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2024年05月12日18:32

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12日の殺人(La nuit du 12)

 「悪なき殺人」で話題を集めたフランスのドミニク・モル監督によるサスペンススリラー。ポーリーヌ・ゲナによる2020年のノンフィクション書籍をもとに、モル監督とジル・マルシャンが共同で脚本を手がけ、未解決事件の闇に飲み込まれていく刑事の姿を描き出す。

10月12日の夜、女子大学生クララが焼死体となって発見された。捜査を担当するのは、昇進したばかりの刑事ヨアンとベテラン刑事マルソー。2人はクララの周囲の容疑者となり得る関係者に聞き込みをするが、男たちは全員クララと関係を持っていたことが判明する。殺害は明らかに計画的な犯行であるにも関わらず、容疑者を特定することができない。捜査が行き詰まるなか、ヨアンは事件の闇へと飲み込まれていく。

主人公の刑事ヨアンを「恋する遊園地」のバスティアン・ブイヨン、相棒マルソーを「君と歩く世界」のブーリ・ランネールが演じた。2023年・第48回セザール賞で作品賞・監督賞・助演男優賞・有望若手男優賞・脚色賞・音響賞を受賞。(映画.comより)





<2024年4月7日 劇場鑑賞>

 不思議な映画でした。若い女性クララが、ある夜、友人の家から帰る途中に何者かに襲われ、火をつけられて殺されます。確かに「クララ」と呼びかけられてましたし、彼女は歩いて帰ろうとしていたくらいですから、おうちのすぐ近所のはずなんです。犯人は、ちゃんと認識して「クララ」と呼んでから油(?)をぶっかけているのですから、適当に襲った通り魔ではないはずなんですが、事件は解決しません。もちろん、刑事さんたちは一生懸命捜査します。でも、疑わしい男たちはみな、結局どの人もクララと体の関係があったり、アリバイがあったりして絞り込めないんですね。クララは案外奔放だったのですね。寂しがり屋だったのかもしれません。しかし、だからと言って殺されてもいいわけないことは刑事さんたちもわかっているので、あらゆる角度から捜査するのですが、わかりません。

 そういったことと並行して描かれるのが、刑事さんたちの個人的なバックグラウンドです。昇進したばかりの刑事ヨアンは、競輪場を自転車で何周も駆けるのが趣味で、気分転換(?)によく通っています。同僚のベテラン刑事マルソーには「外を走れよ。同じところを回るんじゃなくて」などと言われています。マルソーはマルソーで、妻との関係につまづいています。ずっと子供がいなくて、不妊治療もうまくいかなかったのに、妻にボーイフレンドができた途端、なんとたった3ヶ月(1か月だったかも)で妊娠してしまった。そして妻には離婚を迫られていて帰りづらい。ヨアンは自宅にマルソーを泊まらせます。しかし、捜査は行き詰まり、マルソーが問題を起こしたこともあり、未解決のまま解散となってしまいます。

 そして3年後。新たに女性判事から「もう一度捜査して見ないか」と持ち掛けられたヨアン。予算が限られる中、張り込みやカメラの設置などを行います。新たに組まれた捜査チームには新人の女性捜査官もいるのですが、彼女は警察学校首席卒業です。ヨアンは「君ならこんな現場に来なくても出世コースがあっただろうに」といぶかりますが、彼女はいつも颯爽と現場に現れ、明晰な頭脳を駆使しながら「男が事件を起こして男が捜査するのね」みたいなことをつぶやきます。3周忌に現場にやって来たのはクララの両親だけでしたが、カメラには新たに男が映っていました。しかし、彼もまた犯人ではなかったのでした。

 結局、事件は解決しませんが、ヨアンはマルソーに言われた通り、公道を自転車で走っているのでした。(ぐるぐる回っているより前向きな感じがしますね)

 結局何が言いたかったのか、よくわからない映画でしたが、特別な環境に置かれた男たちの変遷を描きたかったのかもしれません。未解決事件って結構あるのかもしれないし。それにしても、誰だったのかなぁ、犯人。
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