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2024年03月07日23:46

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経済談義第53回:ハイパーインフレ(3):発生条件

長期連載の経済談義シリーズ第53回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。


数回にわたり「ハイパーインフレ」について書いています。
前回は、ハイパーインフレは特定の物価やインフレ率で定義されるものではない、という話をしましたが、そういえばその定義自体を明記していませんでした。

ハイパーインフレの僕が考える定義は以下です。

・「物価」と「通貨発行量」の相互作用がフィードバックループを形成して、そのループゲインが「1」を大きく超えること。

ただ、この定義には問題があって、フィードバックループが形成されているかどうか判断する基準、またループが形成されたとして、そのループゲインを測定する方法が今のところ知られていないのです。
なので当面は、物価上昇率に基づく従来の定義を便宜的に使用せざるを得ない場合も多いでしょう。


とはいえ、この定義からわかることがなにかないかどうか、それを考えてみましょう。

物価と通貨発行量の相互作用がループをもし形成するとすると、考えてみるとそのループは次の二つの部分からなっていることがわかります。

条件1:「物価」の上昇が、「通貨発行量」の増加を引き起こす。
条件2:「通貨発行量」の増加が、「物価」の上昇を引き起こす。

二つの条件それぞれについて「ゲイン」つまり「通貨量の増幅率」を考えて、その総和(増幅率の積)が「1」を超えた時に、解は発散し、ハイパーインフレのおそれが強くなります。


では二つそれぞれについて少し詳しく見てみます。


まず「条件1」、物価の上昇が通貨発行量の増加を引き起こすかどうかですが、これはかなり容易に成立しうる、あるいはすでに成立していると僕は考えます。

物価が上昇すれば、政府が政策を実行するにあたり必要なコストは必ず増加します。つまり政府支出が増加します。

また、現在行われている「ガソリン補助金」のように、物価高対応で政府支出を直接増やす政策もすでに行われています。


こうした政府支出増加の原資をどこから調達するかですが、もし支出を政府が国債を発行して賄って、それを中央銀行(日本であれば日銀)が引き受けると、その分だけ通貨発行量が増加します。
これはいわゆる「財政ファイナンス」と呼ばれていることに相当します。
財政ファイナンスを行えば条件1が成立する可能性が高いわけです。


本当はこうした危険性を鑑みて、財政支出や政策的補助金を安易に拡大しないよう、政府は自制しなければなりません。
つまり「財政規律」がとても重要なのですが、いまの日本政府では財政規律は完全に崩壊しています。

物価高対応の補助金もすでに行われています。

また、(楽観的な評論家の皆さんがどういおうとも)事実上の財政ファイナンスが長期にわたり行われてきています。
これらのことから見て、この条件1はすでに成り立っている可能性が高いのです。

(つづく)


連載バックナンバー:
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