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2023年12月21日09:58

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『VORTEX ヴォルテックス』感想

〜「アレックス」「CLIMAX クライマックス」などで知られるフランスの鬼才ギャスパー・ノエ監督が、認知症の妻と心臓病の夫が過ごす人生最期の日々を、2画面分割映像による2つの視点から同時進行で描いた作品。「病」と「死」をテーマに、誰もが目を背けたくなる現実を冷徹なまなざしで映し出す〜
〜心臓に持病を抱える映画評論家の夫と、認知症を患う元精神科医の妻。離れて暮らす息子はそんな両親のことを心配しながらも、金銭の援助を相談するため実家を訪れる。夫は日ごとに悪化していく妻の認知症に悩まされ、ついには日常生活にまで支障をきたすように。やがて、夫婦に人生最期の時が近づいてくるから<映画.comさんより>

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いくつかの作品でセンセーショナルを巻き起こしていたギャスパー・ノエ監督。
でも、私は、過去作はまるで未見。ずっと「お名前だけは・・・」の監督だった。
しかし、今作は「2画面分割」を予告編で見て、これは観ないといけないやつと確信。
やや、実験的な雰囲気ゆえ、失敗したらどうしようという不安を抱えつつ、いざ観賞。

ちなみに原題の「Vortex」は「渦(うず)」という意味。

始まってしばらくは、1画面で、認知症の妻の行動が映されていきます。
で、ある瞬間から、2つになり、2つの視点となります。
心臓に持病を抱える夫と、認知症を患う妻。
2つの画面が、それぞれ、心臓と脳、そのものに思えたり。

最初は、どっちを観ていいやら&どっちも追いかけたいで、ややバタバタ。
そのうち慣れてきて落ち着くのだが、あるシーンでハッとなった。どちらかが、左右の枠からはみ出た時。
2人の距離が近ければ=視点も重なり、そうなるのは当然なのに、なぜか驚きがあった。

で、これはややネタバレになってしまうかもだけど、ちょっとだけ。
夫が亡くなってしまう瞬間の、その背景のパソコン(かテレビ)のモニター映像が印象的だった。
血が脈々と流れている感じ。

で、亡くなった後、2画面の1画面がどうなったか・・・これがもう、もう、もう、とんでもなく切なかった。
マジ、震えた。背筋が凍った。これは、観てもらわないと、わからない感触。凄かった。

この夫婦の息子が、シングルファーザーなんだけど、お金がないらしく、父親にせがんだりして、しばやく役割がわからなかったんだけど・・・どうやら、麻薬常習者で、そこを監督は描きたかったんだろうなと。
つまり、病気でもないのに、意図的に意識を遠のかせているっていう。
両親それぞれ病んでいて、その間にいる息子がこの状態。いや〜、なんともはや。
でも、役どころとしては、もうちょっと深いものが欲しかったかも。

※予告編
https://youtu.be/wjh8WnczXnE

夢の夢の夢。。。

途中、ミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』を思い出したり〜。
本音を言うと、結構、淡々としていたので、途中、ちょっと飽きた瞬間も。148分は・・・長かった。
それでも、ところどころに、ハッとさせられるので、油断厳禁。
終盤のアパートメントのスライド画像。そして、ラストシーン・・・。
好みはあると思いますが、この画期的な試みは、体感する価値はあります。3.8☆
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