2月28日(水)、ユナイテッド橿原で鑑賞。観客5人(内男性1人)。特別料金2500円。
公式
https://www.k-ballet.co.jp/performance/cinema_sleepingbeauty.html
昨年末だったか、NHK『あさイチ』に熊川哲也氏が本作の番宣で出演していた。
プレミアムトークのゲストだったが「自分の宣伝が終わり次第、番組途中で帰る」
という前代未聞の暴挙?に出ていた。笑
K-BALLET は、以前NHK-BSのドラマ『バレエ・カンパニー』に小林美奈と成田紗弥が出ていて(踊りだけでなく演技も上手いなー)と感心したのを覚えている。
昔、私が師事した佐々木美智子先生は「クラシックバレエの演目はちゃんちゃらおかしい話ばかり」と喝破していたので、熊川氏が『眠り』をどう作り直したのか興味が湧いた。
ネタバレすると、オーロラ姫が誕生した時、「将来の結婚相手になりそうな王子がいる」近隣国の王達には祝宴の招待状を出し、隣国の王カラボスを除け者にしたせいで、カラボスの恨みを買った次第。そりゃフロレスタン王が非礼だわ。怒って殴り込みをかけるカラボスもどうかと思うが。
(余談だが、フロレスタン王だけ外国人キャスト、グレゴワール・ランシエだった)
フロレスタン王国を守護するリラの精は、カラボスの呪いを緩和する魔法をかけた。
青い鳥とフロリナ王女、白猫、花の精や蛙などが遊ぶ楽しい森に遊びにきたオーロラ姫は、イケメンのデジレ王子と偶然出会う。
カラボスは抜かりなかった。招待された王子の1人であるデジレ王子に目をつけた。手下の赤ずきんを使って彼を森へ誘い込み、オーロラに黒い薔薇を渡して呪いを実現するよう彼を洗脳した。
その後、2人はオーロラ姫16歳を祝う宴で再会する。姫は4人の王子と踊る(ローズアダージオ)が、やはりデジレ王子(彼だけが黒系の衣装。カラボスに洗脳される前は他の王子のように明るいトーンの衣装だった)を選ぶ。呪いの黒薔薇を渡された姫は倒れる。
この時、ガラスの棺が登場する。
オーロラ姫を収めて蓋をした途端、棺の中にスモークが充満して真っ白になる演出が!
えっ、これ大丈夫?窒息しないの?と驚いた。
その後、すぐ幕が降りるので、たぶん中の人は大丈夫。
2幕目でガラスの棺が再登場する時もスモーク真っ白状態で出てくるが、蓋はすぐ開けられていた。にしても、あれだけスモークを吸ったら踊るのはしんどかろう…。
原作だとオーロラ姫は100年も眠り続ける設定だが、それでは姫が「浦島太郎」になってしまう。熊川演出は違った。生死の境にいるオーロラ姫が、深い森の中でジゼルみたいな踊りをする幻想シーンがあり、デジレ王子はリラの精に洗脳を解かれ、カラボスを倒す魔法の剣を授かる。そして、狼と戦い、ついにはカラボスを倒し、呪いを解く。
第3幕は2人の結婚式。森の仲間達や宝石、フェアリーが踊り華やかな祝宴に。
折々に出てくる執事が一番深々とかっこいい姿勢で王にお辞儀をするのはここ。
(1幕目では「なぜこんなにお辞儀が浅いのかな?」と思っていた。笑)
ラストの大団円は、手前中央にオーロラ&デジレ、奥の中空にリラの精だったが、
なぜかその間にちゃっかり執事が納まりセンターでポーズを決めたのには笑った。
(執事の衣装は茶色なのでバランス的に良い締め色になってはいたが)
バレエは無言劇だから幕間に文字で解説が入り、昔のサイレント映画みたいだった。
実は、佐々木先生に習っていた頃、フロリナのバリエーションを踊らされたことがある。これらは、ジゼルとかと比べて非常に易しいバリエーションだ。
しかし、K-BALLETを観て、私は溜息をついた。
とてもじゃないけど、普通の人間では、絶対こんな風に美しく踊れない!!!
振付を知っていて、その動きを実際やったらどんなに難しいか体で知っているから、
それを涼しい顔でこなす技術力・表現力に絶句した…。
また、K-BALLETの人たちは体型がとても美しいのだ。
フィギュアスケーターは以前として「ザ・日本人」だが、バレエダンサーは違う。
世界で戦えるレベルの人たちは違うわ!と痛感し、圧倒された。
最近よく観ているライブ映画同様、折々に拍手喝采して舞台同様に楽しんだ。
終映後、階段を降りた私は、最前列に座っていた高齢の上流夫人2人組に声をかけた。
実は入場時、先客の彼女達が「この舞台はもう一度見たかったの」と言っているのを
小耳に挟んだからだった。
「あの、前回は生の舞台をご覧になったのですか?」と私が尋ねると、
背の高い方のご婦人が「ええ、東京公演を見に行きました」と教えてくれた。
東京公演ではアンコールで熊川氏がちょっと踊ってくれたそう。
「もうお席が少なくなっていたところ、偶然良いお席が取れたものですから」
「とても良いお席で鑑賞できましたねぇ」
「でも、シネマも良かったですね。ダンサーの顔の表情がアップでよく見られて」
「そうね。東京公演とはキャストが違っていましたしね」
「とても良かったから、DVDが出たら買いましょう」
そんな会話を、2人は上品な標準語で話している。
「あの、今日はどちらからお越しになったのですか?」と私は聞いた。
「宝塚から、泊まりがけで来ました」という。
「えっ! 大阪では、上映館がなかったのですか?」と私は驚いた。
「それが、枚方しかなかったんです。なので、ホテルをとってここまで来ました」
「枚方ですか…それは…」
なぜ、枚方??? 興行計画、もったいなくない?爆
「母はもう90を超えていますので。これからホテルでゆっくりします」という2人に
「どうぞお気をつけて」と挨拶して、私はトイレへ。
トイレから出ると、目の前を先ほどのご婦人達が歩いていた。
すっと背筋か伸びた美しい後ろ姿に、バレエ経験者だなと察した。
お召し物も上等・上品で趣味が良かった。ああ、「上流階級」って感じだわ…。
それがこんな場末?の映画館までお越しになるとは。
ふと、映画は庶民にも開かれた有難い文化だな、と感じた。
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シネマ歌舞伎はよく観ているが、映画館でバレエ鑑賞は初めて。
いやー、とても良かった!
K-BALLETは非常にレベルが高いカンパニーで、技術はもちろん、スタイルもお顔も、海外のダンサー達に引けを取らないなと感心した。
さらに、熊川哲也の新演出が素晴らしい。
「お姫様が100年も眠り続ける」浦島太郎的悠長な話から、現代人の感覚に合わせたスピーディーでドラマチックな物語に仕立て上げた。舞台美術も衣装も非常に美しかった。短いシーンでしか使わない衣装が多くて非常に贅沢!
オーロラ姫役の日高世菜は可憐で清純、カラボスに洗脳されるデジレ王子を演じ分けた山本雅也はイケメン、リラの女王役の成田紗弥は華やかさと風格を備え、カラボスの小林美奈は持ち前の演技力を発揮して凄みのある踊りで悪を表現した。
ダークな赤ずきん役の山田夏生は個性的、狼の杉野慧はワイルド。
白猫の辻梨花と栗原柊のしなやかな動きには目を奪われた。
吉田周平のブルーバードはガッチャマンみたいだが意外と軽そうな衣装。岩井優花のフロリナ王女衣装も美しく、2人が舞台にいるととても華やかだった。
佐伯美帆・堀内将兵・戸田梨沙子のジュエルズは上手かった。
女性ダンサーは涼しい顔でトリプルピルエットを何度も繰り出すし、男性ダンサーは高い跳躍で観客を沸かせていた。が、皆優秀なれど往年の熊川氏を凌ぐ者はおらず。やはり御大は偉大だな!と感じた。
チャイコフスキーのこの曲を「バレエ音楽の劇伴として」通しで聞いたのは初めてな気がする。熊川氏はこの音楽をとてもよく理解し、うまく使っていた。オーロラ姫16歳の誕生祝いの宴、ローズアダージオのシーン。時々、ホーンが不穏な和音を奏でている。ん?不吉な…と思うとパッと明るい音楽に変わる。そんなことが何度か繰り返され、カラボスの仕組んだ企みを観客は意識するのだ。
やはりバレエ音楽は、オケ単体ではなく「バレエを観ながら聴く」方が面白いし、よく理解もできるなと感じた。
映画.com
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Filmarks
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【INDEX】バレエ / 関連日記
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