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2023年11月02日10:40

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『燃えあがる女性記者たち』感想

〜インドで被差別カーストの女性たちが立ちあげた新聞社「カバル・ラハリヤ」を追ったドキュメンタリー〜
〜インド北部のウッタル・プラデーシュ州で、カースト外の「不可触民」として差別を受けるダリトの女性たちによって設立された新聞社カバル・ラハリヤ(「ニュースの波」の意)は、紙媒体からSNSやYouTubeでの発信を中心とするデジタルメディアとして新たな挑戦を開始する。ペンをスマートフォンに持ちかえた女性記者たちは、貧困や階層、ジェンダーという多重の差別や偏見にさらされ、夫や家族からの抵抗に遭いながらも、粘り強く取材して独自のニュースを伝え続ける。彼女たちが起こした波は、やがて大きなうねりとなって広がっていく〜<映画.comさんより>

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わかってます。わかってます。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の感想はどうしたんだ?とあせあせ
でも、今作の上映が終わってしまわないうちにと、優先します✍

今作の観賞前は、インドのカースト制度は4つに分けられた階級とだけの知識でした。
ゆえに、今作で「ダリッド(不可触民)」というカースト枠外で、最下層に位置づけられ差別を受けている人々のことはまるで知りませんでした。
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で、それを踏まえると改めて驚くんです。そんな状況下で生きている女性たちが新聞社を設立!
彼女たちは大手メディアが注目しない農村の生活や開発など地方自治の問題を取り扱う。

主任記者のミーラ「この国はロボットを飛ばせるまでに発展したのに、この分野(差別や偏見)については遅れてるの」

ある女性がレイプされて、警察に被害届を出しに行ったのに、受理してもらえなかったという話を聞いたミーラ。
警察に出向くが担当者は「そんなことはない。無視するわけがない。きっと前任者が受理したんだな。私は聞いていない」と淡々と答える。

警察の態度は、おそらくいつもこんな感じなのであろう。
自分はしっかり仕事をしている。お前たちにとやかく言われる筋合いはない。
観ているこちらは、イラついてくるが、ミーラたち記者は、常に身の上をわきまえた低い姿勢で接している。
取材前から、こちらは見下されている。話を聞き出すには、とにかく丁寧に、忍耐強くやらなければいけない。

時代に合わせて、カバル・ラハリヤも紙媒体から動画配信へと移行してゆく。
初めてスマホを配られた時の女性たちの表情たるや!
中には、英語がわからない記者もいるので、ミーラは時間をさいて英語を教えることに。

彼女たちの取材、そして記事のおかげで、様々な改善が巻き起こる。
・ぬかるんでいた道は立派な道路になった
・雨が降ると水が溢れ出していた場所には水路ができた
・電気が無かった村には電気がついた

「カバル・ラハリヤのおかげだ」
彼女たちの頑張りが、村を、人々を、社会を、変えていく。

ある時、別の村でのレイプ犯を追って、話を聞きに行くと被害者の親が言う。
「この村ではよくあること。外の人には話したくない」
記者も観客もため息・・・。

別の時、ミーラと記者2人が大事な取材に行く際、1人のスマホの充電がもうあまりないと言い出す。
ミーラ「モバイルバッテリーは?」
その彼女「家に電気が通ってないので」
そっか・・・。

ミーラには小さな子供もいるし、夜遅くまで仕事で家に帰ってこない妻に、夫はもはやあきれ顔。
夫「お前の妻は外で何をやってるんだ?っていう目で見られている」
(それでも、ミーラの夫は、比較的優しい男性で、ホッ)

スニータは若くて有望な記者なのだが、結婚していないことを家族からとやかく言われている。
「(階層を問わず)誰とでも結婚できたらいいんだけど・・・。親孝行のためにも結婚しないといけないのはわかってる」
「いつまでも結婚しないと、この村では、本人か家族に何か問題があるように思われてしまうの」

こんな状況下の中で、彼女たちは、誰にも聞いてもらえない叫び声、凍えて今にも消えてしまいそうな声を今日も拾い上げているのだ。

※予告編
https://youtu.be/7FWx2SXVHcE

皆で旅行に出かけるシーン。場所はどこだったかはわからなかったけど、なんと雪の風景が出てきて、ビックリ!
これからの1人1人の目標が語られる。あぁああああ、燃えているぅううう!炎

終盤、初めての海外出張でスリランカを訪れたスニータは、普段とは違う、カジュアルな洋服姿で海辺に登場する。
ビーチの彼女の表情は、自由そのもの。その姿に、こみあげるものがあった。

今作は、完成までに5年の歳月を費やしたという。
彼女たちのことを知れて良かった。カバル・ラハリヤについて教えてもらえて良かった。
本当に素晴らしいドキュメンタリーです。多くの人に観てもらいたい!!!!! 4.5☆

※追加
彼女たち記者に危険な目は及んでないのかが、ずっと心配だったんだけど。。。
最後の方のテロップで、確か「これまで40人のジャーナリストが殺された」っていうのが出てきて、やっぱり危険と隣り合わせでの取材なんだと改めてわかりました。
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