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2023年03月29日07:23

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空気が読めなかった首相

2007年7月28日投票の参院選で、自民党1989年参院選の3議席と並ぶ3議席しか獲得できず、歴史的な敗北を喫しました。参院選に向けた一連のプロセスをふりかえると、メディアが大きな役割を果たしたことがわかります。

メディアによって、ドイツの世論研究者ノエル=ノイマンいうところの「意見の風向き」、ほぼ同じ意味を持つ日本政治のはやり言葉風にいえば「空気」が醸成されていったからです。同年5月28日の月曜日は「安倍内閣のブラックマンデー」でした。ここから安倍政権崩壊のドラマがはじまりました。

その前の週に5000万件の「宙に浮いた年金」が問題になり、週末には与党が年金法案の採決を強行していました。たまたま毎日新聞と日本経済新聞の世論調査結果が23日付朝刊で公表され、ともに内閣支持率が前月比で10ポイント超下落しました。

年金ショックでした。その月曜日の昼には、「なんとか還元水」発言など事務所経費疑惑を追及されていた松岡利勝農相が自殺しました。安倍政権に衝撃が走りました。続いて、久間章生防衛相の「原爆はしょうがない」発言、麻生太郎外相の「アルツハイマーの人でもわかる」発言と閣僚の問題発言が相次ぎました。

とどめを刺したのは赤城徳彦農相の事務所経費問題と「絆創膏事件」でした。対応は後手に回り、政権の危機管理ができないまま、テレビのワイドショーも政治をテーマにどんどん取り上げ、政権批判はとどまるところを知らなかった。ノエル=ノイマンの「沈黙の螺旋」仮説そのままに「空気」ができあがりました。

次から次へと報道の連鎖がうまれ、その結果、波がおこったのです。年金をはじめとするマイナス報道の波に、安倍政権は、もまれつづけました。波はついに渦になったのです。そして、最後は渦にのみ込まれて、安倍政権は海底深くに沈んでしまいました。

参院選に惨敗しても退陣せず、しばらく政権の座にとどまった安倍晋三首相は「KY(空気が読めない) 首相」と揶揄されました。そもそも世論の高い支持を背景に小泉純一郎首相の後を継いだ安倍氏です。ある「空気」ができあがり、世論に見放されていく安倍政権の過程は、メディアと政治を考えるうえで示唆に富んでいたのです。

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