言霊

まずは能登地震の被災者の皆様にはお見舞い申し上げたい。
私は、多額の寄付ができるわけでも現地ヘルプへ行けるわけでもないので、それ以上は言えないのだが、とにかく1日も早い復興を願っています。

というわけで、いくつかミクシーの日記などを拝見したが、どうもこのての災害時になると、あーだこーだ言い出す輩が出てきて嫌になる。
僕の持論は、「何もしない奴は黙ってろ」なんだが、ちょっと嫌なのが
「心配です」と言っている奴ら、偽善もいい加減にしろ、みたいなことを言っている奴がいた。どうせ酒飲んで箱根駅伝みているくせに、言葉だけは「心配です」っていう偽善者が多くてむかつく、という内容だった。
あと、ミュージシャンのYOSHIKIがいち早く寄付金を出したことに、「売名行為だ！」と言い出す奴とかね。
政治家の行動についてガタガタ抜かしたりね。現地に行ったら行ったで批判し、行かなかったら行かなかったで批判し、どっちに転んでも批判するじゃねえかよ！
まあ、こちらとしては「お前らこそとっとと死ね」としか思わないが。
やらない人間がやった人間に、「動機が不純だ」みたいな難癖つけるのって、絶対にやっちゃいけないことだと思う。YOSHIKIの寄付が売名行為かどうかなんて関係ないだろ。ともかく寄付金で助かる人がいるってことが大事なわけで、そういうことをぬけぬけ言うあたりが浅ましい。
家にいて「心配です」っていうだけの偽善者、という輩もそうだね。じゃあなにか？「私は正月を満喫したいので、無関心です」とでもいえばいいのか？
そういう人間のほうが、正直で好感もてるの？
どうも、インターネットが繁栄してからなのか知らないが、言霊の力を侮りすぎている奴が多い気がする。
言葉っていうのは、霊力が宿るって昔から言われているけど、僕は決してオカルトな話ではないと思っている。
誰かが誰かに「お前バカだし死んでほしい」なんていったとすると、少なからず言われたほうは心にダメージを受けるだろう。その結果、言われたほうの行動に何がしかの影響が出る。
片や、常に他人の非難ばかりしていたり愚痴を垂れ流していたりすると、吐いた言葉が自身の気持ちに影響するだろう。そんな負の気持ちで日々を過ごしていたら、うまくいくものもうまくいかなくなる確率はあがるだろう。
概ね、不幸なことばかり起こる人って、不幸だから非難や愚痴を言うのではなく、そういう負の発言ばかりする精神性が不幸を呼び込んでいる、と思っている。逆なんだよね。
人を呪わば穴二つっていって、呪詛の言葉を吐く奴は、自身も呪いにかかるっていうのは、すごくよくわかる。その精神性が既に不幸の道へ突き進んでいるわけなんだ。
トップアスリートのインタビューなんか聞いていると、まあ良いことしかいわない。体調は万全です、しっかり準備してきたので自信あります、とかね。これはそういうことで自身を奮い立たせているということだと思う。いわば自己暗示である。言葉によって不安な気持ちを払しょくするというメンタル操作の一環であろう。

悪い言葉を吐けば悪いことが起こり、良い言葉を吐けば良いことが起こるというメカニズムってこういうところにあるんじゃないかって思う。

さて正月も松の内を過ぎたが、「一年の計は元旦にあり」と言う。正月は年神様が降りてきて子孫の繁栄を見守ってくれると信じられてきた。だから元旦は年神様をきちんとお迎えする行為をすることで、１年を見守ってくれるという信仰だろう。
これも宗教的にそう解釈されるのは、１年の最初の日をきちんと過ごすことで、新しく始まる１年間に向けてよい習慣をつけておくということだろう。「始めよければ終わりよし」とも言う。
正月は、「あけましておめでとう」というが、とにかくめでたい言葉しか言わない。ハレの日にケの言葉を吐かないということで、「おめでとうございます」なんだろうな。
良い言葉を吐くことで、良い精神でもってこの１年を過ごせるという知恵なんだと思う。
しかし、ＳＮＳの時代になってから、元旦早々、グチグチグチグチ他人の非難をして平気なのも多い。
これは、言霊信仰というのが日本人に薄れてきたからなのかもしれない。というより、インターネットで自分語りができるようになって、言霊信仰が破壊されたんだろう。
断っておくが、心で何を思おうが自由だ。誰かを恨んで殺してやりたいと思っていたとしても、それは勝手にやってくれって話。しかしそれをいちいち言葉にするなってことで、言ってスッキリするなら、穴でも掘って「王様の耳はロバの耳」って大声でわめいてくりゃいいじゃないか。

それともう１つ嫌なのが、先ほどの「心配だ」と言っている奴は偽善者だとか宣うタイプに多いのだが、「私は他の人間と違って、真実を喝破できる能力が高いんです」と思っている節がある。
他の人はその偽善に気づかずに、表面だけみて語るけど、俺様はそんな偽善は見抜いていて、表面しか見れないバカどもに真実を教えてやる、といった非常に浅薄なアホくさい選民思想を持っていそうなのである。
残念ながら、あなたは特別でも何でもありません。そんなことはやろうと思えば誰だってできるのです。
最近よく聞く言葉に「逆張り」というのがある。多数の意見に対して逆のことを言えば良いだけ。これで少数派意見となり、他の人には気づいていない真実を見抜いているぜと言い張ればそれで済。それをやっているに過ぎない。
簡単なことで、例えば多くの人に「あの人は他人が困っているとすぐに助けてくれる良い人だ」と評価されている人がいたとすると、「いやあの人は助けるふりをして恩を着せ、それを利用して自分の利益につなげようとしているだけの私利私欲の強い嫌な奴だ」と言えば、逆張りの成立である。
こんなのはどうとでも言えてしまう。だからといって、逆張りした奴が「真実を見抜いているすごい奴」なわけでは全然ないんだが、それで自身に酔っているのである。
人間の行為・言動は捉え方ひとつでいくらでも変化する。
おそらく多くの人は、言霊の力が常識として根付いているため、「嫌なこと、負のことは言わない」ということをしているわけで、いい大人になれば、いろんな考えや感じ方を持っているが、そこはグッと飲み込んで、言動を配慮しているだけなのである。能力の高低でいえば、僕は逆張り野郎よりもよほど能力が高いと思うのだが。いやそういう良識的な人が能力が高いというより、逆張り野郎の能力が低いと言ったほうが正解か。
まああれか、いい年して中二病をこじらせてしまったというところなんだろうが、中二病的発言を繰り返すほど、周りから軽蔑されていくことは知っておいたほうが良い。
なんだけど、何故かそういう人の特徴って、「こんな真実を見抜ける俺って、周りから恐れられそしてリスペクトされている」って思っちゃったりしているんだよねえ。厄介なことに。
いや恐れているんじゃなくて、誰もそんなバカ相手にしたくないだけなんだが。

というわけで、年明け早々に負の言霊を発してみました。