mixiユーザー(id:11427145)

2024年05月14日18:00

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「黒牢城」読了

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米澤穂信の直木賞受賞作品。これは受賞して当然だわと納得間違いなしの出来でした。どちらかというと瑞々しい感性が魅力の作風なのにこんなものをお出ししてくるとは思いませんでした。
以下本文。


「黒牢城」米澤穂信著

米澤作品でよく名前を耳にする「黒牢城」を読みました。よく聞くと思ったら直木賞受賞作なのですね(笑)
米澤穂信による時代物かと思いながら読み始めたらとんでもない作品でビックリしました。直木賞受賞も納得の内容です。

織田信長と本願寺勢の争いの最中、突如織田信長に謀叛を起こし本願寺側についた荒木村重は、要塞化した有岡城に籠城し毛利の援軍を待つ。有岡城に現れた黒田官兵衛は村重に対して「この戦は勝てぬ」と死を覚悟の上で諌め、それに対して村重は己を殺せと訴える官兵衛を生け捕りにして地下牢に閉じ込める。
一枚岩かと思われた村重の軍勢は、様々な事件が原因で不和の芽が次々と生じ始める。城主である村重は、事件の謎を解こうとするも行き詰まり、最後の手段を取る。
自身が捕らえ閉じ込めた官兵衛に謎を解かせるという奇策。

始まりがよく出来た時代物だったので米澤穂信はこんな話も書けるのかと感心してたらまさかの本格ミステリー、しかも黒田官兵衛が安楽椅子探偵役とは、この海のリハ(ry
そして、このミステリーがめちゃくちゃ面白いというのがさすが米澤穂信でした。

何故荒木村重は黒田官兵衛を殺さないのか?そして黒田官兵衛は己の敵である村重に何故協力するのか?城内で発生する数々の事件は故意に生じた物なのか?そうであれば裏で糸を引く黒幕は誰が何の目的でその様な事をするのか?
絡み合った様々な謎が終盤で解き明かされ、そしてそれが歴史の事実とリンク(するかの様に見せる作劇技術)していく様に唸らされました。

正統派時代物と本格ミステリーが見事に融合した稀有な作品だと感服しました。
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