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2023年12月15日22:03

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『マエストロ その音楽と愛と』感想

〜「アリー スター誕生」で監督としても高く評価された俳優ブラッドリー・クーパーの長編監督第2作で、「ウエスト・サイド物語」の音楽などで知られる世界的指揮者・作曲家レナード・バーンスタインと女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインがともに歩んだ激動の人生と情熱的な愛の物語を、バーンスタインの雄大で美しい音楽とともに描いた伝記ドラマ〜
〜クーパーがレナードの若き日々から老年期までを自ら演じ、キャリー・マリガンがフェリシア役を務める。クーパー監督と「スポットライト 世紀のスクープ」のジョシュ・シンガーが脚本を手がけ、製作にはマーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグが名を連ねる〜<映画.comさんより>

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今作よりも先に観ていて感想を書いていない作品は山のようにあるんですが、これはネットフリックス作品で、12月20日から配信が始まるので、その前にと急いで書いています✍
是非とも、劇場観賞がオススメだからでございます。

まず、私はバーンスタイン、詳しくないです。
『ウエスト・サイド物語』の曲と『オン・ザ・タウン』の♪ニューヨーク・ニューヨークを知っている程度。
レナード・バーンスタインはユダヤ系アメリカ人で、指揮者でもあり、作曲家でもあり、ピアニストでもあり、そして、同性愛者でもあった。
で、あと『TAR』で、ケイト・ブランシェットが尊敬していたのが、確か、バーンスタインでしたよね。

冒頭は、妻を亡くした後のレナードが、取材なのか、撮影クルーの前でピアノを弾いている。

で、その直後のシーンに目が点!
真っ暗なんだけど、うっすらとスクリーンいっぱいに四角い枠が見えていて、最初は何がなんだかわからない。
しばらくして、声が聞こえてきて、それが電話での会話で、のちに一大センセーションを巻き起こすレナードへの「代役指揮」の依頼だったことがわかる。
電話が終わると、レナードが飛び跳ね、ベッドにはもう一人の男性の姿。
おおぅううう〜、上手いね。

それからも、目を見張る演出が次から次へと。
自宅部屋の扉を開けたら、いきなり劇場だったり、フェリシアと食事してて「よし、今から行こう」って、いきなりまた劇場だったり。

ちなみに、今作、前半の過去のパートはモノクロ。後半はカラーとなっていきます。
ピュアで混じり気のない時期と、色めいて謎めいて混乱を巻き起こす時期。

ウィキペディアにも書かれていたんですが、レナードはヘビースモーカー。
タバコを吸ってないシーンがほぼ無いんじゃないかと思われるほど、ずっと、ずっと吸ってます。
フェリシアも吸ってましたが、レナードの量は恐ろしき。

あと、2人とも早口です。実際もそうだったのかしら。2人とも頭の回転が速かったからっていう気がする。

レナードはフェリシアと出会い、結婚。
成功と名声を手にしていく中、レナードに同性愛の傾向があるのをフェリシアは知ってしまいます。
そのことについて、レナードが娘ジェイミーと話すシーン。
カメラは2人に近づいています。
その直後、レナードがフェリシアに娘と話したことを告げるシーン。
カメラは2人からかなり離れていて、会話も小声となっています。

これって・・・この距離の違いって・・・この演出って・・・。
おそらく娘には、傷つけないように、気を配りながら自分の思うことを話した。
(「嫉妬なんだよ」みたいなこと言ってたような)
でも、妻には、どこか偽って話したっていうことだったのでは。

次に目に留まった演出は、サンクスギビングデー。
自宅の一室で、レナードとフェリシアが言い争いになっています。
それぞれの後ろには大きな窓があるのですが、フェリシアの背後の窓のカーテンはすべて開いているのですが、レナードの背後のカーテンは半分ぐらい閉じたまま。
これ、私、意図的だったと思いました。それは心を意味しているんだろうと。
そして沈黙の中、外ではパレードが始まり、その窓から巨大なスヌーピーが動いていくのが見える。

フェリシアは乳がんを患い(病名を告げられる時の壁の冷たさ&医師の演技が良かった)容態はどんどん悪くなっていく。
そして、いよいよ最期が訪れるんですが、その瞬間の描写も良かった。窓の外を走っていく子供。

※予告編
https://youtu.be/8CQo7vNxfeg

ちなみに、バーンスタインが実際のお仕事をしているシーンは比較的少なめ。
『ウエストサイド物語』の曲作りしているところもほぼ無し。
それでも、指揮、作曲、ピアノ演奏、どれにも長けていたことはわかりました。
メインの物語は、夫婦愛。

しかし、バーンスタインの周囲に隠さない男性愛には、フェリシアと共に、頭を抱えました。
あと煙草のみならず、お酒も多め、かつドラッグもやってて、いつもテンション高めだったのが、印象的。

キャストはやはり、ブラッドリー・クーパーは凄かった。
全ての年代を全部演じているんだけど、まるで違和感ないし、年齢に応じて話し方が変わっているけど、芯の部分は変わってない。
感情表現が大胆なところもあれば、繊細なところもあって、超、上手い。
終盤のマーラーの曲を指揮シーン(ワンカットで約6分)はとにかく圧巻なので、これも劇場観賞をオススメする理由のひとつ。
町山さんによると、ブラッドリーはこの6分のために、6年間練習したとか!
で、ブラッドリーに負けず劣らず、キャリー・マリガンもとんでもなく素晴らしいの。
レナードの恋人役のマット・ボマーのシーンはあまり覚えてないたらーっ(汗)
レナードの妹役のサラ・シルバーマンは久しぶりに見たなあ。
(私が愛するマイケル・シーンが大昔つきあっていた女性ゆえ、気になってしょうがなかった!?)

忘れちゃいけないのが、今作のメイクはカズ・ヒロさん。
そう『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』で、アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を日本人ではじめて受賞した方です。
今回も見事なお仕事をされています。

今作「芸術性」という点では、とにかくハイレベル。演出は私好み&演技は超一流。
賞レースが始まってますが、ゴールデングローブ賞では、作品賞、監督賞、主演男優、主演女優で、ノミネートされています。
オスカーノミネートも確実だと思われます。
べた褒めしてますが・・・実は、心の奥深くまでは、届かなかった感もあります。
それでも、洗練された素晴らしい作品ですので、どうか、どうか劇場でご覧ください。4.3☆

追加:町山さんが動画で話していたことバッド(下向き矢印)
「バーンステインがつきあっていた(愛人にしていた)男性たちは、いわゆる自分より下の人間たち。『TAR』は、もしバーンスタインが現代で同じことをしていたら、どうなっていたかっていう作品」


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