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2024年05月15日05:43

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朝の目覚まし時計の代わり

 毎日元気よく飛び跳ねてた中年から還暦すぐの初老まで睡眠はいくらあっても足らなかった。現在とは大違い。夜明け前から目が覚めてごちょごちょしてる。仕事の激務、身体が自然と眠たいばかりだったのだ。寝過ごしで職場遅刻や大事な約束時間をに穴を開けることはほぼなかった。別に目覚まし時計をガンガンにかけたのでなく。まぁ爆弾的な音量で起こされたわね。ワン公だ犬。朝日が昇り始めたらすごく吠える。「早く散歩に連れて行け。」と鳴く。人ですら夜中に何度かトイレに行く。犬は夜にプラスチックの箱で飼育だ。昼間は玄関外の犬小屋に紐をつけていた。夕方から朝までは玄関内に入れていた。冬の寒さ、夏は蚊や虫からの攻撃から凌げたのだ。女房の実家はこのワンコ飼育方法で長生きしたという。実際、我が家の柴犬も17年間の生涯だった。
 さぁ朝が来ると吠え始める。こちとら眠たくてほって寝床でゴロゴロだ。すると鳴き声がエスカレートする。やがては狂ったように大声になりしかも動作付きだ。ゲージで暴れる。ことここに至れば眠い目を擦りながらおいらが服を着るのだ。少しの文句を垂れながら。朝の散歩役だ。夕方は夜遅く帰宅なので家族がした。シバはおいらを見れば尻尾をフリフリ大喜びしてる。憎めないのだ^_^。夏は快適だが冬は外気〇度以下だ。頭には飛行帽被り手袋はまるでクマの手みたいな分厚い革製だ。スノーブーツ姿だったなぁ。お散歩コースは家近くの長良川に流れ込む川の橋から橋まで一巡だ。桜の木が植えられて自然を感じる。距離にして数百メートル。ワン公は数少ない楽しみだったろう。ときには全力でリードしながら、またはいくら紐を引っ張ろうがガンとせず動かない。
 好奇心が湧き犬には随分とイタズラをした。どんな反応をするか。夜中に帰宅する。玄関外で戸をガタガタさせた。飼い犬は吠えた。不審者を装ったからだ。戸をガラリと開けご主人様と「こらっ。」と一喝だ。すると耳と尻尾を垂れて気まり悪い顔をしてるのだ。前足の付け根の辺り胸をこちょこちょするも笑うどころか反応全くなし。人間とは違うこと発見。どうも言葉が分かってたと思う。台所で家族が犬の話題をすれば玄関でむくりと起きてこちらの様子を見てる。で、自分らの食べ物をやったりした。名前を呼べば必ず応えたわいな。柴の目を見て「山にいくぞ。」と一声掛ければ興奮し喜ぶこと。当時、岐阜市郊外に別荘がわりの古民家を所有し蔵書四千冊余りを保管していたのだ。犬小屋から出しても他には行こうとせず車に乗り込む。自動車でその家まで通う。築古いし家中でも放してた。自由に動き回れたのがお気に入りだったのだろう。犬は人生の友だと思う。自分なりに可愛がってた。悔いが残ることもしてしまった。狂犬病予防注射を自宅から1キロ離れた会場まで250CCスクーターで走らせ引っ張た。途中で走らなくなった。なんて根性ない奴だと。家で足の裏を盛んに舐めている。見たら肉球の皮が破れて血が。悪いことをしてしまった。
かけがいのない17年もの歳月を犬と過ごした。最後の一年は老衰で垂れ流し、白内障から目が見えず、足腰弱り立てず。悲しい鳴き声が一晩中していた。元気な頃を思い今の情けない自分を悲しんでいたのだろう。身体の痛みをどうしたらいいのか。自分の老後の姿と重ね合わせ見ていた。無くなる半年前に大変な事件を起こしてしまったのだ。昼間に逃亡したのだ。首輪が痩せた体ですぽっと抜けた。最後の力を振り絞ったのだ。近くに川があるといった。目が見えなくて落ちたのではないかと心配しながら名前を呼び必死で探した。夜になり諦め早朝に捜索をかけた。自宅を中心にして円を描くように探そうと。夜明けとともに動いた。ほどなく長良川に注ぐ支流のまた小さな支流近くでパトカーが止まり人がいた。もしやと見ればその大きな側溝下にワン公がいた。震えか細い声で鳴いてる。近くの夜勤明けの運送屋さんが見つけてくれたのだ。家に飛んで帰り梯子を担ぎ現場まで急いだ。側溝を降りて犬を先ずは落ち着かせ抱きながら救出だ。見つけてくれた人らにお礼だ。警官からは「しっかり管理せよ。」お説教だ。こんな体験者から一言。狂犬病になったら犬は鎖を歯が折れて無くなろうとも噛みちぎるよ。まして犬小屋のゲージなどひとたまりもなく。その馬鹿力恐ろしさは想像できないほど。飼い犬は逃亡から一段と弱り玄関で寝たきり垂れ流し。パンパースは嫌がる。厚手のビニールシートを変えて洗うのみ。もうドッグフードは食べない。缶詰の高級なのを与えた。牛肉缶から匙で口元に運ぶ。元気な頃の姿を思い出し涙がでてしまう。オイラもこうなるのだと。もう食べない。末期の水をやった。やがて歯からその水もこぼれ落ちて行く。目を閉じた。必死で最後にと水を与えるが食いしばった姿からは「もういいよ。」の声なき声が聞こえるようだった。
 
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