mixiユーザー(id:124952)

2023年03月14日00:02

64 view

「Winny」感想

 週末、金曜は、TOHOシネマズ海老名で、
 「Winny」。

 これは、革新的ファイル交換ソフト“Winny”開発者の不当逮捕と戦った人々の実話を映画化したもの。
 主演は、東出昌大。監督は「ぜんぶ、ボクのせい」の松本優作。

 2002年、東大講師の金子勇は、PC間でファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を作製、試用版を“2ちゃんねる”掲示板で公開した。
 この「Winny」は、2台のPCの間で、あたかも1台のPCのようにデータの移動や複製を可能とするものであったが、その機能を悪用し、映画やゲーム、音楽などの著作物を違法に配布する者が続出し、次第に社会問題化していく。そんな「Winny」による著作権法違反をした者が逮捕される中、金子も著作権法違反幇助の容疑で、2004年に逮捕されてしまう。
 サイバー犯罪に詳しい弁護士の壇俊光は、、金子逮捕の報道を受けて急遽、弁護を引き受けることになり、弁護団を結成して……

 PCソフトウェアは、謂わば道具でしかない。映画中でも説明されるが、ナイフで人を殺したとしても、殺人犯で裁かれるのは刺した人間であり、ナイフを作った人間が罪を問われる事はないのが法における常識だ。
 だが、2004年、日本の司法は、「ソフトウェア」、「データ」、「ウィルス」の区別がつかず、ソフトウェア開発者である金子を逮捕してしまったのだ。
 (皮肉な事に、金子を逮捕し、ソフトウェア開発を禁止した事で、「Winny」のセキュリティホールを突くウィルスが蔓延、情報流出などの被害を拡大させたのだ、と言う)

 この金子の逮捕により、日本ではソフトウェア開発が萎縮、日本のIT事業、特にソフトウェア産業は10年は遅れたと言う。
 開発者が、製品を悪用された際の責任までとらされるのであれば、何も出来なくなってしまう。
 (自動車事故を起こしたら、開発者が逮捕されるようなもの)
 そして、金子勇は間違いなく天才であったが、そのIT技術者として脂の乗り切った33歳からの7年を裁判に費やしてしまい、日本のIT産業には殆ど寄与することなく終わってしまった――なぜなら、7年の裁判の後、無罪となった金子は、心労が祟って40歳で急性心不全で死去してしまったからだ。

 映画は、このエピソードを当時の裁判記録を元に再現している。
 日本映画として珍しい本格法廷劇であり、日本映画にありがちな過剰演出や、人情に訴えかけるものではなく、法廷戦術の描写に徹底。また、検察側の理不尽な態度、警察の隠蔽体質など、社会的な視点も盛り込んだ。これに匹敵するのは、周防監督の「それでもボクはやってない」しか思い当たらないし、しかも、実録ベースとなると他に例を見ないものと思う。
 
 これは傑作、と思うが、場内はガラガラ。
 そりゃそうだ、東出昌大主演じゃ、宣伝も打てないしなぁ……
2 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年03月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記

もっと見る