〜田舎に移住した夫婦が閉鎖的な村で住民との対立を激化させていく姿を、スペインで実際に起きた事件を基に映画化した心理スリラー。「おもかげ」のロドリゴ・ソロゴイェンが監督・脚本を手がけ、主人公夫婦の夫を中心に描く第1部と、妻を中心にした第2部の2部構成で描く〜
〜フランス人の夫婦アントワーヌとオルガは、スローライフを求めてスペインの山岳地帯にある小さな村に移住する。しかし村人たちは慢性的な貧困問題を抱え、穏やかとは言えない生活を送っていた。隣人の兄弟は新参者の夫婦を嫌い、彼らへの嫌がらせをエスカレートさせていく。そんな中、村にとっては金銭的利益となる風力発電のプロジェクトをめぐって夫婦と村人の意見が対立する〜<映画.comさんより>
予告を見た限りではわかりやすそうなテーマ。
日本でも、都会から田舎に移住したものの、定住先で問題を抱えてしまうパターンもあるとか。
さて、今作は、どんな展開が待っているのか?
冒頭は、この村での男たちの馬の捕まえ方の動画。
素手で捕まえ、印をつけて、また放す。
(おそらくこれは、中盤のあるシーンの伏線にもなっていたかと)
まず夫婦がフランスからこの田舎村に引っ越ししてくるところから始まるかと思いきや、すでに夫婦は定住して、すでに数年?経っているという設定。
オーガニックな野菜を育て、それを市場で売って生計を立てている夫婦。
廃墟のようになっていた物件に手を入れ、村おこしの手助けをしたいという心意気もあった。
だが、彼らの存在を快く思わない人間たちがいた。
とりわけ近くに住む兄弟(シャンとロレンソ)だ。
理由は、風力発電会社が彼らの住む土地の一部を買い取るオファーを出してきたにも関わらず、この夫婦は景観が乱されるとその計画に反対していたからだ。
そのお金をあてにしていた兄弟は、じわじわと夫婦に嫌がらせをしかける。
ある時、突然車が動かなくなるアントワーヌ。
近所に住むロレンソ(もしかしてシャンだったかも?
)の車が通りかかり、乗せてくれると言うので乗ろうとしますが、近寄ると車を走らせるという嫌がらせを何度もやります。
(これ、見ているだけイライラしたから、実際やられたら、相当腹立たしいはす。しかし、故障した車は結局どうなったんだ〜?)
その後は農場に侵入して、夫婦の椅子に排尿。
相当酷いと思ったのが、予告でも出ていた収穫間近のトマト。
何かがおかしいと感じたオルガがトマトを開いてみると、中は腐っていた。
アントワーヌは水の問題に違いないと井戸に潜ると、なんとそこにはバッテリーが投入されていた。
(私、すぐには理解できなかったんだけど、水に鉛を混入させたっていうことみたいです)
地元警察に被害を訴えに行くが、親身になってくれない。
アントワーヌは、ビデオカメラを持ち歩き、何かが起こりそうな時は録画するようになる。
外からやってきた人間がその村のことを「ここは理想郷だ」って言っていたら、普通は喜ぶと思うんですが、この夫婦は村に入ってくるお金を妨げているわけで〜。
村には村の事情がある。昔からずっとそこにいて、教養もなければお金もない人間たちがずっとなんとかやってきた。
だがもうかなり限界。お金が必要なのだ。
事情がわかってきたアントワーヌは意を決して、ある条件のもと、あと1年だけこの村にいさせてほしいと兄弟に頼みますが・・・。
※予告編
https://youtu.be/VkgmxPaMNTI
しっかし、ドゥ二・メノーシェ、ついこの前『苦い涙』で若い男の子にキャッキャッ言ってたのに、一転してシリアスな役どころです。
あと、妻役のマリナ・フォイスともども、フランス語のみならず、スペイン語も流暢で素晴らしかった。
後半は妻がメインとなります。また夫婦の娘(シングルマザー)が登場。
このあたりから、私の期待した展開とは、どんどん違う方向へ。
そこまで核となっていたテーマから、枝葉が分かれたというか、別のテーマ(母と娘の考え方の違い)が出てきて・・・。
娘は母のこの土地への執着が理解できない。
母「あなたの生き方を私がとやかく言ったことある?」
あれっ?最初のテーマはどこへ?このあたりで、今作への評価も分かれそう。
エンディングが、予想していた感じとはまるで違って「えっ?そこで終わるの?」みたいな。
いや、でも、それは『理想郷』っていう邦題のせいかも。
原題は『As bestas』=「獣たち」の意味で、そっちを意識するとそこそこ納得できるかも。
でも「どっちが獣だったんだ?」っていう見方もできたりで、モヤモヤ。
とりあえず、見応えはあります。3.8☆
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