梅に続いて桜が咲き始めて、花咲き乱れる春の季節になってきた。この良い季節にちなんで、今回は花の曲を１０選したい。花の名前の女性に捧げるラブソングも多いのだ。
曲 バンド アルバム
�� Cherry / Tai Phong [ Windows 1976 France ]
フランス叙情派シンフォニック・ロックの頂点であるタイ・フォンのメロディーはもともと美しいのが特徴だが、この曲「チェリー」はとりわけ哀切さが強くて、優美なピアノに乗せたヴォーカルが、ひときわ美しい。ヴォーカルはカーン・マイだと思われる。セカンド・アルバムCDのボーナス・トラックに収められているのだが、とても良い曲なのでシングル盤として発表されたものではないかと思う。「雨が僕の顔に降りかかり涙を散らす。チェリー、君は僕のただ一人の人。君を探してる。行かないで。」愛と悲しみを描いたラブソングだ。
�� Margaret / Kevin Ayers [ Whatevershebringswesing 1972 UK ]
ケヴィン・エヤーズの第3作にして最高作と言われる「彼女のすべてを歌に」の中のバラード。「マーガレット」というのは、当時の恋人の名前だったようだ。 ケヴィン特有の低い声で優しく歌ったラブソング。名作アルバム中でも一つの ポイントとなっている。「マーガレット、君は魔法の子。君を知るほど、その優しい愛し方に驚く。花から蝶ちょに向かって、僕はこのラブソングを歌うんだ」アコースティックでシンプルな曲に見えるが、実はピアノ、鉄琴、ヴァイオリン、チェロと、凝った音造りになっているのは、デヴィッド・ベッドフォードの手腕だろう。
�� Waterloo Lily / Caravan [ Waterloo Lily 1972 UK ]
「ウォータールー・リリー」は、キャラバンの代表作アルバムであると同時に、 曲としてもキャラバンを代表する名曲の1つである。ドライでクールなヴォーカルに続くのは、ファズのかかったギターやオルガンのソロで、かなりジャズっぽい。次々と繰り出されるノリの良いスリリングな演奏。たびたびリズムが切り替わるところも、メンバーの演奏がぴったりと一致していて、とてもかっこいい。
�� Black Roses / Mystery [ At the dawn of new millennium 2000 Canada ]
カナダのミステリーは、イエスのヴォーカリスト、ベノア・デヴィッド（ブノワ・デヴィ）がいたバンドとして知られるが、これはデヴィッド以前のヴォーカリスト、ギャリー・サヴォアがいた頃の作品。ミステリーのサウンドはイエスとは似ていなくて、叙情性の強いメロディーに、激しいドラマティシズム、そして少しメタルがかりエッジの効いたギターが魅力。この曲「黒い薔薇」でも、風の音とフルートの音に続いてヴォーカル、ドラムスが入り劇的に盛り上がる。良く伸びるハイトーンのヴォーカルも、絶好調だ。間奏で、ロックなフルートが吹きまくる。
�� Dandelion / Druckfarben [ Second sound 2014 Canada ]
カナダの5人組ドリュクファーベンは、ヴァイオリンをフィーチャーしたテクニカルなシンフォニック・ロックのバンド。ハードなギターとリズム隊の上に、ピアノやフルートが乗って来て、更には縦横無尽に駆け回るヴァイオリンがすごい。登場するヴォーカルはジョン・アンダーソンにもちょっと似たハイトーン少年声。イエスのようでもあるのだが、同時にジェントル・ジャイアントに影響を受けたと思われる複雑な曲作りだ。
�� Colder than a rose in snow / Sonja Kristina [ Sonja Kristina 1980 UK ]
カーヴド・エアを解散したソーニャ・クリスティナは、1980年にファースト・ソロ・アルバムを出した。元々フォーク志向の彼女だったが、この曲の導入部では生ギター１本をバックに切々と美声で歌い上げる。やがてキーボードやストリングス、更に間奏ではヴァイオリン音がかぶさってくる。声はやや頼りないような繊細な声なので、曲調にマッチして哀感たっぷりだ。「あなたと別れて、どうしたらいいかわからない。雪の中の薔薇よりも心は冷たいの」
�� Dance of the sun〜The remark〜Dance of the sun (Birth of the light) / Camelias Darden [ You have a chance 2013 Italy ]
イタリアの21世紀バンド、カメリアズ・ガーデンは3人組に弦楽器などゲストが5人。バンド名が「椿の庭」というので選出した。キャメル・フォロワーのバンドで、バンド名にもキャメルの文字が隠されている。導入部は、重いドラムスに乗せてピアノやキーボードが走り回る祝祭的な雰囲気だが、一転して生ギターとともに出て来るヴォーカルは、やや少年声の響きがあって陰翳豊かなものだ。本家キャメルのヴォーカルよりも張りがある。ヴァイオリン、チェロのほか、フルートやメロトロンも配置されていて、本格的なシンフォである。
�� …And the rose / Anima Dominum [ The book of comedy 1999 Brazil ]
ブラジル1999年のアニマ・ドミナムは4人組で、ころころとよく転げまわるピアノに乗せて、ちょと脆弱な感じの少年声ヴォーカルが可憐である。バンド名を含めて、キューバのアニマ・ムンディを連想させるところもある。この曲「そして薔薇」は、静謐に始まり、可愛らしい声がじっくりと歌い込むジェネシス・タイプの曲。2分過ぎからドラムスが入り、プログレらしいキーボードとギターの掛け合いとなる。ギターは 強く引っ張る泣きがたっぷりだ。
�� Marigold conjunction / Stackridge [ Stackridge 1971 UK ]
スタックリッジは初期のイギリス・バンドで、5人組。ポップとプログレの境目に位置するバンドで、出て来た当時「田舎のビートルズ」と言われたように、トラッド・フォークっぽいところもある。この曲「マリーゴールド連合」も、曲は薄い感じで、とつとつとしたヴォーカルとコーラスのバックにヴァイオリンが流れている。曲調にはどことなくユーモラスな余裕があって、この曲でも小さな黄色い花が咲き乱れているかのような可愛らしさがある。
�� Violet purple rose / Chris Squire & Billy Sherwood [ Conspiracy 2000 UK ]
イエスのご本尊であったクリス・スクワイアと、イエス風のヴォーカル、ギター、キーボードができるビリー・シャーウッドが合体して作ったアルバムなので、当然のことながらイエスっぽい曲が多いわけだが、この曲「スミレ色の薔薇」も例外ではない。メロディアスなヴォーカルの次に、軽快なリズムに乗せたコーラスが膨らんでいく。しかしドラムスが本家イエスほど前面に出ていないせいか、ヘヴィネスは弱いように感じられる。
[次点] Castle on the sand / La Tulip Noir [ Faded leaves 2002 Greek ]
ギリシャ2002年のチューリップ・ノワールは、女性ヴォーカルを擁する6人組。バンド名は、フランス語で「黒いチューリップ」。女性ヴォーカルがなんとも鋭い叙情を湛えていて、しっとりと力強くて伸びも良く、張りがある。波にさらわれていく砂の城を泣きのギターとともに、悲しみ一杯に描いていく。
〇その他候補にした曲
Dandelion / Jane
Lady rose / Mungo Jerry
All my sympathy for lily / Ant Mary
Cherry winters / Dream Tree
Rose / Crystal Lake
Dried flowers / Felamid
Cherry blossom clinic revisted / The Move
Black flowers White flowers / Vedres Csaba
Blossom hill / Wooly Wolstenholm
Isabella Dandelion / Kaamos
（参考）プログレ以外
Blossom lady / The Shocking Blue
Dead flowers / Rolling Stones
Violet hill / Coldplay
Violet may / Mr. Big
Bed of roses / Bon Jovi
花の首飾り／ザ・タイガース
桜の森の満開の下／人間椅子
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