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2024年03月06日16:08

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欲しかったけど買わなかったカセットデッキ

私は所謂オーディオマニアでした。
でした、と言っても今でもその気持ちが無くなったわけではなくて、お金の問題や設置場所の問題などで遠ざかっているだけで気持ちは現役です。

だから独身時代は色々買ったし、特にアンプは全部自作しました。
「金田式」(←殆どの方は知らないと思うが)アンプを中心に自作しましたが、回路をゼロから自分で設計もしました。

しかし自作出来ず、かつ魅力的な製品が溢れていたカセットデッキは色々買いましたね。
買ったメーカーはソニーとケンウッドだけでしたが(後者のメーカーを選んだ理由は私を知っている方ならば、「そうなるよね」と思われる事でしょう。)、この2社だけでトータル10機種くらいは買ったと思います。

ソニーの商品は低価格〜高価格全てにおいて「このクラスの音質と機能は保証します」みたいな、「どれを買っても優等生」的でした。

ケンウッドはカセットデッキにはそんなに力を入れていなかったと思いますが、それでもミニコン以外にも常に数種類は必ず出していて、ローエンドでも音質はかなり上級クラスを聞かせてくれました。

ところで昔のソニー、半分悪い言い方を込めて話せば、「独創的で尖った商品が多く、一番ソニーらしい時代」だったけれど、品質は「??」というものが多かったのは事実だったと思います。

当時のソニーを知らない方は驚くかもしれませんが、特にイヤフォンやケーブルの根元が直ぐに断線や接触不良を起こしたり、テープデッキの老舗なのにメカの故障が多かったりが世間一般に周知されていました。
(当時のケンウッドはそんなことはありませんでした。)

私が買ったソニーのデッキは全て品質トラブルはなくて、所有期間は全て満足させてくれました。

そして「そろそろもっとハイエンドのカセットデッキを買いたい」と思った頃に調べ始めて「買おう!」と決意を込めたメーカーが今は無き「ナカミチ」でした。

最近の方はナカミチなんて言っても知らないと思いますが、ある意味カセットデッキのベンチャー的存在で、世界最高峰の音質と評価される機種ばかり出していました。
ちなみに日本のメーカーで、創業者は中道さんです。

ナカミチのデッキはまず見た目のデザインが素晴らしい。
艶消しの黒を基調に落ち着いたどっしりとした感じで、ソニーなどは所々に目立つ色を使ったりして華やかさも忘れていませんでしたが、ナカミチは何処か「プロ、業務用」を感じさせる目立つデザインにはせずに、まさに「落ち着いた大人の顔」でした。

音も様々な雑誌の評価はもちろん、試聴させてくれる店に足を運びましたが、他のメーカー品とは一線を画すクリアで、ダイナミックレンジの広い音で同社が「オープンリールを越える」と謡っていたのも嘘ではないとさえ感じました。

そして機種名は忘れてしまいましたが、2機種くらい見繕って秋葉原の数店に値段の比較を見ながら訪れたのです。同社のデッキは中級クラスでも当時の価格で10数万円していました。ソニーなどの同じスペックのデッキが5万円で買える時にです。
しかし迷いはありませんでした。

価格は団栗の背比べで、たいして変わりはしません。ナカミチだからなのかもしれません。

でもどの店でも同じことを言われて愕然としました。それは、

【何が何でも、であれば別だけど買わない方が良い。直ぐに壊れるから】

でした!
高価な商品ですから店としてはどうしても売りたいはず、仮に品質の話しがあっても一切触れずに客に売るのが商売、だと思いますがここまで「良心的」に買わない方が良い、と言われたのは後にも先にもこの時だけだと思います。

他のメーカならばどこでも品質は問題に差はない、但しナカミチは再考すべきと言われたのです。

結局その日は買わずに帰宅し、色々と考えた末にソニーの7万円くらいの物を買いました。
ソニーのデッキも大満足の音質、機能でしたが「ナカミチだったら・・」と心に残りました。

今では消滅したメーカーになってしまいましたが、同社のデッキはカセットなのにも拘わらず大型のスピーカーシステムでスタジオで聞いてもその高音質はプロモ納得すると言われたものです。

でもその割にはプロのスタジオの常設設備として使われていたのをあまり聞いた事がないのも事実でした。

同社のデッキの特徴は「同じ銘柄のカセットテープでも記録の感度などには微妙な差がある。それを1本1本補正調整してから録音する。」という凝った機能が当たり前についていました。

そしてテープ自体の精度のばらつきを補正するために録音再生ヘッドをコンピュータ制御で微妙に動かして、確実にテープと正確に接触するように調整される「オートアジマスアライメント」という嘘みたいな機能も標準装備されていました。

添付写真はネットからの拝借ですが、いずれも同社を代表する名機でした。
約40年前くらいの製品ですが、一番同社が輝いていた時なのかな?とも思います。

背の低い普通タイプのものは「ZX-9」という機種で、発売当時228000円だったそうです。私は買おうと思っていた時には20万円はちょっと厳しい、という感じでしたが、どうしても欲しいものがあったらローンでもいいや、なんても思っていました。

黒のパネルでカセットとは思えない巨大サイズは1000ZXLで同社最高峰。
この1000シリーズはいくつかの機種が出たと思いますが、写真の物はたしか55万円だったと思います。

今見ても滅茶苦茶カッコいい!
今更カセットテープを、という気持ちはありますし、ワカメと言ってテープがケースから出て来てメカに巻き付いたりするトラブルがテープデッキではありますが、それを含めても今でも欲しいと思ってしまいます。

金ぴかのデッキは1000ZXL limitedだったか特別モデルです。
確か85万円でした。これを買った人もそこそこいたようです。

なおヤフオクでは今でもこれらのナカミチ製品がたくさん出品されているようです。
「動作確認、整備済」もあれば「動きません。観賞用」という数千円での出品もあるようです。

鑑賞用を買ってライトだけは点滅するように整備し、中にBluetoothのメモリーオーディオを入れて使うのも良いかな?なんて思ったりします。


それにしてもオーディオ/ビデオ製品は今ではどうしてこんなにつまらない、ドキドキしない商品が溢れてしまったのか、と全盛期を知るおじさんは嘆いてしまいます。

それとは引き換えにノイズレスの高音質、テープの巻き付き、レコードの傷などを気にしなくてよくなりましたけどね。


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