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2024年05月13日22:16

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『悪は存在しない』感想

〜「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー国際長編映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど国際的に高く評価される濱口竜介監督が、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭のひとつであるベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)受賞を果たした長編作品。「ドライブ・マイ・カー」でもタッグを組んだ音楽家・シンガーソングライターの石橋英子と濱口監督による共同企画として誕生した〜
〜自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からも近いため近年移住者が増加傾向にあり、ごく緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧は、娘の花とともに自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送っているが、ある時、家の近くでグランピング場の設営計画が持ち上がる。それは、コロナ禍のあおりで経営難に陥った芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したものだった。しかし、彼らが町の水源に汚水を流そうとしていることがわかったことから町内に動揺が広がり、巧たちの静かな生活にも思わぬ余波が及ぶことになるから<映画.comさんより>

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冒頭、長い、長い、森の映像。
私、2回観たんですよ。1回めで掴めなかったので。
で、たいてい、どんな映画でも、2回めって、1回めよりも、早く(短く)感じるじゃないですか。
でも、あの冒頭は2回目でも長かった(笑) あそこまで長くする必要性は?

ちなみに1回目観た後、ちょっと雰囲気が似てるかも?って思ったのがバッド(下向き矢印)
『ラブレス』『ヨーロッパ新世紀』『理想郷』
でも、2回観ると、すべて消え去りましたが。

ちなみに英題『Evil does not exit』の出し方が、かつてのフランス映画っぽかった。
英語タイトルだけど(笑)

濱口竜介監督作ゆえ、どこに何が潜んでいるかわからないと、終始、目を凝らしての観賞。

ちなみに、グランピングって知りませんでした。。。

自称「便利屋」の巧の日常。
薪割り、水汲み。娘の花の学童のお迎えにはいつも遅刻。ついでにグランピングの説明会のことも忘れていた。
巧が学校に着いた時、子供たちの「だるまさんがころんだ」のスローモーションに、ドキッとさせられる。

巧はこの地の開拓3世。妻は写真の中。妻については、何も語られない。
同じ町内の人との夕食。どうやら巧は周りの人たちとは上手くやってるようだ。時おり、鹿猟の銃声が響く。

しばらく叙情的にゆったりペースで進むが、グランピング説明会から、一気に人間同士の感情が渦巻いていく。
芸能事務所の思惑。町民の戸惑い。

巧「ここら辺は戦後の農地改革で、土地がない人に与えられた土地だ。ある意味、みんなよそものなんだ。俺たちは自然を利用し、壊してもきた。問題はバランスだ。やり過ぎたら、バランスが壊れる」
町長「川は上から下へ流れる。上の者は下に対しての責任がある」

濱口監督の本領発揮!ぐいぐい引き込まれていく。

その後の芸能事務所でのオンライン会議&再び水挽町に向かう車内での高橋と黛の会話シーンもいい。
(車シーンは、ミラーに何が映っているかとか、なぜか走っている背後を映しているとか、不思議なカットがいくつか)

※予告編
https://youtu.be/7tj7WaIDam4

今作のキーワードのひとつは「切断」?
薪割、音楽がいきなり止まる、森で花を探している巧の姿も一瞬消えたりする。

終盤、花が行方不明になった直後の水蒸気の使い方が上手いったら。
ストーブのやかんの水蒸気→ストーブの煙が煙突から出ていく→外には次第に霧も立ち込めてくる。
夕日のかげりと相まって、不穏(水蒸気)が広がっていく。

鹿について・・・。
『スリー・ビルボード』に鹿が出てきた時「鹿は神聖なものであり、あのシーンを意味深くしていた」という考察に納得していた私。
今回の鹿にも同じような雰囲気が漂っていた。
鹿は基本、人を襲うことはしないが、手負いはある。

グランピングの設営場所は、鹿の通り道。
黛「鹿は人を襲う?」「もし襲わないのなら(グランピング場は)問題ないのでは?」
巧「あそこは鹿の通り道なんだ。鹿はどこに行くんだ」
高橋「どこか別のところに・・・」
この高橋の言葉が引っかかった私。鹿が場所を移動するんじゃないだろう。人間が移動すべきなんだろう。

そして、そして、驚きのエンディング。これは、もう、ちょっとやそっとじゃ理解できないレベル。
まず花が帽子を取った理由は?そして巧の高橋に対しての行動。
10人中10人が「一体なんなんだぁああああ」と頭を抱えるはず。

おそらく・・・親鹿が狩猟の弾にあたってしまった。
それを見た花が親鹿に近づいた。
親鹿は小鹿を守ろうと花を襲った。
巧はこれはお前が入り込む世界じゃないと、高橋を襲った。
巧は花を抱きかかえ、森の中に入っていく。

ちなみに、巷の感想でハッとさせられたのが、これバッド(下向き矢印)
「住民達が花を捜索していた時間は夜であった。しかし安村と高橋が花を見つけた時はまだ周りは明るかった」
そうだ、そうだ、確かに、そうだった。
その時制の違いが意味するところとは?
あの湖のシーンは幻想?実際には誰も亡くなってない?
自然のバランスを壊すとこうなるみたいなことを、巧の頭の中から高橋の頭の中へ、ああやって伝えたってこと?
いや、もう、わからんわ。自分の解釈でいいんだと思います。

というわけで、あれこれ考えたい人にはオススメです。4つ☆
7 10

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