2月3日(土)、シネリーブル梅田にて朝イチの回を鑑賞。観客40人!
公式
https://www.oscarpetersonmovie.com
(以下、レビューに加筆しました。ぜひ動画をお聴きください!)
10代からオスカー・ピーターソンのファンなので、公開2日目に鑑賞した。
ミニシアターは賑わっていた。ジャズ映画では珍しく男女半々くらい。
対象は超一流、ドキュメンタリー映画としてはまぁ普通。
オスカーの代表曲を新録で演奏する動画を随所に挟む工夫は悪くないが、
個人的にはオスカー本人の演奏をもっと聴かせてほしかった。
Orange Colored Sky ナット・キング・コールやナタリー・コールの唱が有名
Hymn to Freedom | Jackie Richardson 歌詞付きバージョン
オスカーの生い立ちはカナダ生まれ程度しか知らなかったので興味深かった。
父は船乗りでピアノを独学。妻子にも音楽を学ばせた。オスカーはトランペットを吹いていたが肺病でピアノに転向。父にレコードで聞かされたアート・テイタム「4本の腕」に衝撃を受け、2週間ピアノに触れず泣き通したそう。後にオスカーは「技巧的すぎる」と批評された際「光栄だ。アートもそう言われていた」と返したとか。
13歳のオスカーを音楽プロモーターのノーマン・グランツが発掘、NYに呼び寄せた。就労ビザなしで来たのに、いきなりカーネギーホールの舞台に上げられてプロデビュー。オスカーは最初からトップアーティストだった。スウィング感、親しみやすさ、品格、闇酒場のブルージーな雰囲気まで、自然に備えた稀有な存在だった。
オスカーは最初、ナット・キング・コールに憧れてギタートリオ(gt.ハーブ・エリス)を組んだという。(gt.は後にds.エド・シグペンと交代)
オスカーはナットばりの弾き語りを聴かせる隠れ名盤『Romance』を後に出したが、やはりナットが大好きだったのだなと得心した。
オスカーがピアノ伴奏、ナットは歌と役割分担した2人の共演映像を、音響が良い劇場(odessaシアター)で観られたのは収穫だった。
Tenderly-Nat King Cole with Oscar Peterson 1957
Nat King Cole Show Feat JATP Sweet Lorraine

Oscar Peterson『Romance』
https://youtu.be/RbGyXVZuLYM
本作の収穫といえば。ノーマン・グランツの人と業績を知ったことは非常に大きかった!
私は昔からVerveを愛聴してきた。名門ジャズレーベルVerveがノーマン・グランツのものだとは知っていたが、彼がどんな人かは全く知らなかった。
グランツは優れた興行主でもあった。
「Jazz At The Philharmonic(JATP)」は黒人ジャズアーティストたちをカーネギーホールなど一流の会場で演奏させ、ジャズの社会的地位向上を図ったコンサートだった。そういえば、Verveの作品ライナーで「JATP」というクレジットを見たような…。JATPは世界巡業を行い、来日もした。公演の際、グランツはサービス精神を発揮し、日本語で挨拶。その珍しい音声を本作で聞くことができた。
ノーマン・グランツは、ウクライナ系ユダヤ人の血を引くアメリカ人。ジャズに熱中し、興行を仕切るようになると、一流の黒人ミュージシャン達を白人ミュージシャンと同等に扱い、世の人種差別と徹底的に戦っていった。
グランツの戦いは、アカデミー賞受賞作『グリーンブック』など足元に及ばないほど敢然としていた。彼はタクシーの前で警官に銃を突きつけられても怯まなかった。また、白人用ホテルを断られて以降、家族同然となっていたJATPツアーの一行は全員黒人用ホテルを利用した。黒人を差別する会場警備員には「今日、この会場は俺のものだ。だからトイレも自由に使わせる!」と言い放った。
カナダからやって来てJATP米国巡業に加わったオスカーは、アメリカ国内の激しい人種差別に驚いた。そして1962年、キング牧師の演説に共鳴したオスカーは、名曲「自由への讃歌(HYMN TO FREEDOM)」を作曲した。
キング牧師は凶弾に倒れたが、「HYMN TO FREEDOM」は公民権運動のアンセムになった。オバマ大統領の就任式で、同曲は子ども達によって歌われた。
Oscar Peterson - Hymn To Freedom(1964)
最初は静かに弾き、徐々に「鍵盤の皇帝」の正体を表すのが彼のスタイル。笑
ステージ中心の生活ゆえ、家庭の維持は難しかった。オスカーは3度離婚。元野球少年で子ども好きだったそうだが、後年まで子供を可愛がる暇はなかったらしい。
4人目の妻は白人。レストランでフロア担当だった若い彼女を見初め、口説き落とした。1993年に脳梗塞で倒れたオスカーを現役復帰までサポートしたのはこの4人目の妻だ。
小曽根真や上原ひろみをはじめ、数多のアーティストがオスカー・ピーターソンに憧れた。その中の一人、ビリー・ジョエルは「ある時、僕のライブにオスカーが来てくれたんだ!」と今なお感激露わに語っていた。
本作ではクインシー・ジョーンズやハービー・ハンコックなどが登場、クリント・イーストウッドがレイ・チャールズと「オスカーの演奏はヤバいよね」と楽しそうに語り合う映画『ピアノ・ブルース』の映像も入っていた。また、オスカー・ピーターソン・トリオと素晴らしい2枚組アルバムを作ったフレッド・アステアの写真も紹介されていた。

Oscar Peterson & Fred Astaire Norman Granz Sessions
https://youtu.be/9-T_0W3pKjY
オスカー・ピーターソンに興味を持った方に、ご機嫌な名盤『We Get Requests』(1964)をぜひお勧めしたい。超有名スタンダード曲の詰め合わせで聞きやすい。
レイ・ブラウン(bs)、エド・シグペン(ds)からなるピアノトリオ、絶頂期の演奏だ。

We Get Requests(Full)
https://youtu.be/C51CVmjkAyo
https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1833905&id=5665128
映画.com
https://eiga.com/movie/97734/
Filmarks
https://filmarks.com/movies/105028
ノーマン・グランツ、ヴァーヴを生んだ男
https://www.facerecords.com/blog/2022/02/ノーマン・グランツ、ヴァーヴを生んだ男.html
ノーマン・グランツとVerveの変遷 (ビーターソン発掘の経緯が書かれている)
https://soe006.com/jazz.php?no=031107
ジャズの歴史と、ノーマン・グランツが作ったジャズ・レコード・レーベルの数々
https://www.関西買取.com/archives/1462
Jazzと読書の日々 「HYMN TO FREEDOM」解説
https://wineroses.hatenadiary.org/entry/20110424
ジャズピアノの魅力が存分に詰まった、歴史に残る名盤
『プリーズ・リクエスト』(We Get Requests)解説
https://tororopizza.com/we-get-requests-oscar-peterson/
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