい!」

なんとか機銃弾に耐えたザクFZは胸元近くに飛び込み、ヒートサーベルを突き立てた

「これで、終わりにしてやる」

胴体に足を絡みつけて胸に組み付いたザクFZは両手で持ったヒートサーベルの切っ先を真下の髑髏に突き立てて、体内を破壊しようとした。

ゴードンはそうはさせまいと、4本の腕をで、ザクを締め上げてへし折ろうとした。

「マ、マスター、もう限界です!!」

「まだだよ!胸からビームを撃ってこれないのは出力系にダメージが入ってた証拠だ!もう少しの辛抱だよ!!」

「は、はい、マスター」

「オオヨド、このままにしておく訳にはいかんよな?」

「もちろんですよ。まだ弾はありますし、それが無理でも、ハイザックにはシュトルウムファストとビーム・サーベルがあります。3回攻撃できれば…」

「ユキムラを見殺しにはできないよな…いくぜ!」

ユキムラを助けることに決めたハイザックは容易にゴードンの足下には入り込んだ

「股下に熱いものを入れてやるぜ!喰らいな!!」

オオヨドはさっき、ユキムラが一撃ぶち込んだら箇所にシュトルウムファストを打ち込み、右脚を破壊した。

「マスター、今です」

「そうだな!むぅ!!」

機体の中にねじ込まれたヒート・サーベルは出力系を貫き、ゴードンは抵抗をやめた。

「やったのか?」

「…マスター、爆発に巻き込まれないように全力で離脱します!」

「頼む」

なんとか、崩壊するゴードンから離脱したザクの背後を爆風が襲い、機体にダメージが及んだ

「フ、フブキ、立ち直せるか?」

前方に頭をブツケたユキムラが聞き返す。

「なんとか、やってみます!」

メインカメラとサブカメラにもダメージがきたザクFZのコクピットが死ぬ中でフブキは必死に制御し、ユキムラも必死に操縦するが、爆う風に煽られたザクは不時着して地上を転げまわった。

「ユキムラ、今たすけてやる!ユウダチ、やってくれ!」

「まってました。フブキ、いま助けるっぽいよ!」

ナオマサは転げるザクを推しとめようとしたが、片腕を失ったザクでは受け止められなかった。

「くぅ、やはり、俺が行かないとダメだったな。オオヨド、最後のひとしごとだ」

「そうですね・・いきますよ。ぬぅ」

ノブシゲのハイザックに受け止められたザクは漸くに停止した。

「マスター、電気系統が完全にやられてます。コクピットが中から開けられないかもしれませんので、私たちの手でコクピットハッチを強制排除します」

「任せる。ユキムラ、こんなとこで死ぬはなしだぜ!」

救助用キットを手にしたノブシゲはコクピットに入って、気を失ってるユキムラのヘルメットを外そうとした。

「おい、外そうとして、首が取れたというのはなしだぞ・・・て、ことはないか?ユキムラ、もう少し頑張るんだぞ!」

幸運にも軽症だったフブキを助けたオオヨドにシートを地面にしくように命じたノブシゲは、フブキと共にユキムラを担いでそこに寝かせて、ノーマルスーツを脱がせた。

「マスター、フブキを置き去りにしないでください!」

「フブキ、大丈夫さ、まだ脈はあるよ。オオヨド、ムケとムチャを呼んで基地の中に収容させてやれ!」

「と言いたいですが、本隊の方々が重い腰をあげてきたようですね」

「『怖いお兄様がたくさん来た』からといって、二人で逃げるわけにはいかないぜ」

「お取り込み中のところ、申し訳ないが、ホシイ・ノブシゲ、キサマに話がある。同行してくれまいか?」

ユキムラに注射したノブシゲは、銃を付けつけたヒャクシキに話しかけた

「ミナセ少佐、わかりましたよ。洗いざらい説明させていただきます。だが…」

「だが、なんだ…」

「私には、タニベ中尉とハセガワ少尉の身柄を確保してることをお忘れなく」

オオヨドに、ムケとムチャを呼んでユキムラを収容するよう命じたノブシゲは、ミナセ隊に投降した。

「マスター、ミナセから報告きたぜ!読むか?」

「テンリュウ、渡してくれ」

エトロフ島で戦況報告を受け取ったマエダ・トシナガ大佐は一読して呻いた

「どうした。目標は確保したから、お宝による破壊は必要ないと思うぜ」

「わかった。サブマリン402には攻撃を中止するよう命じ、参謀本部にはその由を報告する。しかしだ…」

「しかし…なんだよ?」

「俺達より先に目標を占領して戦いを挑んだバカが、目標は呉れてやるけど、タニベ中尉たちが人質がいるのを忘れるなとヌカしてきやがった!」

「マスター、どうするんだ?」

「俺達が現地に乗り込むしかなかろうよ。テンリュウ、コア・ブースターを用意してくれ」

「お、久しぶりの最前線ってか?早速用意するぜ!」

テンリュウがコア・ブースターの用意をしてる時、当番兵が慌てふめいた顔して格納庫にやってきた。

「テンリュウ様、大変です!」

「なんだ、俺は忙しいんだ。書類のやり取りなら、副長のオクムラ少佐に回してくれや」

「そうはいかないのです。参謀本部から・・」

当番兵から耳打ちされたテンリュウは驚いて司令部に向かった。

「どうして、あなた達がこちらに来られたのですか?」

「ナガノ参謀総長からの親書はお見せましたが、信じていただけませんでしょうか?」

「ミカドはこの任務に興味を示されたので、その代理人として我々が出てきたということを信じていただけないのかな。マエダ侯爵?」

「いえ・・コア・ブースターで参加されるのですか?」

「北極海のオーロラみたいがために、ここに来たと言わせたいのですか?戦うためですよ」

「例のアレを動かすために作られた我々だ。コア・ブースターで戦闘することに問題はない。心配するな・・・テンリュウ、来たか?」

ヤマトとムサシが増援かと内心喜んだテンリュウは、トシナガに耳打ちする。

「今、ミナセ隊はほぼ全滅状態だ。ここに深海棲艦が攻めてきたらことだぜ。今は一機でも増援が必要だぜ」

「・・それもそうだな。では、ヤマト様、ムサシ様、あなたたちの援助に感謝します」

「ご協力感謝します。侯爵・・いや、マエダ大佐、私たちはあなたの指揮下に入ります。ムサシ、いいですよね?」

「姉者、私はそれで構わない。では、大佐、私たちはあなたの指揮下に入る。ご命令を」

「マスター、指示を頼むぜ!」

「わかった・・・コア・ブースター二機で出撃する。長丁場になるから増槽を用意してくれ。テンリュウ、俺達がトップを取る・・ヤマトさ・・ヤマトとムサシは後ろを頼む!」

三人に敬礼されたトシナガは、ヤマトとムサシを指揮下に編入して、エトロフ島を出撃して目標に向かった。

「大隊長、エトロフ島より増援が2機向かいます。1時間後に到着予定です」

「増援が2機?マエダ大佐が来るんじゃないのか?」

「いえ、そのもう一機には・・・」

ルッグンで上空警戒してるスザキ中尉から、そのもう一機に乗ってるのはヤマトとムサシだと聞いたミナセの顔が変化した。

「少佐、いかがなさいましたか?」

「・・君が考えてる以上に参謀本部も今回の作戦の成否に気をかけていたということだ。だからと言って君の聞き取りへの我々の姿勢が変わると思ったら大間違いだぞ!」

「そうなりますかねぇ・・この基地施設がパーになったら、参謀本部も困るという意味ではないですかね?」

「君は捕虜なのにそのような態度を取る気なのか!君たちの処分は我々の手の中にあるんだぞ!」

「・・少佐、熱くなるのはもっともですが、タニベ中尉とハセガワ少尉の身柄は我々の手にあるということを忘れてはいけませんよ。我々が占領して戦いを挑んだ経緯を調べなくていいのですか?」

「わかった。コンゴウ、記録を録ってくれ・・・」

「YES、マスター」

ノブシゲの申し開きを聞いたミナセは、疑問点をノブシゲに問い詰めた。

「機械人の依頼で君はこの基地を占領し、それを我々に引き渡そうと思ってた申し開きをしたが、なぜ、それを実行に移さなかったのだ?」

「決まってるじゃないですか?あなた方、扶桑連合に浦塩に裏切られたことを思い出して、オオヨドと相談の上、それは止すことにしました」

「君は・・・我々が信用できないと言い張るのか!」

信用できないと言われたミナセは机をたたいて抗議した。コンゴウがまあまあと宥めていたその時、コバヤシ曹長がミナセに、マエダ大佐とあの二人が着陸を求めてると報告した。

「大隊長、いかがなさいましょうか?」

「現地の責任者として俺が出迎える。ノブシゲ、君の尋問はマエダ大佐とヤマト達が変わって行うことになるだろう!少しはましな言い訳を考え給え。いくぞ、コンゴウ!」

「は、はい、ミーも行くのデス・・オオヨド、マスターのことを怒ったりしたらダメダYO。マスターも現場責任者としての立場があるのだから・・・」

その場に残されたノブシゲは、オオヨドに聞いた

「ただ俺達の申し開きを聞き入れて、基地を受け取ればいいだけの簡単な話がそんな大層な話なのかね?」

「それだけ、この基地が重要であることと、マスターがされた作戦が少し大げさ過ぎたということになりますね。もっともゴードンが機能停止しなかったのは我々の誤算ですが・・」

「それは言うな・・・て、司令部ご一行が来られたな。どうしたもんかね?」

「余計なことをして気を悪くさせたら事ですよ。マスター、色々と言いたいことはあるでしょうが、ここは落ち着いて・・」

「まずは頭を下げろということか?ようござんしょ!」

場を外したミナセ少佐は、

「・・マエダ大佐、よくぞヴィリュチンスクへ、ヤマト様、ムサシ様、お初にお目にかかります」

「ミナセこ・・ここでは、ミナセ少佐でしたか?あなたが問い詰めていたのはあの者たちですか?」

「その通りです。直接に問い詰めますか?」

「いえ、それはマエダ大佐にお任せしますが、私たちはその現場に立ちあいます。よろしいですか?」

「お任せします。が、ヤツがした私への申し開きをお聞きしますか?」

「少佐、聞かしてもらえないかな?」

ミナセ少佐からひととおり話を聞いたヤマトとムサシは、マエダ大佐と共にノブシゲに面会した。

「マエダ大佐、ヤマト様、ムサシ様でありますか?私はヴィリュチンスク地区の責任者のホシイ・ノブツナと申します」

「ホシイ・ノブシゲに仕えますオオヨドであります」

二人の敬礼に三人も答礼を返した。自分たちに敬礼した二人の態度に好感を持ったマエダ大佐は、改めてここに至った経緯を改めてするようにノブシゲに求めた

「君が、機械人の依頼でこの基地を制圧し、我々に引き渡す意思があったが、浦塩で裏切られた君は、働き損になるのを恐れて、この基地が扶桑の脅威だと見せて我々を本気にさせたいがために機械獣を再生させたのか?」

「はい、近衛師団の練度を想定して、それに合わせてオオヨドがプログラムしました」

「・・なんだと、我々の戦闘データが機械人から流れたのか?」

「・・お疑いなら、機械人に問い合わせたらいいと思いますよ。たまたま、オオヨドが作ったデータが偶然適性値だったわけですよ」

サクラだったらこれぐらいは当たり前だろとドヤ顔なノブシゲに、マエダ大佐が質問した。

「君が我々を試そうとしたのはわかったが、なぜ地獄王ゴードンを動かしたのだ?あれは基地防衛にしては過剰性能すぎるぞ!」

「あれは地下に半製品状態で転がってましたので、あなた方を本気にさせるために再生させてもらいました。もっとも全滅させたら、ことなので、頃合いのいい時に機能停止させるプログラミングをオオヨドにさせた上で投入しました」

「しかし、プログラミングは機能しなかった」

マエダ大佐の反撃を予想したノブシゲは、落ち着いて答えた。

「ですので、私はスワ少尉たちのベイルアウトを支援しつつハセガワ少尉と協力してゴードンを破壊しました。私の答えが不満でしたら、基地にプログラムコードを保存してますので、それをコピーすればよいです。オオヨド、アイツら呼んで、情報士官様をご案内しろ?」

スザキ中尉たちも人質にとるつもりだと察したマエダ大佐は、それは君が基地を明け渡してからやると答えて、話を続けた。

「本気になれば、我々は『お宝』を使ってヴィリュチンスクを破壊するつもりだったんだぞ!それは知ってたのか?」

「エエ、知ってましたよ。エトロフ島にいた貴方がたとゲオポリスの通信内容を傍受してオオヨドに分析して投入兵力を予想しました」

「君は『お宝』が使われると呼んで、ゴードンを投入した上で、君が終わらせる腹だったのか?それで…ゲオポリスの連中が納得させられると勘違いしてるのか!?」

激昂して机を叩くマエダ大佐を冷ややかな目で見つめるノブシゲは、納得させてみせますよと前置きして聞いた。

「…大佐、我々はあなた方にこの基地を明け渡す腹ですが、ロハという訳には参りません。条件を提示します?」

「条件とな?」

「まずは、勝手に契約した体になってる私とオオヨドとの契約を公認する、私にかけられてる訴追とこの事件の容疑を取り下げ、私と私の部下たちの身分と安全をミカドが保証していただくこと…それに、アルビオン領へのMSを配備をいそいでいただくと一筆書いていただいたら、この基地とタニベ中尉やハセガワ少尉達を解放しますよ」

ヤマトとムサシはミカドの代理人だと察したユキムラは一筆書くよう要求し、マエダ大佐をイラつかされた。それを察したヤマトがマエダ大佐に耳打ちした。

「ミカドはこの基地の確保と人質の安全を最優先されます。変なことは要求しないように、願います」

「貴族院はそれでなんとかなりますが、最後の要求は参謀本部が…」

「ナガノ参謀総長には、ミカドの意向であるとお伝えください…」

隣で頷いたムサシとヤマトに説得されたマエダ大佐は頷いて、和平に合意した。ニンマリとほほ笑んだノブシゲに、オオヨドに調印署を用意させた。

「原紙と副紙の二枚用意したしました。できましたら、ヤマトとムサシ様のサインもいいただきたいのですが・・・」

「き、君は、我々の措置が決定させれるまで、身柄は拘束されるんだぞ!」

不起訴と無罪が証明さない限り、被告人なんだぞと言いたいマエダ大佐は抗議したが、立ち会ったヤマトとムサシに、それはいけないと言わんばかりに反対された

「我々の署名が必要なのは仕方がない。我々が同意した以上、君達は、それなりの誠意を見せてもらえるのか?」

「ああ、いいですよ。今、深海棲艦に攻められたら困るので、我々の手でミナセ隊のMSを回収、修繕してさしあげます」

「そうか・・君の誠意を信じよう」

「ありがとうございます。さぁ、俺達も署名するぞ!ミカドと参謀本部のために清書するぞ!」

「はい、マスター!」

調印書にサインして投降したノブシゲとオオヨドは、解放されたユキムラとフブキと会った。

「なんだ、キサマはアイツラとは何もなかったそうだな。アッチはご存じないのか?」

小指を立てて茶化すノブシゲにユキムラは下を向いて零した。

「僕はマンチヨじゃないんだよ・・・婚約者がいるんだぜ!」

「ミナセ家に紹介していただいたキサラギ伯爵のお嬢様との間とマスターとの間に婚約が成立したのです。私のはからいであの子達は追い返しました!」

「マスターには清い体でいてほしいってか・・フブキ、随分な忠臣だよ」

「ノブシゲ、よせよ!今更だけど、僕らはアルビオンのために!」

「そのアルビオンの件だが、マエダ侯爵とヤマトとムサシが、MS隊を常時おくと確定してくれたよ。これが調印書の写しだ」

揶揄われたユキムラは調印書の副書を見せられて驚いたて、読んでいいのか尋ねた。

「疑ってるのなら、紙に穴があくまで読めばいいさ!」

「マスター、この署名ですが、マエダ侯爵とヤマト様とムサシ様の筆跡に間違いありません」

「・・・お前、意外と達筆だな?」

「ケモノどもと付き合いが長いから、読み書きを忘れたとでも勘違いしたか?雀百まで踊り忘れず、腐っても鯛というやつざ・・まあ、それはいいや。ユキムラ、キサマにいい話を持ってきた」

何の話だと聞き耳を立てたユキムラに、ノブシゲは俺のハイザックをお前にやると答えた。

「いいのか・・・MSはどうするんだ?」

「ムケやムチャたちはここで落ち着きたいと言ってきたし、MSを持っててもしょうがない、オオヨドは、俺についていくから、また機械人の仕事してMSをまた調達するさ?」

「そっか・・色々とありがとうよ」

「恩を感じる必要はないぜ・・ユキムラ、もう少し腕をあげてこいよ」

「次はいつになるかはわからんが、また、お前と一緒に戦うことになると思うよ」

「だろうな・・僕たちはそういう腐れ縁だろうさ」

一か月後、契約を履行し、身の証が立って、不起訴扱いにしてもらったノブシゲは、オオヨドと共にヴィリュチンスクを去った。

「お前たち、しっかりと頑張るぞ!」

「うぅう、ボシュゥ・・・」

「近衛軍の配置が決まった以上は、もう昔のように山賊稼業はできないぞ。残ると決めた以上、この工場で稼いで、農地をわけてもらうしかないなら、ここで頑張れ!」

「でも、ボシュはぁ・・・」

「オオヨドさえ一緒に来てくれるなら何とかなるさ・・ただ働きの放浪ライダーについていくのは辛いぞ!わかるよな・・・」

泣きじゃくるムケやムチャに、お前らは追いはぎ稼業もできなくなったぞ、基地司令になったミナセ中佐と機械人のために働かないと食えないぞ、それとなくいい聞かせたノブシゲとオオヨドは、召し放ちを告げた。

「ということだ。また俺達は浪人だよ。どうする契約解除か?」

「今更、それはなしですよ。また、MSを調達すればいいのですよ!」

「そうだな、また西に向かって傭兵でもするか?」

ノブシゲ達が再度、西に向かったその時、ヴィルンチンスク基地に、潜水艦が入港を求めた。

「ミナセ中佐、署名をお願いします」

マルユに受領書を渡されたミナセ中佐は、署名してマスターのノト少佐に尋ねた

「少佐、あのモンスターはそう簡単に使い倒せるものじゃないぞ・・」

「あの二人には、コアブースターに乗せて哨戒させてもよろしいのですが、万が一の時は扶桑領内全域に救援できるようにしていただきたいのです」

「わかった。そのためのブースターユニットとスマートカノンも持ってきたという訳だな」

「はい、ドクター・フクダと武装調整用ドールのカシノもこちらに配属します。中佐、あの子達とスペリオルをお任せします」

「少佐、心得た。ここにはモンスター馴らし用のモルモットどももいるしな」

「タカツキ大尉たちのことですか?まあ、壊さない程度にはお願いしますよ。大尉達にはまだまだ働いてもらわないと困りますからね。」

サブマリン351と352からゴードンが収納されていた地下倉庫に運ばれるコンテナ群を横目にしながら、ミナセ中佐とノト少佐は笑った。

(続く)
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