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2024年04月18日16:33

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落下の解剖学(Anatomie d'une chute)

 これが長編4作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンサスペンス。視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いた。

人里離れた雪山の山荘で、視覚障がいをもつ11歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見し、悲鳴を聞いた母親が救助を要請するが、父親はすでに息絶えていた。当初は転落死と思われたが、その死には不審な点も多く、前日に夫婦ゲンカをしていたことなどから、妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられていく。息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていくなかで、仲むつまじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦のあいだに隠された秘密や嘘が露わになっていく。

女性監督による史上3作目のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。脚本はフラー監督と、そのパートナーであるアルチュール・アラリ。主人公サンドラ役は「さようなら、トニー・エルドマン」などで知られるドイツ出身のサンドラ・ヒュラー。第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した。(映画.comより)





<2024年3月24日 劇場鑑賞>

 「さようなら、トニー・エルドマン」は見ました。少し長い映画でしたが、わりと印象に残っています。あの主人公が今回の主役サンドラだったのですね。

 息子の弱視は、生まれつきではない。あとから「ああしていれば」と思う気持ちは、一生背負うことになります。また、夫が亡くなったことにより暴露される事実は、どれも真実だとしても、夫婦どちらの言い分にも一理あって、もちろん夫婦なんだから、お互いを責め出したらキリがないことは誰しもわかっているだろうけれど、今は妻しか生きてないから、彼女の主張は不利に捉えられがちではありました。何を言っても「言い訳している」とみられかねないわけですから。

 すべて書いてしまうとネタバレになってしまいますが(いや、少しネタバレしてます)、私は女なので、やはり夫がウダウダと不満を述べ続けるシーンは「成功したいけれどなかなか開花せず、でもそこで工夫して努力することができずに周りに責任を押し付けている、実は才能のない男」にしか見えませんでした。いくら小説のアイデアがあっても、それをちゃんとした形にできないのなら、それは「実は書けるのに」ではなく、書けなかったのです。逆に、不完全であろうそのアイデアで、ちゃんとした長編を仕上げ、ヒットしたのなら、そこに才能があったからです。愚痴ばかり言って”男”として機能しなかったから女性と浮気されたのなら、自分を振り返るべきです。とまぁ、他にもいろいろなことが本当に赤裸々に語られます。

 しかし、法廷劇って、本当にありとあらゆることの暴露合戦で、見ていて疲れますね。これはどの映画でもそうなんだけれども。問題はもっとシンプルだと思うのに。

 結局真実はどこにあるのか、よくはわからないのだけれど、本当に殺意があれば、私ならあんな山小屋の3階から突き落としたりしません。下は雪が積もっていて死ななそうだし(笑)、あんな状況で突き落としたら真っ先に自分が疑われるし。それでなくてもハンディキャップを背負っている息子がいるのに、さらに犯罪者の家族になるなんて考えられないし、そんなにイヤなら離婚すればいいだけだろうし。いや、実は夫を愛していたのかもしれないけれど。わりと理屈っぽい映画でした。


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